意識障害・反応が悪い

緊急

意識障害・反応が悪い

救急・外傷・中毒β版・逐条レビュー継続中

2026-09-12更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。

施設プロファイル: 二次救急/人工呼吸管理・小児集中治療なし・脳外科なし/当直帯に頭部CT・MRIは撮れない(2026-09-14 確認)。腰椎穿刺・導尿・ルート確保はできる。

30秒要約

  • 血糖を最初に測る。意識障害で「まだ測っていない」状態を作らない。低血糖なら検査より先にブドウ糖。
  • 意識が悪い乳児は、腹部症状だけで来ることがある。腸重積・敗血症・中毒・虐待が「ぐったり」の顔で来る。
  • 発作が止まったのに意識が戻らないなら、非けいれん性重積を疑う(けいれん重積)。
  • 瞳孔・呼吸パターン・姿勢を見る。頭蓋内圧亢進のサインを見逃さない。
  • 当院は院内人工呼吸管理も脳外科対応も持たない。気道が危うい・頭蓋内病変を疑う時点で送る。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119気道が保てない・呼吸が不規則・SpO2低下気道確保と酸素。人工呼吸管理は当院で持てない。緊急搬送秒〜分
119ショック(末梢冷感・CRT>3秒・頻脈)ルート確保、等張晶質液ボーラス。敗血症を疑う待たない
119低血糖検査より先にブドウ糖。投与後に再検分単位
119瞳孔不同・対光反射消失・除脳/除皮質肢位・Cushing現象(徐脈+高血圧)頭蓋内圧亢進。当院にCTも脳外科も無い。この所見だけで搬送を起動する(腰椎穿刺は禁忌)待たない
緊急発作が止まっても意識が戻らない非けいれん性重積。脳波が要る=当院で持てない30分
緊急発熱+意識障害+髄膜刺激徴候細菌性髄膜炎・脳炎。抗菌薬のタイミングを遅らせない時間単位
緊急頭部外傷の既往頭部打撲のPECARN。嘔吐・健忘・意識変容—
緊急薬・化学物質の曝露が疑われる急性中毒。吐かせない物質による
緊急説明のつかない意識障害+外傷痕・受傷機転の不一致虐待(乳幼児頭部外傷)を疑う(外傷・跛行)—
緊急多飲多尿・体重減少・深く速い呼吸DKA。血糖・血液ガス・尿ケトン時間単位

最初の3分でやること

  1. A・B・C。気道が保てるか、呼吸パターン、循環。
  2. 血糖測定。低血糖ならブドウ糖を投与し、投与後の反応を見る。
  3. 意識レベルを数字で記録(JCS/GCS、乳児はAVPUでもよい)。時刻とセットで。
  4. 瞳孔(左右差・大きさ・対光反射)、姿勢(除脳・除皮質)、髄膜刺激徴候。
  5. 体温、SpO2、血圧。
  6. 全身の皮膚(紫斑・外傷痕・注射痕)。
  7. ルート確保と採血(血算・生化・血糖・血液ガス・アンモニア・血液培養)。

鑑別:意識障害の原因を漏れなく当たる

群具体拾い方当院の扱い
代謝低血糖、DKA、電解質異常(低Na・高Na・低Ca)、高アンモニア血症、肝不全、尿毒症血糖・血液ガス・電解質・アンモニア初期対応は当院。管理は施設による
感染細菌性髄膜炎、脳炎、敗血症、重症肺炎発熱、髄膜刺激徴候、全身状態初期抗菌薬は当院。集中治療は持てない
中毒薬剤、アルコール、一酸化炭素、家庭用品曝露歴、瞳孔、におい(急性中毒)初期対応は当院。解毒薬・血液浄化は持てない
頭蓋内外傷・出血・腫瘍・水頭症・脳梗塞瞳孔不同、局在徴候、頭痛の先行、外傷歴持てない。脳外科のある施設へ
てんかん非けいれん性重積、発作後もうろう発作の目撃、脳波脳波は持てない
循環ショック、不整脈、心筋炎末梢循環、心電図(失神)循環管理は持てない
呼吸低酸素、高CO2SpO2、血液ガス人工呼吸管理は持てない
体温熱中症、低体温体温、環境初期対応は当院
外傷・虐待乳幼児頭部外傷(AHT)受傷機転と所見の不一致、網膜出血の評価は専門施設通告と搬送

