睡眠時無呼吸・いびき
呼吸器β版・逐条レビュー継続中
施設プロファイル: 二次救急/外科的処置を持たない(アデノイド切除・扁桃摘出術はできない)。
30秒要約
- いびき自体はよくある相談。週に3回より多くいびきが観察される習慣性いびきの有病率は小学校低学年で7%とされている。無呼吸を伴うかどうかで話が変わる。
- 原因の大半はアデノイド・扁桃肥大。アデノイドや扁桃が大きいと空気の通り道が狭くなり、空気が無理やり通ることでいびきや無呼吸が起こります。
- 分岐は「無呼吸の目撃と日中症状があるか」。軽ければ保存的治療、睡眠時無呼吸もみられるようであれば、アデノイド切除や扁桃摘出術を行います(当院ではできない)。
- 日本には小児OSA専用の診療ガイドラインがまだ確立されていない。当直での紹介方針は施設の体制次第。
- 当直で実際に動くことが多いのは、むしろ扁桃摘出後の出血(このシート後半)。出血を認識した時点で耳鼻科/受入先へ連絡し、蘇生評価と搬送調整を並行する。
レッドフラグ → 次の一手
所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。
| 緊急度 | 所見 | その場で次にやること | 時間の勝負 |
|---|---|---|---|
| 119 | 強い努力性呼吸・チアノーゼ・意識レベル低下を伴う急性上気道閉塞 | 気道確保最優先。持てない。感染性の急性閉塞を除外(喉頭蓋炎・深頸部感染症・クループ) | 即時 |
| 119 | 扁桃摘出後の出血に気道・循環の異常を伴う | 蘇生と受入先への即時連絡を並行して搬送。全身麻酔下での止血術が要る施設へ。持てない | 即時 |
| 緊急 | 扁桃摘出後(術後2週間ほど、特に術後7日目前後)の口腔内出血 | 認識時点で専門科へ連絡し、一時的に止まっても帰さず、術者の施設へ連絡 | 即時〜当日 |
| 緊急 | 睡眠中の無呼吸を家族が目撃/動画がある+日中の眠気・多動・学習の問題 | OSAを疑う。ENT紹介の方針を説明。無呼吸の目撃は乳幼児突然のできごと(BRUE)との整理も要る | 数日 |
| 当日 | いびきのみで、無呼吸の目撃なし・日中症状なし | 単純いびきの可能性が高い。悪化・持続すれば外来でENT紹介 | 数週間 |
鑑別:よくあるもの
| 病態 | 特徴 | 当院の扱い |
|---|---|---|
| 単純いびき(無呼吸なし) | 頻度が高い。週に3回より多くいびきが観察される習慣性いびきの有病率は小学校低学年で7%とされている | 経過観察でよいことが多い |
| アデノイド・扁桃肥大 | いびき・無呼吸の主因。アデノイドや扁桃が大きいと空気の通り道が狭くなり、空気が無理やり通ることでいびきや無呼吸が起こります | 保存的治療〜手術適応はENT判断。当院では手術不可 |
| アレルギー性鼻炎・鼻閉 | 鼻がつまっているのであれば、アレルギー性鼻炎の治療を行うことで鼻炎だけではなくアデノイドも小さくなってくることがあります | アレルギー性鼻炎 |
| 肥満関連 | 肥満も関係していることがあります | 生活指導+ENT評価 |
| 感冒に伴う一時的ないびき | 冬の時期は鼻かぜをひきやすく、症状も強くでますが、春ごろから徐々に軽くなってくることもある | 対症療法。持続すれば紹介 |
鑑別:見逃してはいけないもの
治療ワークフロー(当院でやること)
いびき・無呼吸の相談で来院したとき
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0分 | バイタル・上気道閉塞の有無。強い努力性呼吸・チアノーゼがあればレッドフラグ表へ |
| 0〜5分 | 問診(下記チェック)。扁桃摘出後かどうかを必ず聞く |
| 5〜15分 | 口腔・咽頭所見。鼻閉の有無を見る |
| 15分 | 自宅動画があれば見せてもらう。診察の時には、眠っているときの動画(胸とあごの動きが見えるもの)があると参考になります |
| 判断 | 無呼吸の目撃・日中症状があればOSAを疑い、ENT紹介の方針を説明。急性の気道緊急でなければ当院からの搬送は不要 |
扁桃摘出後の出血で来院したとき
