3-3急性虫垂炎
右下腹部痛・PAS/Alvaradoスコア・穿孔
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
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このページの目次10項目
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1ポイント
- 右下腹部痛から始まるとは限らない。年少児は「いつもより元気がない・ぐずる・食欲が落ちる」で始まる。
- 筋性防御は感度0.62・特異度0.63・陽性尤度比1.6。無いことは否定の根拠にならない。
- 専門施設で単純性(非穿孔性)と評価された症例の手術待機と、画像不能な当院での疑い例の観察を区別する。腹膜炎やショックを待って連絡しない。
- 幼児期の穿孔率は学童期の約2倍(本邦文献で26.7〜76.5%)。年少児ほど早く壊れる。
- 画像不能な当院では早期に外科へ相談する。院内観察は、受入外科と方針を共有し、数時間おきの再診察と悪化時の即時搬送を確保できる場合に限る。確保できなければ紹介する。
- 糞石を認めれば穿孔しやすい。虫垂内圧が上がりやすく急速に穿孔しうるため、疑いの閾値を下げる(urgent)。
年少児では典型的な右下腹部痛や筋性防御がなくても否定しない。当直帯の画像・外科対応と再評価体制は本文の院内方針に従う。RCH 小児急性腹痛を参照。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 嘔吐・下痢・腹痛→経過が虫垂炎と合うか(下痢が主役にならない)→急性胃腸炎(最大の誤診パターン)
- 先行する上気道炎、圧痛点が移動する→エコーで腫大リンパ節+正常虫垂(当直帯は撮れない)→腸間膜リンパ節炎
- 腹痛、排便間隔があく→浣腸で痛みが完全に消えるか→便秘
- 発熱、CVA叩打痛→検尿→尿路感染症・腎盂腎炎
- 腹痛を訴えるが腹部所見が乏しい→呼吸数・聴診・胸部X線→右下葉肺炎
- 女児の突然の下腹部痛+嘔吐→エコー(当直帯は撮れない)→卵巣捻転・骨盤内病変
- 年長児の間欠的腹痛→エコーで確認(当直帯は撮れない)→腸重積(年長児)
↑ このページの入口へ3虫垂炎の可能性(PAS/Alvaradoスコア)
| 低リスク | PAS/Alvarado 3点以下 | スコアだけで帰宅としない。診察が安心でき、経口摂取可能で、別の診断が妥当、翌日までの再評価と悪化時即受診を確保できる場合に限り検討する。 |
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| 中間リスク | PAS/Alvarado 4〜6点 | 画像不能な当院では早期に外科へ相談する。院内観察は、受入外科と方針を共有し、数時間おきの再診察と悪化時の即時搬送を確保できる場合に限る。確保できなければ紹介する。 |
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| 高リスク | PAS/Alvarado 7点以上 | 手術対応可能施設で画像診断(陽性的中率72%)。夜間でも紹介 |
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↑ このページの入口へ4計算・スコア
スコア
Alvarado Score
スコア
Pediatric Appendicitis Score(PAS)
↑ このページの入口へ5検査
- 超音波が第一選択(推奨度A、感度85〜92%・特異度94〜100%)だが当直帯は当院で撮れない。径>6mm・非圧縮性が中核所見。糞石・周囲脂肪織の変化・血流増加は支持所見
- CTは推奨度B。穿孔疑い・肥満・年少児など超音波が技術的に困難な時に限る。被曝リスクを考えて第一選択にしない
- CRPのカットオフは発症日数で動く(発症1日目1.5・2日目4.0・3日目10.5 mg/dL)。早期受診例の初回低値を除外に使わない
- 超音波陰性は否定ではない。年少児・肥満児で感度が落ちる。疑いが強ければ時間を置いて再検する
- 夜間に白血球分画を測定できない場合は当該項目を未評価と明記する。欠測を正常の0点として確定スコアを作らず、完成版スコアの閾値で帰宅・紹介を自動決定しない。
↑ このページの入口へ6帰宅・入院の目安
- 帰宅低確率でもスコアだけで決めず、診察・摂取・妥当な別診断・確実な再評価を確認する、分画等の欠測を正常扱いしたスコアで帰宅させない
- 入院画像不能な当院では早期に外科へ相談する。院内観察は、受入外科と方針を共有し、数時間おきの再診察と悪化時の即時搬送を確保できる場合に限る。確保できなければ紹介する。
- 搬送・紹介腹膜刺激、循環不良、進行性疼痛、反復嘔吐・摂取困難は外科へ早期連絡し夜間も搬送を調整する、院内観察の条件を確保できない場合、原因不明・診断不確実の場合は早期専門評価へ、年少児は閾値を下げ、朝まで待つ判断は受入外科と共有する
↑ このページの入口へ7診療中の疑問と回答
- 炎症反応が低くても虫垂炎を疑う?
- 早期や年少児では血液所見が典型的でない。発症からの時間、移動・局在する痛み、歩行や跳躍時の痛み、食欲と反復診察を重視する。低い検査値や未完成スコアだけで除外せず、疑いがあれば画像評価可能な外科へ相談する。
根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価 - 抗菌薬だけの治療を外来で試してよい?
- 非手術治療は単純性と評価された選択例に専門施設で検討する方法であり、画像がない当院の疑い例にそのまま適用しない。穿孔・糞石・膿瘍などを含む評価が必要。絶食、鎮痛、補液を行い、外科と治療方針と搬送時期を共有する。
根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価 - 痛みが少し改善したら朝まで待てる?
- 改善だけで穿孔や進行を除外しない。腹膜刺激、発熱、嘔吐、循環と経過を再評価する。当直の観察は受入外科と共有した再診察・即時搬送の条件が整う場合に限り、年少児や進行性疼痛は早期搬送を優先する。
根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価
- エコーが撮れないのに虫垂炎はどう診る?
- 画像不能な当院では早期に外科へ相談する。院内観察は、受入外科と方針を共有し、数時間おきの再診察と悪化時の即時搬送を確保できる場合に限る。確保できなければ紹介する。 夜間に白血球分画を測定できない場合は当該項目を未評価と明記する。欠測を正常の0点として確定スコアを作らず、完成版スコアの閾値で帰宅・紹介を自動決定しない。
- 単純性虫垂炎は今夜手術が必要?
- 専門施設で非穿孔性と評価された症例は準緊急手術が選択される場合がある。画像不能の当院での疑い例を、全身状態が良いだけで朝まで安全としない。画像不能な当院では早期に外科へ相談する。院内観察は、受入外科と方針を共有し、数時間おきの再診察と悪化時の即時搬送を確保できる場合に限る。確保できなければ紹介する。
- 胃腸炎と決めていい?
- 慎重に。虫垂炎は胃腸炎と誤診されて進行する最大のパターン。下痢が主役でなければ疑い直す。
- 送ると決めたら何を伝える?
- ①絶食・ルート確保、②単純性か穿孔疑いかを明示、③スコア・発症からの時間・CRPと当院で画像を撮っていないことを明示、④家族に検査前の時点で当院では手術ができないことを伝える。
↑ このページの入口へ9家族への説明
盲腸の先にある虫垂という部分の炎症です。お子さんの場合、大人のように『右下が痛い』とはっきり言えないことが多く、元気がない・食べたがらないだけのこともあります。当院では手術ができないので、手術が必要と判断したら、できる病院にお願いします。今日はいったん帰るとしても、痛みが強くなる・熱が上がる・歩くのもつらくなるようなら、時間を待たずに来てください。