11-18 鉄欠乏性貧血

緊急

11-18鉄欠乏性貧血

小球性貧血・フェリチン・鉄剤反応
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30

日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。

このページの目次9項目

ページ内目次

1ポイント

↑ このページの入口へ

2鑑別のながれ

↑ このページの入口へ

3計算・スコア

判定

貧血の判定(年齢別Hb基準・WHO 2024)

g/dL

年齢・区分

生後6か月未満はこの基準の対象外。新生児期は生理的にHbが高く(臍帯血で13.5〜20g/dL程度)、その後生理的下降をたどるため、同じ数値でも意味が違う。フェリチンは炎症の影響を最も受けやすい指標である点にも注意。

いつ使う

WHO 2024年改訂版の年齢別Hb基準で貧血かどうかを切る。鉄欠乏は「貯蔵鉄の減少(フェリチン低下)→血清鉄の低下→Hb低下」の順で進むため、Hbが正常でも鉄欠乏は否定できない。

次の一手
  • 鉄剤開始後72〜96時間で網赤血球が上昇し始める
  • 開始後4週間でHbが1g/dL以上(Hct 3%以上)上昇していれば鉄欠乏性貧血の診断が確定的
  • Hb/Hct正常化後も、貯蔵鉄が回復するまで少なくとも2〜3か月(8〜12週間)治療を続ける。中止後も数か月は再燃を確認する
出典

本シート「鉄・フェリチンと鉄欠乏性貧血」§2-1 の年齢別ヘモグロビン基準値(WHO 2024年改訂版)と治療反応の表。

↑ このページの入口へ

4検査

↑ このページの入口へ

5処置・処方例

Rp. 1経口鉄剤(一般名:溶性ピロリン酸第二鉄等。具体的な製剤・剤形は院内採用薬に従う) 鉄として2〜3mg/kg/日で開始し、消化器症状などの忍容性を見ながら3〜6mg/kg/日まで増量する。体重換算量が成人量(院内採用製剤の上限量)を上回るときは成人量を上限とする 内服
他血球系統の異常・全身症状などのレッドフラグを除外してから開始する(ワークアップ参照)
  1. 1日量(鉄として)は体重1kgあたり—〜—(2〜3mg/kg/日)から開始する
  2. 消化器症状などの忍容性を見ながら上限—(6mg/kg/日)まで増量できる
  3. 体重換算した量が成人量(院内採用製剤の上限量)を超える場合は、体重にかかわらず成人量を上限とする(体重が重い学童・思春期患者ほど機械的な計算に注意)
  4. 分割回数・具体的な製剤(液剤/徐放性)は院内採用薬に従う(本シートには記載しない)
  5. 開始72〜96時間後の網赤血球上昇、4週間後のHbが1g/dL以上(またはHctが3%以上)上昇していれば治療反応ありと判断する
避けること・注意:小球性貧血=鉄欠乏と決めつけて鑑別(特にサラセミア・骨髄浸潤性疾患)を飛ばした鉄剤投与、発熱・感染症急性期のフェリチン単独判定による「鉄欠乏なし」の即断、Hbのみで「正常だから鉄欠乏なし」と判定すること。
↑ このページの入口へ

6帰宅・入院の目安

↑ このページの入口へ

7診療中の疑問と回答

鉄剤を始めた後、いつ何を再検する?
重症貧血では1週間以内に早期再診し、服用状況と網赤血球・Hbの反応を確認する。全身状態が安定した通常例では本文の約4週後のHb評価を目安とし、息切れ、失神、頻脈などがあれば予定を待たず再評価する。治療前のHb・MCV・フェリチンと比較できる記録を残す。
根拠:RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
Hbが正常になったら、その日に鉄剤を終了してよい?
Hbの回復だけでは貯蔵鉄の補充は終わらない。RCHの小児診療指針では貧血改善後も少なくとも3か月継続し、Hb・フェリチンで確認する。これは海外指針を参照した期間の目安であり、実際の終了は摂取不足・月経などの原因が改善したか、炎症の影響や副作用も含めて判断する。
根拠:RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
4週たってもHbが上がらない。すぐ増量すべき?
まず薬を受け取ったか、実際の服用量が元素鉄として正しいか、飲めない日・嘔吐・副作用がないかを確認する。次に出血継続、炎症、吸収障害、サラセミアなど別診断を見直す。服薬が確認できても反応が乏しい場合や他血球異常があれば、増量だけで追わず小児血液・消化器専門医へ相談する。
根拠:RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
腹痛・便秘・歯の着色で飲めないときは?
自己中断として責めず、症状と実際に飲める量を確認し、剤形・服用方法や処方量を調整する。液剤は歯への接触を減らし服用後に口腔ケアを行う。便が黒くなることは説明しておくが、タール便、血便、腹痛や循環症状を伴う場合は薬の色と決めつけない。
根拠:RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
経口薬が続かない児に、外来で静注鉄へ切り替える?
経口薬の調整でも継続困難、吸収障害、持続する喪失などを確認して専門医へ相談する。静注鉄は製剤ごとに小児適応・投与条件が異なり、経口薬と同じmg数で置き換えない。重症で症候性の貧血は、鉄の補充方法を考える前に全身状態と緊急治療の要否を評価する。
根拠:RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
感染中のフェリチンが正常だった。鉄剤は不要?
フェリチンは炎症で上がるため、正常値だけで鉄欠乏を否定しない。CBC、炎症の有無、食事歴、出血歴と合わせ、必要なら炎症軽快後に再評価する。血清鉄単独も直近の摂取などで動くため、治療の開始・中止をその数値だけで決めない。
根拠:WHO:フェリチンによる鉄栄養状態評価2020 / RCH:Iron deficiency(小児鉄欠乏の治療・経過観察)
小球性貧血を見たらまず鉄剤を試していい?
いいえ。他血球系統の異常・全身症状・骨痛・リンパ節腫脹・肝脾腫・出血傾向があれば、先に血液内科的な精査を優先する。
フェリチンが正常なら鉄欠乏は否定できる?
できない。フェリチンは急性期反応物質で、感染・炎症・肥満があると正常〜高値に出て鉄欠乏をマスクする。
鉄剤の効果はいつ確認する?
開始72〜96時間で網赤血球上昇、4週後にHbが1g/dL以上(またはHctが3%以上)上昇していれば診断が確定的。反応不良ならアドヒアランス・用量・出血・炎症・診断の見直しの順に確認する。
牛乳をよく飲んでいれば栄養は足りている?
足りているとは限らない。牛乳は鉄含有量が少なく、多飲は鉄豊富な食事の置き換えと微小消化管出血の両方で鉄欠乏を招く。1歳以降も1日24オンス(約700mL)未満が目安。
鉄剤を大量に誤って飲んだと言われたら?
本シート(鉄欠乏の評価・治療)の対象ではない。中毒対応(急性中毒)の手順を参照する。
鉄剤を飲んでいる子の黒い便はどう見る?
鉄剤による便の黒さは心配のいらない変化。ただしタール状で粘り気があり血が混じる、いつもと違うと感じる便は消化管出血を疑い、失血源(消化管・鼻出血・月経)を検索する。
↑ このページの入口へ

9家族への説明

この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。

スペースで絞り込み(例:夜尿症 休薬)↑↓ 移動 / Enter 開く