熱中症は深部体温を待たずに重症度を判定し、冷やしながら送る
熱中症は感染症・悪性症候群による中枢性高体温・甲状腺クリーゼなどを除外して診断する除外診断。2024年版は深部体温が測れなくても「表面体温40.0℃以上(または皮膚に明らかな熱感)+GCS≦8(またはJCS≧100)」=qⅣ度で最重症を判定できる基準を置いた。冷却は当院で始めるが、小児は冷やしすぎることに注意する。
始める前に
- 感染症、悪性症候群による中枢性高体温、甲状腺クリーゼなど他の原因疾患を除外したうえで熱中症と診断する(『暑熱環境に居る、あるいは居た後』の症状として…感染症や悪性症候群による中枢性高体温、甲状腺クリーゼ等、他の原因疾患を「除外」したもの)
- 体温は測り方(腋窩か深部か)を記録する。腋窩温だけで重症度を軽く見ない(体温は測り方を記録する(腋窩か、深部か)。腋窩温で重症度を決めない)
- 意識レベルを数字で(GCSまたはJCS)評価する。qⅣ度の判定に直結する(意識レベルを数字で(GCSまたはJCS)。qⅣ度の判定に直結する)
- 自力で水分がとれるか、実際に試す(自力で水分がとれるか、を実際に試す)
手順
- 1
qⅣ度(表面体温40.0℃以上または皮膚に明らかな熱感+GCS≦8またはJCS≧100)に該当すれば、深部体温の測定を待たずに冷却を開始しながら搬送手配する
深部体温の測定不要で使える最重症判定基準として2024年版が置いた
- 2
冷却は蒸散冷却法(体表に水をかけて送風する)を行う
合併症が少なく、局所冷却法(アイスパック)より冷却速度も速い(0.31℃/分)
- 3
0〜10歳の小児では冷却中、急速な体温低下に注意する(冷やしっぱなしにしない)
体重に対する体表面積が大きく、十分な冷却効果が期待できる反面、急速な体温低下の可能性がある
- 4
搬送を決めたら、冷却を止めずに搬送する(搬送中も継続できるか確認する)
- 5
搬送時は体温(測定部位つき)・意識レベル(GCS/JCS)・環境と曝露時間を伝える
やってはいけない
- 深部体温が測れないことを理由に重症度判定を待たない(qⅣ度は深部体温測定不要)
- 腋窩温だけで重症度を軽く見ない(重症度の判定には正確な体温の評価が要る)
- 小児の目標体温を「38.0℃まで下げる」のように数値で機械的に適用しない(小児のエビデンス不足を理由にガイドラインがCQからFRQへ変更している)
- 胃洗浄・膀胱洗浄は、小児では採用文献がなく、水中毒や誤嚥などのリスクを勘案する必要がある(正本は明確な禁止を述べていない。院内で方針を決める)
- 冷却中は過冷却に注意する(小児は下がりすぎる)
終わったあと
- 意識清明で自力で水分がとれる場合は、涼しい場所、冷却、経口補水で対応し、再受診条件を渡す
この場で持てない・送る
- Ⅳ度・qⅣ度は持てない。冷却を開始しながら集中治療のある施設へ
- 意識障害が続く・臓器障害を疑う場合も持てない
- 要確認:集中治療のある施設の夜間・休日の受け入れ先と直通番号
- 要確認:当院で深部体温(直腸温・膀胱温)を測れるか。測れないならqⅣ度で運用する
- 要確認:蒸散冷却(送風・噴霧)の器材が救急外来にあるか
- 要確認:搬送中の冷却継続の可否
- 要確認:2015年分類のⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度の度数別症状定義は、正本ではPDFの表組みが崩れて完全には取得できていない。Ⅰ〜Ⅲ度の運用基準は原本で補う必要がある
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。