出血の認識時点で上級医・耳鼻科/麻酔と受入施設へ直ちに連絡し、搬送を調整する。気道・循環の評価、酸素化と静脈路等の準備を並行する。意識清明なら座位・前傾とし、絶飲食で血液を飲み込ませない。うがい・圧迫の成否を連絡条件にしない。
創部圧迫等は協力と技能があり安全に実施できる場合に限る。気道を刺激する処置を無理に行わない。一時的に止まっても、帰宅させず術者・耳鼻科での緊急評価へつなぐ。
根拠: PCH Post tonsillectomy haemorrhage。小児救急の初期対応。以下の一施設の旧報告は、当院で連絡を待つ手順として使わない。
参考(1施設の後方視的検討):この施設での対応は「当科での術後出血時の対応として,本人が口腔内からの出血を自覚し,冷水うがいを数回行っても出血量が変わらず経過し,創部の圧迫でも止血し得なかった場合に全身麻酔下での止血術を行っている」というもの。輸血が必要な症例はなかった。
所見の取り方
| 所見 | 取り方 | 所見があったら次にどうする |
|---|---|---|
| 呼吸様式 | 陥没呼吸・努力性呼吸の有無を見る | あればレッドフラグ表 |
| 口腔・咽頭 | 扁桃の大きさ・口呼吸・鼻閉を見る | 高度な肥大はENT紹介の材料に |
| SpO2 | パルスオキシメータでスポット測定 | 低下があれば重症度評価。ただし当直での日中スポット値は夜間の評価に代わるものではない(下の検査の項) |
| 扁桃摘出後の創部 | 出血の有無・活動性を見る | あればレッドフラグ表 |
検査
- 監視下ポリグラフ検査(attend PSG)をゴールドスタンダードとしている。当院にPSGはない。
- 実地では、小児のOSAはアデノイド口蓋扁桃肥大による上気道閉塞が最も影響する要素となり,診断はポリグラフ検査がゴールドスタンダードとされているが,施行できない場合には簡易睡眠検査,夜間オキシメトリで代用されているのが日本の現状(学会誌の解説記事、下の出典参照)。夜間オキシメトリはSpO2 90%未満への低下回数やSpO2低下クラスター回数を診断根拠とすることが多いが,検査陰性であってもOSAの否定ができない。
- 重症度の目安として、AHIの重症度について,欧州呼吸器学会(ERS)では,AHI 1–5/hが軽症,5–10/hが中等度,10/h以上が重症と示している(欧州の基準。日本の公式基準ではない)。
- 外来スクリーニングの道具として、保護者記入の質問紙OSA-18(保護者が,過去4週の以下の5分類・18項目を7段階評価(1–7点,最大126点)する)と、自宅での睡眠中の動画が使われている。
- 要確認:当院で簡易睡眠検査(夜間オキシメトリ等)を外来で実施できるか。
問診チェック
- いびきの頻度・強さ(週3回以上か)
- 呼吸停止の目撃、自宅で撮った睡眠中の動画の有無
- 日中の眠気・多動・学習の問題
- 鼻閉・アレルギー性鼻炎の既往
- 扁桃摘出・アデノイド切除の既往(時期、当該手術からの日数)
- 体重増加・肥満の有無
- 顎顔面の形態異常・症候群の有無(先天疾患)
- 早産・低出生体重児だったか
送る/持つ(当院=二次救急・外科的処置を持たない)
| 状態 | 当院の扱い |
|---|---|
| 急性上気道閉塞(努力呼吸・チアノーゼ) | 持てない。気道確保後に搬送 |
| 扁桃摘出後の持続・多量出血 | 持てない。ABC対応と同時に上級医・耳鼻科/麻酔科・搬送先へ直ちに連絡 |
| 扁桃摘出後、一時的に止まった出血 | 再出血の危険があるため、止血を理由に帰宅させず直ちに手術施設へ連絡・専門評価 |
| OSAが疑われる(無呼吸目撃+日中症状) | 持てない(PSG・手術なし)。ENT紹介 |
| いびきのみ、無呼吸の目撃なし | 当院での経過観察・外来紹介で足りることが多い |
エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)
- 当直帯に院内の耳鼻咽喉科はいない(2026-09-14確認)。慢性いびき・OSA疑いは外来紹介につなぐ。術後出血・急性気道閉塞は別であり、夜間も直ちに専門施設へ相談する。
