骨折(小児の見方・固定・送る判断)

骨折(小児の見方・固定・送る判断)

整形β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/当直帯に院内の整形外科はいない/当直帯にCT・MRI・エコーも使えない(X線は撮れる)(2026-09-14 確認)。縫合もできないので、開放骨折の創は洗浄・被覆までが当院の範囲(創処置と縫合の適応)。
跛行・外傷全般は歩かない・手足を動かさない、肘内障は肘内障を参照。

30秒要約

  • 「歩けるから大丈夫」「関節が動くから骨折していない」は成立しない。学会が名指しで否定しています。触ると泣く・手を使わない・足に体重をかけられないがあれば骨折を疑う。
  • 乳幼児は所見が乏しい特に乳幼児では、腫れが少なかったり、骨折していない部位の痛みを訴えたりすることもあり注意が必要
  • X線で写らない骨折がある受傷直後にはX線で骨折を確認できないことや、骨折線が現れず弯曲する急性塑性変形もある陰性は否定にならない
  • 迷ったら健側も撮る骨端軟骨や関節内の骨折では診断が難しいため、骨折が疑われる側だけでなく健側も撮影をしたり、ギプスなどで固定して定期的なX線観察を行い、診断を付ける
  • 当直で急ぐのは骨ではなく、神経と血管と皮膚開放骨折・血流障害・コンパートメント症候群。これだけは時間の勝負。

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119開放骨折(皮膚が破れて骨折部が露出)骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出したものを開放骨折と呼び、治療を急ぐ必要がある。清潔被覆・固定・搬送。創内を消毒しない創処置と縫合の適応即時
119末梢の脈が触れない・手が白い・退色反応がない血管損傷血管損傷の場合には、早急に手術が必要。整復で戻ることがあるが、戻らなければフォルクマン拘縮の危険即時
119安静時痛の増強・他動伸展で激痛・知覚異常・腫脹の緊満コンパートメント症候群ギプス・包帯を直ちに全周切開して緩める。搬送即時
119著しい変形・脱臼を伴う整復が要る。当院で持てるかは要確認即時
119頸椎・脊椎の疼痛+神経症状脊椎損傷として固定。持てない即時
緊急上腕骨顆上骨折を疑う(肘の激痛・腫脹・動かせない)神経や血管が損傷されることがあるX線前に末梢の循環と知覚・運動を記録する即時
緊急手や指がしびれる・動かせない骨折片で神経や血管が損傷されている。整形へ即時
緊急不安定な関節周囲の骨折・大きく転位した骨折入院して持続牽引を行ったり、経皮ピンニング手術を行ったりする当院で持てない当日
緊急受傷機転と骨折が合わない/年齢に合わない骨折虐待を疑う歩かない・手足を動かさない当日
緊急歩き始める前の乳児の長管骨骨折同上。原則として虐待を考える当日
当日転位が軽く、神経・血管が無事変形の程度が軽い場合は、ギプスやキャストによる固定を行う。整形へ数日
当日痛がるがX線で骨折を確認できない固定して定期的なX線観察帰すときに「陰性=骨折なし」と言わない数日

小児の骨折はどこが違うか

特徴内容
好発部位転倒や転落によるものがほとんど。肘関節の周囲や前腕など上肢の骨折が約半数を占め、次いで多いのが鎖骨や下腿の骨折
小児特有の型成長過程の骨には弾力があり、骨幹部では隆起骨折や若木骨折、力学的に脆弱な成長軟骨が存在する関節周囲では骨端骨折(骨端軟骨の離開)など小児特有の骨折がある
写らないことがある受傷直後にはX線で骨折を確認できないことや、骨折線が現れず弯曲する急性塑性変形もあり、また骨折に関節脱臼を伴うこともある
自家矯正関節周囲の骨折以外は自家矯正が期待できるので、通常は徒手整復による保存療法が行われる整復後に変形が残ったり骨折部が離れたりしていても、軽度なら心配することはない。自家矯正力が高いのが小児の骨折の特徴
癒合が速い成長期は骨が癒合しやすいので、1〜2カ月たてば安定する
成長障害関節周囲・骨端軟骨の骨折は自家矯正が効かない。ここだけは別扱い

