13-6予防接種を受けられないとき・注意が必要なとき
接種不適当者(打てない)と接種要注意者(慎重に判断すれば打てる)の区別
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次5項目
1ポイント
- 「接種不適当者」(法定・打ってはいけない)と「接種要注意者」(添付文書上の注意対象・慎重に判断すれば打てる)は法的重みがまったく違う。要注意者を不適当者と混同して不要に延期しない。
- 忘れがちな「原則接種可」の3枠:卵アレルギー(インフルエンザ・MRとも)、軽微な感冒(元気で悪化傾向がなければ可)、熱性けいれん既往は、いずれも接種を止める理由にならない。
- 本当に止めるべきは、37.5℃以上の発熱、当該ワクチン成分によるアナフィラキシー既往、細胞性免疫不全・高用量ステロイド/免疫抑制薬内服中の生ワクチン、妊娠中の生ワクチンの4つに絞られる。
2検査
- 接種不適当者(法定除外):37.5℃以上の発熱(学会の実務解釈)、重篤な急性疾患(軽症と判断できれば接種可)、当該ワクチン成分によるアナフィラキシー既往、妊娠中の生ワクチン
- 接種要注意者(添付文書上の注意対象):基礎疾患、接種後2日以内の発熱や全身性発疹等の既往、けいれんの既往、前回接種後の急性脳症・脳炎の既往、免疫不全の既往または近親者の先天性免疫不全、血小板減少症・凝固障害・抗凝固療法中、間質性肺炎・気管支喘息等、アレルギー素因。該当時の最終判断は、明らかなリスク因子がなければ外来担当医が行い、判断に迷う場合のみ専門科へ相談する(院内方針院内)
- 卵アレルギー:MRワクチンはニワトリ胚由来初代培養細胞製造で卵白タンパクをほぼ含まず接種可。インフルエンザワクチンは発育鶏卵製造だが大部分の卵アレルギー児に安全に接種可能で、重症アナフィラキシー既往例のみ専門医連携のうえ検討する
- 免疫不全と生ワクチン:高度の免疫抑制状態(特に細胞性免疫不全)では生ワクチンが致死的な感染症を起こしうる。高用量ステロイド(プレドニゾロン換算で体重1kgあたり1日2mg以上、または1日20mg以上)は生・不活化ともに接種を控える。ステロイド・免疫抑制薬内服中の児の生ワクチン接種可否は、原疾患の担当専門科(腎臓・膠原病・血液等)に確認してから接種する運用とする(院内方針院内)
- BCG接種前の予診票で「近親者に先天性免疫不全症の疑い」に該当した場合:接種を延期し、小児科・免疫科で評価してから接種可否を判断する(院内方針院内)
- 妊娠:妊娠中は生ワクチン絶対禁忌、不活化ワクチンは接種可能。風疹含有ワクチン接種後は2か月間妊娠を避けるよう指導する
- 熱性けいれん既往:待機期間を一律に提示せず、有用性・副反応と対応を説明し同意を得たうえで接種可能。てんかんも病状が安定しかかりつけ医が問題ないと判断すれば同様に固定的な待機期間を設けず接種可能
- 輸血・ガンマグロブリン製剤:接種前3か月以内の輸血・ガンマグロブリン製剤投与はBCG・ロタウイルスワクチンを除く生ワクチンの効果を下げうる。川崎病等で大量ガンマグロブリンを投与された場合は6か月以上あけて生ワクチンを延期する
3対応の注意
避けること・注意:卵アレルギーを理由にインフルエンザ・MRワクチンを一律に見送る。微熱なし・軽い鼻汁や咳のみの児を体調不良として延期する。熱性けいれん既往を理由に以後の予防接種全般を長期間避ける。
4Q&A
- 卵アレルギーがあるとインフルエンザもMRも打てない?
- ほとんどのお子さんは通常どおり接種できる。過去に卵で強いアレルギー症状(アナフィラキシー)が出たことがある場合だけ事前に相談する。
- 少し鼻水や咳が出ているだけで接種を延期すべき?
- 延期しなくてよい。熱がなく元気であれば予防接種は受けられる。37.5℃以上の熱があるときだけ日を改める。
- 以前にけいれんを起こした子は長期間ワクチンを避けるべき?
- 避けなくてよい。現行の考え方は待機期間を一律には決めておらず、状態を説明したうえで多くの場合は通常どおり接種できる。むしろワクチンで防げる病気の発熱でけいれんを起こすリスクの方が心配される。
- 妊婦と同居する家族はワクチンを受けても大丈夫?
- 問題ない。家族が接種しても、そこから妊婦に感染することはない。
- 免疫抑制薬を飲んでいる子は予防接種を受けられない?
- 不活化ワクチンは基本的に受けられる(高用量ステロイド=プレドニゾロン換算で体重1kgあたり1日2mg以上または1日20mg以上の場合を除く)。生ワクチンは原疾患の担当専門科に接種可否を確認してから接種する(院内方針院内)。
5家族への説明
卵アレルギーがあっても、インフルエンザもMR(麻疹風疹)も、ほとんどのお子さんは通常どおり接種できます。過去に卵で強いアレルギー症状(アナフィラキシー)が出たことがある場合だけ、事前に相談してください。少し鼻水や咳が出ていても、熱がなく元気であれば予防接種は受けられます。37.5℃以上の熱があるときだけ、日を改めましょう。以前にけいれんを起こしたことがあっても、それだけを理由に長く延期する必要はありません。現在の考え方は「何か月あければ良い」と一律には決めておらず、状態を説明したうえで多くの場合は通常どおり接種できます。妊娠中の方はMRワクチンなど生きたウイルスを弱めたワクチンは受けられませんが、インフルエンザワクチンなど不活化ワクチンは妊娠中でも受けられます。
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