肘内障(うでを動かさない)

肘内障(うでを動かさない)

整形β版・逐条レビュー継続中

2026-07-31更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

30秒要約

  • 手を引いたあと腕を使わない・だらんと下げている乳幼児に多い。整復は数秒、多くは麻酔不要。
  • 変形・腫脹・末梢循環障害は肘内障にしない。骨折・阻血を除外。
  • 6か月未満、7歳超の初回、機転不明、整復後も使わない、発熱合併は別経路。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
119指先の蒼白・紫・急な冷感、しびれ、指の動き異常家族ページ「受診の目安」の119の項目を指して伝える
緊急明らかな腫脹・変形家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日整復後も使わない、発熱、反復、月齢外れ、機転不明家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. 阻血と骨折を除外してから整復。
  2. 典型例はレントゲン必須ではない。非典型は撮る側。
  3. 整復手技は施設で習った方法のみ。不成功・非典型は上級医。
  4. 家族説明 → Family Guide「肘内障」。再発予防(手を引っ張らない)。

家族に渡す一文

「手を引いたあと腕を使わないときは、よくある肘の靱帯のずれのことが多いです。指先の色が悪い、腫れや変形がある、戻したあとも使わないときはすぐ連絡してください。」
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/肘内障(うでを動かさない)について_患者説明_2026-07-31.html

エスカレーション

  • 阻血、変形、整復不成功、非典型年齢 → 上級医 / 整形外科

出典

  • Family Guide nursemaids-elbow(2026-07-31)と整合

手技

手技

肘内障をその場で整復する

変形・腫脹・末梢循環障害があれば肘内障にしない。骨折・阻血を除外する。典型例なら整復前レントゲンは不要で麻酔も不要、整復は数秒で終わる。

始める前に

  • 阻血と骨折を除外してから整復。
  • 腫脹・変形・皮下出血・強い圧痛がある例、受傷機転が不明/不自然な例、整復操作を2〜3回試みても成功しない例では肘関節X線(2方向、必要に応じ健側比較)を撮影し、上腕骨顆上骨折・外側顆骨折・脱臼を除外する
  • 臨床的に単純な橈骨頭亜脱臼と判断される場合は処置前X線は不要であり、麻酔も不要で直ちに整復を行ってよい
  • 整復手技は施設で習った方法のみ。不成功・非典型は上級医。
  • 要確認:肘内障整復の実施者・実施場所(一般外来 or 整形外科紹介が原則か)
  • 要確認:整復前X線・超音波の運用方針(撮影可否・読影体制、被曝低減の観点での超音波活用可否)

手順

  1. 1

    患側肘を90°屈曲位に保ち、片手の母指を橈骨頭上に当てて固定、もう一方の手で手関節を把持し、急速に前腕を過回内させる(過回内法・第一選択)

    エビデンスの質は「低」だが、過回内法は回外屈曲法より初回整復の不成功率が有意に低い(9.2% vs 26.4%、リスク比0.35[95%CI 0.25-0.50])ため第一選択とされる

  2. 2

    整復成功を橈骨頭部でのクリック音・触知可能なはじける感覚で確認する

    多くは整復直後〜数分で疼痛が消失し腕を使い始める

  3. 3

    過回内法が無効なら、同じ把持で前腕を1回の連続動作で急速にしっかり回外させたのち、肘関節を完全屈曲位まで持っていく(回外屈曲法・第二選択)

    過回内法が不成功だった場合のクロスオーバー(切替)手技として有効とする報告があり、いずれか一方が無効でも他方を試す価値がある

  4. 4

    整復後の固定は行うことも行わないこともある

    固定の要否は一律のGL推奨がなく施設判断

やってはいけない

  • 腫脹・変形がある例への整復操作の先行(骨折を整復操作で悪化させるリスク。先にX線で除外する)
  • 機転不明・非典型例に対する画像評価を経ない反射的な整復試行
  • 整復不成功のまま繰り返し無理な整復操作を反復すること(2〜3回不成功なら画像評価・整形外科紹介に切り替える)
  • 鎮静・麻酔のルーチン使用(典型例では通常不要な処置であり、過剰医療になる)