- 過去の院内方針院内記録(2026-09-25):軽度出血を局所処置で観察する記録があるが、現行の即連絡手順として使用しない。今回の原典確認に基づく提案は、出血量や一時止血にかかわらず上級医・耳鼻科/手術施設へ直ちに連絡し、ABC対応と搬送調整を並行すること。院内方針院内の更新承認は未記録。
- 要確認:簡易睡眠検査(夜間オキシメトリ等)が当院で外来実施できるか
- 要確認:PSGが施行できる紹介先と、その待機期間
- 要確認:OSA-18等の質問紙を外来で運用するか(日本語版の使用条件は未確認)
- 決定:中等症以上(明らかな無呼吸・低酸素所見あり)は当日〜数日以内の紹介とし、軽症疑いは外来予約とする(論点:中等症以上を疑うときのENT紹介の緊急度(当日紹介か、外来予約で足りるか))
家族に渡す一文
「お子さんのいびきについてですが、いびき自体はよくあることで、多くは心配いりません。ただ、大きないびきに加えて、息が止まっている、苦しそうに息をしている、夜中に何度も目を覚ます、日中にひどく眠そうだったり、集中できなかったりする、といったことがあれば、耳鼻咽喉科で診てもらう必要があります。原因の多くは鼻の奥にあるアデノイドや、のどの扁桃が大きくなっていることです。軽ければお薬や鼻の処置で様子を見ますが、無呼吸がみられる場合は、アデノイドや扁桃を取る手術になることがあります。手術は全身麻酔で、約1週間の入院が必要です。当院では手術はできませんので、耳鼻咽喉科のある病院を紹介します。」
(扁桃摘出術を受けた後の出血で来院した家族には)「手術後2週間ほどは、のどの傷から出血することがあります。10日を過ぎても出血を軽く考えないでください。止まるか待たず手術を受けた病院へすぐ連絡してください。息苦しい、大量出血、反応が悪い場合は119です。うがいの成否で受診を遅らせないでください。今日は応急の対応をしますが、根本的な止血の処置は当院ではできません。」
出典
- 一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.子どものみみ・はな・のどの病気「睡眠時無呼吸」.https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=22 (2026-09-13閲覧、Last update: 2022年12月1日)。「こどもが大きないびきをかくことは通常ありません。こどもが大きないびきをかく原因として、アデノイド肥大、扁桃肥大、鼻づまり、などが挙げられます。肥満も関係していることがあります。鼻のつきあたりにあるアデノイドや扁桃が大きいと空気の通り道が狭くなり、空気が無理やり通ることでいびきや無呼吸が起こります」「鼻から内視鏡で鼻の奥を観察したり、単純X線写真でアデノイドの大きさを診断します。夜間にいびきをかいているだけではなく、酸素飽和度(血液中に酸素がどのくらい含まれているか、通常98-100%)が低下していないか、睡眠時無呼吸がおきていないか、一晩中モニターを装着して検査を行います。診察の時には、眠っているときの動画(胸とあごの動きが見えるもの)があると参考になります」「鼻がつまっているのであれば、アレルギー性鼻炎の治療を行うことで鼻炎だけではなくアデノイドも小さくなってくることがあります。いびきが軽いのであれば、飲み薬による保存的治療と頻回に鼻汁を吸引してあげることで症状も改善してくることがあります。ただし、睡眠時無呼吸もみられるようであれば、アデノイド切除や扁桃摘出術を行います。通常全身麻酔下に手術を行い、約1週間の入院が必要になります。術後はしばらくのどの痛みがありますが、いびきや無呼吸などの症状は著明に改善します。冬の時期は鼻かぜをひきやすく、症状も強くでますが、春ごろから徐々に軽くなってくることもあり、肥満や顎が生まれつき小さいなど、いろいろな原因も絡んできますので、手術が必要かどうかは耳鼻咽喉科に相談しましょう」。
