11-4小児肥満症
体重増加・二次性肥満の除外・合併症スクリーニング
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
前の画面から引き継いだ体重です。
このページの目次10項目
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1ポイント
- 単純性肥満が大半を占める。低身長を伴う肥満、または身長の伸びが鈍化している肥満は二次性肥満を第一に疑う(本ワークフロー最大の見逃しポイント)。
- 急激な体重増加+頭痛・嘔吐・視力障害は視床下部・下垂体病変を疑う。当直帯は単純X線のみのため、CT/MRIが必要なら搬送先で行う。
- 多飲・多尿・体重減少を伴う肥満は2型糖尿病の顕性化を疑う。即日の血糖確認を優先する。
- 強いいびき+無呼吸の目撃・日中の強い眠気・起床時頭痛・夜尿の新規出現はOSAS(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)を疑う。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 肥満+低身長・成長速度鈍化→身長の伸びが標準以上に伸びない→二次性肥満(内分泌疾患等)を第一に疑う
- 肥満+急激な体重増加→頭痛・嘔吐・視力障害→視床下部・下垂体病変(頭蓋内圧亢進)
- 肥満→多飲・多尿・体重減少→2型糖尿病の顕性化
- 肥満→強いいびき+無呼吸目撃・日中の強い眠気・起床時頭痛・夜尿の新規出現→閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
- 肥満→上記のいずれもない→単純性肥満(肥満度・カウプ指数で評価)
↑ このページの入口へ3肥満度(学童6〜17歳。日本肥満学会2017)
| 肥満なし | 20%未満 | 経過観察+一般的な生活助言 |
|---|
| 軽度肥満 | 20%以上30%未満 | 生活介入(食事・運動・行動療法) |
|---|
| 中等度肥満 | 30%以上50%未満 | 生活介入。合併症スクリーニング |
|---|
| 高度肥満 | 50%以上 | 専門施設へ紹介(合併症を複数伴う場合) |
|---|
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↑ このページの入口へ4計算・スコア
計算
カウプ指数(乳幼児 3か月〜5歳)
kg
cm
年齢帯(目安の幅がちがう)
6歳未満は肥満度ではなくこの指数を用いる。カウプ指数の正常範囲は年齢とともに低下するため、一律の数値で判定せず年齢別の目安幅を用いる。1回の測定値だけで判定せず、成長曲線の軌道を見る。
いつ使う
3か月〜5歳の体格評価。計算式は体重(kg) ÷ 身長(cm)² × 10⁴(=体重(g) ÷ 身長(cm)² × 10)。学童以降(6〜17歳)は肥満度を使う。
落とし穴
- 目安幅は年齢帯ごとに違う(3か月〜1歳未満 16〜18/1〜2歳 15〜17/3〜5歳 14.5〜16.5)。同じ数値でも年齢で判定が変わる
- 日本では成人のようにBMI絶対値をそのまま用いない。身長別標準体重に基づく肥満度(村田式)が学童以降の標準
- 単一時点の値で安心・心配をしない。軌道を見る
出典
本シート「小児肥満 外来評価と介入」「成長曲線・低身長・思春期」の記載。式と年齢別の目安幅はいずれも正本§2由来。
計算
肥満度(学童以降 6〜17歳)
kg
kg
身長別標準体重の表は本サイトに入っていない。村田式の係数表(性・年齢・身長から求める)は正本に収録されていないため、標準体重は手元の表から入力する。この計算機は式を代行するだけで、標準体重そのものは出せない。
いつ使う
学童以降(6〜17歳)の肥満の程度。肥満度=(実測体重 − 身長別標準体重) ÷ 標準体重 × 100(%)。6歳未満はカウプ指数を使う。
落とし穴
- 日本ではBMIの絶対値をそのまま用いない。年齢・身長変化の影響を受けるため、身長別標準体重に基づく肥満度(村田式)が標準
- 6歳未満にこの式を当てない(カウプ指数へ)
出典
本シート「小児肥満 外来評価と介入」§2の判定表(20%未満/20〜30/30〜50/50%以上)と式。
↑ このページの入口へ5検査
- 6歳未満はカウプ指数(自動計算ツール参照)で評価する。学童の肥満度基準はそのまま使わない
- 身長・体重・血圧測定(マンシェットは体格に合った適正サイズを使う)
