長引く咳(3週以上)

長引く咳(3週以上)

呼吸器β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/小児呼吸器・アレルギー専門外来なし。結核を疑った場合の陰圧室・結核病床の有無は要確認。
急性期の対応が別に立っているものはそちらへ: 誤嚥・窒息は気道異物・窒息、喘鳴・呼吸困難の急性増悪は喘息の発作、百日咳・マイコプラズマの各論はそれぞれ百日咳マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎

30秒要約

  • 咳は持続期間で3つに分ける。「持続期間に基づいて、3週未満を急性咳嗽、3週以上8週未満を遷延性咳嗽、8週以上を慢性咳嗽とする分類」(小児の咳嗽診療ガイドラインの分類)。
  • 分岐はまず年齢で立てる。本邦の小児の長引く咳嗽(医師の診断ベース)は「呼吸器感染症が35.1%、気管支喘息が33.4%、次いで後鼻漏症候群が24.3%」。低年齢層ほど感染症の割合が高い。
  • 最初に外す2つは結核と気道異物。結核は「2週間以上継続的に咳嗽症状のある患児」が隔離・スクリーニングの対象。気道異物は誤嚥エピソードの有無を必ず聞く。
  • 乾性か湿性か、いつ消えるかが手がかり。学童・思春期で「睡眠中あるいは遊びや勉強に熱中しているときには全く聞かれない乾性咳嗽」は心因性咳嗽を疑う所見。
  • 8週以上で他に症状がなければ経過観察でよいこともある。ただし結核など見逃してはいけないものを外した後の話。「8週以上続く咳嗽のみでほかに症状のない小児におきましては、1-2週間の経過観察でも特に症状がなくなればフォローを中止します」(ガイドライン著者の解説)。

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
緊急2週間以上続く咳+最近結核に罹患した家族・親族・同居人一般待合から隔離(陰圧室が望ましい)。N95マスク着用。胸部X線+結核感染診断。下記「結核を疑ったら(当院での初動)」へ即時
緊急乳児の咳+哺乳不良・体重増加不良・顔色不良・呼吸困難・嘔吐・けいれん・意識障害すでに粟粒結核や髄膜炎に至っていることが多い。画像・血液・搬送を急ぐ即時
119誤嚥エピソードのあとの咳+片側呼吸音低下・限局する喘鳴気道異物を疑う。気道異物・窒息即時
緊急乳児の咳+無呼吸・チアノーゼ(咳が先行しないこともある)百日咳を疑う。百日咳即時
緊急喘鳴・呼吸困難の急性増悪喘息発作として対応。喘息の発作即時
当日学童・思春期で日中に激しく、夜間・没頭時に消える乾性咳嗽心因性咳嗽を疑う。「咳喘息と誤診され、長期管理薬による喘息治療が追加されても効果がなく、より保護者の不安をかき立て、より咳嗽が増強する症例がある」。安易に喘息治療を足さない数日〜
当日解熱後も乾性咳嗽が3〜4週間持続マイコプラズマらしい経過。マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎数日〜
当日湿性咳嗽が遷延し、抗菌薬でも改善しない遷延性細菌性気管支炎(PBB)の概念はあるが本邦での頻度は不明(下記)。精査へ数日〜
当日体重増加不良・成長の頭打ち基礎疾患(下記)を背景に持つ遷延・重症化を疑う。成長で評価数日〜

咳の持続期間による分類(学会の定義)

分類期間
急性咳嗽3週間未満
遷延性咳嗽3週間以上8週間未満
慢性咳嗽8週間以上

持続期間に基づいて、3週未満を急性咳嗽、3週以上8週未満を遷延性咳嗽、8週以上を慢性咳嗽とする分類といたしました(小児の咳嗽診療ガイドライン作成に関わった獨協医科大学 吉原重美による解説。下記出典)。この3区分は2025年に改訂された成人向けの咳嗽・喀痰の診療ガイドラインでも踏襲されている(下記出典・日本呼吸器学会2025年版の解説記事)。

年齢による原因疾患の違い(当院で使う地図)