終わったあと

  • 整復後30分〜数時間経っても腕を使わない・挙げない、痛がる様子が続く場合は再受診
  • 腕の腫れ・変色(蒼白/紫色)・冷感・しびれが出てくる場合は再受診
  • 同じ側の肘内障を短期間に繰り返す場合は再受診
  • 整復が成功すれば通常は速やかに(多くは30分以内に)疼痛が消え、いつも通り腕を使い始める。整復後の活動制限は基本的に不要で、登園・登校の制限も不要
  • 予防として、腕(手首より肘・肩側)を強く引っ張らない、遊びや着替えの際に急に腕を引き上げないよう養育者に説明する

この場で持てない・送る

  • 整復操作(過回内法・回外屈曲法)を2〜3回試みても整復に至らない非典型例・反復例 → 整形外科紹介
  • 腫脹・変形・機転不明でX線上骨折/脱臼が疑われる、または除外しきれない例 → 整形外科紹介・専門的画像評価
  • 受傷機転が不自然、または短期間での頻回反復で虐待が懸念される場合 → 院内の虐待対応フロー・関連部門(要確認)に沿って評価
  • 神経血管障害の所見を伴う例 → 整形外科・救急対応
  • 要確認:整復不成功時・非典型例の整形外科紹介先・連携フロー(愛育内 or 近隣専門施設)
  • 要確認:受傷機転が不自然な例・虐待が疑われる例の院内対応フロー(連絡先・記録様式)

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

詳細リファレンス8章(正本より)

出所: 正本「肘内障_橈骨頭亜脱臼_2026-07-31.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
  • 記録日: 2026-07-31
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが最新の文献・ガイドラインをWeb検索して起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ・個別処方値や患者情報は書かない。

