頻呼吸の年齢別閾値(診断における最重要所見)
臨床診断は問診・視診(呼吸数・陥没呼吸)・SpO2・聴診が基本で、外来軽症例でX線は必須ではない(§3参照)。頻呼吸の年齢別閾値は次の通り(WHO基準と国内文献はおおむね一致)。
| 年齢 | 頻呼吸の目安 |
|---|
| 2ヶ月未満 | ≥60回/分 |
| 2〜11ヶ月 | ≥50回/分 |
| 1〜5歳 | ≥40回/分 |
| 学童以上 | ≥20回/分(参考値。二次情報源経由でGL2022を確認した値で、原典未照合。年少児より基準が急落する点は生理的に妥当だが、運用前に原典表での確認を推奨)[1][5](要確認:原典未照合) |
出典: 小児呼吸器感染症診療ガイドライン2022の要約[1][5]、WHO IMCI(Integrated Management of Childhood Illness)の頻呼吸基準[4]
重症度分類
国内GLは全身状態(良好/不良)・経口摂取障害/脱水の有無・SpO2・呼吸努力・無呼吸・循環不全・意識状態を評価項目とし、軽症・中等症・重症の3段階で判定する。中等症以上は該当項目が1つでもあればその段階と判定する枠組みを採用している[1][5]。SpO2は軽症≧93%・中等症<93%・重症は酸素投与下でも<93%が目安として引用される。評価項目の種類(無呼吸を含む点)は二次情報源で確認できたが、各項目の詳細な採点基準・カットオフ値は原典の表で確認すること[1][5](要確認:原典未直接確認、二次情報源からの要約)。
病型鑑別(臨床像による見分け)
- ウイルス性: 乳幼児に多い。先行するかぜ症状から徐々に増悪、喘鳴を伴うことが多い(RSV等の季節性ウイルスが背景にあることが多い)
- 細菌性(肺炎球菌等): 急な高熱・患側性の聴診所見・CRP高値の傾向。全年齢で起こりうるが乳幼児で重要
- マイコプラズマ: 学童〜若年成人に好発。乾性咳嗽が遷延し、聴診所見の割に全身状態が保たれる(「歩く肺炎」と称されることがある)のが典型だが非典型例もある。家庭内・学校等での集団発生に注意。2024年半ばから全国的な流行が継続しており、2025年以降も動向注視が必要[3]
見逃しやすい鑑別・背景因子
- 細気管支炎(RSV等): 生後24ヶ月未満、特に乳児の喘鳴を伴う下気道感染では肺炎との鑑別が問題になる。呼吸窮迫の増悪・チアノーゼ・嗜眠・無呼吸の既往・低酸素血症・哺乳不良は入院適応となる点は肺炎の重症化サインと共通する[12]
- 気道異物(誤嚥): 突発発症・窒息エピソードの問診が鍵。片側性の呼吸音減弱・喘鳴・遷延する咳嗽は胸水/膿胸だけでなく気道異物の典型像でもあり、特に1〜3歳で誤嚥・誤飲事故が多い[13]
- 百日咳: 生後2ヶ月未満では百日咳菌感染により急速な呼吸不全・無呼吸・脳症・肺高血圧症を来しうる致死的経過が報告されている。2024年以降、国内でマクロライド耐性百日咳菌の分離頻度増加も報告されており、生後2ヶ月未満の遷延性咳嗽・無呼吸では百日咳菌のPCR/LAMP検査を検討する(2025年6月改訂の学会注意喚起)[11]
- ワクチン接種歴: PCV13/15(肺炎球菌結合型ワクチン)・Hibワクチンの接種状況は重症度・起炎菌の推定に影響する。国内ではPCV13定期接種導入後、対象血清型による侵襲性肺炎球菌感染症が乳幼児で大幅に減少したと報告されており、未接種・接種不完全児では侵襲性感染症のリスクが相対的に高い点を問診で確認する[14]