不明熱(長引く発熱)
発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中
施設プロファイル: 二次救急/小児感染症・小児リウマチ・小児血液の専門医なし。
30秒要約
- 当直で診断名をつける病気ではない。当直の仕事は①今夜死ぬ病気を外す ②川崎病を外す ③次の検査と次の受診日を決めるの3つ。
- 不明熱の定義(小児・国内)は「腋窩温38℃以上の発熱が2週間(14日間)以上持続し、1週間(7日間)の入院精査でも原因を特定できない」(決定=)。成人領域の定義(1)38.3℃以上の発熱が3週間以上持続、2)3日間の入院精査あるいは3回の外来診療で原因不明)は出典の井田2016を参照。
- 枝分かれの順番を守る。まず3大不明熱疾患(感染症、悪性腫瘍、膠原病)を確認する。これらを否定できた場合、見逃されやすいその他の疾患、広義の自己炎症症候群、狭義の自己炎症症候群と鑑別を行う。
- 小児で最初に外すのは川崎病。5日以上の発熱があれば、他の主要症状を毎回取り直す(川崎病)。
- 「熱の形」より「熱以外の所見」。熱型では診断できない。体重・成長曲線・皮疹・関節・リンパ節・肝脾腫・眼を毎回見る。
レッドフラグ → 次の一手
所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。
| 緊急度 | 所見 | その場で次にやること | 時間の勝負 |
|---|---|---|---|
| 119 | 発熱+意識障害・けいれん・項部硬直 | 髄膜炎・脳炎(細菌性髄膜炎) | 即時 |
| 119 | 発熱+頻脈・CRT延長・乏尿・末梢冷感 | 敗血症(小児敗血症) | 即時 |
| 119 | 発熱+急速に拡大する紫斑 | 髄膜炎菌血症・DIC(紫斑・出血斑) | 即時 |
| 119 | 発熱+好中球減少(化学療法中・原因不明) | FNを疑う発熱はANCを待たず主治医・血液腫瘍担当・上級医へ直ちに連絡し、初回抗菌薬の開始時点とレジメンを確認する。搬送調整と初期安定化を並行し、連絡・搬送待ちで治療を遅らせない。連絡がつかない場合や搬送に時間を要する場合は院内上級医・救急連携へ直ちにエスカレーションする。 | 即時 |
| 119 | 起座呼吸・顔面と頸部の腫れ(前縦隔腫瘤) | 仰臥位にしない・鎮静をかけない(白血病を疑うとき) | 即時 |
| 緊急 | 5日以上の発熱+眼球結膜充血・口唇紅潮・発疹・手足の腫脹・頸部リンパ節腫脹・BCG痕の発赤 | 川崎病。疑った時点で専門施設(小児循環器)へ紹介・搬送する。当院投与は搬送までの繋ぎに限る(院内方針院内)(川崎病) | 当日 |
| 緊急 | 末梢血に芽球/2系統以上の血球減少/肝脾腫+リンパ節腫大 | 血液悪性腫瘍。持てない(白血病を疑うとき) | 当日 |
| 緊急 | 生後3か月未満の発熱 | 別の病気として扱う(生後3か月未満の発熱) | 即時 |
| 緊急 | 弛張熱+発熱時だけ出るサーモンピンク疹+関節痛 | 全身型若年性特発性関節炎。血小板は上がる(白血病と逆) | 当日 |
| 緊急 | 発熱+心雑音の新出/既知の心疾患 | 感染性心内膜炎。頻回の血液培養と早期の心エコー検査が重要。最後まで疑う必要がある。血液培養は当直帯にも採れる。心エコーは無いので、疑ったら小児循環器へ相談 | 当日 |
| 緊急 | 体重減少・寝汗・持続する倦怠感 | 悪性腫瘍・結核・IBD(白血病を疑うとき・炎症性腸疾患) | 当日 |
| 緊急 | 結核の曝露歴がある | 肺内結核、肺外結核、粟粒結核の全てにおいて念頭に置く。届出が要る | 当日 |
| 当日 | 免疫抑制薬・ステロイド・抗がん薬の使用中 | 真菌感染症、薬剤耐性菌や弱毒菌による感染症も鑑別する | 当日 |
| 当日 | 発熱以外に所見がなく、全身状態良好、体重も伸びも保たれている | 次の検査と次の受診日を決めて帰す。日誌をつけてもらう | 数日 |
順番を守る(枝分かれの図)
不明熱は枝分かれするように、①感染症 → ②悪性腫瘍 → ③膠原病 → ④その他 → ⑤広義の自己炎症症候群 → ⑥狭義の自己炎症症候群と、順番に診断していく。
当直では①〜③まで(+小児では川崎病)を意識すれば足りる。④以降は専門施設の仕事。