診察の順番(X線を撮る前にやること)

十分な視診、観察で疼痛部位を予測し、最小限の触診をして、骨折の部位を確認したのち、X線(レントゲン)撮影を行う。

やること
1服を脱がせて、左右を見比べる。腫脹・変形・皮膚の破れ・皮下出血
2痛がる場所を本人に指ささせる。乳幼児は動かさない肢を探す
3触るのは最小限。痛い所を最後に
4末梢の循環(脈・色・温かさ・毛細血管再充満)と、知覚・運動を記録する固定の前に
5開放創の有無。あれば清潔被覆
6X線。関節を含めて2方向。必要なら健側も
7固定(下記)。固定後にもう一度、循環と知覚を確認して記録する
8鎮痛(処置時の鎮静・鎮痛
9整形へつなぐか、帰すかを決める

「固定の前後で末梢所見を2回記録する」。これをやっておくと、後から悪化したときに、いつ起きたかが分かります。

部位別に、当直で押さえること

部位押さえること
上腕骨顆上骨折転倒や転落などをして、肘の部分に激しい痛みと腫れがあり、痛くて肘がうごかせない場合に、この骨折を疑うほとんどの例が、転んで手をついたり、鉄棒やうんていから転落して肘が反ることで骨折する子供によくみられる骨折神経や血管が損傷されることがある。血管損傷の場合には、早急に手術が必要骨が曲がって癒合することで、変形(内反肘)が残ることがある
肘周囲(全般)上肢の骨折が約半数。腫れがひどければ牽引(腕を吊って引っ張る)治療をおこなうこともある
前腕両骨か単骨か。急性塑性変形を見落とさない
鎖骨小児の骨折で上肢に次いで多い。多くは保存療法
下腿toddler's fracture は所見に乏しく、X線でも初期に写らないことがある
手・足の指回旋変形の有無を見る(爪の向き)
肘を動かさない幼児で外傷歴が曖昧肘内障を先に考える(肘内障
大腿骨・骨盤大きな外力が要る。他部位の損傷と出血を探す
脊椎動かさない。搬送

固定の考え方

  • 血管損傷や神経損傷がないことを確認して、ギプスなどで固定する(学会の記載)。確認が先
  • 当直ではシーネ(副子)で、隣接する関節を含めて固定するのが基本。全周のギプスは腫脹で締まるので、急性期には避けるのが一般的(下の医師確認事項)。
  • 固定したら挙上
  • 固定後に必ず末梢の循環と知覚を再確認して記録する
  • 骨折部がグラグラしない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多く、必要以上の安静はかえってよくない

鑑別:骨折に見えて、骨折でない/骨折なのに見えない

病態見分け次の一手
打撲・捻挫単なる打撲や関節脱臼でも似た症状が出る。X線で分けるX線
肘内障外傷歴が引っぱられた形、腫脹なし、前腕回内位で下垂肘内障
化膿性関節炎・骨髄炎発熱+外傷歴なし+動かさない外傷でないものを外す化膿性関節炎・骨髄炎
白血病・骨腫瘍夜間痛・体重減少・蒼白・紫斑、軽微な外力での骨折病的骨折白血病を疑うとき
病的骨折骨全体が弱っていたり、骨の一部が溶けていたりすると、弱い力でも骨折する基礎疾患を探す
疲労骨折健康な骨に弱い力がかかる場合でも、同じ場所に繰り返し長期間かかり続けると骨折するスポーツ歴
虐待による骨折説明と合わない、年齢に合わない、多発・新旧混在通告歩かない・手足を動かさない
急性塑性変形骨折線が現れず弯曲する健側と比較

