6-11伝染性軟属腫(水いぼ)
光沢のあるドーム状丘疹・中心臍窩
β版 · 紙面の最終確認 2026-10-30
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次7項目
1ポイント
- 定型は光沢のあるドーム状、中心臍窩を伴う粟粒大〜米粒大の丘疹。体幹・四肢・腋窩に好発。
- 経過観察(無治療)と摘除は、いずれも臨床的に妥当な第一選択。どちらか一方が標準治療として優越しているわけではない。
- 治りかけの発赤・腫脹は悪化ではない。免疫反応による自然消退過程で、保護者が『バイ菌が入った』と誤解しやすい。
- 巨大病変・急速な増数・治療抵抗性は免疫不全を示唆する所見。通常経過として様子見しない。
2鑑別のながれ
- 巨大病変(目安1cm超)・急速な増数/播種状拡大・治療抵抗性→基礎疾患不明の児での急拡大→免疫不全(先天性免疫不全・HIV感染・免疫抑制薬使用中等)を示唆
- 眼瞼・眼周囲の病変→結膜充血/流涙/異物感などの眼症状→濾胞性結膜炎・表層角膜症の合併
- 急な有痛性水疱化(特にアトピー性皮膚炎児)。発熱がなくても当日評価→水いぼ自体は非有痛性→カポジ水痘様発疹症等の別疾患
- 強い発赤・腫脹・熱感・排膿・拡大する疼痛→掻破による二次感染→とびひ(伝染性膿痂疹)の合併
- 陰部・肛門周囲に限局する病変(他部位に病変なし)→自己接種で生じることが多い→単独では性的虐待を意味しないが、他の外傷所見と合わせて慎重に評価する
3検査
- 通常例は視診のみで臨床診断可能。追加検査は基本的に不要
- 診断が非典型で鑑別困難、または免疫不全を疑う巨大・非典型病変の場合は皮膚生検を検討
4摘除の考え方(当院は皮膚科紹介が基本方針)
- 経過観察なら自然消退までおおむね6か月〜数年(長い場合は4年程度)
- 数が少なければ(目安3個程度まで)無麻酔でも施行可能なことがある
- 疼痛緩和が必要なら、リドカイン含有貼付剤(ペンレステープ)を処置の約1時間前に貼付し、除去直前に剥がして摘除する。1回の処置につき2枚まで
- ペンレステープの国内治験対象は4〜11歳。水いぼの好発年齢(1〜7歳)のうち1〜3歳は治験対象外のため、使用可否は個別に判断する
- 重大な副作用にショック・アナフィラキシー(頻度不明)がある。除去後もしばらく観察する
やってはいけない・落とし穴
↑ このページの入口へ- イミキモド外用は使わない(プラセボと比較して有意差なし、国内保険適用もない)
- 疼痛緩和なしでの多数個・広範囲摘除を強行しない
- ペンレステープを湿疹・発疹のある部位、損傷皮膚(掻き壊し痕等)、粘膜に使用しない
- アミド型局所麻酔薬への既往アレルギーを確認しないまま貼付しない
5帰宅・入院の目安
- 帰宅経過観察は当院で完結。摘除を希望する場合は皮膚科紹介が基本方針、登園・登校制限は不要。プールも可(タオル・浮き輪等の共用は避ける)
- 搬送・紹介免疫不全示唆所見(巨大・急拡大・治療抵抗性)、眼症状を伴う、とびひ合併の重症化、急な有痛性水疱化(発熱がなくても当日評価)
6診療中の疑問と回答
- 数が増えている水いぼは必ず摘除する?
- 自然消退まで時間がかかることを説明し、痛みや本人の負担、湿疹・掻破、部位で選ぶ。無症状の児に全病変の摘除を必須としない。治療する場合も痛みへの配慮と同意が必要で、家庭でつぶしたり針を刺したりさせない。
根拠:RCH Molluscum contagiosum - 水いぼの周囲が赤い。抗菌薬を使う?
- 消退時の炎症や周囲の湿疹でも赤くなる。掻痒・乾燥には保湿と湿疹治療を行い、膿、強い痛み、拡大する熱感、発熱があれば細菌感染として再評価する。赤みだけで一律に抗菌薬を出さず、掻破を減らす計画を立てる。
根拠:RCH Molluscum contagiosum - 眼の近くや広範囲の病変も同じように経過観察する?
- 眼瞼病変に結膜炎を伴う場合、診断が典型的でない場合、免疫不全が疑われる広範囲・難治例は専門科へ相談する。典型的な病変では通常検査は不要だが、出血・潰瘍など別の病変を疑う所見は見直す。
根拠:RCH Molluscum contagiosum / College of Optometrists:伝染性軟属腫と結膜炎
7家族への説明
この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。