鼻出血をその場で止める
まず気道・循環とショック徴候を見る。 大多数はキーゼルバッハ部位からの前鼻出血で、正しい圧迫止血(小鼻をつまむ・前傾姿勢・頭部を後屈させない)で止まる。鼻腔内ボタン電池と鼻中隔血腫(外傷後の紫色調の隆起)は、圧迫の可否や悪臭鼻漏の有無を待たずに当日・緊急に耳鼻咽喉科紹介が要る時間依存の緊急事態。
始める前に
- 座位でやや前傾(うつむき気味)の姿勢を取らせる。頭部は後屈させない
- 鼻腔内にボタン電池様の異物を視認・強く疑わないか確認する
- 顔面外傷後は鼻中隔に紫色調の隆起(鼻中隔血腫)がないか確認する
- 反復例・止血困難例・他部位出血を伴う例では血算・凝固検査が必要かを判断する
手順
- 1
親指と人差し指で小鼻(鼻翼)をしっかりつまみ、10〜15分連続で圧迫する
鼻翼を圧迫しなければ止血効果が乏しい(鼻根部・鼻背の圧迫では不十分)
- 2
咽頭に流れた血液は飲み込ませず吐き出させる
悪心・嘔吐の予防
- 3
圧迫を頻回に緩めて確認しない
止血完了前の解除は再出血の誘因になる
- 4
無効なら血管収縮薬を浸した綿球・ガーゼを出血側鼻腔に挿入し、さらに10分程度圧迫を追加する
- 5
出血点が視認できれば耳鼻咽喉科で硝酸銀焼灼(4〜5秒)または電気凝固を行う。2回試みて止血しなければ鼻腔パッキング等に切り替える
両側の鼻中隔を同時に焼灼すると鼻中隔穿孔・壊死のリスクがある
- 6
鼻腔内ボタン電池を視認・強く疑う場合は、圧迫止血の可否によらず当日中に耳鼻咽喉科へ緊急紹介する
電気分解による化学熱傷・鼻中隔穿孔を防ぐ、時間依存の緊急事態
- 7
鼻中隔血腫(紫色調の隆起)を認めたら直ちに切開・排液のため耳鼻咽喉科へ緊急紹介する
軟骨壊死・鞍鼻変形を防ぐ
やってはいけない
- 頭部を後屈させて圧迫する(血液の咽頭への流れ込みによる誤嚥・咳き込み・嘔吐のリスク)
- 鼻根部・鼻背を圧迫する(鼻翼を圧迫しなければ止血効果が乏しい)
- 出血部位を確認しないまま焼灼を繰り返す・両側中隔を同時に焼灼する(穿孔リスク)
- 若年性血管線維腫が疑われる例へ外来で生検する(大量出血のリスク)
- ボタン電池疑いの鼻腔異物を、悪臭鼻漏の出現を待って亜急性に精査する
- 鼻中隔血腫を認識しながら緊急ドレナージをせず経過観察する
- 反復・大量出血や他部位出血の合併を確認せず局所処置のみで経過観察を続ける
終わったあと
- 止血直後は強く鼻をかむ・鼻をいじる・熱い入浴・激しい運動を当日は控えるよう伝える
- 単純な前鼻出血は圧迫止血後、当日から通常の登園・登校が可能と伝える(出席停止の対象ではない)
- 反復例には鼻粘膜の保湿、鼻いじり習慣の是正(爪を短く)、室内の加湿を勧める
- 再受診すべきサイン(10〜15分以上圧迫しても止まらない・止まってもすぐ再出血・出血量が多い・顔色不良やふらつき・鼻以外からの出血・片側からの悪臭鼻漏)を伝える
この場で持てない・送る
- 鼻腔内ボタン電池を視認・強く疑う → 当日・緊急に耳鼻咽喉科紹介
- 鼻中隔血腫を認める → 当日・緊急に耳鼻咽喉科紹介
- 正しい圧迫で止血しない、出血点が視認できず焼灼/パッキングが必要 → 耳鼻咽喉科紹介(準緊急〜予定)
- 片側性反復+悪臭鼻漏(異物疑い) → 耳鼻咽喉科紹介
- 思春期男児の片側性・反復性・大量出血(若年性血管線維腫疑い) → 耳鼻咽喉科紹介。外来生検はしない
- 他部位出血・紫斑等ITP/凝固異常を示唆する所見、または血算・凝固検査異常 → 血液内科等紹介
- 説明のつかない鼻出血・保護者の説明と所見の不一致・発達段階に不相応な外傷 → 虐待対応フローに従う
- 出血量が多くバイタル不安定、後鼻出血が疑われ難治性、基礎疾患の精査治療が要る → 入院
- 要確認:本詳細リファレンスはAIが文献をWeb検索して起草した下書き。圧迫時間(10分か15分か)・血管収縮薬とトラネキサム酸の使用基準・紹介閾値は耳鼻咽喉科と院内ですり合わせてから運用する
- 要確認:小児科外来での一次対応の範囲(血管収縮薬含浸ガーゼの常備、硝酸銀焼灼・パッキングは耳鼻科紹介が原則か)と院内採用の血管収縮薬・トラネキサム酸製剤の小児用量基準
- 要確認:夜間・時間外の大量出血/後鼻出血疑い例における耳鼻咽喉科当直体制・紹介動線、鼻腔内ボタン電池疑い例の緊急紹介動線
- 要確認:若年性血管線維腫疑い例の画像オーダー先(放射線科)・耳鼻咽喉科紹介ルート
- 要確認:ITP等血液疾患疑い例の緊急血算オーダー・血液内科紹介フロー
- 要確認:虐待(非偶発的外傷)を疑う所見を認めた場合の院内対応フロー(子ども虐待対応窓口・要保護児童対策地域協議会等への通告要否を含む)
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。