12-2おなかの超音波検査(エコー)
腸重積・虫垂炎・肥厚性幽門狭窄の見分け方
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-28
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次6項目
1ポイント
- 腸重積は「間欠的な不機嫌・啼泣」が最初のサイン。超音波はtarget sign/pseudokidney signで感度・特異度ともに100%近く、疑ったら躊躇せず施行する。
- 虫垂炎は径>6mmかつ非圧縮性が中核所見(糞石・血流増加・周囲脂肪織の変化は支持所見)。
- 肥厚性幽門狭窄は生後2〜8週(ピーク3〜6週)の非胆汁性・射乳様嘔吐、筋層厚3〜4mm以上・幽門管長14〜17mm以上が典型。手術は緊急ではなく、まず輸液・電解質補正を優先する。
- 乳児の嘔吐が胆汁性(緑〜黄色)なら、幽門狭窄の鑑別より先に腸回転異常症・中腸軸捻転を最優先で除外する。
- 当院の当直帯に、この検査は無い。装置ではなく当直帯に読める人がいないため。陰性所見を否定の根拠に使ってはいけない。
2鑑別のながれ
- 間欠的腹痛・不機嫌、血便、嘔吐のいずれか→target sign(短軸)とpseudokidney sign(長軸)の両方を確認(感度96〜100%・特異度88〜100%)→腸重積
- 右下腹部痛・圧痛・腹膜刺激症状→径>6mm・非圧縮性が中核所見。糞石・血流増加は支持所見→急性虫垂炎
- 生後2〜8週の非胆汁性・射乳様嘔吐→幽門筋層厚3〜4mm以上・幽門管長14〜17mm以上→肥厚性幽門狭窄症
3検査
- 当院当直帯にこの検査は無い。エコーが要る急性腹症は、エコーを待つのではなく送る
- 虫垂炎で超音波の判断に迷う・技術的に困難(肥満・年少児)・穿孔や膿瘍の範囲同定が要る場合でも、当直帯にCTは無い(院内方針院内)。送り先の検査に回す
- 肥厚性幽門狭窄の判定に迷う場合は複数断面での再測定・時間をおいた再検査を検討する
- 腸重積の非観血的整復は当直帯では行わない(送る)。送り先はバリウムでなく水溶性造影剤か空気を使う
4帰宅・入院の目安
- 入院肥厚性幽門狭窄症を疑う場合は送らず、入院として輸液・電解質補正を開始し、状態が安定してから小児外科へ紹介する(緊急搬送は急がない、院内方針院内)
- 搬送・紹介腸重積・虫垂炎・卵巣捻転・精巣捻転を疑うが当直帯にエコーが無い場合は、確定を待たずに送る
5Q&A
- エコーが陰性なら虫垂炎は否定できる?
- できない。正常虫垂の描出は容易ではなく、疑いが強ければ経過観察・再評価する。
- 血便が無ければ腸重積は否定できる?
- できない。血便は遅い所見で、発症12時間以内に自然排便で血便を認めることはまれ。
- 触診でオリーブ様腫瘤が触れなければ幽門狭窄は否定できる?
- できない。触知率は経験によって大きく変動する。触れなくても超音波基準を優先して判断する。
6家族への説明
ご自宅に戻られた後、次のような様子が見られたらすぐに受診してください:ぐったりして反応が悪い、嘔吐に緑〜黄色の色がつく、血の混じった便が増える、お腹をひどく痛がる、顔色が悪い。
詳しい根拠・出典は 詳細リファレンス へ
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