1-14侵襲性レンサ球菌感染症・STSS
しんしゅうせいようれんきん・STSS・劇症型溶連菌
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 発熱、筋痛・消化器症状など非特異的に始まり、皮膚所見が乏しくても局所痛が強い例を警戒する。[1][2]
- 急速に増悪する疼痛、血圧低下、皮膚壊死/出血性水疱、全身不良:壊死性軟部組織感染/敗血症を疑い、蘇生・抗菌薬と外科的感染源評価を同時に開始する。[1][2]
- 初期は原因未確定の敗血症として感染巣・耐性リスクに合う経験的抗菌薬を選び、STSS疑いでは毒素産生抑制を目的とするクリンダマイシン追加を検討する。[1]
2鑑別のながれ
- 発熱+局所痛→所見に不釣り合いな痛み、急速拡大→壊死性筋膜炎を疑い外科評価を急ぐ。[1]
- 発熱+ショック→感染巣不明/消化器症状が主体→STSS以外の細菌性敗血症、黄色ブドウ球菌TSS等も同時に評価する。[1][2]
3検査
- 血液培養、感染巣の検体と臓器障害の評価を行うが、培養の確定や診断基準の充足を待って初期治療を遅らせない。[1][2]
4対応の注意
避けること・注意:外用薬や咽頭炎の経口薬だけで対応しない。検査値が揃うまで外科相談を待たない。[1][2]。
↑ このページの入口へ5初期対応と継続管理
初期対応
- 初期は原因未確定の敗血症として感染巣・耐性リスクに合う経験的抗菌薬を選び、STSS疑いでは毒素産生抑制を目的とするクリンダマイシン追加を検討する。[1]
- 起因レンサ球菌確認後はペニシリン系とクリンダマイシン併用を基本に感受性を確認し、外科的デブリードマンの必要性を直ちに評価する。[1][2]
- IVIGは重症例で検討されるが、有効性確立とはしない。[2]
フォローと再評価
- 臓器機能・循環と感染巣を頻回に再評価し、培養/感受性と反応に基づき抗菌薬と外科方針を見直す。[1][2]
根拠と適用範囲
- JIHS DCC-IRS 劇症型溶血性レンサ球菌感染症:国内公的マニュアル、成人用量は転記せず病態/初期方針のみ
- CDC Clinical Guidance for Streptococcal Toxic Shock Syndrome:2025年、GAS定義。小児と成人の死亡率を混同しない
6帰宅・入院の目安
- 帰宅STSS疑いの帰宅管理は対象外。[2]
- 入院入院が必要で、ショック/臓器障害では集中治療を行う。[2]
- 搬送・紹介小児集中治療・感染症・外科へ同時に相談し、感染源除去と全身管理を連携する。[1][2]
7診療中の疑問と回答
- 皮膚の赤みは小さいが痛がり方が強い。翌日まで見られる?
- 見た目に不釣り合いな疼痛、急速な拡大、発熱・頻脈は壊死性軟部組織感染の手掛かりとなる。皮膚変化や低血圧が揃うまで待たず、敗血症評価と外科相談を同時に開始する。画像ができない当直帯も、検査を揃えるために搬送を遅らせない。
根拠:国立健康危機管理研究機構 STSS診療情報 - 抗菌薬を投与したら、外科評価は改善を見てからでよい?
- 感染源の外科的制御が必要なことがあり、抗菌薬への反応待ちだけでは危険である。急速な局所痛・壊死・臓器障害を評価し、蘇生、適切な経験的抗菌薬、専門施設での外科評価を並行する。培養後は原因菌に応じた薬へ調整する。
根拠:国立健康危機管理研究機構 STSS診療情報 - 咽頭溶連菌の薬を飲んでいるから重症化はない?
- 内服中でも侵襲性感染や別の病原体を否定できない。循環、意識、尿量、局所痛の変化を再評価し、全身悪化は通常の咽頭炎として扱わない。前投薬を搬送先へ伝え、血液培養など採取可能な検体を確保しつつ治療を急ぐ。
根拠:国立健康危機管理研究機構 STSS診療情報
8家族への説明
まれだが数時間で悪くなる感染症がある。見た目以上の痛みやぐったり、手足の冷たさは急いで知らせる。[1]
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。