1-11手足口病・ヘルパンギーナ(夏かぜ)
手掌・足底・口腔粘膜の水疱疹、または咽頭後壁の水疱→潰瘍
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
前の画面から引き継いだ体重です。
このページの目次10項目
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1ポイント
- 手足口病は手掌・足底・口腔粘膜(±殿部)の水疱疹、ヘルパンギーナは軟口蓋〜口蓋弓の水疱→潰瘍で四肢の皮疹を伴わない。臨床所見のみで診断できる。
- 受診理由の大半は発疹自体ではなく『痛くて飲めない』。口腔痛による摂取不良からの脱水が最も頻度の高い見逃しで、外来での脱水評価を必ず行う。
- 入眠時の一瞬のビクツキ(ミオクローヌス様体動)はEV71関連の脳幹脳炎の初期に出やすい特異的サイン。
- CVA6型は水疱が扁平で臍窩を伴い体幹・顔面にも拡大し水痘と紛らわしい。発症数週間後に爪が剥がれる(爪甲脱落症)ことがあるが自然経過で心配ない。
- 高熱の遷延(3日以上)・解熱後の再上昇は再評価対象。通常は手足口病1〜3日、ヘルパンギーナ2〜4日で解熱する。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 手掌・足底・口腔粘膜(±殿部)の水疱性発疹→2〜3mmの水疱、発熱は約1/3で38℃以下のことが多く1〜3日で解熱→手足口病(典型)
- 水疱が扁平・臍窩を伴い体幹/顔面にも拡大→水痘と紛らわしい。発症数週間後に爪が剥がれることがある→手足口病(CVA6非典型例)
- 軟口蓋〜口蓋弓の水疱→潰瘍、四肢皮疹なし→突然の高熱(38〜40℃)で発症し咽頭痛を伴う→ヘルパンギーナ
- 意識障害・嗜眠・入眠時ミオクローヌス様体動→EV71関連の脳幹脳炎の初期像→中枢神経合併症
- 頻脈・末梢循環不良、頻呼吸・チアノーゼ→心筋炎・神経原性肺水腫を疑う所見→EV71重症化
- 発熱の遷延(3〜5日以上)+眼球結膜充血・口唇口腔粘膜変化・四肢末端の変化・頸部リンパ節腫脹のいずれか→非典型・発疹先行例で紛れる→川崎病を鑑別に(症状数4つ以下でも否定しない)
↑ このページの入口へ3重症度
| 軽症 | 経口摂取可能、活気良好、発熱なし〜軽度 | 経過観察 |
|---|
| 中等症 | 口腔痛で摂取量低下しているが脱水徴候はなく活気は保たれている | 水分摂取の工夫。経口補水液を少量頻回で検討 |
|---|
| 重症 | 意識障害・けいれん・呼吸循環障害・急性弛緩性麻痺のいずれか | 精査・上位施設紹介・入院を検討 |
|---|
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↑ このページの入口へ4計算・スコア
計算
アセトアミノフェン頓用量
kg
いつ使う
発熱・疼痛のつらさ緩和目的の頓用。解熱剤は「つらさ緩和」であり治癒判定ではない(本シート正本の記載)。熱の数字を下げること自体は目的にしない。
落とし穴
- 1回上限と1日上限は別々に効く。体重26kg以上では、1回量の上限を4〜6時間ごとに4回打つと1日上限(1,500mg)を超える。上の「1日の回数」はその逆算で、数字が4未満なら間隔を空けるか1回量を下げる
- 1回500mg・1日1,500mgの上限を超えない(体重約33kg以上では体重換算より1回上限が先に当たる)
- ここに出るのは体重換算の「考え方」。個別の処方値は診察で決定し、基礎疾患・併用薬を確認する
次の一手
解熱の有無にかかわらず、水分・反応・呼吸の観察を続ける。受診判断は本シート上部のレッドフラグ表へ。
出典
カロナール(アセトアミノフェン)添付文書(PMDA): 1回10〜15mg/kg・4〜6時間以上あけて投与・1日総量60mg/kgを限度(1回500mg・1日1,500mgを超えない) 添付文書(正本で照合済み・2026-08-14リンク更新)
↑ このページの入口へ5検査
- 原則不要。臨床所見(発熱の経過+皮疹・口腔内所見の分布パターン)のみで診断できる
- レッドフラグ該当時のみ、髄液検査(髄膜炎・脳炎疑い)、血液検査(心筋逸脱酵素・炎症反応・電解質・腎機能)を選択的に行う
- レッドフラグ該当時はEV71確認目的のPCR・ウイルス分離も選択肢(結果は後日)
↑ このページの入口へ6処置・処方例
