導尿・カテーテル採尿

導尿・カテーテル採尿

検査・画像・処置β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急
尿の読み方は尿検査の読み、UTIの診断ロジックは尿路感染症を参照。

30秒要約

  • やる理由はひとつ培養に使えるのはカテーテル尿・中間尿だけだから。パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には用いるべきではない
  • 抗菌薬より先に採る投与後は多くの薬剤が速やかに尿を無菌化し、UTIの確定診断が困難になるill-appearingで即時投与が必要な場合でも、投与前にカテーテル尿を確保してから投与する。
  • パック尿は「捨てる検査」ではない定性検査には使える陽性ならカテーテル尿で再確認してから治療判断
  • 膀胱穿刺は本邦では一般的でない通常は推奨されない。尿道の閉塞性病変がある場合など、カテーテル法が困難/不適な例で例外的に選択される
  • 導尿は「採るため」だけではない尿閉の解除という治療目的もある。

適応

目的場面
培養検体の確保排尿が自立していない乳幼児で、尿路感染症を疑うとき尿路感染症
正確な尿検査パック尿で定性が陽性だったとき(カテーテル尿で再確認
尿閉の解除排尿できない・膀胱が緊満している
尿量の正確な測定重症例の管理(当院で持つ範囲による)
抗菌薬投与前の確保ill-appearingで即時投与が必要な場合でも、投与前に

やらない/慎重にやる

状況対応
尿道の閉塞性病変があるカテーテル法が困難/不適。膀胱穿刺が例外的に選択される(当院では持てない
尿道損傷を疑う外傷(会陰部血腫・外尿道口の出血)挿入しない。泌尿器科へ
包茎で外尿道口が確認できない無理をしない。用手的に翻転しすぎない
陰唇癒合外尿道口の位置を確認できないことがある
好中球減少・免疫抑制中粘膜損傷から菌血症になりうる。必要性を再検討
定性のスクリーニングだけでよい場面パック尿で足りる。侵襲を足さない

手順(当院の型として)

やること
1本当にカテーテル尿が要るかを決める。定性だけならパック尿でよい
2保護者に説明(目的・侵襲・所要時間)。同席するかを聞く
3痛みと不安を減らす(体位・保定の人数・声かけ・ショ糖など)。押さえつける時間を最短にする処置時の鎮静・鎮痛
4外陰部を清拭する。男児は包皮を無理に翻転しない
5清潔操作でカテーテルを挿入。潤滑剤を使う
6最初に出た尿は捨て、中間の尿を培養容器へ(施設の方針による。下の医師確認事項)
7必要量を採ったら速やかに抜去(採尿目的なら留置しない)
8検体を速やかに検査室へ。定性・沈渣・培養を同時に
9採取時刻・採取法・抗菌薬の有無をカルテに記録する(採取法が結果の解釈を決める
10施行後の排尿・血尿・発熱を確認

合併症

合併症サイン次の一手
尿道損傷挿入時の抵抗・出血・強い痛み無理に進めない。中止
医原性尿路感染施行後の発熱必要性を絞る。清潔操作
カテーテルの膀胱内遺残・結節形成抜けない持てない。泌尿器科
迷走神経反射蒼白・徐脈臥位(失神
子どもの恐怖体験次回以降の受診拒否保定と説明の質が予防。処置の必要性を毎回問い直す

採取法と、結果の意味(ここを混同しない)

採取法定性培養有意菌数の基準
カテーテル尿○(推奨)本邦GL:腸内細菌群が単一菌種として10⁴〜10⁵/mL以上AAP 2011:尿路病原体 ≧50,000 CFU/mL+尿所見異常(膿尿または細菌尿)の両方
中間尿同上
パック尿(採尿バッグ)○(スクリーニング)×
膀胱穿刺AAP 2011はカテーテル尿と区別せず同一の基準を適用

パック尿の定性が陽性でも、それだけで抗菌薬を始めない。 カテーテル尿で採り直してから治療を決める。

導尿で尿閉を解除するとき

  • 膀胱の緊満(下腹部の膨隆・叩打で濁音)を確認する。当直帯にエコーは無いので、視診・触診・叩打で判断する腹部エコー)。
  • 急に大量に排出すると循環が変動しうるため、施設の手順に従う(下の医師確認事項)。
  • 尿閉の原因を考える:包茎・亀頭包皮炎、便秘による圧迫、神経因性膀胱、薬剤(抗コリン薬)、外傷、腫瘤。
  • 原因が取れないなら泌尿器科へ