①感染症(小児では圧倒的に多い)
| 見逃しやすいもの | 拾い方 |
|---|---|
| 深部膿瘍(腹腔内膿瘍、後腹膜膿瘍) | 血液検査や画像検査の進歩によって感染症は診断しやすくなってきたが、膿瘍、特に深部膿瘍に注意が必要。エコー・CT |
| 診断がつきにくい骨髄炎 | さらに、診断がつきにくい骨髄炎、前立腺炎、歯槽膿漏なども忘れてはいけない。骨の圧痛・跛行(歩かない) |
| 結核 | 本邦に多い結核は、肺内結核、肺外結核、粟粒結核の全てにおいて、念頭に置くべき疾患。曝露歴・IGRA |
| 感染性心内膜炎 | 頻回の血液培養と早期の心エコー検査が重要。最後まで疑う必要がある |
| ウイルス感染症(EBV、CMVなど) | ウイルス抗原や抗体価が上昇している場合以外は診断確定が難しく、不明熱が自然軽快する場合に疑われるが、どのウイルスの罹患であったか不明であることが多い(伝染性単核症) |
| 尿路感染症 | 乳幼児では症状が出ない。尿を出す(尿路感染症) |
| 副鼻腔炎・中耳炎・乳様突起炎 | 見ないと分からない(副鼻腔炎・急性中耳炎) |
| 猫ひっかき病 | 動物との接触歴(リンパ節腫脹) |
| マイコプラズマ | 流行期(マイコプラズマ) |
| 易感染性患者の真菌・弱毒菌 | 抗がん薬やステロイド剤使用中の易感染性患者では、真菌感染症、薬剤耐性菌や弱毒菌による感染症も鑑別したい |
②悪性腫瘍
- 白血病・リンパ腫:痛みのないリンパ節の腫れ、原因が明らかでない発熱や寝汗・体重減少(白血病を疑うとき)
- 神経芽腫:腹部腫瘤・骨痛・眼窩周囲の紫斑
- 拾い方:血算+末梢血液像・LDH・尿酸。ここを出さずに「様子を見ましょう」はしない
③膠原病・自己炎症
治療ワークフロー(当院でやること)
当直で抗菌薬を「とりあえず」出さない。 出すと培養が採れなくなり、診断が数週間遅れる。出すなら、その前に培養を採る。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | バイタル+全身状態。敗血症・髄膜炎を外す |
| 2 | 発熱の日数を確定する(家族の記憶ではなく、記録で) |
| 3 | 服を脱がせて全身を見る:皮疹(熱があるときだけ出る発疹を聞く)、紫斑、BCG痕、口腔、眼球結膜、爪 |
| 4 | リンパ節を全領域触る(鎖骨上窩を飛ばさない)、肝脾腫、関節(腫脹・可動域)、骨の圧痛 |
| 5 | 成長曲線を描く。体重が落ちているか、伸びが止まっているか |
| 6 | 血算+末梢血液像、CRP、赤沈、生化(AST/ALT/LDH/Cr/アルブミン)、フェリチン、尿酸、尿検査 |
| 7 | 血液培養(できれば2セット)。抗菌薬の前に |
| 8 | 尿培養、咽頭培養、便培養(症状に応じて) |
| 9 | 胸部X線(肺門リンパ節・前縦隔腫瘤・結核) |
| 10 | 腹部エコー(肝脾腫・深部膿瘍・腹部腫瘤・腸管壁肥厚) |
| 11 | 心エコー(心雑音・川崎病の疑い・持続菌血症) |
| 12 | 状況に応じて:EBV/CMV抗体、抗核抗体、IGRA、sIL-2R |
| 13 | 次にやることと、次に来る日を紙に書いて渡す。「様子を見て」で終わらせない |
帰してよい条件
- 全身状態がよく、水分が取れ、活動性が保たれている
- 敗血症・髄膜炎・川崎病・血液悪性腫瘍を、今日の所見と検査で外せている
- 体重が落ちていない/成長曲線から外れていない
- 再受診の日が決まっていて、家族がそれを書いたものを持っている
- 発熱日誌(時刻・体温・症状・食事・皮疹の写真)を始めてもらっている
このどれかが崩れたら帰さない。
所見の取り方
| 所見 | 取り方 | 所見があったら次にどうする |
|---|---|---|
| 熱型 | 体温を時刻つきで記録してもらう。1日1回スパイクする弛張熱は全身型JIA | 熱型だけで決めない |
| 熱があるときだけ出る皮疹 | 家族に解熱時と発熱時の写真を撮ってもらう | サーモンピンク疹=全身型JIA |
| BCG痕 | 発赤・痂皮 | 川崎病(川崎病) |
| 眼球結膜 | 充血(眼脂を伴わない) | 川崎病 |
| 口唇・口腔 | 紅潮・いちご舌・アフタ | 川崎病・IBD |
