4-15小児の心不全・心筋症を疑うとき
しんふぜん・心筋症・哺乳時発汗
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 哺乳や遊びの発汗、呼吸の苦しさ、体重増加不良、易疲労、尿量減少、冷たい皮膚やむくみを確認する。[1][2]
- 安静時の呼吸障害、低酸素・意識変化・末梢灌流低下:緊急蘇生評価と循環器・集中治療へ連絡する。[1][2]
- ECG・SpO2・血圧・灌流・尿量を監視し、低酸素や呼吸障害には病態に応じた酸素・呼吸支持を開始する。体液量を反復評価し、一律の大量輸液を反復しない。うっ血/体液過剰は静注利尿薬、低心拍出・ショックは強心/血管作動薬の早期導入を循環器・PICUと判断する。エコーや搬送待ちで支持療法を遅らせない。短絡性心疾患等は病変別の循環評価を要する。[1][4]
2鑑別のながれ
- 哺乳・呼吸の問題→発汗、体重増加不良、尿量低下を伴う→単純な呼吸器感染だけでなく心不全を評価する。[1][2]
- 運動で疲れる・息切れ→胸痛や動悸、成長や診察所見も確認→心筋疾患・不整脈等も含め循環器評価へつなぐ。[1][3]
3検査
- 病歴と診察に加え、ECG・心エコー・胸部画像・血液尿検査を病態に応じ選ぶ。[1]
- 症状は他疾患とも似るため、哺乳量・成長・呼吸・全身所見を組み合わせる。[1]
4対応の注意
避けること・注意:成人用心不全治療の用量や輸液方針を小児へ一律に転用しない。[1][3]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- ECG・SpO2・血圧・灌流・尿量を監視し、低酸素や呼吸障害には病態に応じた酸素・呼吸支持を開始する。体液量を反復評価し、一律の大量輸液を反復しない。うっ血/体液過剰は静注利尿薬、低心拍出・ショックは強心/血管作動薬の早期導入を循環器・PICUと判断する。エコーや搬送待ちで支持療法を遅らせない。短絡性心疾患等は病変別の循環評価を要する。[1][4]
- 普段の状態と急な変化を家族・かかりつけ担当者から確認し、悪化時の連絡を早める。[2]
フォローと再評価
- 家庭では普段の呼吸・摂取・活動・体重・尿量の変化と専門計画の連絡基準を共有する。[2]
根拠と適用範囲
- CHOP Heart Failure in Children:小児心不全の症状・原因・検査と専門治療の説明。
- CHOP Signs and Symptoms of Heart Failure:既知心不全児の家族向け悪化徴候。
- 日本小児科学会 小児科医の到達目標 第8版:領域15に先天性心疾患・不整脈・心筋症・心不全。一般小児科の対象範囲。
- ISHLT 2025 小児心不全ガイドライン:急性心不全の呼吸支持、体液評価、利尿・強心/血管作動薬。心筋機能障害が主対象で、左右短絡による心不全は対象外。先天性心疾患は病変別判断が必要。
6帰宅・入院の目安
- 帰宅安定した既知心不全は専門医の個別治療計画と悪化時連絡先を持って管理する。[1][2]
- 入院新たな呼吸・灌流不全や哺乳不良を認める場合は専門施設で入院を含め評価する。[1][2]
- 搬送・紹介疑い段階で小児循環器へ相談する。原因となる心筋症・CHD・不整脈を評価する。[1][3]
7診療中の疑問と回答
- 哺乳で汗をかき体重が増えない。授乳量を増やして様子を見る?
- 授乳時の頻呼吸・疲労、肝腫大、尿量、末梢灌流を確認する。心不全では摂取不足だけでなく循環負荷が問題になり、哺乳を無理に増やすだけでは解決しない。呼吸苦や灌流不良があれば入院・循環器評価を急ぎ、栄養の方法も心機能に合わせて相談する。
根拠:ISHLT 小児心不全GL2025 / RCH 重症児の初期蘇生(海外) - むくみがあるので利尿薬を増やせばよい?
- 体重変化だけでなく、呼吸、肝腫大、灌流、尿量、腎機能・電解質を確認する。うっ血と低心拍出が共存する例では利尿だけで悪化することもある。既存の処方と実服用を確認し、増量や強心薬の要否は循環器と判断する。成人の用量を流用しない。
根拠:ISHLT 小児心不全GL2025 / RCH 重症児の初期蘇生(海外) - 血圧が低く冷たい児に、通常の脱水と同じ輸液をしてよい?
- 心機能低下やうっ血が疑わしければ、一律の急速・大量輸液を繰り返さない。呼吸と灌流を監視し、初期支持療法を行いながら循環器・PICUへ直ちに相談する。酸素化だけでなく臓器灌流が目標であり、病変に応じた薬物支持と搬送を急ぐ。
根拠:ISHLT 小児心不全GL2025 / RCH 重症児の初期蘇生(海外)
8家族への説明
飲んでいると疲れる、汗が多い、息が速い、尿が減る等の変化を普段と比べてもらい、新規・悪化時には担当チームへすぐ連絡するよう説明する。[2]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。