送る/持つ(当院=二次救急)

状態当院の扱い
乳幼児のカテーテル採尿当院で対応
尿道損傷を疑う外傷持てない。泌尿器科
カテーテルが入らない・抵抗が強い無理をしない。泌尿器科へ相談
膀胱穿刺が必要な例持てない
尿閉が導尿で解除できない持てない
反復する尿路感染・腎盂腎炎の既往尿路系を評価できる施設へ紹介血尿・蛋白尿

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:当院のカテーテルサイズ展開(新生児〜学童)と潤滑剤・滅菌手袋の物品
  • 要確認:カテーテル採尿を誰が実施するか(医師/看護師)と、実施のための院内手順書
  • 要確認:初尿を捨てるかどうかの院内ルール(施設によって運用が分かれる)
  • 要確認:尿閉の解除で一度に排出してよい量の院内基準
  • 要確認:泌尿器科の紹介先(夜間・休日)
  • 要確認:保定(抑制)の方針と、家族の同席をどうするか
  • 要確認:採尿バッグの使用ルール(定性のみに限るという明文化)

家族に渡す一文

おむつに貼る袋で採ったおしっこは、皮膚のばい菌が混じりやすいため、ばい菌の種類を調べる検査(培養)には使えません。そこで、細い柔らかい管をおしっこの出口から膀胱まで入れて、きれいなおしっこを直接採らせていただきます。時間は短く、管はすぐに抜きます。痛みや不快感はありますが、ここで正しく採らないと、本当に必要な抗菌薬なのか、どの薬が効くのかが分からなくなりますお薬(抗菌薬)を始める前に採る必要があるので、順番としてはこちらが先になります。処置のあとに血が混じる、おしっこが出ない、熱が出るようなことがあれば教えてください。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートの適応・採取法の位置づけは、尿路感染症の詳細リファレンス(JAID/JSC 2015・AAP 2011に基づく正本)から採っている手技そのもの(カテーテルサイズ・挿入長・初尿の扱い・潤滑剤・清潔操作の程度)については、本シートで一次資料を確認していない院内手順書が要る
  • 要確認:初尿を捨てるか。本シートは「施設の方針による」とした。決めておかないと当直ごとに変わる。
  • 要確認:尿閉解除時に一度に排出してよい量。本シートは数値を書いていない(一次資料未確認)。
  • 要確認:「好中球減少患者への導尿は必要性を再検討」は本シートの実務上の注意であり、一次資料に基づくものではない。
  • 要確認:保定(抑制)の方針。処置時の子どもの負担をどう減らすかは、処置時の鎮静・鎮痛と一体で決めたい。
  • 要確認:男児の包皮の扱い(翻転の可否)。本シートは「無理に翻転しない」とだけ書いており、一次資料を確認していない。

出典

  • 本サイト「尿路感染症」の詳細リファレンス(正本「尿検査とUTI診断_2026-07-30.md」。JAID/JSC 感染症治療ガイド 2015、AAP 2011 UTI CPG、AAP 2021 Well-Appearing Febrile Infant CPG に基づく)より:
  • 採尿法:「排尿が自立していない乳幼児 → カテーテル尿(推奨・A II)。侵襲は大きいが標準法。膀胱穿刺尿も可だが本邦では一般的でない」「スクリーニング目的(陰部清拭後) → パック尿(採尿バッグ)。×(コンタミ多くB II)。定性検査には使える。陽性ならカテーテル尿で再確認してから治療判断」「膀胱穿刺:通常は推奨されない。尿道の閉塞性病変がある場合など、カテーテル法が困難/不適な例で例外的に選択される(C)」。
  • 抗菌薬投与前の採取:「抗菌薬投与前の採取が必須:投与後は多くの薬剤が速やかに尿を無菌化し、UTIの確定診断が困難になる(AAP Action Statement 1、Evidence A)。ill-appearingで即時投与が必要な場合でも、投与前にカテーテル尿を確保してから投与する」。
  • 有意菌数:「カテーテル尿・中間尿(本邦GL):腸内細菌群が単一菌種として10⁴〜10⁵/mL以上(A II)」「カテーテル尿(AAP 2011):尿路病原体 ≧50,000 CFU/mL(1999年版の100,000/mLから引き下げ)+尿所見異常(膿尿または細菌尿)の両方が必要(Evidence C)」「膀胱穿刺尿・SPA:AAP 2011 Action Statement 3はカテーテル尿と区別せず同一の「≧50,000 CFU/mL+尿所見異常」をSPAにも適用する」。
  • 岡山県医師会・岡山県教育委員会.岡山県検尿マニュアル 令和6年度改訂https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/561663_8926830_misc.pdf (2026-09-13閲覧)。「外陰部炎、帯下などの除外が必要な場合は外陰部洗浄や中間尿採取などの工夫をする」「腎盂腎炎を思わせる既往や観察中に反復して白血球尿があれば尿路系を評価できる施設へ紹介する」。