| リンパ節 | 全領域。鎖骨上窩必須 | リンパ節腫脹 |
| 肝脾腫 | 季肋部 | 血液疾患・EBV・全身型JIA |
| 関節 | 腫脹・熱感・可動域制限。歩かせて見る | JIA・化膿性関節炎 |
| 骨の圧痛 | 長管骨・脊椎 | 骨髄炎・白血病・神経芽腫 |
| 心雑音の新出 | 毎回聴く | 感染性心内膜炎 |
| 体重・身長 | 成長曲線に打つ | 落ちていれば器質的疾患 |
| 歯 | 齲歯・歯肉の腫れ | 歯槽膿漏も忘れない |
検査
| 検査 | 何がわかるか | 読み方 |
|---|---|---|
| 血算+末梢血液像 | 芽球・血球減少・異型リンパ球 | 最初に出す。これを出さない選択肢はない |
| CRP・赤沈 | 炎症の持続 | CRPが陰性化しても赤沈が高いことがある |
| LDH・尿酸 | 悪性腫瘍 | 高値 |
| フェリチン | 全身型JIA・血球貪食症候群 | 著明高値は要注意 |
| アルブミン | 慢性炎症・蛋白漏出 | 低下 |
| 血液培養(2セット) | 菌血症・心内膜炎 | 抗菌薬の前に。心内膜炎を疑うなら頻回に |
| 尿検査・尿培養 | 尿路感染症 | 乳幼児では必ず |
| 胸部X線 | 結核・肺門リンパ節・前縦隔腫瘤 | 必ず |
| 腹部エコー | 深部膿瘍・肝脾腫・腹部腫瘤 | 当院で撮れる(腹部エコー) |
| 心エコー | 感染性心内膜炎・冠動脈病変 | 早期に |
| IGRA | 結核 | 曝露歴があれば |
| EBV・CMV抗体 | ウイルス感染 | 抗体価が上がっていないと確定は難しい |
| 抗核抗体 | 膠原病 | 陽性でも直ちに診断にならない |
| sIL-2R | リンパ増殖性疾患 | 補助的 |
| 造影CT・MRI・骨シンチ | 深部膿瘍・骨髄炎・腫瘍 | 当院の夜間実施は要確認 |
問診チェック
- 発熱の記録(いつから、何度、1日の変動、解熱剤の効き方と持続)
- 間欠期に完全に元気か(周期性発熱症候群の鍵)
- 体重と身長の推移(母子手帳・学校の記録を持参してもらう)
- 寝汗(着替えが要るほどか)
- 皮疹の有無と、出るタイミング(熱と連動するか)
- 関節痛・骨痛・跛行・朝のこわばり
- 腹痛・下痢・血便(炎症性腸疾患)
- 動物との接触(猫・爬虫類・鳥)、虫刺され、渡航歴
- 結核の曝露(同居家族・高齢者・施設)
- 生ものの摂取、井戸水
- 薬(薬剤熱。抗菌薬・抗けいれん薬を含む)
- 既往:先天性心疾患、免疫不全、悪性腫瘍、脾摘
- 予防接種歴
- 家族歴:周期性発熱、自己免疫疾患、悪性腫瘍、近親婚
送る/持つ(当院=二次救急)
エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)
- 要確認:小児リウマチ・小児感染症・小児血液のそれぞれの紹介先
- 要確認:夜間・休日の血液培養(2セット)の運用と、結果の連絡経路
- 確定(2026-09-14・当直帯):心エコーは当直帯に撮れない。翌日以降に誰が撮れるかは要確認
- 確定(2026-09-14・当直帯):造影CT・MRIは当直帯に撮れない。日勤帯の実施可否と骨シンチの所要日数は要確認
- 補足:不明熱は定義上「時間をかけて詰める」病気なので、夜に画像が無いことはこのシートの主目的をほとんど損なわない。当直帯の仕事は敗血症・川崎病・悪性腫瘍という「今夜動く理由」があるかを外すことに絞る
- 要確認:IGRA・sIL-2R・フェリチンの院内実施可否
- 要確認:不明熱の入院精査を当院で行うか。行うなら「何日の発熱で、どの検査まで進んだら入院か」の院内基準
家族に渡す一文
「熱が長く続いていますが、今日の診察と検査では、すぐに命に関わる病気は見つかりませんでした。ただし、原因がまだ分かっていないという状態です。長引く熱の原因は、①どこかの感染症 ②血液の病気 ③自分の免疫が起こす炎症の順に調べていきます。熱の出方だけでは原因は分かりませんので、次のことをお願いします。①体温を時刻と一緒に記録する ②熱が出ているときの体の写真を撮る(発疹は熱があるときだけ出ることがあります)③体重を測る。そして◯月◯日に必ず来てください。それまでの間、ぐったりする、息が苦しい、けいれん、意識がおかしい、紫色のあざが広がる、水分が取れない、このどれかがあれば時間を待たずに来てください。熱がある間、自己判断で解熱剤以外の薬(抗菌薬など)を使わないでください。診断が難しくなります。」
