2-18気管支喘息発作
喘鳴・呼吸困難・咳嗽増悪
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
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このページの目次11項目
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1ポイント
- 重症度は会話・姿勢・呼吸仕事・空気の入り・SpO2で判定する。ゼーゼーが消えても苦しそう・空気が入らないなら危険(silent chest)。酸素投与でSpO2が保たれていても換気不全を除外できない。
- 喘息の診断が未確定な急な喘鳴では、気道異物・アナフィラキシー・RSウイルスも同時に鑑別する。
- 処方済みの発作止めがあれば指示どおり反復。15〜30分で再評価し、効かなければ様子見を続けない。
- 硫酸マグネシウムは当院では使わず、上位施設へ送る(院内方針院内)。
声が出ない・意識変容・チアノーゼ・胸部聴診で呼吸音が乏しい場合は重症として扱う。異物・アナフィラキシーも並行して鑑別する。GINA・Global Strategy for Asthma Management and Prevention 2025 Updateを参照。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 喘鳴→突然の激しい咳き込みで発症(食事中・既往なし)→気道異物
- 喘鳴→蕁麻疹・口唇/眼瞼腫脹・食物摂取直後→アナフィラキシー
- 喘鳴→喘鳴の急な減弱・消失+努力呼吸が強い→silent chest(呼吸不全に近い)
- 喘鳴→上のいずれもない→喘息発作(発作強度で重症度)
↑ このページの入口へ3発作強度(JPGL)
| 小発作 | 会話は文で話せる・SpO2≧96% | β2刺激薬吸入。改善すれば帰宅 |
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| 中発作 | 句で区切る・SpO2 92〜95% | 吸入反復+SpO2<95%で酸素。反応不十分なら全身性ステロイド |
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| 大発作 | 一語区切り〜不能・SpO2≦91%・チアノーゼ | 酸素+全身性ステロイド。原則入院 |
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| 呼吸不全 | 会話不能・意識低下・喘鳴の減少/消失、呼吸数や脈拍の急な「不定」化(頻呼吸→減少・不規則、頻脈→徐脈) | 直ちに上位対応・救急搬送 |
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↑ このページの入口へ4計算・スコア
判定
喘息発作強度の判定(JPGL)
主要所見のうち最も重度のもので判定する(JPGL)。該当する所見を選ぶ。
喘鳴の「減少・消失」は改善ではなく呼吸不全のサインであり得る。SpO2はCO2を評価できない — 呼吸不全を疑えば血液ガスへ(大発作以降でPaCO2が急上昇)。
いつ使う
急性増悪(発作)時の強度判定と初期治療の選択(本シート§4の強度別プランへ接続)。判定は主要所見(意識状態・会話・体位・喘鳴・陥没呼吸・チアノーゼ・SpO2)の最重度で行う。
落とし穴
- 参考所見(呼気延長・呼吸数・PEF・PaCO2)は補助的に用いる — 呼気延長が吸気の2倍以上は大発作水準
- 年齢別標準呼吸数: 0〜1歳30〜60/1〜3歳20〜40/3〜6歳20〜30/6〜15歳15〜30(回/分)
- 呼吸不全列の一部項目は引用元でも空欄(JPGL2023原本 表8-1で要確認・本シート注記)
次の一手
強度に応じて§4(β2吸入・ステロイド・酸素・アドレナリン筋注の適応)へ。大発作・呼吸不全は入院/上位施設連携を前提に動く。
出典
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2023 第8章の発作強度判定(本シート詳細リファレンス§2に全表と出典URL)。
スコア
PRAM:小児喘息発作の評価
↑ このページの入口へ5検査
- SpO2モニタリングは全例で必須
- 大発作以上・呼吸不全疑いは動脈血液ガス(PaCO2評価が必須)。軽症〜中等度はまず静脈血でスクリーニングし、CO2高値なら動脈血で確認(当院は院内夜間も血液ガス可)
- 軽症(小発作)へのルーチン胸部X線・血算・CRPは不要
- PEFは5歳以上が対象。乳幼児は身体所見とSpO2で判定する
↑ このページの入口へ6処置・処方例
Rp. 1β2刺激薬吸入(ベネトリン吸入液0.5%/メプチン吸入液ユニット)
1回0.3mL(小児の添付文書量は0.1〜0.3mL)+生理食塩水2mL。20〜30分おきに、最大3回程度まで 吸入第一選択。反応不良・再悪化は早期エスカレーション
- ベネトリン吸入液0.5%を0.3mL(またはメプチン吸入液ユニット0.3mLを1本)シリンジでとる
- 生理食塩水2mL(またはインタール吸入液1本)と一緒にネブライザーのカップへ
- SpO2 95%未満なら酸素でネブライザーを回し、SpO2 95%以上を目標にする
- 霧が出なくなるまで吸入。20〜30分おきに、最大3回程度まで繰り返し、毎回、会話・陥没呼吸・SpO2で再評価
Rp. 2全身性ステロイド(プレドニゾロン等)