0. 一目でわかるフロー
受診(「腕を動かさない・挙げない」「肩/手首が抜けたよう」の訴え)
  → レッドフラグ評価(腫脹・変形・皮下出血・機転不明/不自然・6か月未満・整復後不使用が持続 など)
  → 該当なし=典型的肘内障として整復へ/該当あり=骨折疑い・虐待の視点でX線・慎重評価
  → 重症度・病型判定(典型例/非典型例/反復性肘内障)
  → 検査(要る/要らない)
  → 治療(過回内法→無効なら回外屈曲法。整復後の可動確認)
  → 再診・帰宅指導・紹介閾値
1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
  • 腫脹・皮下出血・変形: 肘内障そのものは腫れない疾患。少しでも腫脹があれば骨折(上腕骨顆上骨折・外側顆骨折など)を積極的に疑うべきサインで、整復操作より先にX線検査を優先する[1][3]
  • 受傷機転が不明・整復操作を要さない/軽微な外力での発症: 典型的な「引っ張られた」機転がない例、または非典型例(下記2.)は「いきなり整復を試みない・愛護的に整復操作を行う」ことが指摘されている[4]
  • 不自然な病歴・繰り返す肘内障: 手を引く行為自体は日常的に起こりうる一方、頻回の反復例では虐待の可能性も考慮する(海外小児科ソースの一般的注意点)[5]。月齢が極端に低い例(生後6か月未満など通常の好発年齢から外れる例)、養育者の説明が受傷状況と整合しない例も同様に慎重評価
  • 整復操作後も患肢を使わない: 整復成功であれば通常30分以内にほぼ全ての患児が自然に腕を使い始める。この時間内に使用を再開しない場合は再整復の可否、および骨折の可能性を再評価しX線検査を検討する[2]
  • 神経血管所見の異常(末梢の色調・冷感・しびれ・脈拍触知不良): 通常の肘内障では生じない所見であり、骨折・血管神経損傷の除外を優先する
  • 発熱を伴う、または疼痛・可動域制限が48時間以上持続する: 肘内障そのものは発熱を来さない疾患。整復操作を要さず腕を動かさない小児の鑑別には骨折・虐待に加え敗血症性関節炎・骨髄炎が含まれ、これらは"pseudoparalysis"(疑似麻痺)として肘内障類似の像を呈しうる。発熱・関節腫脹・整復操作が奏功しない・症状が48時間以上続く例では感染を積極的に鑑別し、血液検査(WBC・CRP/ESR等の炎症マーカー)と整形外科紹介を検討する[10][11]
  • 7歳以上での初発、または明らかな外傷歴(転倒・打撲)を伴う例: 好発年齢(国内解説では2〜6歳が中心とされることが多いが、AAFP・StatPearls等の海外文献ではピーク2〜3歳・1〜4歳が中心で7歳未満まで起こりうるとされ、1〜2歳児の典型例を非典型と誤認しないよう注意)から外れる場合や、転倒・打撲を伴う場合は骨折の除外を優先する[1][4][9][12]
2. 重症度・病型の判定
  • 典型的肘内障: 好発年齢は国内解説で2〜6歳が中心とされる一方、AAFP・StatPearls等の海外文献ではピーク2〜3歳・1〜4歳が中心(7歳未満まで起こりうる、5歳以降は減少)とされ、両者を合わせると概ね1〜2歳台からが典型域に含まれる[3][4][9][12]。引っ張り・ねじれの機転(手を引かれた/腕を下にして転倒 等)があり、腫脹・変形・皮下出血なし、肘をやや屈曲・前腕回内位で下げたまま動かさない。回内位保持での屈伸は比較的疼痛なく可能だが、橈骨頭圧痛・回外動作で疼痛が誘発される[3][4]
  • 非典型例: 機転不明、腫脹・変形あり、7歳以上または6か月未満、整復音(クリック/触知可能なはじける感じ)を伴わず可動域改善が乏しい例。骨折・脱臼との誤診が生じやすい局面であり、早期に画像評価・整形外科的判断を要する[6]
  • 反復性肘内障: 幼児期に繰り返すことがあるが、成長とともに発症しなくなる(輪状靱帯の発達による)。短期間での頻回反復は上記レッドフラグ(虐待の視点)と合わせて評価する[6]
3. 検査
  • 必要:
  • 腫脹・変形・皮下出血・強い圧痛がある例受傷機転が不明/不自然な例整復操作を2〜3回試みても成功しない例では肘関節X線(2方向、必要に応じ健側比較)を撮影し、上腕骨顆上骨折・外側顆骨折・脱臼を除外する[1][3][6]
  • 発熱・炎症所見を伴い敗血症性関節炎/骨髄炎を疑う例では血液検査(血算・CRP/ESR等)を追加し、整形外科・必要に応じ感染症の視点で評価する[10][11]
  • 超音波検査は、輪状靱帯とともに回外筋が橈骨頭上に引き込まれる所見(いわゆるJサイン/海外文献ではhook signとも呼ばれる)により肘内障の診断・整復確認に有用との報告があり、被曝を避けたい場面での補助診断として選択肢になりうる[6][13]
  • 小児肘は骨端核の骨化が未成熟で軟骨成分が多く画像評価が難しいため、特に外側顆骨折(見逃すと機能障害につながりうるTRASH病変の一つ)を疑う所見がある場合はMRI等の追加評価が推奨されることがある[6]
  • 不要・過剰になりがち:
  • 腫脹なし・機転が典型的(引っ張られた等)・身体所見が典型的な例へのルーチンの整復前X線検査。臨床的に単純な橈骨頭亜脱臼と判断される場合は処置前X線は不要であり、麻酔も不要で直ちに整復を行ってよい[2][3]
