3-5消化管異物(ボタン電池・磁石・鋭利物)
ボタン電池・磁石・鋭利物・食道停留
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 呼吸困難・喘鳴・話せない・チアノーゼがあれば気道異物として対応する。消化管異物より緊急。
- X線は頸部から骨盤まで撮る。胸部だけ撮って頸部食道のボタン電池を見逃した実例が報告されている。
- 目撃がなくても疑う。2〜3歳以下の突然の嘔吐や流涎を見たらボタン電池誤飲を疑う。
- 食道停留のボタン電池は待てない。誤飲から極めて短時間(30分から1時間)にでも消化管の壁に穴が開くことがある。
- なにも飲ませない。ボタン電池・複数の磁石は最高危険度に分類され「なにも飲ませない」「すぐに受診」が原則。ハチミツ投与は日本の一次情報では未確認。
- 胃を越えて腸に達すれば危険は大きく下がる(72時間以内に85.4%が自然排泄)。食道か、胃か、腸かで緊急度がまったく違う。
2何を飲んだかで分ける危険度
| 最高 | ボタン電池(特に直径20mm以上のリチウム電池)が食道に | 持てない。すぐ内視鏡のできる施設へ |
|---|---|---|
| 高 | 磁石が複数または個数不明/鋭利物/長さ5cm以上(1歳未満は3cm以上) | 持てない |
| 中 | ボタン電池が胃・腸に | 全例、緊急内視鏡ができる施設へ紹介する(院内方針院内。当院に緊急内視鏡の受け入れ体制がないため、経過観察はしない) |
| 中 | 磁石が1個と確認できる/コイン | 摘出の要否は受け入れ先と相談。自然排泄を期待できる場合もある |
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3検査
- 必ず頸部を撮影範囲に含める(頸部〜骨盤)。誤飲に気づかず胸部X線のみを撮って発見が遅れた実例がある
- ボタン電池とコインの鑑別は正面像の二重リング様陰影・側面像の段差が手がかりとされるが、複数枚重なったコインも二重リング様に見えることがある(国内一次資料での明記は未確認)
4対応の注意
避けること・注意:吐かせない・水分も飲ませない。停留部位(食道・胃・腸)が確認できるまでは、異物の種類を問わず徹底する。
↑ このページの入口へ5帰宅・入院の目安
- 搬送・紹介食道のボタン電池は検査を追加せずに送る、胃・腸のボタン電池も、全例、緊急内視鏡ができる施設へ紹介する(院内方針院内。当院に受け入れ体制がなく、経過観察はしない)、磁石が複数・個数不明、鋭利物、長さ5cm以上(1歳未満3cm以上)も摘出対象、送るときは異物の種類・大きさ・個数・誤飲時刻・現在の停留部位(X線所見)をセットで伝える
6診療中の疑問と回答
- X線で磁石が1個に見えれば自然排泄を待てる?
- 複数の磁石が重なって1個に見える可能性があるため、個数と別の金属片の誤飲を確認する。複数磁石や磁石と金属の組合せは腸壁を挟んで障害を起こし得る。無症状でも高リスクとして専門科へ相談し、一般の小さな異物と同じ帰宅基準を使わない。
根拠:RCH 消化管異物 - 水で膨らむ玩具を飲んだが、X線陰性なら安心?
- 吸水性ポリマーなど拡張する異物は高リスクで、通常のX線で見えないことがある。現物、包装、飲んだ時刻と数量を確認し、陰性画像だけで除外しない。嘔吐、腹痛、腹満があれば閉塞を疑い、早期に消化器・外科へ相談する。
根拠:RCH 消化管異物 - コインと思った丸い異物。どこまで確認する?
- 食道の円形異物ではボタン電池を必ず鑑別し、画像の二重輪郭などを確認する。電池なら短時間で深い障害を生じるため、無症状でも緊急摘出できる施設へ連絡する。当院は院内胃以遠でも電池を観察せず紹介する方針で、経口摂取は再開せず受入先と相談する。
根拠:RCH 消化管異物
- 胃・腸に達した無症状のボタン電池はどうする?
- 全例、緊急内視鏡ができる施設へ紹介する(院内方針院内。当院に受け入れ体制がないため、当院での経過観察はしない)。摘出のタイミングは受け入れ先と相談する。
- ハチミツを飲ませていい?
- 飲ませない。日本の一次情報にハチミツ投与の記載はなく、公式の応急処置資料は『なにも飲ませない』としている。
- 吐かせていい?
- 吐かせない。吐物が気管に入る危険がある。
8家族への説明
飲み込んだものによって、急いで取り出す必要があるものと、様子を見てよいものがあります。ボタン電池と磁石は、急いで取り出す側です。当院では取り出す処置ができないので、できる病院にお願いします。何も飲ませず、吐かせないでください。同じ製品が家にあれば、それも一緒に持って行ってください。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。