1-20川崎病
6主要症状のカウント・冠動脈評価・IVIG
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
川崎病疑いの初期評価・専門連携の診療パスを開く
このページの目次10項目
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1ポイント
- 5日待たずに疑う。診断の手引き改訂第6版で主要症状「発熱」の日数条件は削除された。実臨床では発症4病日以前に治療開始する例が約35%に達している。
- 当直帯に熟練者による心エコー評価はできない。主要症状の経過を記録し、冠動脈・心機能評価が可能な専門施設へ相談する。
- 不全型(iKD)は特に乳児で見逃し厳禁。低月齢乳児は症状が揃いにくい一方、冠動脈病変(CAL)リスクは高い。
- 参考条項2「危急度が高い所見」(①心筋炎 ②血圧低下〈ショック〉③麻痺性イレウス ④意識障害)は冠動脈病変の有無にかかわらず急性期死亡もあり得る重症型。
- 疑った時点で速やかに専門施設(小児循環器)へ紹介する。当院でのIVIG投与は行わない。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 発熱+皮疹+眼球充血→アデノウイルス感染症・溶連菌感染症(猩紅熱・毒素性ショック症候群)・麻疹・薬剤性発疹・全身型JIA・MIS-Cでも起こりうる→「典型的な感染症に見える」で川崎病を早期に除外しない
- ショック(血圧低下)・意識障害・心筋炎・麻痺性イレウス→参考条項2「危急度が高い所見」4項目→重症型(冠動脈病変の有無にかかわらず急性期死亡もあり得る)
- 頸部リンパ節腫脹が初発症状→3歳以上では約90%に見られる→川崎病を鑑別に残す(片側性・急速増大で外科的処置を検討される例もある)
↑ このページの入口へ3診断パターン(改訂第6版)
| a(定型・確定) | 6主要症状中5つ以上 | 定型として確定 |
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| b(定型・確定) | 4主要症状+冠動脈病変あり | 定型として確定 |
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| c(不全型・確定) | 3主要症状+冠動脈病変あり | 不全型として確定 |
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| d(不全型を要検討) | 3〜4主要症状+冠動脈病変なし | 参考条項1を確認したうえで川崎病が最も考えられれば不全型と診断 |
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| e(十分な鑑別が必要) | 2主要症状以下 | 十分な鑑別診断を行ったうえで不全型の可能性を検討 |
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↑ このページの入口へ4計算・スコア
スコア
Egami(江上)スコア(川崎病・IVIG不応予測)
スコア
Sano(佐野)スコア(川崎病・IVIG不応予測)
スコア
小林スコア(川崎病・IVIG不応予測)
2020年日本ガイドライン準拠。初回IVIG前の値を用いる不応予測。川崎病の診断や治療の自動選択には使わない。
↑ このページの入口へ5検査
- 血算・血小板。好中球分画は夜間不可で、未測定を陰性としてスコアを埋めない
- CRP、AST/ALT、総ビリルビン、血清アルブミン、血清Na(低Na血症は不全型診断・重症度評価の参考所見)
- 赤沈は夜間不可。結果を待つために専門相談を遅らせない
- 尿検査(無菌性膿尿)は夜間は定性のみ。沈渣は翌朝で、無菌性膿尿の判定は日勤帯待ち
- 心エコー(冠動脈評価)・心電図。初診時に異常がなくても否定材料にはならない
- 冠動脈病変(CAL)の定義:内径のZスコア+2.5以上、または実測値で5歳未満3.0mm以上・5歳以上4.0mm以上
↑ このページの入口へ6対応の注意
避けること・注意:治療自体は紹介先で行う(当院でIVIG投与は行わない)。紹介先への申し送り・待機中の参考:ステロイド単独(IVIGを伴わない)での急性期治療は推奨されない。高リスク例へのアスピリン単独の初期治療は避ける。アスピリン投与中のNSAIDs(イブプロフェン等)併用は避ける(抗血小板作用を減弱)。IVIG後の注射の生ワクチン(MR・水痘・おたふく等)は製剤・総量と接種するワクチンを確認して延期する。ベニロン-Iの大量療法後は原則6か月以上、麻疹感染リスクが低い場合の麻疹ワクチンは11か月以上が電子添文の目安。接種担当医が再開日を決定する。詳細は川崎病の診療パスを参照。
↑ このページの入口へ7紹介・入院の閾値
- 入院ショック様所見・心筋炎疑い・MAS疑いは救急対応を優先し、搬送を並行して進める
- 搬送・紹介川崎病を疑った時点(定型・不全型を問わず)で速やかに専門施設(小児循環器)へ紹介・搬送する
↑ このページの入口へ8診療中の疑問と回答
- 発熱の日数が短く、全症状がそろわない。再診まで待てる?
- 現在ある所見だけでなく、既に消えた発疹・結膜充血・四肢変化も確認する。乳児は不全型で診断が難しく、日数や症状の不足だけで除外しない。当院では疑った時点で専門施設へ相談し、ショックや心筋炎所見があれば搬送を急ぐ。
根拠:RCH Kawasaki disease:不全型・治療反応 - 初回心エコーが正常なら川崎病の治療は不要?
- 冠動脈変化が病初期に見えないことはある。臨床症状と炎症所見で評価を続け、必要な再エコーを計画する。初回の正常所見だけで否定せず、治療の開始・強化と循環器フォローは専門施設で判断する。
根拠:RCH Kawasaki disease:不全型・治療反応 - IVIG後に熱が戻った。すぐもう一度投与する?
- 再発熱の時刻、初回投与終了からの経過、全身状態を確認し、不応と別の感染を評価する。冠動脈・心機能と炎症の推移により追加治療を選ぶため、既治療内容を専門主治医へ伝える。当院で自己完結して追加投与せず、ショックなら救急対応する。
根拠:RCH Kawasaki disease:不全型・治療反応
- 5日待たないと診断できない?
- 待たない。診断の手引き改訂第6版で主要症状「発熱」の日数条件は削除された。実臨床では発症4病日以前に治療開始する例が約35%に達している。
- 心エコーが正常なら川崎病は否定的?
- 否定材料にならない。初診時のCAL陰性は川崎病を否定する根拠にならない。発症後1〜2週での再評価が前提。
- 治療後の冠動脈瘤はどうなる?
- 病変が縮小しても血管のリスクがすべて消えたとは限らない。最大径/Zスコアと経時評価に応じ、専門主治医がフォローと抗血栓療法を決める。
- いつから登園・登校していい?
- 冠動脈病変がなくても、全身状態が安定し解熱後1週間程度経過し、主治医が可としてから再開する(院内方針院内)。自己判断で早めない。
↑ このページの入口へ10家族への説明
早めに気づいて入院で治療すれば、多くのお子さんは回復します。顔色が悪い、胸やお腹が強い、熱がぶり返すときはすぐ連絡してください。