  • 血液検査・CT等(骨折・虐待疑いなど特別な適応がない限り不要)
4. 治療
  • 第一選択: 過回内法(hyperpronation法)
  • 手技: 患側肘を90°屈曲位に保ち、片手の母指を橈骨頭上に当てて固定、もう一方の手で手関節を把持し、急速に前腕を過回内させる[2]
  • エビデンス: 2017年Cochraneレビュー(9試験906例のうち、過回内法vs回外屈曲法を比較した8試験811例)で、過回内法は回外屈曲法と比較し初回整復の不成功率が有意に低く(9.2% vs 26.4%、リスク比0.35[95%CI 0.25-0.50]=過回内法1000人あたり174人少ない不成功、成功率換算で約91% vs 約74%相当)とされ、エビデンスの質は「低」ながら過回内法を第一選択とする根拠になっている[7]。施行時の疼痛も過回内法で少ないとする報告があり[8][9]、個別RCTごとの成功率は研究間でばらつく。国内でも1998年の報告以降、回内法を優先する臨床運用が広がっていると示唆する記述があるが、抄録のみの確認で原著(1998年論文)は未確認のため参考情報にとどめる[C]
  • 整復成功の指標: 橈骨頭部でのクリック音・触知可能なはじける感覚。多くは整復直後〜数分で疼痛が消失し腕を使い始める[2][3]
  • 第二選択・無効時: 回外屈曲法(supination-flexion法)
  • 手技: 同様の把持で、1回の連続動作として前腕を急速にしっかり回外させた後、肘関節を完全屈曲位まで持っていく[2]
  • 過回内法が不成功だった場合のクロスオーバー(切替)手技として有効とする報告があり、いずれか一方が無効でも他方を試す価値がある[8]
  • 整復後は簡単な固定を行うことも、行わないこともある(固定の要否は一律のGL推奨がなく施設判断)[6]
  • やってはいけない/非推奨:
  • 腫脹・変形がある例への整復操作の先行(骨折を整復操作で悪化させるリスク。先にX線で除外する)[1][3]
  • 機転不明・非典型例に対する画像評価を経ない反射的な整復試行(4.の非典型例は愛護的な評価を優先)[4]
  • 整復不成功のまま繰り返し無理な整復操作を反復すること(2〜3回不成功なら画像評価・整形外科紹介に切り替える)
  • 鎮静・麻酔のルーチン使用(典型例では通常不要な処置であり、過剰医療になる)[2][3]
5. 再診・帰宅指導・保護者説明
  • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
  • 整復後30分〜数時間経っても腕を使わない・挙げない、痛がる様子が続く
  • 腕の腫れ・変色(蒼白/紫色)・冷感・しびれが出てくる
  • 同じ側の肘内障を短期間に繰り返す
  • 経過の見通し・登園/登校の目安:
  • 整復が成功すれば通常は速やかに(多くは30分以内に)疼痛が消え、いつも通り腕を使い始める。整復後の活動制限は基本的に不要で、登園・登校の制限も不要[2][3]
  • 幼児期には繰り返すことがあるが、輪状靱帯の発達に伴い成長とともに発症しなくなる(目安として6〜7歳以降は稀)[4][6]
  • 予防として、腕(手首より肘・肩側)を強く引っ張らない、遊びや着替えの際に急に腕を引き上げないよう養育者に説明する
  • 紹介・入院の閾値:
  • 整復操作(過回内法・回外屈曲法)を2〜3回試みても整復に至らない非典型例・反復例 → 整形外科紹介
  • 腫脹・変形・機転不明でX線上骨折/脱臼が疑われる、または除外しきれない例 → 整形外科紹介・専門的画像評価
  • 受傷機転が不自然、または短期間での頻回反復で虐待が懸念される場合 → 院内の虐待対応フロー・関連部門(要確認、6.参照)に沿って評価
  • 神経血管障害の所見を伴う例 → 整形外科・救急対応
6. 院内ローカルルール(愛育・要確認)
  • 確定(2026-09-14 確認)(当直帯)夜は院内に整形外科がいないので、整復するなら当直医が行うことになる。行ってよいかの方針は要確認
  • 要確認:整復不成功時・非典型例の整形外科紹介先・連携フロー(愛育内 or 近隣専門施設)
  • 要確認:受傷機転が不自然な例・虐待が疑われる例の院内対応フロー(連絡先・記録様式)
  • 要確認:整復前X線・超音波の運用方針(撮影可否・読影体制、被曝低減の観点での超音波活用可否)
7. 出典(日本のGL優先・URL+版年。運用前に最新版確認)

⚠ [1][3][4][6][10]は開業医・学会公開ページ等の二次〜準一次資料であり、日本小児整形外科学会や関連学会が発行する一次GL文書は本検索では確認できなかった([要確認]:学会公式の診療GL/手技手順書の有無を別途確認)。[C]は抄録のみの確認で原著(1998年論文)の逐語未確認。手技の細部(母指の当て方・回内/回外の角度など)は施設・術者間でばらつきがあるため、実際の指導は院内の整形外科・上級医との手技確認を推奨する。[1][3][4][6]の最終改訂日はページ上に明示がなく未確認([要確認]のまま)。

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