乳児の「なんとなく変・ぐったり」

  • 保護者の「いつもと違う」は初期症状のことがある。軽視しない。
  • 腹部疾患が「ぐったり」で来る(腸重積・急性腹痛)。
  • 哺乳不良・無呼吸・体温不安定は、乳児の敗血症の顔。
  • 3か月未満は生後3か月未満の発熱の枠で考える。

問診チェック

送る/持つ(当院=二次救急・人工呼吸管理なし・脳外科なし)

状態当院の扱い
気道が保てない・呼吸管理が要る持てない。緊急搬送
頭蓋内病変を疑う持てない。脳外科のある施設へ
非けいれん性重積を疑う(脳波が要る)持てない
低血糖・脱水・軽症の電解質異常当院で補正しうる
敗血症・髄膜炎を疑う初期の輸液と抗菌薬は当院で始める。集中治療は送る
中毒初期対応は当院。解毒薬・血液浄化は送る

送ると決めた時点でやること

  1. 気道・酸素を確保する
  2. 血糖を測ってから送る(送り先が最初に聞く)
  3. 意識レベルの推移を時刻つきで記録して渡す
  4. 実施した処置(ブドウ糖・抗菌薬・輸液)を時刻つきで伝える

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:小児の人工呼吸管理・集中治療ができる施設の夜間・休日の受け入れ先と直通番号
  • 要確認:脳外科対応が必要な場合の受け入れ先
  • 確定(2026-09-14):夜間に頭部CTは撮れない。画像で確かめる工程が無いので、所見だけで搬送を決める
  • 確定(2026-09-14):夜間に血液ガスは出せる。血液培養は採れるが、夜間に検査室へ提出できない(抗菌薬の前に採って保管し翌朝提出)。アンモニアの可否は未確認——出ないと代謝性疾患の入口が夜に塞がるので、確認したい
  • 要確認:虐待を疑ったときの院内手順(外傷・跛行と共通)

家族に渡す一文

「反応が鈍い原因はいくつもあり、血糖が下がっている・感染・頭の中の問題・薬や物を口にした、などを順番に確かめます。まず血糖を測ります。当院でできない検査や治療が必要と判断したら、できる病院へ移っていただきます。いつからどう変わったかを、できるだけ具体的に教えてください。」

出典

  • 日本小児神経学会.小児てんかん重積状態・けいれん重積状態治療ガイドライン2023.https://www.childneuro.jp/uploads/files/about/SE2023GL/03SE_vol01.pdf (2026-09-12閲覧)。初期対応に「血糖測定(必要ならブドウ糖投与)」が明記されていること、発作が止まっても意識が回復しない場合の非けいれん性重積の枠組み。
  • 日本中毒情報センター.中毒事故が起こったら.https://www.j-poison-ic.jp/general-public/response-to-a-poisoning-accident/at-home/ (2026-09-12閲覧)。吐かせないこと(詳細は急性中毒)。
  • 日本小児科学会 子ども虐待問題プロジェクト.虐待を受けた子どもの放射線所見.https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/abuse_15.pdf (2026-09-12閲覧)。受傷機転と所見の不一致(詳細は外傷・跛行)。
  • 注記: 本シートの鑑別の枠組み(代謝・感染・中毒・頭蓋内・てんかん・循環・呼吸・体温・外傷)は、個々の項目を上記および各疾患シートの一次情報に紐づけて構成したもので、この枠組み自体を示す国内の一次ガイドラインは確認できていない。

計算

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
計算

気管チューブのサイズと固定長(JRC 2020)

歳
cm(任意)
kg(任意・上の体重欄と連動)

算出式は指標であって、確定ではない。実際のサイズは声門・気管の見え方と換気の状態で決める。挿管後は聴診で両肺換気を確認し、頭位が変わるたびに確認し直す(前屈で深く、後屈で浅くなる)。体重が不明なときに年齢から体重を推定して代用しない — JRCは実際の体重を用い、わからない場合はあらかじめ投与量が計算された身長テープを用いることを示している。