出典
- 井田弘明(久留米大学呼吸器・神経・膠原病内科).内科医が診る不明熱の鑑別診断.平成27年度日本内科学会生涯教育講演会 Aセッション.日本内科学会雑誌 105(3): 457–, 2016.https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/3/105_457/_pdf (2026-09-13閲覧)。「不明熱は、1)38.3℃以上の発熱が3週間以上持続、2)3日間の入院精査あるいは3回の外来診療で原因不明と定義される」「臨床検査や画像診断の進歩により、不明熱における感染症や悪性腫瘍の比率が減少、反対に非感染性炎症疾患と診断未確定疾患が増加している」「不明熱症例に出会った場合、まず、3大不明熱疾患(感染症、悪性腫瘍、膠原病)を確認する。これらを否定できた場合、見逃されやすいその他の疾患、広義の自己炎症症候群、そして狭義の自己炎症症候群と鑑別を行い、診断する」「血液検査や画像検査の進歩によって感染症は診断しやすくなってきたが、膿瘍、特に深部膿瘍(腹腔内膿瘍、後腹膜膿瘍)に注意が必要である。さらに、診断がつきにくい骨髄炎、前立腺炎、歯槽膿漏なども忘れてはいけない」「本邦に多い結核は、肺内結核、肺外結核、粟粒結核の全てにおいて、念頭に置くべき疾患である」「古くから不明熱として診断が難しい感染性心内膜炎は、頻回の血液培養と早期の心エコー検査が重要である。最後まで疑う必要がある」「ウイルス感染症(EBウイルス、サイトメガロウイルスなど)は、ウイルス抗原や抗体価が上昇している場合以外は診断確定が難しく、不明熱が自然軽快する場合に疑われるが、どのウイルスの罹患であったか不明であることが多い」「高齢者、抗がん薬やステロイド剤使用中の易感染性患者では、真菌感染症、薬剤耐性菌や弱毒菌による感染症も鑑別したい」。本文献は成人領域を対象としたものである(2026-09-26決定により本シートの定義文からは外し、成人領域の参考として残す)。
- 大日方薫.第44回日本小児感染症学会教育講演.感染症の鑑別を中心とした不明熱精査の進め方.小児感染免疫26(1):59-65, 2014.https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/02601/026010059.pdf (WebFetchで全文取得・原文照合済、2026-09-26確認)。「小児では腋窩温38℃以上の発熱が2週間以上持続し,1週間の入院によっても原因を特定できない場合を『不明熱』としたわが国での検討がある」(脚注3=Kasai 2011を引用)。
- Kasai K, Mori M, Hara R, et al. National survey of childhood febrile illness cases with fever of unknown origin in Japan. Pediatr Int 2011(大日方2014の文献欄では53:401-425、HAPPY!こどものみかたの脚注1では53:421-425と表記ゆれがあり、ページ番号は未確認)。全国小児不明熱アンケート調査。上記の小児・国内定義(2週間・38℃・1週間入院精査)の一次資料。
- HAPPY!こどものみかた(無印版・2版、bookgrepで確認):定義文=無印版p.141(PDF抽出p.157)・2版p.150、統計「最終診断はリウマチ性疾患54%・感染症23%・腫瘍性疾患8%」=無印版p.143(PDF抽出p.159)・2版p.152。いずれも脚注1でKasai 2011を典拠とする。
- 新井勝大、ほか(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会).小児クローン病治療指針[2019].https://www.jspghan.org/guide/doc/shouni_clone_chiryou_gyude_2019_02.pdf (2026-09-13閲覧)。「小児では消化器症状を主訴とせず、体重増加不良・成長障害・不明熱・鉄欠乏性貧血などの消化管外症状が先行することがある」。