概ね1〜2mg/kg/日、最大PSL換算60mg/日を目安(JPGL2017由来の参考値)。静注も含め1日総量が60mg/日を超えないこと。 3〜5日間 内服/静注中発作で吸入反応不十分・大発作以上に追加。経口摂取困難なら静注に切替
- 内服:プレドニゾロン散1%(10mg/g)で1日 —〜—(1〜2mg/kg/日、上限60mg)を分1〜3。3〜5日
- 内服できない・大発作:ソル・メドロールを添付の溶解液で溶かし、—〜—(0.5〜1mg/kg)を6〜12時間ごとに静注。反復投与での1日総量がPSL換算60mg/日を超えないよう都度確認する
- 代わりにソル・コーテフなら—(5mg/kg・年齢区分なし)を6〜8時間ごとに静注。数日以内の使用にとどめる。こちらも1日総量はPSL換算60mg/日が上限
- 大発作・呼吸不全で上記の反応が不十分な最重症例は、上級医判断で通常量より増量を検討してよい(JPGL2017)
硫酸マグネシウムは当院では使わず、上位施設へ搬送する。発作時の吸入ステロイド増量は全身性ステロイドの代替にならない。 避けること・注意:発作時に吸入ステロイドを増量するだけで全身性ステロイドの代替とすること、反応不良のまま外来で様子を見続けること。
↑ このページの入口へ7帰宅・入院の目安
- 帰宅喘鳴・努力呼吸が消失、SpO2≧97%かつPEF≧80%、自宅での吸入指導ができる
- 入院大発作以上、中発作で初期治療への反応不十分(2〜3時間の目安)、near-fatal asthmaの既往・重症化リスク因子がある
↑ このページの入口へ8診療中の疑問と回答
- 吸入後も頻呼吸が続く。さらにSABAを重ねる?
- 陥没・呼吸音の入り・会話・酸素化を吸入前と比較する。気流が改善したのに頻脈、振戦、頻呼吸が目立つ場合、β2刺激薬による低K血症・乳酸上昇も考える。上級医と採血・心電図の必要性を判断し、頻呼吸だけで増量を続けない。一方、silent chestや意識低下は治療失敗として直ちに対応する。
根拠:RCH:急性喘息(海外指針) / CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) - 吸入への反応が悪いとき、いつ診断を見直す?
- 初回喘鳴、食事中の突然発症、左右差、発熱の持続や胸痛では、気道異物・肺炎・気胸などを再評価する。蕁麻疹・口唇腫脹・循環症状を伴えばアナフィラキシーを優先する。典型例に一律の胸部X線は不要だが、持続する局在所見や十分な治療への無反応は画像・上級医相談の理由となる。
根拠:RCH:急性喘息(海外指針) / CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) - 軽くなったので全身性ステロイドを全員に出す?
- 全員へ一律には出さない。海外指針では中等症〜重症は早期投与の対象で、軽症へのルーチン投与を支持する根拠は乏しい。自宅で繰り返しSABAを要した経過、今回の重症度、反応、過去の治療を合わせて判断する。具体的な用量・日数は本ページの国内資料・院内方針院内で確認し、海外レジメンをそのまま処方しない。
根拠:CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) - 吸入後にゼーゼーが消えたら帰してよい?
- 音だけで決めない。呼吸努力、空気の入り、室内気での酸素化、飲水、再び発作止めが必要になるまでの間隔を確認する。最後の吸入後も安定が持続し、家族が手技と悪化時対応を理解していることが必要。短時間で再燃する、酸素が要る、疲弊する場合は観察継続・入院相談へ進む。
根拠:RCH:急性喘息(海外指針) / CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) - いつ上位施設への相談を始める?
- 初期治療でも強い呼吸困難が続く、酸素需要が増す、SABAの間隔を延ばせない場合は早期に相談する。意識変化、疲弊、silent chestは待てない所見。CPSの初期1〜2時間で改善しない重症例という目安を参考にするが、悪化時はその時間まで待たない。当院で行わない静注追加治療のために搬送を遅らせない。
根拠:CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) / RCH:急性喘息(海外指針) - 退院時の薬と再診は何を決める?
- 発作止めの使用法・再受診条件を文書にし、家族に実演してもらう。普段の予防薬と今回の短期薬を分け、自己判断の吸入ステロイド倍量化は指示しない。救急受診を長期管理見直しの機会とし、かかりつけへ経過を伝えて再診を設定する。頻回受診、過去のICU歴、残る症状があれば早める。
根拠:CPS:小児喘息急性増悪(海外指針) / RCH:急性喘息(海外指針)
- 通常量の全身性ステロイドで効かない最重症例は?
- 大発作・呼吸不全ではJPGL2017が通常量より増量を許容している。上級医判断で検討する。
- 硫酸マグネシウムは使う?
- 当院では使わない。重症・治療抵抗例は上位施設へ送る(院内方針院内)。
- 喘鳴なら全部喘息発作として治療していい?
- 喘息の診断が未確定な急な喘鳴では、気道異物・アナフィラキシー・RSウイルスの鑑別を治療と同時に進める。
- 反応が「不良」のときは?
- 自家用車を待たず救急車(119番)を要請する。
↑ このページの入口へ10家族への説明
座らせて落ち着かせ、処方されている発作止めを指示どおり使ってください。15から30分見て、良くならない・また苦しくなるときは早めに連絡。ゼーゼーが急に静かになったのに苦しそうなときは危険です。