- 今井丈英.シンポジウム1『小児OSA診療におけるクリニカル・クエスチョン:ガイドライン作成に向けて』小児のOSAの診断はどのように進めたらよいのか(Home sleep testの位置付けを含めて).小児耳鼻咽喉科 2026; 47(1): 1-6.https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/47/1/47_1/_html/-char/ja (2026-09-13閲覧、フリーアクセス)。「小児の閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea,以下OSA)は口蓋扁桃アデノイド肥大が主たる病因となり,睡眠中に上気道が狭窄・虚脱・閉塞することで,いびきや無呼吸・低呼吸,呼吸努力といった睡眠中の症状,さらに日中の眠気や過活動といった症状に結びつく病態である」「小児OSAの有病率は諸家の報告では1~4%と推定されており」「週に3回より多くいびきが観察される習慣性いびきの有病率は小学校低学年で7%とされている」「OSAを悪化させる基礎疾患・病態には小顎や歯列異常といった解剖学的異常,先天疾患や神経筋疾患があるので診療の際には合併症に留意する」「監視下ポリグラフ検査(attend PSG)をゴールドスタンダードとしている」「小児のOSAはアデノイド口蓋扁桃肥大による上気道閉塞が最も影響する要素となり,診断はポリグラフ検査がゴールドスタンダードとされているが,施行できない場合には簡易睡眠検査,夜間オキシメトリで代用されている」「夜間オキシメトリはSpO2 90%未満への低下回数やSpO2低下クラスター回数を診断根拠とすることが多いが,検査陰性であってもOSAの否定ができない」「AHIの重症度について,欧州呼吸器学会(ERS)では,AHI 1–5/hが軽症,5–10/hが中等度,10/h以上が重症と示している」「小児呼吸器学会が2021年に行った学会員850名と小児科専門研修施設代表者472名を対象に行ったインターネット利用アンケートでは,回答率25.7%,総合病院178施設回答を分析し,以下のような結果だった」「OSAの原因がアデノイド口蓋扁桃肥大(ATH)が原因と考えられる際の治療手術適応判定は,睡眠検査の結果にくわえてATHの程度,反復性扁桃炎や中耳炎の合併,睡眠時の動画を加味し,総合的に判断している施設が多いという結果だった」「OSA-18は2000年にFrancoらが公表した」「保護者が,過去4週の以下の5分類・18項目を7段階評価(1–7点,最大126点)する」「さらにAHI 5/h未満のカットオフ値は58点だったと述べている」「小児のOSAの診断はどのように進めたらよいのか,問診,診察所見,アデノイド口蓋扁桃肥大の評価,簡易睡眠検査での診断結果を参考にして記載した.夜間オキシメトリ検査は,SpO2低下やODI,SpO2低下クラスターが出現する場合にはOSA診断に有用だが,小児特有の上気道の不完全閉塞のため簡易検査が陰性であってもOSAが否定できないことに留意し,よりレベルの高い睡眠検査を行うか,他の所見と照らし合わせて診断する必要があると思われた」。
- 中条恭子,平屋有紀子,高橋昌寛,池田このみ.当科で行った口蓋扁桃摘出後の後出血症例の検討.耳展 2017; 60(1): 17-22.https://www.jstage.jst.go.jp/article/orltokyo/60/1/60_17/_pdf/-char/ja (2026-09-13閲覧、PDF、フリーアクセス。単施設の後方視的検討)。「口蓋扁桃摘出術後の後出血は手術を行う耳鼻咽喉科医にとって避けては通れない合併症で,時に重篤となる可能性がある。今回,われわれは当科で3年間に行った口蓋扁桃摘出術177例のうち術後の後出血により全身麻酔での止血操作が必要であった9例(5.1%)に関して検討を行った」「当科での術後出血時の対応として,本人が口腔内からの出血を自覚し,冷水うがいを数回行っても出血量が変わらず経過し,創部の圧迫でも止血し得なかった場合に全身麻酔下での止血術を行っている」「輸血が必要な症例はなかった」「10歳以下では手術症例77例中後出血例2例で2.6%」「後出血の時期には手術から24時間以内の早期出血と術後4〜7日にみられる晩期出血に分けられる」「当科での出血の特徴として50歳以上は手術当日,10歳以下の子供が術後7日目(退院日)の夜に出血がみられたことである。退院日の出血には小児は活動制限ができない年齢であり,退院後の運動や食事についても細やかな指導が必要なことを示唆していると考える」「口蓋扁桃摘出術後10日までは後出血の危険性がある」。
