1-28A群溶連菌性咽頭炎
咽頭痛・発熱・イチゴ舌
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
前の画面から引き継いだ体重です。
このページの目次9項目
このページ
1ポイント
- よくある細菌性咽頭炎。3歳未満は原則検査対象外。抗菌薬は指示日数を飲み切る(リウマチ熱予防が主目的)。
- 気道緊急(流涎・開口制限・喘鳴)と劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS=四肢激痛・急速腫脹・ショック様)を見逃さない。
- 猩紅熱様発疹・いちご舌は悪化のサインではないが、川崎病との鑑別に注意する。
- クリンダマイシンの通常量は15mg/kg/日 分3(手引き第四版の咽頭炎の項、確定)。重症相当時の30mg/kg/日〔手引き〕・20mg/kg/日〔添付文書〕の使い分けは未確定——重症化を疑えばSTSS搬送基準に従う。
↑ このページの入口へ2鑑別のながれ
- 咽頭痛・発熱→開口障害・流涎・吸気性喘鳴→急性喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍(のどを見ずに搬送)
- 咽頭痛・発熱後→四肢の激しい疼痛・急速な腫脹・ショック様→劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
- 発熱+咽頭所見→結膜充血・口唇変化・頸部リンパ節腫脹(3歳未満で特に注意)→川崎病
- GAS咽頭炎の治療後2〜3週間→移動性の多関節炎・新規の心雑音や心不全徴候・舞踏病様不随意運動・輪状紅斑・皮下結節→急性リウマチ熱(ARF)(小児循環器専門医へ紹介を検討)
- 咽頭痛・発熱→上のいずれもない→GAS咽頭炎(Centor/McIsaacで評価)
↑ このページの入口へ3GASの可能性(Centor/McIsaac)
| 0〜1点 | 可能性が低い | 検査も抗菌薬も不要。対症療法 |
|---|
| 2点以上 | 事前確率が高い | 迅速抗原検査(陽性なら培養不要) |
|---|
| 4点 | 最高得点 | それでも陽性率は68%。点数だけで確定しない |
|---|
→ 横にスクロールできます
↑ このページの入口へ4計算・スコア
スコア
Centor/McIsaac 基準
年齢補正(McIsaac)
3歳未満には通常適用しない — GAS咽頭炎自体が稀で、濃厚接触歴または周囲での流行がなければ検査自体が原則非推奨。最高点(4点)でもGAS陽性率は68%にとどまるため、点数だけで抗菌薬を決めない。
いつ使う
3歳以上の咽頭痛で、GAS迅速抗原検査を出すかどうかの事前確率の当たり付け。原則2〜3点以上で迅速抗原検査を検討する。陽性なら培養は不要(特異度95%)。
落とし穴
- 伝染性単核症(EBV・CMV等)は容易に高得点になる — 耳介後部・後頭部リンパ節腫脹、脾腫、リンパ球分画35%以上が示唆所見
- 咳・鼻汁・結膜炎などウイルスを強く示唆する所見があるときは事前確率が低く、検査自体が過剰
- 無症状児の10〜30%がGAS保菌 — スクリーニング検査は偽陽性的に拾って過剰治療になる
- 迅速検査陰性後の繰り返し検査は陽性率を上げない
- 発熱5日以上・口唇の紅潮亀裂・眼球結膜充血・四肢末端の変化を伴うなら川崎病を鑑別に(猩紅熱様皮疹・いちご舌・頸部リンパ節腫脹は所見が重なる)
次の一手
スコアの前に、まず急性喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍/咽後膿瘍・Lemierre・劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)のレッドフラグを外す(本シート§1)。陽性ならアモキシシリン水和物10日間の適応判断へ(用量の考え方は§4)。
出典
厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」第四版 医科・外来編(McIsaac基準=学童期以降の小児編 p.26/Centor基準=乳幼児編 p.64、4点でも陽性率68%・3歳未満の検査適応=p.63-65)。URLは本シート詳細リファレンス参照。
↑ このページの入口へ5処置・処方例
Rp. 1アモキシシリン水和物
