3-11嵌頓鼠径ヘルニア
鼠径部の腫瘤・整復不能・精巣捻転との鑑別
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
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1ポイント
- 不機嫌が止まらない乳児では、おむつを開けて鼠径部と陰嚢を診る。腹部だけ診ていると落ちる。
- 待機手術または手術なしで嵌頓する確率は全小児例で7%、早産児で11%。新生児・乳児期早期がリスクの山。
- 疼痛が軽微で嘔気だけのこともある。派手な痛みを待たない。
- 反復する嵌頓と、そのたびの整復操作そのものが精巣壊死のリスクになりうる。「戻せたから様子見」で終わらせず、その場で小児外科へ紹介する(院内方針院内)。
- 当院では用手整復を試みず、疑った時点で外科のある施設へ搬送する。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 突然発症の陰嚢痛(鼠径部腫瘤を伴わないこともある)→挙筋反射消失の有無・高位/横位・持続する激しい疼痛。当直帯は超音波が無く身体所見で判断する→精巣捻転(発症6〜8時間以内が勝負。疑わしければ画像を待たず緊急搬送)
- 無痛性で緩徐に増大する鼠径部腫脹→圧痛を伴わない→陰嚢水腫・精索水瘤
- 鼠径部の腫脹・発赤→先行感染→鼠径リンパ節炎
- 非還納性の腫瘤→画像検査が必要になることがある→Nuck管嚢腫・精巣腫瘤
- 腹痛・不機嫌→鼠径部を診ているかどうかで決まる→便秘
↑ このページの入口へ3計算・スコア
スコア
TWIST score(超音波なしで精巣捻転を層別化)
↑ このページの入口へ4検査
- 診断は基本的に病歴と身体所見。還納可能な膨隆にルーチンの画像検査は推奨されない
- 膨隆がはっきりしない場合は超音波が第一選択だが当直帯は当院で当てられないため、はっきりしないまま疑うなら小児外科に相談する
- 精巣捻転の鑑別も同じ理由でカラードプラを使えない。身体所見とTWIST scoreで判断し、疑わしければ画像を待たず緊急搬送する
↑ このページの入口へ5帰宅・入院の目安
- 搬送・紹介腹膜刺激症状・ショック・皮膚変色(整復を試みず緊急搬送)、整復不能、整復できた場合も反復嵌頓・反復整復は精巣壊死リスクのため、その場(当院受診時)で小児外科へ紹介する(院内方針院内。後日の外来予約で済ませない)
↑ このページの入口へ6診療中の疑問と回答
- 鼠径部の腫れが硬いが痛みは弱い。外来予約でよい?
- 乳児では強い痛みを訴えないことがある。戻らない腫瘤、嘔吐、腹部膨満、皮膚変色と全身状態を確認し、嵌頓を疑えば緊急外科評価へつなぐ。当院では用手整復を試みず搬送する方針で、痛みの強さだけを待機の理由にしない。
根拠:RCH Acute scrotal pain or swelling - 超音波を撮ってから搬送を決める?
- 嵌頓や精巣捻転が疑わしければ診断画像のために外科評価を遅らせない。絶食と鎮痛、必要な補液を行い、受入先へ発症時刻、嘔吐、皮膚色、循環を伝える。院内で検査ができないことを理由に翌日へ延期しない。
根拠:RCH Acute scrotal pain or swelling - 移動中に腫れが戻ったら受診を中止できる?
- 自然に戻ったようでも嵌頓後の損傷や再発があり得る。疼痛・嘔吐が残るかを評価し、外科への相談を継続する。当院の方針では整復後もその場で小児外科へ紹介し、反復する腫脹を家庭だけで戻し続けさせない。
根拠:RCH Acute scrotal pain or swelling
- 用手整復は当院で試みる?
- 試みない。疑った時点で外科のある施設へ搬送する。
- 整復できたら終わり?
- 終わらない。反復嵌頓・反復整復は精巣壊死のリスクになるため、その場(当院受診時)で小児外科へ紹介する(院内方針院内)。後日の外来予約で済ませない。
- 痛みが軽ければ様子を見ていい?
- 見ない。疼痛が軽微で嘔気だけのこともある。派手な痛みを待たない。
- 精巣捻転との鑑別は?当院に超音波は無い
- 身体所見(挙筋反射消失の有無・高位/横位・持続する激しい疼痛)とTWIST scoreで判断する。疑わしければ画像を待たず緊急搬送する。
↑ このページの入口へ8家族への説明
おなかの中の腸などが、鼠径部(足の付け根)の通り道にはまり込んで戻らなくなっている状態です。はまったままだと血が通わなくなるので、早く戻す必要があります。戻せた場合でも、繰り返すと危ないので、手術のできる病院で相談していただきます。当院では手術ができません。