いつ使う

2歳以上の小児で、年齢からチューブ内径と経口固定長の目安を出す。固定長は式ごとに数cm違うので、幅として持っておいて聴診で詰めるのが正しい使い方。

落とし穴
  • 2歳未満はこの算出式の対象外。年齢式を無理に当てない
  • カフなしとカフ付きで式が違う。さらにカフ付きにもMotoyama(大きめ)とKhine(小さめ)の2流儀があり、JRCはどちらも併記している。Motoyamaはシーリング性が高い反面サイズ過大の可能性、Khineは過大を避けられる反面リークでチューブ交換が必要になる可能性
  • 内径×3 の固定長はカフなしチューブを前提とした式で、カフ付きにそのまま適用できない
  • 狭すぎるチューブは気道抵抗と呼吸仕事量を増やし、リークを減らそうとして過大なカフ圧を要することになる
  • 「引き抜き法」は信頼性が低い可能性がある。深さマーキングも製品ごとに位置が違い統一されていない
次の一手

カフ付きを使うときは、カフを膨らませない状態で陽圧換気によるリークを確認し、カフ圧を最大20(〜25)cmH2O となるようモニタリングする。カフ圧も頭位で変わり、頭頸部の回旋・前屈・後屈で2.6〜6.9 cmH2O変化する。

出典

JRC蘇生ガイドライン2020 第3章 小児の蘇生(PLS)p.172-173「4)カフなしチューブとカフ付きチューブ」。Cole の式・Motoyama の式・Khine の式、固定長の3式、内径×3の簡便式、カフ圧の記載はいずれも同ページ。原文PDFで直接確認(2026-09-13)。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

計算

心停止:投与・除細動計算(AHA 2025)

心停止の用量

医療者向け・AHA 2025。生後28日以降〜思春期前。院内採用手順・製剤・機器の確認前で、院内承認済みの手順ではありません。

CPRや除細動を入力待ちで遅らせない。実測体重を優先し、不明なら検証された身長テープ等を使う。

ソフトウェア入力範囲:0.5〜200 kg。小数3桁まで。年齢の適用範囲とは別です。

抗不整脈薬・脈あり頻拍・出典

難治性VF/無脈性VT:アミオダロン5mg/kgボーラス(初回最大300mg、追加の1回最大150mg)またはリドカイン1mg/kg。反復方法、採用製剤と投与方法は原典・院内手順を確認します。

脈がある頻拍の同期電気ショック・ATP・緩徐投与の抗不整脈薬は、心停止の量と分けて頻拍のページで確認します。

AHA/AAP 2025 小児心停止アルゴリズム/心停止の対応手順

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

病態・根拠10章
鑑別の考え方:意識を戻す前に、脳への二次的な障害を防ぐ

意識障害は診断名ではなく、低血糖、低酸素、循環不全、感染、外傷、中毒、発作などの結果として現れる。気道と換気、灌流、血糖を同時に評価し、修正できる原因に対処する。普段の発達や障害によって反応の基準が異なるため、家族の「いつもと違う」という観察を重視する。AVPUや年齢に合うGCSを用い、単回値より変化を記録する。[1]

発作後か、発作が続いているか

目立つけいれんが止まっても、非けいれん性の発作が続く場合がある。発作の持続、投薬時刻、呼吸への影響、回復の推移を確認する。薬剤による鎮静や通常の発作後状態も候補だが、それだけと決める前に低血糖・呼吸循環障害・持続発作を評価する。非けいれん性重積の確定には脳波が重要で、神経専門診療へつなぐ。[2]

検査で分かることを区別する

迅速血糖は直ちに修正できる代謝原因を調べる。電解質・血液ガス・肝腎機能等は病態に合わせ、外傷、感染、中毒の情報を並行して集める。血液検査が正常でも頭蓋内出血や脳炎は否定できない。頭痛・嘔吐、局在所見、瞳孔や姿勢の異常は頭蓋内病変の評価につながる。頭蓋内圧亢進や全身不安定が疑われる状況では、腰椎穿刺を先行しない。[1]

