11-1HLH・マクロファージ活性化症候群を疑うとき
けっきゅうどんしょく・HLH・MAS
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 長引く発熱に肝脾腫、血球減少、肝障害、フェリチン高値や凝固異常が重なる場合に想起する。[1][2]
- JIAや膠原病の既往があっても、感染・疾患活動性・MASを同時に検討する。[2]
- 発熱と進行する血球減少・肝障害・出血、神経症状・臓器不全:血液・リウマチ・感染症・集中治療の専門家へ緊急相談し、病因評価と支持療法を並行する。[1][2]
- 呼吸循環支持、感染等の寄与因子の治療と専門評価を並行する。[2]
2鑑別のながれ
- 発熱・肝障害→血球減少やフェリチン上昇・凝固異常が重なる→通常の感染経過とHLH/MASを鑑別し早期専門評価する。[1][2]
- 既知JIA/SLEの発熱→新たな臓器障害や血球・凝固の変化→原疾患悪化、感染、MASが重なりうるため一つに決めない。[2]
3検査
- 血算、肝機能、フェリチン、凝固系・フィブリノゲン、トリグリセリド等を経時評価する。感染・悪性疾患・遺伝的素因の検討も進める。[1][2]
- フェリチン単独や血球貪食像の有無だけで診断を確定・否定せず、進行と複数所見を総合する。[2]
4対応の注意
避けること・注意:骨髄検査や特殊検査の結果が揃うまで専門連絡・支持療法を遅らせない。[2] すべてをEBVの自然軽快過程や既知リウマチ病の発熱と決めない。[1][2]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- 呼吸循環支持、感染等の寄与因子の治療と専門評価を並行する。[2]
- 急速進行・高リスクでは診断評価中の免疫調整治療も専門チームが検討する。一般外来で薬剤を固定しない。[2]
フォローと再評価
- 症状、フェリチン・血算・肝障害・凝固等の推移を重症度に応じ反復し、反応不良なら原因と治療を再評価する。[2]
根拠と適用範囲
- JCCG 血球貪食性リンパ組織球症の解説:国内小児専門研究グループ。病因、症候、血液・骨髄・感染検査。
- EULAR/ACR 2022 points to consider: early suspected HLH/MAS:2023公開。早期認識、検査と治療の並行、経時評価、多専門連携。
6帰宅・入院の目安
- 入院HLH/MAS疑いで進行性の炎症・臓器障害を伴う場合、頻回評価・支持療法可能な専門入院環境へつなぐ。[2]
- 搬送・紹介小児血液・リウマチ・免疫・感染症と必要時PICUへ早期連絡する。[2]
7診療中の疑問と回答
- フェリチンが高ければHLHとして治療を始める?
- 単独値だけでは診断しない。持続発熱、血球減少、肝障害、凝固異常、脾腫と値の推移を組み合わせる。感染、悪性腫瘍、炎症性疾患を並行評価する。疑いが高く臓器障害が進むなら基準が全てそろうのを待たず専門チームと治療を協議する。
根拠:EULAR/ACR 2022 HLH/MAS早期診断・管理の提言 - 敗血症らしいのでHLHの検査は後でよい?
- 感染はHLH/MASの誘因にも併存疾患にもなり得る。抗菌薬と循環管理を進めながら血算、凝固、肝機能、フェリチンなどを追う。治療に反して炎症・臓器障害が増悪する場合は、感染かHLHかの二者択一にせず血液・リウマチ・集中治療へ相談する。
根拠:EULAR/ACR 2022 HLH/MAS早期診断・管理の提言 - 熱が下がれば免疫治療を減らしてよい?
- 解熱だけで反応を判断せず、血球、肝機能、凝固、フェリチンと臓器機能の推移を確認する。原疾患・感染治療と並行し、減量や再増強は専門チームで決める。出血、意識変化、循環不全は再燃や合併症として緊急に評価する。
根拠:EULAR/ACR 2022 HLH/MAS早期診断・管理の提言
8家族への説明
免疫反応が過剰に続いて臓器に負担をかける状態を疑っていること、原因を調べながら悪化を防ぐ治療を進める理由を説明する。[1][2]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。