- 日本呼吸器学会(監修).睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf (2026-09-13閲覧、PDF)。小児への言及は「OSAS は成人のものと小児のものに大別され,現状で CSAS には 8 病態があるとされる」「閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)には成人と小児がある」という分類上の記載にとどまり、小児OSAの診断・治療・紹介基準は本ガイドラインの守備範囲外。
病態・根拠11章
閉塞が睡眠と日中症状へ及ぼす影響
睡眠中に上気道の筋緊張が低下し、扁桃・アデノイド等による狭窄が目立つと、呼吸努力を伴う閉塞や低呼吸が起こる。睡眠が分断され、疲れだけでなく注意・行動・学習の問題として現れることがある。単なる寝相の悪さや落ち着きのなさと決めつけず、夜の呼吸を確認する。[1][2]
問診・診察で確かめること
いびきの頻度、呼吸が止まる・あえぐ様子、陥没呼吸、口呼吸、寝汗、朝の頭痛・起床困難を聴く。家族の短い睡眠動画は症状共有に役立つ。肥満、アレルギー、顔面・顎の形、低緊張を伴う基礎疾患も確認する。覚醒時の扁桃の大きさだけで夜間の閉塞の重さを判断しない。[1][2]
検査の意義と限界
睡眠検査は閉塞の程度と呼吸・酸素化への影響を評価し、治療や周術期管理の判断に用いる。いびきの存在だけではOSAを確定できず、逆に日中眠気が乏しくても小児のOSAはあり得る。簡易評価と詳細な睡眠検査のどちらが必要かは年齢、基礎疾患、症状と専門施設の体制に応じて相談する。[1][2]
治療の目的と専門紹介
治療は睡眠中の換気と睡眠の質を改善し、成長・日中機能への影響を減らすために行う。扁桃・アデノイド手術、鼻症状や体重の管理、CPAP等の適応は病態と重症度で異なる。手術が有効な例が多いが全例が治癒するわけではなく、基礎疾患や肥満がある児は特に術後の残存症状を確認する。[1][2]
当院は院内アデノイド切除・扁桃摘出を行わない。反復する明らかな無呼吸や日中機能・成長への影響は耳鼻科・小児呼吸/睡眠診療へ紹介する。覚醒時からの呼吸困難、チアノーゼ、長い呼吸停止や意識の変化は通常の睡眠外来予約で待たせず急性期評価へ切り替える。[2]
継続評価
治療後もいびき、無呼吸、寝汗、起床と日中機能を聞き直す。症状が戻る・残る場合は再評価し、家庭での印象だけで治療終了としない。[1][2]
扁桃摘出後出血は相談と安定化を同時に進める
術後の出血は気道閉塞と循環血液量減少の両方を起こす。見える出血量だけで軽症とせず、出血を認識した時点で専門科・受入施設へ連絡する。局所処置を試してから相談する順序にせず、一時止血後も専門評価につなぐ。[3]
出典・適用範囲
[1]は国内学会、[2]は豪州小児病院の患者・家族向け専門解説。成人のAHI閾値・治療条件を小児に転用しない。数値閾値、手術適応、CPAP設定は専門診療で確認する。 確認日:2026-10-23。
- [3] PCH Post tonsillectomy haemorrhage。小児術後出血の即時専門連絡と安定化。
臨床医が迷う場面
いびきだけの相談で、何を聞けば紹介につながる?
睡眠中の呼吸停止、あえぎ、寝苦しさ、口呼吸に加え、日中の眠気や集中・行動の変化を聞く。保護者の動画は参考になるが単独で重症度を確定しない。無呼吸や日中機能への影響があれば耳鼻科等へ紹介し、必要な睡眠検査を判断する。
扁桃が大きいだけで手術の適応を決めてよい?
扁桃の見た目だけでなく睡眠中の閉塞症状と生活への影響を合わせて評価する。必要時は睡眠検査で確認し、肥満や他の背景も含めて専門医が治療を選ぶ。当院では手術を実施しないため、家族には紹介先での評価と治療の見通しを伝える。
手術後にいびきが減ったらフォローは終了?
術後も無呼吸、いびき、睡眠の質と日中機能を確認する。症状が残る、再び強くなる場合は残存・再発を考えて専門医に再相談する。特に肥満など他の閉塞要因がある場合は、手術をした事実だけで治癒と判断しない。