6-12赤ちゃんの肌トラブル(あせも・おむつかぶれ・脂漏性湿疹)
汗疹・おむつ皮膚炎・乳児脂漏性湿疹
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次8項目
1ポイント
- 汗疹(あせも)は蒸れやすい部位(頸部・体幹・四肢屈側)の小丘疹・小水疱。スキンケア(環境調整・こまめな発汗除去)が基本。
- おむつ皮膚炎は刺激性接触性(凸面中心・境界不明瞭)とカンジダ(皺部を含め境界明瞭・辺縁に衛星病変)を分ける。カンジダは見逃されやすい。
- 乳児脂漏性湿疹は生後2〜4週頃から発症し2〜3か月をピークに、多くは自然軽快する(生後6か月〜1歳頃まで)。
- 急速拡大する紅斑+表皮剥離(SSSS疑い)、紫斑・出血傾向、体重増加不良を伴う難治性湿疹、おむつ部の急速進行性の発赤・腫脹・皮膚の破れ(壊死性軟部組織感染)は通常経過として片付けない。
2鑑別のながれ
- おむつが当たる凸面の紅斑→境界不明瞭、皺部は健常→刺激性接触性おむつ皮膚炎
- 皺(くびれ)部を含む境界明瞭な紅斑→辺縁に衛星病変(小丘疹・小膿疱)→おむつ部カンジダ症(乳児寄生菌性紅斑)★見逃し注意
- 頭皮・眉間・鼻翼・耳介の黄色調鱗屑→瘙痒軽度〜ほぼなし→乳児脂漏性湿疹(自然軽快が原則)
- 急速拡大する紅斑+表皮剥離→ニコルスキー現象陽性→ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
- おむつ部の急速進行性の発赤・腫脹・皮膚の破れ→皮膚所見と不釣り合いな症状・全身状態不良→壊死性軟部組織感染(稀だが致死的)
- 頭皮・おむつ部の難治性湿疹様皮疹→数週間の標準治療に反応しない→ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)を鑑別に想起
- 手掌・足底の小水疱・小膿疱、強い瘙痒→家族内同症、免疫不全背景→疥癬(乳児のacropustulosis of infancy)
- 口囲・肛囲・おむつ部の境界明瞭な紅斑〜びらん→通常のスキンケア・抗真菌薬に反応しない。低出生体重児・完全母乳栄養児・遷延性下痢が背景→腸性肢端皮膚炎(先天性亜鉛欠乏)=治療可能、疑えば血清亜鉛値
3検査
- カンジダ疑いで診断に迷う例はKOH直接鏡検で仮性菌糸・分芽子胞子を確認
- 疥癬を疑う所見があれば顕微鏡検査またはダーモスコピー
- とびひ(膿性分泌物が多い・難治再発)を伴う場合は培養(夜間は検査室へ提出できないため、採取して保管し翌朝提出する)
- 典型的な汗疹・脂漏性湿疹・軽症接触性おむつ皮膚炎に血液検査・アレルギー検査は不要
4処置・処方例
Rp. 1ケトコナゾールクリーム2%(ニゾラール)またはミコナゾールクリーム1%(フロリードD) ケトコナゾールは1日1回、ミコナゾールは1日2回 外用
おむつ部カンジダ症(乳児寄生菌性紅斑)。境界明瞭な紅斑・辺縁の衛星病変が目安
- ケトコナゾールクリーム2%(ニゾラール)またはミコナゾールクリーム1%(フロリードD)を院内採用品で選ぶ(採用品で確認)
- 境界明瞭な紅斑の主病変と、辺縁の衛星病変(小丘疹・小膿疱)を含め広めに塗布する
- ケトコナゾールは1日1回、ミコナゾールは1日2回塗布する
- おむつ交換のたびに微温湯でやさしく洗浄し、しっかり乾かしてから塗布する
- 臨床的治癒後も再燃予防のため1〜2週間程度塗布を継続する
