3-3 急性虫垂炎

緊急

3-3急性虫垂炎

病態・根拠
このページの目次10項目

1病態:腹痛の移動と経過を捉える

虫垂炎は初めから右下腹部の局在痛を呈するとは限らない。臍周囲から右下腹部へ痛みが移動し、体動・深呼吸等で増強する場合がある。年少児では食欲低下、不機嫌、嘔吐・下痢が前面に出るため、症状の順番と反復診察を重視する。圧痛・筋性防御の一所見がないことや、下痢があることだけでは除外できない。[1][3]

2鑑別と検査:スコアと炎症反応の役割

PASやpARCは病歴、診察、検査から確率を整理する補助で、確定検査ではない。血算・CRPが低い発症早期や非典型例でも、経過と診察が気になるなら再評価する。尿検査は尿路感染等、思春期では妊娠関連病態や卵巣病変等を検討するために使う。尿所見だけを見て、右下腹部の症状をすべて尿路感染へ帰属させない。[1]

3「虫垂が見えなかった」は「正常」と異なる

超音波では虫垂そのものに加え、周囲の炎症など二次所見を評価する。虫垂が描出されない場合、リスクと二次所見に応じて追加画像・外科相談・再診察を選ぶ。正常画像という扱いで一律帰宅にしない。CT・MRIを含む検査の選択は施設と児の状態によって異なる。IDSAは小児の初回超音波を提案し、不確定で疑いが残る場合はMRI・CT等を臨床状況に応じて選ぶ。[1][2]

4治療と紹介:当院で朝まで観察できるか

当直帯に画像・手術がない当院では、単純性か穿孔性かを十分評価できない症例がある。「非穿孔なら待てる」という一般論を、そのまま「疑い例は全員朝まで安全」と読み替えない。循環不良、腹膜刺激、進行性疼痛、反復嘔吐・摂取困難があれば外科へ連絡し、絶食、静脈路・必要な補液、鎮痛を進める。抗菌薬開始と搬送時期は受入側と決める。[1][2]

5低確率として帰宅する場合

診察が安心でき、摂取でき、別の診断が妥当で、再評価できることが条件となる。痛みの増悪・局在化、発熱や嘔吐の進行、動けない場合は予定を待たず受診するよう伝える。観察中も再診時も、前回の診察時刻と圧痛・歩行・摂取の変化を比較する。[1]

6出典と適用範囲

画像不能な当院での夜間観察は受入外科と院内体制を踏まえた個別判断とする。海外の抗菌薬選択・量は転記していない。

7臨床医が迷う場面

8炎症反応が低くても虫垂炎を疑う?

早期や年少児では血液所見が典型的でない。発症からの時間、移動・局在する痛み、歩行や跳躍時の痛み、食欲と反復診察を重視する。低い検査値や未完成スコアだけで除外せず、疑いがあれば画像評価可能な外科へ相談する。

根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価

9抗菌薬だけの治療を外来で試してよい?

非手術治療は単純性と評価された選択例に専門施設で検討する方法であり、画像がない当院の疑い例にそのまま適用しない。穿孔・糞石・膿瘍などを含む評価が必要。絶食、鎮痛、補液を行い、外科と治療方針と搬送時期を共有する。

根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価

10痛みが少し改善したら朝まで待てる?

改善だけで穿孔や進行を除外しない。腹膜刺激、発熱、嘔吐、循環と経過を再評価する。当直の観察は受入外科と共有した再診察・即時搬送の条件が整う場合に限り、年少児や進行性疼痛は早期搬送を優先する。

根拠:RCH Acute abdominal pain:小児虫垂炎の再評価

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