12-9血液培養(採り方と読み方)
採血量・タイミング・コンタミネーションの見分け方
β版 · 紙面の最終確認 2026-09-27
日付は紙面の確認日です。院内承認を示すものではありません。処方・運用は、本文の適用条件と出典、院内の採用薬・手順を確認してください。
このページの目次6項目
1ポイント
- 小児で最も大事なのは「採血量」。セット数より採血量が培養陽性率を左右する可能性が示唆されている。
- 量の目安は体重あたり0.8 mL/kg(CLSIが提唱する安全な採血量=全血液量の1%を基にした学会セミナーのベストプラクティス案)。採血量0.5 mL以下では不十分という報告がある。
- 抗菌薬を打つ前に採る。これだけは譲らない。頭蓋内圧亢進などで髄液検査ができない場面ほど、血液培養が起因菌同定の決め手になる。
- 採る場所はカテーテルではなく静脈穿刺。鼠径部からの採血は腸内細菌目細菌のコンタミネーションの割合が高く、可能な限り避ける。
- 培養検体を夜間に検査室へ提出できないが、採ること自体は当直帯でもできる。抗菌薬の前に採って保管し、翌朝提出する。この順番だけは崩さない。
2鑑別のながれ
- 陽性(2セットとも同一菌)→真の菌血症の可能性が高い→起因菌として扱う。感受性で狭める
- 陽性(1セットのみ、皮膚常在菌)→コンタミネーションの可能性→臨床像と合わせる。カテーテル留置中は真の起因菌でもありうる
- 陽性(グラム陰性桿菌)→コンタミは少ない→真の菌血症として扱う。直ちに対応
- 陰性→抗菌薬投与後・採血量不足では偽陰性がありうる→除外にはならない。臨床で判断する
3検査
- 細菌性髄膜炎を疑う:強く推奨される。特に頭蓋内圧亢進などで髄液検査が施行不可能な場合は血液培養の結果が起炎菌同定に重要
- 敗血症を疑う:必ず採る。抗菌薬より先に
- 生後3か月未満の発熱:原則採る
- 発熱性好中球減少症:血液培養は必ず採る(白血病を疑うとき)
- 骨髄炎・化膿性関節炎を疑う:採る
- 中心静脈カテーテル留置中の発熱:採る(カテーテル血流感染の評価)
- 不明熱:採る。感染性心内膜炎は頻回の血液培養と早期の心エコー検査が重要だが、心エコーは当直帯に無い
- 入院を要する中等症以上の肺炎・腎盂腎炎:原則採取する
4血液培養の採り方(当院の型)
- 抗菌薬の前に採る。すでに投与されているなら、そのことを検査室に伝える
- 体重から採血量を決める(0.8 mL/kgを目安にし、当院の上限規定に従う)
- 敗血症・細菌性髄膜炎・骨髄炎・化膿性関節炎・不明熱(IE疑い)は年齢・体重で分け、可能な限り複数部位から採取する。量が確保できなければ1セットでも可とする
- 採る場所を決める。静脈穿刺(新生児は23Gの翼状針または直針にシリンジを接続)。鼠径部は避ける
- 消毒(当院の採用薬に従う)。1%クロルヘキシジンアルコールなら乾燥するまで、10%ポビドンヨードなら2分以上待ってから穿刺する
- ボトルの口も消毒する
- 安全機構付きの翼状針で採血し、針を差し替えずにそのまま血液培養ボトルへ分注する
- 採血→小児用ボトルへ。量が足りないときは好気ボトルを優先。嫌気ボトルはルーチンでは使わず必要時のみ追加する
- 採取時刻・部位・量・抗菌薬の有無を記録する
- 速やかに検査室へ(夜間の受付方法を確認しておく)
- 髄膜炎を疑うなら、髄液培養もセットで
- 結果を待たずに、経験的抗菌薬を開始する(重症なら)
やってはいけない・落とし穴
- 採血量は全血液量の1%以内を原則とする。貧血のある児・新生児は主治医判断で個別に減量する。ただし極端な減量は偽陰性化のリスクを高めるため、目安0.5 mL以上(Melbourne大学基準:1か月未満で0.5 mL以上)を意識して安全な範囲にとどめる
- 血管内留置カテーテルからの採血はコンタミネーションのリスクが上がる
- 鼠径部からの採血は腸内細菌目細菌のコンタミネーションの割合が高い
- 採血量0.5 mL以下では不十分
- 採血後に針を差し替えない。差し替えは針刺し・切創事故のリスクになる
5Q&A
- 培養が陰性なら感染は否定できる?
- できない。抗菌薬投与後や採血量不足では偽陰性になりうる。臨床で判断する。
- 搬送する患者の血液培養はどうする?
- 搬送前に必ず採ってから抗菌薬を開始する。結果は当院に返る連絡経路を決めておく。
- 陽性の同定・感受性はいつ分かる?
- 夜間は出ない。日勤帯の連絡体制で確認する。
- 2セット必要?1セットでもいい?
- コンタミネーションの鑑別のためには2セット以上が望ましい(小児呼吸器感染症診療ガイドライン2017)。当院は院内小児の採血量制約を優先し、量が確保できなければ1セットでも可とする運用(安曇野セミナー案・非ガイドライン)を採用していることを踏まえて判断する。
6家族への説明
血液の中に細菌が入っていないかを調べる検査です。細菌を育てて確かめるので、結果が出るまでに2日ほどかかります。そのため、結果を待たずにお薬(抗菌薬)を始めることがあります。あとで細菌の種類が分かれば、より効くお薬に変えられます。この検査は、お薬を始める前に採ることがとても大事なので、採血を先にさせてください。また、必要な血液の量が取れないと、細菌がいても見つからないことがあるため、お子さんの体重に応じた量を採らせていただきます。
詳しい根拠・出典は 本文の出典欄を参照。
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