Rp. 2弱い〜中程度ランクの外用ステロイド(例: ヒドロコルチゾン酪酸エステル=ロコイド軟膏0.1%など) 短期間(数日〜1週間) 外用
紅色汗疹・刺激性接触性おむつ皮膚炎・乳児脂漏性湿疹で炎症が強い場合のみ。院内採用ランク表で採用品を確認する
- 炎症が強い部位に弱い〜中程度ランクの外用ステロイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル=ロコイド軟膏0.1%など)を院内採用品で選ぶ(採用品で確認)
- 患部に1日1〜2回、薄く塗布する
- 改善したら速やかに中止し、保湿・保護剤(ワセリン・撥水性保護剤など)に切り替える
- 年齢のみを理由に一律でランクを下げる必要はない。ただし短期間で効果が出やすいため使用期間に注意する
刺激性接触性おむつ皮膚炎はおむつ交換頻度を上げ撥水性保護剤を塗布。脂漏性湿疹は無理に痂皮を剥がさずベビーオイル等でふやかしてから洗浄。 避けること・注意:カンジダを疑う所見があるのに抗真菌薬を併用せずステロイド単剤を漫然と継続すること。摩擦の強いゴシゴシ拭き取り・アルコール含浸ウェットティッシュの多用。
↑ このページの入口へ5帰宅・入院の目安
- 帰宅汗疹・刺激性接触性おむつ皮膚炎・典型的な乳児脂漏性湿疹、スキンケアと外用で対応できる
- 入院SSSS疑い(急速拡大する紅斑+表皮剥離、ニコルスキー現象陽性)、全身状態不良
- 搬送・紹介標準治療を続けても改善しない、または診断に自信が持てない難治例、体重増加不良・血便・重症感染反復など免疫不全を疑う所見を伴う難治性湿疹、おむつ部の急速進行性の発赤・腫脹・皮膚の破れ(壊死性軟部組織感染の疑い)→ 決まった連携先へ直接電話し搬送する(当院に外科的処置の体制なし)
6診療中の疑問と回答
- 保護剤を塗ってもおむつかぶれが治らない。強いステロイドへ変える?
- 交換頻度、洗浄時の摩擦、塗布状況を確認し、皺部の発赤と衛星病変からカンジダを見直す。感染が疑わしいのにステロイドだけを強めない。潰瘍・急速な拡大・全身状態不良があれば単純なおむつ皮膚炎として扱わず診察を急ぐ。
根拠:RCH おむつ皮膚炎(海外指針) - おむつ交換のたびに保護剤を完全に落とす必要はある?
- 便などの汚れはやさしく落とすが、清潔な保護膜まで毎回こすり落とさない。皮膚を乾かして保護剤を補い、濡れたおむつを早めに交換する。香料・刺激物、密閉と摩擦を見直す。薬剤を足す前にケア方法が皮膚障害を繰り返していないか確認する。
根拠:RCH おむつ皮膚炎(海外指針) - 頭とおむつ部の湿疹が長引き、体重も増えない。脂漏性湿疹でよい?
- 通常の軽い湿疹の経過から外れる。全身の皮疹、口腔、成長曲線、下痢・感染歴を確認し、栄養欠乏や全身性疾患も検討する。強い外用薬を重ねて先延ばしにせず小児科・皮膚科で評価し、出血性皮疹や肝脾腫などがあれば紹介を急ぐ。
根拠:RCH おむつ皮膚炎(海外指針)
- おむつの皺の赤みが取れない時は?
- 刺激性の接触性皮膚炎ではなくカンジダを疑う。境界明瞭で辺縁に衛星病変があれば抗真菌薬を検討する。
- 脂漏性湿疹の痂皮は取っていい?
- 無理に剥がさない。入浴前にベビーオイルやワセリンでふやかしてからやさしく洗い流す。
8家族への説明
この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。