3-5 消化管異物(ボタン電池・磁石・鋭利物)

緊急

3-5消化管異物(ボタン電池・磁石・鋭利物)

病態・根拠
このページの目次7項目

1異物の材質が緊急度を決める

多くの小さな鈍的異物は自然排泄するが、ボタン電池、複数磁石または磁石と金属、鋭利物、吸水して膨張する物は別に扱う。食道の電池は電流により局所でアルカリを生じ、初めは無症状でも短時間で重い傷害を起こす。磁石は別々の腸管を挟んで圧迫し、穿孔や瘻孔を起こし得る。[1][2]

流涎、嚥下痛、飲食拒否、胸痛は食道停留を、咳・喘鳴・呼吸困難は気道病変や圧迫を疑う手掛かりになる。目撃がなくてもこれらの症状では電池誤飲を鑑別に入れる。腹痛、胆汁性嘔吐、発熱、消化管出血は通過を待たず合併症を評価する。[1][2]

2検査の限界と次の行動

高リスク、種類不明、症状ありでは位置と個数の確認が必要になる。小児の撮影は頸部・胸部・腹部を含める必要があり、硬貨らしい円形影でも正面の二重輪郭や側面の段差を確認する。側面像の条件によって段差が見えない場合があるため、一つの特徴がないだけで電池を否定しない。[1][2]

無症状の低リスク異物を観察する方針は、材質・大きさ・単数であることが確かで、診察と飲水に問題がない場合に限る。放射線で見えにくい異物もあり、単純X線陰性だけで症状を説明せず帰宅としない。磁石が一つの影に見えても重なりがないか専門科と確認する。[1]

当院には緊急内視鏡や外科がないため、高リスク異物では画像と搬送調整を並行する。吐かせない。飲食で押し流そうとせず、食道電池疑いでは原則絶飲食として受入先と相談する。海外のハチミツ投与には年齢・経過時間・嚥下可能などの条件があり、摘出を遅らせる代替処置にはしない。電池摘出後も遅発性出血などの監視を専門施設で続ける。[1][2](当院運用)

3出典

  1. 海外・RCH:Foreign body ingestion(本文確認:2026-10-23)
  2. 海外・National Capital Poison Center:Button battery ingestion triage and treatment guideline(本文確認:2026-10-23)

海外資料の薬剤・処置は国内の承認・院内採用を意味しない。本文の施設条件を前提に適用する。

4臨床医が迷う場面

5X線で磁石が1個に見えれば自然排泄を待てる?

複数の磁石が重なって1個に見える可能性があるため、個数と別の金属片の誤飲を確認する。複数磁石や磁石と金属の組合せは腸壁を挟んで障害を起こし得る。無症状でも高リスクとして専門科へ相談し、一般の小さな異物と同じ帰宅基準を使わない。

根拠:RCH 消化管異物

6水で膨らむ玩具を飲んだが、X線陰性なら安心?

吸水性ポリマーなど拡張する異物は高リスクで、通常のX線で見えないことがある。現物、包装、飲んだ時刻と数量を確認し、陰性画像だけで除外しない。嘔吐、腹痛、腹満があれば閉塞を疑い、早期に消化器・外科へ相談する。

根拠:RCH 消化管異物

7コインと思った丸い異物。どこまで確認する?

食道の円形異物ではボタン電池を必ず鑑別し、画像の二重輪郭などを確認する。電池なら短時間で深い障害を生じるため、無症状でも緊急摘出できる施設へ連絡する。当院は胃以遠でも電池を観察せず紹介する方針で、経口摂取は再開せず受入先と相談する。

根拠:RCH 消化管異物

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