12-15導尿・カテーテル採尿
培養に使える尿を、抗菌薬より先に採る
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-27
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次7項目
1ポイント
- やる理由はひとつ。培養に使えるのはカテーテル尿・中間尿だけ。パック尿はコンタミネーションが多く培養診断には用いない。
- 抗菌薬より先に採る。投与後は多くの薬剤が速やかに尿を無菌化し、UTIの確定診断が困難になる。
- パック尿は捨てる検査ではない。定性検査には使える。陽性ならカテーテル尿で再確認してから治療判断。
- 膀胱穿刺は本邦では一般的でない。通常は推奨されず、カテーテル法が困難・不適な例で例外的に選択される。
- 導尿は採るためだけではない。尿閉の解除という治療目的もある。
判断の流れ
拡大して見る ↗2検査
- 尿閉の解除が目的なら、まず膀胱の緊満を視診・触診・叩打(濁音)で確認する(当直帯にエコーなし)
- 尿閉の原因を考える:包茎・亀頭包皮炎、便秘による圧迫、神経因性膀胱、薬剤(抗コリン薬)、外傷、腫瘤
3手順(当院の型として)
- 本当にカテーテル尿が要るかを決める。定性だけならパック尿でよい
- 保護者に説明(目的・侵襲・所要時間)。同席するかを聞く
- 痛みと不安を減らす(体位・保定の人数・声かけ・ショ糖など)。保定は最小限にとどめ、可能な限り家族の同席・タッチングを許可する
- 仰臥位で両下肢を十分に外転させた蛙足肢位(frog-leg position)をとらせる。外陰部を清拭する(尿道口を2〜3回)。男児は包皮を無理に翻転しない
- 外尿道口(粘膜)の消毒にクロルヘキシジンは使わない(粘膜への使用でショックの報告があり国内では使用できない)。粘膜にはポビドンヨード・ベンザルコニウム・ベンゼトニウムなどが用いられる。院内の採用薬は未確定
- ネラトンカテーテルまたは栄養チューブを使う(バルーン付きのフォーリー型は使わない)。号数は当院に在庫のある号数から選ぶ(国内の成書に年齢別の号数表はなく、参考値として4〜6Fr程度=排尿時膀胱尿管造影の項の目安がある)。男児は女児で使うものよりやや細めを選ぶ
- カテーテル先端にキシロカインゼリーをつける(男児は多めに)。女児は大陰唇を広げて尿道口を確認し、先端が入ったら数cmは一気に、その後はゆっくり進める。男児は陰茎をまっすぐ上方に引き上げながら垂直に挿入し、尿道括約筋部で抵抗を感じても焦らず軽い圧をかけたまま待つ
- 挿入長は数値で決めない。尿の流出が見られたら、それ以上は進めず止める
- 最初に出た尿は少量廃棄し、それ以外は廃棄しない
- 必要量を採ったら速やかに抜去する(採尿目的なら留置しない)
- 定性は当直帯で判定できる。沈渣・培養は当直帯では検査室に提出できないため、抗菌薬投与前に採取した検体を保管し翌朝提出する
- 採取時刻・採取法・抗菌薬の有無をカルテに記録する
- 施行後の排尿・血尿・発熱を確認する
やってはいけない・落とし穴
- パック尿の定性陽性だけで抗菌薬を始めてしまう
- 尿道損傷を疑う外傷(会陰部血腫・外尿道口の出血)に無理に挿入する
- 尿道の閉塞性病変があるのにカテーテル法を無理に進める(困難・不適)
- 陰唇癒合で外尿道口の位置が確認できないことがある
- 包茎で外尿道口が確認できないのに用手的に翻転しすぎる
- 好中球減少・免疫抑制中の児に、必要性を再検討せず導尿する(粘膜損傷から菌血症になりうる)
- 処置中に蒼白・徐脈が出ても続行する(迷走神経反射。仰臥位にして中断する)
4帰宅・入院の目安
- 搬送・紹介尿道損傷を疑う外傷(泌尿器科)、カテーテルが入らない・抵抗が強い(無理をせず泌尿器科へ相談)、カテーテルが抜けない(膀胱内遺残・結節形成の疑い。無理に引かない。泌尿器科へ)、膀胱穿刺が必要な例、尿閉が導尿で解除できない、反復する尿路感染・腎盂腎炎の既往(尿路系を評価できる施設へ紹介)
5Q&A
- 採尿バッグ(パック尿)は使い道がない?
- スクリーニング目的の定性検査には使える。陽性ならカテーテル尿で再確認してから治療判断をする。
- 抗菌薬をすぐ入れたいときは採尿を後回しにしてよい?
- だめ。ill-appearingで即時投与が必要な場合でも、投与前にカテーテル尿を確保してから投与する。
- 尿閉のときはどれだけ排出してよい?
- 明確な数値上限は決めておらず、ゆっくり排出しながらバイタル(血圧等)を観察する。
6家族への説明
おむつに貼る袋で採ったおしっこは、皮膚のばい菌が混じりやすいため、ばい菌の種類を調べる検査(培養)には使えません。そこで、細い柔らかい管をおしっこの出口から膀胱まで入れて、きれいなおしっこを直接採らせていただきます。時間は短く、管はすぐに抜きます。痛みや不快感はありますが、ここで正しく採らないと、本当に必要な抗菌薬なのか、どの薬が効くのかが分からなくなります。お薬(抗菌薬)を始める前に採る必要があるので、順番としてはこちらが先になります。処置のあとに血が混じる、おしっこが出ない、熱が出るようなことがあれば教えてください。
詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。
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