Rp. 1アセトアミノフェン
1回10〜15mg/kg、4〜6時間以上あけて。1日総量60mg/kgかつ1500mgを超えない(1回最大500mg)。アスピリン過敏喘息の既往があれば1回300mg以下に制限 内服口腔痛が強く経口摂取が落ちているときの苦痛緩和が目的。治癒判定には使わない
- シロップ(カロナールシロップ2%=20mg/mL):—〜—(10〜15mg/kg)を1回
- 細粒(カロナール細粒20%=200mg/g):—〜—(10〜15mg/kg)を1回
- 坐剤:1回 —〜— に一番近い規格・個数を選ぶ(アンヒバ/アルピニー 50・100・200mg。10kgなら100mgを1個。上限側と2規格が同距離になる体重では少ない方〈低い規格〉を選ぶ)
- 次は4〜6時間以上あける。1日の合計は — まで
- アスピリン過敏喘息の既往があれば1回300mgまでに制限する
避けること・注意:アスピリン系薬剤は用いない(ライ症候群のリスク)。口腔用局所麻酔薬(キシロカインゼリー等)の保護者・薬局判断でのセルフケア使用は避ける(乳幼児の誤嚥・過量投与、新生児のメトヘモグロビン血症のリスク)。抗菌薬・抗ウイルス薬はウイルス感染症に無効。
↑ このページの入口へ7送る/持つ
- 帰宅経口摂取が保たれ活気良好なら対症療法で経過観察
- 入院経口摂取不良による中等度以上の脱水が外来補液に反応しない、または反復する嘔吐で水分保持が困難な場合
- 搬送・紹介意識障害・けいれん・呼吸循環障害兆候・急性弛緩性麻痺疑いは上位施設(小児神経・PICU対応可能施設)へ
↑ このページの入口へ8診療中の疑問と回答
- 口が痛くて飲めない。口腔麻酔薬を処方すれば帰せる?
- まず全身状態と脱水を評価し、適切な鎮痛後に少量ずつ飲めるか確認する。乳幼児に局所麻酔薬を自己判断で反復使用させない。冷たい刺激の少ない飲食物を試しても摂れない、尿が減る、ぐったりする場合は輸液・入院の必要性を判断する。
根拠:JIHS 手足口病詳細版 / 日本小児科学会 学校等で予防すべき感染症2025 - 手足口病の発疹があるので、高熱やぼんやりも経過観察でよい?
- 意識・呼吸の異常、繰り返す嘔吐や異常な体動は通常の皮疹だけでは説明しない。中枢神経合併症や別の感染を検討し緊急評価する。低月齢の発熱も皮疹の診断で安心せず、院内の月齢別感染評価を行う。軽快後の再悪化は再診を指示する。
根拠:JIHS 手足口病詳細版 / 日本小児科学会 学校等で予防すべき感染症2025 - 水疱や爪の変化が残る間は、抗菌薬と登園制限が必要?
- 皮疹や遅れて生じる爪の変化だけに抗菌薬を使わない。登園は全身状態、発熱、口腔痛による食事への影響を基準にし、園の運用を確認する。病変をつぶさず清潔を保ち、二次感染を疑う膿・拡大する発赤・痛みがあれば再診する。
根拠:JIHS 手足口病詳細版 / 日本小児科学会 学校等で予防すべき感染症2025
- 爪が剥がれたら心配?
- 心配ない。CVA6型では発症数週間後に爪が剥がれることがあるが自然経過で、数週間で自然に生え変わる。
- 登園はいつから?
- 発疹の有無ではなく、全身状態が安定し発熱がなく口腔内病変の影響なく普段の食事がとれるかどうかで判断する。
- 脱水のサインは?
- 啼泣時涙なし、尿量減少、口唇・口腔粘膜乾燥、活気低下、体重減少。口の痛みで飲めなくなりやすいため必ず評価する。
- 生後3か月未満の発熱は?
- 手足口病・ヘルパンギーナ様の皮疹があっても安心材料にしない。生後28日以下は日齢によらず全例フル精査(血液培養・カテーテル採尿・腰椎穿刺)、生後60日以下は原則入院とする(院内方針院内)。
↑ このページの入口へ10家族への説明
手足口病・ヘルパンギーナ(夏かぜ)です。発熱は手足口病で1〜3日、ヘルパンギーナで2〜4日程度で下がり、発疹・口の中の水疱は1週間前後で軽くなります。受診の多くは発疹そのものより『痛くて飲めない』ことが理由です。冷たく刺激の少ないもの(アイス、ゼリー、麦茶など)を少しずつ試してください。ぐったりして反応が悪い、けいれんを起こした、寝入りばなに手足がビクッとなる動きを繰り返す、呼吸が速い・苦しそう、6〜8時間以上おしっこが出ていない、手足に力が入らない、高熱が3日以上続く、といった様子があればすぐにご連絡ください。CVA6というタイプでは、治ったあと数週間して爪がはがれることがありますが、心配のいらない経過です。