当院では、安定化と搬送相談を並行する

当直帯にCT・MRI、人工呼吸管理、小児集中治療がないため、気道保護が必要、意識が進行性に悪化、頭蓋内病変や持続発作を疑う場合は早期に受入先へ連絡する。検査のために治療を止めず、発見時刻、家族が確認した普段の状態、投薬・輸液、血糖と反応の推移を渡す。[1][2]

一度反応が良くなった後も、原因と再発を確認する

帰宅は意識が普段の状態に戻り、原因と再発リスクが評価され、必要なフォローが確保されてから考える。一時的に覚醒したことだけで、頭部外傷や中毒、感染、発作の評価を終了しない。保護者へは、再び起こしにくい、呼吸がおかしい、けいれん、新たな頭痛・嘔吐の際の再受診を具体的に伝える。[1][2]

髄膜炎・脳炎を疑う場合は、必要な抗菌薬と適応のある抗ウイルス薬を検査結果待ちで遅らせない。採血・専門連絡と治療判断を並行し、髄膜炎・脳炎/脳症の対応へつなぐ。[1]

出典と適用範囲

意識障害の原因ごとの薬剤量、画像前後の処置は該当する院内手順と専門医判断で確認する。

臨床医が迷う場面
低血糖を補正したのに覚醒しない。ブドウ糖を重ねる?

まず血糖を再測定し、補正されたかを確認する。正常化しても反応不良なら、低酸素・ショック、中毒、頭蓋内病変、非けいれん性重積などを並行評価する。血糖だけに原因を固定せず、気道が危うい場合はその場で応援と搬送調整を始める。

出典:RCH 意識障害(海外指針)

眠剤の誤飲らしいので、眠りから覚めるまで待てる?

薬の種類・時刻・残量を確認するが、推定量だけで安全としない。呼吸数・換気、酸素化、循環、血糖、意識の推移を監視する。原因不明の意識低下を単なる眠気とせず中毒情報と相談する。家庭で吐かせず、気道保護が難しければ集中治療可能な施設へつなぐ。

出典:RCH 意識障害(海外指針)

熱があり意識が悪い。髄液検査を先に済ませる?

初期安定化を優先する。瞳孔不同、異常肢位、局在神経所見、呼吸循環不安定などでは腰椎穿刺を急がない。中枢神経感染症を疑う場合も、検査の完了を待って抗菌薬や専門連絡を遅らせず、検査可能な上位施設と安全な順序を相談する。

出典:RCH 意識障害(海外指針)

同じ場面のシート

BRUE(乳児の短時間の危急事態)・無呼吸発作救急・外傷・中毒けいれん重積・無熱性けいれん救急・外傷・中毒こどもの熱傷(やけど)救急・外傷・中毒チアノーゼ・動脈管依存性心疾患を疑うとき救急・外傷・中毒ビタミンK欠乏性出血症を疑うとき救急・外傷・中毒医療的ケア児・重い基礎疾患のある子の急変救急・外傷・中毒虐待・ネグレクトを疑った時救急・外傷・中毒急性中毒・誤飲(薬・洗剤・たばこ・石油製品)救急・外傷・中毒血栓症・DICを疑うとき救急・外傷・中毒最初の5分 — 小児を診るときの初期評価と次の一手救急・外傷・中毒出生直後の状態不良・新生児蘇生の入口救急・外傷・中毒徐脈・伝導障害・遺伝性不整脈を疑うとき救急・外傷・中毒小児・思春期の性被害 初期対応救急・外傷・中毒小児の心不全・心筋症を疑うとき救急・外傷・中毒心筋炎を疑うとき救急・外傷・中毒心雑音・先天性心疾患救急・外傷・中毒低体温(偶発性低体温症)救急・外傷・中毒溺水救急・外傷・中毒電撃傷(感電・落雷)救急・外傷・中毒頭を打ったとき(頭部打撲)救急・外傷・中毒動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺され救急・外傷・中毒動悸・上室頻拍を疑うとき救急・外傷・中毒熱性けいれん救急・外傷・中毒熱中症救急・外傷・中毒

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