画像

検査使いどころ
単純X線(2方向)第一選択。関節を含めて撮る
健側の撮影骨端軟骨や関節内の骨折では診断が難しいため、比較目的で。小児の骨にはX線写真に写らない部分があり個人差が大きい
時間をおいての再撮影ギプスなどで固定して定期的なX線観察を行い、診断を付ける
CT骨折の転位が無かったり、X線写真に写りにくい骨折の場合に役立つ。当直帯は撮れない=送り先で
エコー骨膜下血腫・関節液。当直帯は当院で撮れない
MRI骨端・軟骨・骨挫傷。当直帯は撮れない=後日または送り先

問診チェック

  • いつ、どこで、どう受傷したか(高さ・地面・目撃者)
  • 説明が受傷機転と合うか説明が変わらないか
  • 受傷後に歩いたか/使ったか(機能の変化)
  • 痛みの部位を本人が指させるか
  • 既往の骨折、骨系統疾患、内分泌疾患
  • 最終飲食時刻(整復や手術に鎮静が要るため。処置時の鎮静・鎮痛
  • アレルギー、内服

送る/持つ(当院=二次救急・当直帯に整形外科なし)

状態当院の扱い
開放骨折持てない。清潔被覆・固定して搬送
血流障害・コンパートメント症候群持てない。締め付けを解除して搬送
神経損傷を伴う持てない
大きく転位した骨折・関節内骨折・骨端軟骨の骨折持てない(手術・牽引が要る)
転位の軽い骨折シーネ固定+鎮痛は当院。翌日整形へ(当院の整形対応による)
骨折が否定できないがX線陰性固定して再診。当院でフォローするかは要確認
虐待を疑う持てない。通告と全身の評価
病的骨折を疑う持てない白血病を疑うとき

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 確定(2026-09-14 確認)当直帯に院内の整形外科はいないX線は撮れるが読む整形外科医がいないので、当直医が自分で読んで、送るかどうかを決める。どこへ何時まで送れるかは要確認(施設名・番号は保留中)
  • 要確認:当院でシーネ固定の材料があるか(サイズ展開・小児用)
  • 要確認:徒手整復を当院で行うか(行うなら鎮静体制が要る)
  • 確定(2026-09-14)夜間のCT・MRI・エコーは撮れない。単純X線は撮れるこのシートはX線が撮れる前提で書いてあり、その前提は満たされている
  • 要確認:夜間X線の読影体制(放射線科の当直・遠隔読影があるか)。無いなら当直医が自分で読む前提になるので、小児で読み落としやすい骨折(若木骨折・骨端線損傷・上腕骨顆上骨折の微細な転位)の扱いを決めておきたい
  • 要確認:虐待を疑ったときの通告経路(児童相談所・院内の担当)
  • 要確認:松葉杖・三角巾の在庫と、小児のサイズ

家族に渡す一文

子どもの骨折は、大人とは違う折れ方をします。しなって曲がるだけの折れ方もあり、レントゲンにすぐ写らないことがあります。ですから、今日のレントゲンで写らなくても、「骨折はない」と言い切ることはできません。触ると痛がる・使わない・体重をかけないが続くようなら、もう一度見せてください。子どもの骨は治る力が強く、多少のずれは成長とともにまっすぐになります。ただし関節のすぐそばの骨折だけは別で、しっかり治す必要があります。おうちで指先が白い・紫色・冷たい、しびれる、痛みがどんどん強くなる、このどれかがあれば、固定を緩めて、すぐに来てください。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートは日本整形外科学会の一般向け解説ページ(症状・病気をしらべる)を一次資料としている診療ガイドラインではない。用量・固定材料・整復手技には踏み込んでいない。
  • 要確認:「急性期は全周ギプスを避けてシーネ」は本シートの実務上の記載であり、引用元にはその記載がない(学会ページは「ギプスなどで固定」とのみ)。院内の方針に合わせる必要がある。
  • 要確認:コンパートメント症候群の記載(安静時痛の増強・他動伸展痛・知覚異常)も本シートで一次資料を確認していない。載せ続けるなら裏取りが要る。
  • 要確認:toddler's fracture の記載も同様に一次資料未確認。
  • 要確認:「歩き始める前の乳児の長管骨骨折は原則として虐待を考える」は広く用いられる原則だが、本シートでは日本語の一次資料を確認していない。歩かない・手足を動かさないの虐待の項と整合させたい。
  • 要確認:当院で骨折をどこまで持つか。整形の当直がなければ、シーネ固定と鎮痛だけ行って翌日紹介、という運用になるが、それを明文化しておきたい。
  • 要確認:部位別の抜釘・抜糸・固定期間は本シートに載せていない。