30〜50mg/kg/日 分2〜3、最大1,000mg/日、10日間 内服第一選択。目的はリウマチ熱予防(発症9日以内の開始で有効)。飲み切りを徹底する
- ワイドシリン細粒20%(200mg/g)で1日 —〜—(30〜50mg/kg/日、上限1,000mg=5g)を分2〜3
- 10日間。熱が下がっても飲み切る
Rp. 2セファレキシン(軽症のペニシリンアレルギー時)
25〜50mg/kg/日 分4(最大1,000mg/日)、10日間 内服アナフィラキシー歴など重症のアレルギーには使わない
- ケフレックスシロップ用細粒200(200mg/g)で1日 —〜—(25〜50mg/kg/日、上限1,000mg=5g)を4回に分けて6時間ごと
- L-ケフレックス小児用顆粒は1日2回(朝・夕食後)の別製剤。取り違えない
- 10日間
Rp. 3クリンダマイシン(重症ペニシリンアレルギー時)
15mg/kg/日 分3、10日間(手引き第四版) 内服アナフィラキシー歴など重症のペニシリンアレルギーのときだけ
- 1日 — を3回に分ける(1回5mg/kg)
- 国内の経口剤はダラシンカプセル75mg・150mgだけ。カプセルが飲めない年齢では使いにくい
- 多めの水で飲み、飲んだあと30分は横にならない(食道潰瘍の予防・添付文書)
Rp. 4アセトアミノフェン
1回10〜15mg/kg、4〜6時間以上あける 内服NSAIDsと侵襲性GAS感染症の関連は症例報告レベル。参考としてアセトアミノフェンを優先する
- カロナールシロップ2%なら —〜—、細粒20%なら —〜— を1回
GAS陰性・未検査の急性咽頭炎には抗菌薬を投与しない。 避けること・注意:GAS陰性・未検査での抗菌薬投与、Centor/McIsaacの点数のみでの確定診断、レッドフラグがある児への刺激的な診察(口腔内診察・採血・X線)。
↑ このページの入口へ6帰宅・入院の目安
- 帰宅気道緊急・STSS所見がない、経口摂取・水分がとれる、10日間の内服を家庭で継続できる
- 入院脱水で経口摂取が続けられない
- 搬送・紹介扁桃周囲膿瘍・咽後膿瘍・急性喉頭蓋炎疑い(搬送)、STSS疑い(緊急搬送)、治療後2〜3週間での多関節痛・新規心雑音・舞踏病様不随意運動→リウマチ熱疑い(小児循環器紹介)
↑ このページの入口へ7診療中の疑問と回答
- のどが赤く熱が高いだけで溶連菌として処方する?
- ウイルス性咽頭炎が多いため、咳・鼻汁・結膜充血などと年齢を確認し、検査の適応を判断する。典型症状だけで一律処方せず、院内の検査方針に従う。流涎、開口障害、含み声、呼吸障害があれば通常の咽頭炎から外して気道・深頸部感染を評価する。
根拠:RCH Sore throat:鑑別・合併症 - 適切な抗菌薬を飲んでも悪化する。耐性菌の薬へ変更?
- まず実際の服薬、診断、膿瘍・気道合併症を再評価する。片側の腫脹、開口障害、頸部痛・可動制限、持続高熱は専門評価が必要。急速な全身悪化、四肢の激痛・腫脹やショックは侵襲性感染を考え、内服変更だけで待たない。
根拠:RCH Sore throat:鑑別・合併症 - 治療後すぐ同じ咽頭症状が出たら、残薬で再治療する?
- 再感染、飲み残し、保菌に別のウイルス感染が重なった状態などを考える。症状と検査適応を再評価し、残薬や家族の薬で治療させない。無症状になった後の検査や追加治療は一律にせず、リウマチ熱リスク・家族内状況と院内方針院内で判断する。
根拠:RCH Sore throat:鑑別・合併症 / IDSA 2012 GAS咽頭炎GL(再検・保菌・反復例)
- 3歳未満は検査する?
- 原則しない。GAS咽頭炎自体が3歳未満では稀。濃厚接触歴か周囲の流行があるときだけ例外。
- 解熱してもお薬はやめていい?
- やめない。10日間飲み切る。リウマチ熱予防が目的で、解熱は治癒の判定にならない。
- クリンダマイシンの用量は?
- 通常のGAS咽頭炎は15mg/kg/日 分3(手引き第四版の咽頭炎の項、確定)。同じ手引きの「重症感染症」欄にある30mg/kg/日は、通常の咽頭炎の重症化を含むか別疾患を指すか本文に明記がなく未確定。重症化を疑うときはSTSS搬送基準に従う。
↑ このページの入口へ9家族への説明
よくあるのどのばい菌です。熱が下がってもお薬は指示どおり最後まで。唾が飲めない・口が開かない・ぐったりはすぐ連絡。数週間後の赤いおしっこやむくみ、関節の痛みや動悸も相談してください。