- 視診:黒色表皮腫の有無(頸部・腋窩・鼠径部)、皮膚線条、甲状腺腫大、二次性徴の評価
- 成長曲線で身長SDS・成長速度を必ず確認する(低身長・伸び不良の有無)
- 血液検査:AST/ALT/γGTP(脂肪肝スクリーニング)、脂質(中性脂肪・HDL-C・LDL-C)、空腹時血糖(可能ならHbA1c併用)
- 二次性肥満を示唆する所見があれば甲状腺機能(FT4・TSH)を追加し、内分泌専門への紹介を検討
- 危険因子のない軽度肥満児への75gOGTTはルーチンで行わない。危険因子がある例や学校検診陽性例に限定する
- 小児メタボリックシンドローム(6〜15歳)の目安:腹囲基準(小学生75cm以上/中学生80cm以上、または腹囲÷身長比0.5以上)をまず満たすこと
- 上記に加え、中性脂肪120mg/dL以上またはHDL40mg/dL未満・血圧収縮期125mmHg以上または拡張期70mmHg以上・空腹時血糖100mg/dL以上の3項目中2項目以上で該当
↑ このページの入口へ6対応の注意
避けること・注意:成長期の小児に成人同様の急速減量・厳格な低カロリー食を強制すること、体重・体型を本人の意思・努力不足として叱責する指導、母親のみを指導対象とし父親・家族を除外すること、単純性肥満そのものへの薬物療法(適応外使用)。
↑ このページの入口へ7帰宅・入院の目安
- 帰宅肥満度20%未満、または合併症スクリーニングに異常がない軽度〜中等度肥満、生活介入(食事・運動・行動療法)を家族単位で始められる、1〜3か月ごとの再診で経過をみられる
- 搬送・紹介高度肥満(肥満度50%以上)、または合併症を複数伴う場合:小児肥満症専門外来・内分泌代謝専門施設へ、低身長合併・成長速度の明らかな鈍化を伴う肥満:二次性肥満の精査を優先し内分泌専門施設へ、中等度以上のOSAS疑い(いびき+無呼吸目撃+日中症状):耳鼻咽喉科・睡眠専門へ紹介、PSGを検討、急激な体重増加+頭痛・嘔吐・視力障害:当直帯は単純X線のみのため、CT/MRIが必要なら搬送先で
↑ このページの入口へ8診療中の疑問と回答
- 食事指導で体重が変わらない。もっと食事量を減らす?
- 身長の伸びと肥満度の推移を確認し、成長を保ちながら改善できているかを見る。飲料・間食、睡眠、活動、家庭全体の習慣を具体的に一つずつ調整する。厳格な減食を急がず、栄養不足や摂食の問題、いじめなど本人の負担にも配慮して目標を見直す。
根拠:日本小児内分泌学会 肥満 / 日本小児医療保健協議会 幼児肥満ガイド2019 - 太っている児に甲状腺や副腎の検査を全員行う?
- 二次性肥満を疑う所見から選ぶ。身長の伸びの鈍化、低身長、急な体重増加と神経症状、薬剤使用などを確認する。肥満だけを理由に全ホルモン検査を並べず、成長経過から疑えば内分泌専門医へ紹介する。多飲多尿・体重減少なら血糖確認を優先する。
根拠:日本小児内分泌学会 肥満 / 日本小児医療保健協議会 幼児肥満ガイド2019 - 本人だけに指導すれば改善する?
- 家で選べる食事や睡眠・活動は家族の環境に左右される。本人を責めず、家族と実行可能な目標を決めて再診で振り返る。血圧、脂質・糖代謝、いびき・無呼吸など合併症も評価し、問題があれば体重指導の成果を待たず該当専門科へつなぐ。
根拠:日本小児内分泌学会 肥満 / 日本小児医療保健協議会 幼児肥満ガイド2019
- 体重を減らす目標でいい?
- いいえ。成長期は身長の伸びを活かして「肥満度を下げる」方針。体重そのものを落とす指導はしない。
- OGTTは全員にする?
- しない。危険因子(高度肥満・黒色表皮腫・家族歴等)がある例や学校検診陽性例に限定する。
- 2型糖尿病を合併したら?
- 生活習慣の修正のみでHbA1c 7.0%未満に至らなければ薬物療法を開始する。第一選択薬はメトホルミン(10歳以上で保険適用)。単純性肥満そのものへの薬物療法(適応外使用)は行わない。
- 身長の伸びが悪い肥満児は?
- 二次性肥満を第一に疑う。単純性肥満は身長も体重も標準以上に伸びるのが通常。内分泌専門施設へ紹介する。
- 今日は帰していい?
- 肥満度20%未満、または合併症スクリーニングに異常がない軽度〜中等度肥満で、生活介入を家族単位で始められるなら帰宅でよい。低身長合併・成長速度鈍化、急激な体重増加+頭痛/嘔吐/視力障害、多飲多尿+体重減少、いびき+無呼吸目撃のいずれかがあれば専門施設へ紹介する。
↑ このページの入口へ10家族への説明
この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。