出典

  • 日本整形外科学会.症状・病気をしらべる「小児の骨折」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/infants_bone_fracture.html (2026-09-13閲覧)。「子どもから痛みの訴えがあったとき、親は『歩けるから大丈夫』、『関節が動くから骨折していない』などと自己判断しないで、『触ると泣く』、『手を使わない』、『足に体重をかけられない』などの症状があれば、骨折を疑って整形外科を受診しましょう。特に乳幼児では、腫れが少なかったり、骨折していない部位の痛みを訴えたりすることもあり注意が必要です」「転倒や転落によるものがほとんどです。肘関節の周囲や前腕など上肢の骨折が約半数を占め、次いで多いのが鎖骨や下腿の骨折です。成長過程の骨には弾力があり、骨幹部では隆起骨折や若木骨折、力学的に脆弱な成長軟骨が存在する関節周囲では骨端骨折(骨端軟骨の離開)など小児特有の骨折があります」「十分な視診、観察で疼痛部位を予測し、最小限の触診をして、骨折の部位を確認したのち、X線(レントゲン)撮影を行います」「受傷直後にはX線で骨折を確認できないことや、骨折線が現れず弯曲する急性塑性変形もあり、また骨折に関節脱臼を伴うこともあります。骨端軟骨や関節内の骨折では診断が難しいため、骨折が疑われる側だけでなく健側も撮影をしたり、ギプスなどで固定して定期的なX線観察を行い、診断を付けます」「関節周囲の骨折以外は自家矯正が期待できるので、通常は徒手整復による保存療法が行われます。血管損傷や神経損傷がないことを確認して、ギプスなどで固定します。成長期は骨が癒合しやすいので、1〜2カ月たてば安定します。整復後に変形が残ったり骨折部が離れたりしていても、軽度なら心配することはありません。自家矯正力が高いのが小児の骨折の特徴です。不安定な関節周囲の骨折や大きく転位した骨折では、入院して持続牽引を行ったり、経皮ピンニング手術を行ったりします」。
  • 日本整形外科学会.症状・病気をしらべる「上腕骨顆上骨折」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/supracondylar_fracture.html (2026-09-13閲覧)。「転倒や転落などをして、肘の部分に激しい痛みと腫れがあり、痛くて肘がうごかせない場合に、この骨折を疑います。骨折片で神経や血管が損傷されると、手や指がしびれたり動かせなくなることがあります」「ほとんどの例が、転んで手をついたり、鉄棒やうんていから転落して肘が反ることで骨折します。子供によくみられる骨折です」「変形の程度が軽い場合は、ギプスやキャストによる固定を行います。変形が大きくて不安定な場合には手術治療を行います。腫れがひどい場合には、牽引(腕を吊って引っ張る)治療をおこなうこともあります」「神経や血管が損傷されることがあります。血管損傷の場合には、早急に手術が必要です。骨折した部分では、骨が曲がって癒合することで、変性(内反肘)が残ることがあります」。
  • 日本整形外科学会.症状・病気をしらべる「骨折」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bone_fracture.html (2026-09-13閲覧)。「単なる打撲や関節脱臼でも似た症状が出るので、診断をはっきりさせるにはX線(レントゲン)写真を撮ります」「骨全体が弱っていたり、骨の一部が溶けていたりすると、弱い力でも骨折します(病的骨折)。また、健康な骨に弱い力がかかる場合でも、同じ場所に繰り返し長期間かかり続けると骨折することがあります(疲労骨折)」「骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出したものを開放骨折と呼び、治療を急ぐ必要があります」「骨折の転位(ずれ)が無かったり、X線写真に写りにくい骨折の場合は、普通のX線写真だけではなかなか診断できないことがあります。そのような場合にはCT検査が役に立ちます。また、小児の骨にはX線写真に写らない部分があり個人差が大きいので、その部の骨折が疑われる場合は怪我をしていない方のX線写真も撮って比較することがあります」「骨折部がグラグラしない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多く、必要以上の安静はかえってよくありません」。

