カテーテル尿で培養検体を採る
培養に使えるのはカテーテル尿・中間尿だけ。パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には用いるべきではない。抗菌薬より先に採る——投与後は多くの薬剤が速やかに尿を無菌化し、UTIの確定診断が困難になる。
始める前に
- 本当にカテーテル尿が要るかを決める。定性だけならパック尿でよい
- 保護者に説明(目的・侵襲・所要時間)。同席するかを聞く
- 痛みと不安を減らす(体位・保定の人数・声かけ・ショ糖など)。押さえつける時間を最短にする
- 外陰部を清拭する。男児は包皮を無理に翻転しない(翻転の可否について本シートは一次資料を確認していない)
- 陰唇癒合では外尿道口の位置を確認できないことがある
- 好中球減少・免疫抑制中は粘膜損傷から菌血症になりうるため、必要性を再検討する(本シートの実務上の注意であり、一次資料に基づくものではない)
- 尿閉解除が目的なら、膀胱の緊満(下腹部の膨隆・叩打で濁音)を確認する。エコーがあれば残尿を見る
- 尿閉解除で急に大量に排出すると循環が変動しうるため、施設の手順に従う(要確認)
手順
- 1
清潔操作でカテーテルを挿入する。潤滑剤を使う
- 2
最初に出た尿は捨て、中間の尿を培養容器へ入れる(施設の方針による)
- 3
必要量を採ったら速やかに抜去する(採尿目的なら留置しない)
- 4
検体を速やかに検査室へ送る。定性・沈渣・培養を同時に提出する
- 5
採取時刻・採取法・抗菌薬の有無をカルテに記録する
採取法が結果の解釈を決める
- 6
施行後の排尿・血尿・発熱を確認する
やってはいけない
- パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には用いるべきではない
- パック尿の定性が陽性でも、それだけで抗菌薬を始めない。カテーテル尿で採り直してから治療を決める
- 尿道損傷を疑う外傷(会陰部血腫・外尿道口の出血)では挿入しない。泌尿器科へ
- 包茎で外尿道口が確認できないときは無理をしない。用手的に翻転しすぎない
- 挿入時の抵抗・出血・強い痛みがあれば無理に進めない。中止する
- 尿道の閉塞性病変がある場合、カテーテル法は困難/不適(膀胱穿刺が例外的に選択されるが当院では持てない)
終わったあと
- 施行後の排尿・血尿・発熱を確認する
- 家族へ:処置のあとに血が混じる、おしっこが出ない、熱が出るようなことがあれば教えてください
この場で持てない・送る
- 尿道損傷を疑う外傷 → 持てない。泌尿器科
- カテーテルが入らない・抵抗が強い → 無理をしない。泌尿器科へ相談
- 膀胱穿刺が必要な例 → 持てない
- 尿閉が導尿で解除できない → 持てない
- 反復する尿路感染・腎盂腎炎の既往 → 尿路系を評価できる施設へ紹介
- 要確認:手技そのもの(カテーテルサイズ・挿入長・初尿の扱い・潤滑剤・清潔操作の程度)は本シートで一次資料を確認していない。院内手順書が要る
- 要確認:初尿を捨てるかどうかの院内ルール(施設によって運用が分かれる)
- 要確認:尿閉の解除で一度に排出してよい量の院内基準(本シートは数値未記載)
- 要確認:当院のカテーテルサイズ展開(新生児〜学童)と潤滑剤・滅菌手袋の物品
- 要確認:カテーテル採尿を誰が実施するか(医師/看護師)と、実施のための院内手順書
- 要確認:泌尿器科の紹介先(夜間・休日)
- 要確認:保定(抑制)の方針と、家族の同席をどうするか
- 要確認:採尿バッグの使用ルール(定性のみに限るという明文化)
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。