- 国立がん研究センター がん情報サービス.リンパ腫〈小児〉について(更新・確認日:2022年08月17日).https://ganjoho.jp/public/cancer/malignant_lymphoma/about.html (2026-09-13閲覧)。「痛みのないリンパ節の腫れ、原因が明らかでない発熱や寝汗・体重減少などはリンパ腫を疑う症状の1つです」。
免疫不全背景の発熱の補足
FNを疑う発熱はANCを待たず主治医・血液腫瘍担当・上級医へ直ちに連絡し、初回抗菌薬の開始時点とレジメンを確認する。搬送調整と初期安定化を並行し、連絡・搬送待ちで治療を遅らせない。連絡がつかない場合や搬送に時間を要する場合は院内上級医・救急連携へ直ちにエスカレーションする。
小児FNガイドライン2023とRCH疑い・確定FNを参照。薬剤・開始手順・連絡不能時の指示系統は院内確認事項。
培養採取・夜間保管の条件
培養は治療を遅らせず採取可能な場合に投与前に採る。必要量・容器・分注・検体ごとの保管と搬送条件を検査室へ確認する。夜間提出不可でも、固定量の採取や翌朝までの保存を未確認で実施する手順にしない。FN・重症感染では採取/保管調整で初回治療を待たせない。
病態・根拠7章
発熱の長さより先に全身状態をみる
長引く発熱は単一の病名ではなく、診断を繰り返し見直す入口である。感染症が多い一方、炎症性疾患や悪性疾患も含む。日ごとの体温、解熱している時間、体重・食欲、薬剤、旅行・動物・結核接触、局所症状の出現を時系列に並べ、連続する別の感染と一つの遷延疾患を区別する。[1]
高熱だけ、あるいは解熱薬への反応だけでは重症度を決めない。意識変容、呼吸困難、末梢循環不良、乏尿、紫斑は敗血症などの緊急評価を要し、「不明熱の精査」を理由に初期治療を待たない。新生児・低月齢児や免疫不全では、元気に見えることの安全性にも限界がある。[2]
診察を重ね、検査に問いを持たせる
皮膚・粘膜、頸部、心雑音、肝脾腫、骨関節、神経所見を初回と比較する。発疹・結膜充血・口唇変化などはそろう時期が異なるため、川崎病を含む炎症疾患は一度の診察だけで外さない。骨痛、体重減少、血球減少、臓器腫大などがあれば血液疾患の可能性を専門科と共有する。[1]
血算・炎症反応・肝腎機能、尿と尿培養、必要時の血液培養などは、炎症の程度、臓器障害、潜在感染を調べるために選ぶ。培養は安定していれば抗菌薬前に採るが、ショックでは採取のため投与を遅らせない。呼吸器PCRが陽性でも、発熱期間や重症度を説明できるかを再評価する。[1][2]
抗体検査は採血時期により陰性となり、既感染を拾う場合もある。無差別な一斉検査より、曝露と経過に合う検査を段階的に選ぶ。全身状態が安定する児では、原因不明のまま抗菌薬やステロイドを重ねる前に診察と検体採取を整える。帰宅時は次の診察日、担当者、検査結果の確認方法を決める。専門医が常駐しない当院では、臓器障害・持続する炎症・診断困難があれば早期に相談する。[1](当院運用)
出典
- 海外・RCH:Prolonged fever(本文確認:2026-10-23)
- 海外・RCH:Febrile child(本文確認:2026-10-23)
海外資料の薬剤・処置は国内の承認・院内採用を意味しない。本文の施設条件を前提に適用する。
臨床医が迷う場面
検査を一通りしたが原因不明。広い抗菌薬を試す?
全身状態が安定しているなら、無目的の抗菌薬より詳細な再問診と経時診察、段階的な検査を優先する。薬剤、旅行、動物、体重減少、発疹・関節症状を取り直す。敗血症や免疫不全を疑う場合は別で、必要な培養と治療を遅らせない。
熱型が規則的なら自己炎症性疾患と考えてよい?
熱の間隔だけで決めない。発熱中と解熱時の状態、成長、皮疹・口内炎・関節症状を記録し、感染・悪性疾患・炎症疾患を並行評価する。発作間も元気が戻らない、体重減少や血球異常がある場合は、周期熱として待たず専門診療へつなぐ。
元気な不明熱を外来でみる時、次に何を決める?
次の診察日、検査結果を確認する担当、悪化時の連絡先を決める。発熱と随伴症状の日誌をつけてもらい、診察では新しく現れた所見を毎回確認する。飲めない、活動性低下、出血、呼吸循環の変化は予定日を待たず再評価する。