手技

手技

骨折をその場で診て、固定するまで

「歩けるから大丈夫」「関節が動くから骨折していない」は成立しない。触ると泣く・手を使わない・足に体重をかけられない、があれば骨折を疑う。当直で急ぐのは骨そのものでなく開放骨折・血流障害・コンパートメント症候群・脊椎損傷で、これだけは時間の勝負。

始める前に

  • 「歩けるから大丈夫」「関節が動くから骨折していない」は成立しない。学会が名指しで否定している。触ると泣く・手を使わない・足に体重をかけられない、があれば骨折を疑う
  • 特に乳幼児では、腫れが少なかったり、骨折していない部位の痛みを訴えたりすることもあり注意が必要
  • 受傷直後にはX線で骨折を確認できないことや、骨折線が現れず弯曲する急性塑性変形もある。陰性は否定にならない
  • 骨端軟骨や関節内の骨折では診断が難しいため、骨折が疑われる側だけでなく健側も撮影をしたり、ギプスなどで固定して定期的なX線観察を行い、診断を付ける
  • いつ、どこで、どう受傷したか(高さ・地面・目撃者)
  • 説明が受傷機転と合うか、説明が変わらないか
  • 受傷後に歩いたか/使ったか(機能の変化)
  • 痛みの部位を本人が指させるか
  • 既往の骨折、骨系統疾患、内分泌疾患
  • 最終飲食時刻(整復や手術に鎮静が要るため)
  • アレルギー、内服