手技

手技

カテーテル尿で培養検体を採る

培養に使えるのはカテーテル尿・中間尿だけ。パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には用いるべきではない。抗菌薬より先に採る——投与後は多くの薬剤が速やかに尿を無菌化し、UTIの確定診断が困難になる。

始める前に

  • 本当にカテーテル尿が要るかを決める。定性だけならパック尿でよい
  • 保護者に説明(目的・侵襲・所要時間)。同席するかを聞く
  • 痛みと不安を減らす(体位・保定の人数・声かけ・ショ糖など)。押さえつける時間を最短にする
  • 外陰部を清拭する。男児は包皮を無理に翻転しない(翻転の可否について本シートは一次資料を確認していない)
  • 陰唇癒合では外尿道口の位置を確認できないことがある
  • 好中球減少・免疫抑制中は粘膜損傷から菌血症になりうるため、必要性を再検討する(本シートの実務上の注意であり、一次資料に基づくものではない)
  • 尿閉解除が目的なら、膀胱の緊満(下腹部の膨隆・叩打で濁音)を確認する。エコーがあれば残尿を見る
  • 尿閉解除で急に大量に排出すると循環が変動しうるため、施設の手順に従う(要確認)

手順

  1. 1

    清潔操作でカテーテルを挿入する。潤滑剤を使う

  2. 2

    最初に出た尿は捨て、中間の尿を培養容器へ入れる(施設の方針による)

  3. 3

    必要量を採ったら速やかに抜去する(採尿目的なら留置しない)

  4. 4

    検体を速やかに検査室へ送る。定性・沈渣・培養を同時に提出する

  5. 5

    採取時刻・採取法・抗菌薬の有無をカルテに記録する

    採取法が結果の解釈を決める

  6. 6

    施行後の排尿・血尿・発熱を確認する

やってはいけない

  • パック尿(採尿バッグ尿)はコンタミネーションが多く培養診断には用いるべきではない
  • パック尿の定性が陽性でも、それだけで抗菌薬を始めない。カテーテル尿で採り直してから治療を決める
  • 尿道損傷を疑う外傷(会陰部血腫・外尿道口の出血)では挿入しない。泌尿器科へ
  • 包茎で外尿道口が確認できないときは無理をしない。用手的に翻転しすぎない
  • 挿入時の抵抗・出血・強い痛みがあれば無理に進めない。中止する
  • 尿道の閉塞性病変がある場合、カテーテル法は困難/不適(膀胱穿刺が例外的に選択されるが当院では持てない)

終わったあと

  • 施行後の排尿・血尿・発熱を確認する
  • 家族へ:処置のあとに血が混じる、おしっこが出ない、熱が出るようなことがあれば教えてください

この場で持てない・送る

  • 尿道損傷を疑う外傷 → 持てない。泌尿器科
  • カテーテルが入らない・抵抗が強い → 無理をしない。泌尿器科へ相談
  • 膀胱穿刺が必要な例 → 持てない
  • 尿閉が導尿で解除できない → 持てない
  • 反復する尿路感染・腎盂腎炎の既往 → 尿路系を評価できる施設へ紹介
  • 要確認:手技そのもの(カテーテルサイズ・挿入長・初尿の扱い・潤滑剤・清潔操作の程度)は本シートで一次資料を確認していない。院内手順書が要る
  • 要確認:初尿を捨てるかどうかの院内ルール(施設によって運用が分かれる)
  • 要確認:尿閉の解除で一度に排出してよい量の院内基準(本シートは数値未記載)
  • 要確認:当院のカテーテルサイズ展開(新生児〜学童)と潤滑剤・滅菌手袋の物品
  • 要確認:カテーテル採尿を誰が実施するか(医師/看護師)と、実施のための院内手順書
  • 要確認:泌尿器科の紹介先(夜間・休日)
  • 要確認:保定(抑制)の方針と、家族の同席をどうするか
  • 要確認:採尿バッグの使用ルール(定性のみに限るという明文化)

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

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