手順

  1. 1

    服を脱がせて、左右を見比べる。腫脹・変形・皮膚の破れ・皮下出血を確認する

  2. 2

    痛がる場所を本人に指ささせる。乳幼児は動かさない肢を探す

  3. 3

    触るのは最小限。痛い所を最後に触る

  4. 4

    末梢の循環(脈・色・温かさ・毛細血管再充満)と、知覚・運動を固定の前に記録する

    固定の前後で末梢所見を2回記録しておくと、後から悪化したときに、いつ起きたかが分かる

  5. 5

    開放創の有無を確認し、あれば清潔被覆する

  6. 6

    X線を撮る。関節を含めて2方向。必要なら健側も撮る

  7. 7

    固定する。固定後にもう一度、循環と知覚を確認して記録する

  8. 8

    鎮痛を行う

  9. 9

    整形へつなぐか、帰すかを決める

  10. 10

    開放骨折は清潔被覆・固定・搬送する。創内を消毒しない

    骨折と同時に皮膚が破れて骨折部が露出したものを開放骨折と呼び、治療を急ぐ必要がある

  11. 11

    末梢の脈が触れない・手が白い・退色反応がない場合は血管損傷を疑う。整復で戻ることがあるが、戻らなければフォルクマン拘縮の危険

    血管損傷の場合には、早急に手術が必要

  12. 12

    著しい変形・脱臼を伴う骨折は整復が要る。当院で持てるかは要確認のまま扱う

  13. 13

    頸椎・脊椎の疼痛+神経症状があれば脊椎損傷として固定し動かさない

  14. 14

    安静時痛の増強・他動伸展で激痛・知覚異常・腫脹の緊満があればコンパートメント症候群として、ギプス・包帯を直ちに全周切開して緩め、搬送する

  15. 15

    血管損傷や神経損傷がないことを確認してから、ギプスなどで固定する

    確認が先

  16. 16

    シーネ(副子)で、隣接する関節を含めて固定する

    全周のギプスは腫脹で締まるので、急性期には避けるのが一般的(要確認:この運用は本シートの実務上の記載であり、引用元=学会ページには「ギプスなどで固定」としか書かれておらず、この記載自体はない)

  17. 17

    固定したら挙上する

  18. 18

    上腕骨顆上骨折を疑う場合は、X線前に末梢の循環と知覚・運動を記録する

やってはいけない

  • 創内を消毒しない
  • 帰すときに「陰性=骨折なし」と言わない
  • 骨折部がグラグラしない限りは、その周囲の関節や筋肉は動かした方が良い場合が多く、必要以上の安静はかえってよくない

終わったあと

  • 触ると痛がる・使わない・体重をかけないが続くようなら、もう一度見せる
  • 指先が白い・紫色・冷たい、しびれる、痛みがどんどん強くなる、このどれかがあれば、固定を緩めて、すぐに来る
  • 子どもの骨は治る力が強く、多少のずれは成長とともにまっすぐになる。ただし関節のすぐそばの骨折だけは別で、しっかり治す必要がある
  • 成長期は骨が癒合しやすいので、1〜2カ月たてば安定する
  • 今日のレントゲンで写らなくても、「骨折はない」と言い切ることはできない

この場で持てない・送る

  • 開放骨折 → 持てない。清潔被覆・固定して搬送
  • 血流障害・コンパートメント症候群 → 持てない。締め付けを解除して搬送
  • 著しい変形・脱臼を伴う骨折 → 整復が要る。当院で持てるかは要確認
  • 頸椎・脊椎の疼痛+神経症状/脊椎の損傷 → 脊椎損傷として固定・動かさない。持てない
  • 神経損傷を伴う → 持てない
  • 大きく転位した骨折・関節内骨折・骨端軟骨の骨折 → 持てない(手術・牽引が要る)
  • 不安定な関節周囲の骨折・大きく転位した骨折 → 入院して持続牽引を行ったり、経皮ピンニング手術を行ったりする=当院で持てない
  • 転位の軽い骨折 → シーネ固定+鎮痛は当院。翌日整形へ(当院の整形対応による)
  • 骨折が否定できないがX線陰性 → 固定して再診。当院でフォローするかは要確認
  • 虐待を疑う → 持てない。通告と全身の評価
  • 病的骨折を疑う → 持てない
  • 受傷機転と骨折が合わない/年齢に合わない骨折 → 虐待を疑う
  • 歩き始める前の乳児の長管骨骨折 → 同上。原則として虐待を考える(要確認:この原則は広く用いられるが、本シートでは日本語の一次資料を確認していない)
  • 要確認:当院に整形外科の当直・オンコールがあるか。無いなら、どこへ何時まで送れるか
  • 要確認:当院でシーネ固定の材料があるか(サイズ展開・小児用)
  • 要確認:徒手整復を当院で行うか(行うなら鎮静体制が要る)
  • 要確認:夜間のX線・CTの可否と読影体制
  • 要確認:虐待を疑ったときの通告経路(児童相談所・院内の担当)
  • 要確認:松葉杖・三角巾の在庫と、小児のサイズ
  • 要確認:当院で骨折をどこまで持つか。整形の当直がなければシーネ固定と鎮痛だけ行って翌日紹介、という運用になるが、それを明文化しておきたい

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

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