年齢層特徴的な原因手がかり
新生児・乳児期早期先天異常(「出生後あるいは乳児期早期の吸気性喘鳴は、先天異常を疑わせます」)。哺乳障害・胃食道逆流症・鼻咽頭逆流症による誤嚥。百日咳(「発作性の連続的な咳込みに続く「ヒーッ」という吸気性笛性喘鳴(whoop)」が特徴だが、生後6か月以下では必ずしもこのような症状がなく、咳嗽を多発し、無呼吸を来す例をしばしば認める哺乳時に悪化するか。吸気性喘鳴があるか。ワクチン歴
幼児期気管支喘息(「たばこや花火などの煙、運動時、深呼吸時の呼気性喘鳴が特徴」)。マイコプラズマ・クラミジア肺炎(マクロライド治療後も乾性咳嗽のみ持続することがある)。鼻・副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎による後鼻漏症候群。受動喫煙。気道異物喘鳴の誘因。発熱の経過とマクロライド使用歴。誤嚥の目撃
学童・思春期心因性咳嗽(日中に激しく、夜間・没頭時に消える)。咳喘息・アトピー咳嗽(頻度は少ない)夜間・集中時の有無。心理社会的背景

鑑別:よくあるもの

病態手がかり次の一手
感染後咳嗽先行する気道感染症の後、乾性咳嗽だけが残る経過観察。他疾患を除外できていれば
気管支喘息・咳喘息喘鳴・夜間/運動時増悪・季節性喘息の発作
後鼻漏症候群(鼻・副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎)鼻汁・鼻閉、横になると悪化急性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎(花粉症)
マイコプラズマ・クラミジア肺炎解熱後も乾性咳嗽が持続マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎
胃食道逆流症・鼻咽頭逆流症(乳幼児の誤嚥)哺乳時に悪化胃食道逆流症・乳児の嘔吐
受動喫煙家族の喫煙歴問診で必ず聞く

鑑別:見逃してはいけないもの

病態手がかり当院の扱い
結核2週間以上継続的な咳、家族・同居人に結核患者、高まん延国滞在歴隔離・届出(下記「結核を疑ったら」)
気道異物誤嚥の目撃、片側性の呼吸音低下、原因不明の遷延する咳・反復する肺炎気道異物・窒息持てない(摘出は外科的処置)
百日咳(特に生後6か月以下)咳が先行しないことがある。無呼吸・チアノーゼで来る百日咳
先天性気道形態異常乳児期早期からの吸気性喘鳴画像・専門施設紹介
基礎疾患を背景にした遷延・重症化(「慢性肺疾患、免疫不全、原発性線毛機能不全症、重症心身障害児、心疾患、気管支拡張症、薬剤性の咳嗽」)既往歴・体重増加不良基礎疾患の管理と合わせて専門施設と連携

結核を疑ったら(当院での初動)

  • トリガー:「外来では、2週間以上継続的に咳嗽症状のある患児、最近結核に罹患した家族・親族や同居人があり、結核感染・発病の可能性のある患児は、一般の待合区域から感染対策のなされた特定の区域(独立した空調を持つ陰圧室が望ましい)に隔離し、優先的に診察とスクリーニングのための各種検査を実施する」。
  • 感染対策:「結核は標準予防策に加えて、空気感染予防策が必要なため、排菌が疑われる患児を診療する医師や医療スタッフは原則としてN95マスクを着用する」。排菌の可能性が低いとき(コッホ現象疑いなど)はサージカルマスクで代用可、排菌が疑われる患児本人にもサージカルマスクを着用させる。
  • 届出義務:「法12条に基づき、医師は結核患者を診断した場合は直ちに保健所に届出る。治療が必要なLTBIと診断した場合も届出は必要である」(LTBI=潜在性結核感染症。患者死亡後に結核と診断された場合も届出は必要)。
  • 入院の適応:① 感染症法に基づき厚生労働省から示されている「結核の入院基準」に該当する場合 ② 結核性髄膜炎・粟粒結核・胸膜炎などの重症結核 ③ ①②に該当しないが全身状態不良で外来での治療が困難な場合(条文の逐語引用は下記出典を参照)。
  • 学童の典型像:「学童では、成人と同様の病型(肺結核、胸膜炎)をとることが多く、肺結核では発熱、咳嗽、痰、体重減少を主訴に、結核性胸膜炎では発熱、胸痛、呼吸困難を主訴とすることが多い」。
  • 乳児の落とし穴:「乳児では、肺門部リンパ節腫脹によって気管支狭窄をきたした例で呼気性喘鳴がみられることがある。発熱、哺乳不良、体重増加不良、顔色不良、呼吸困難、嘔吐、痙攣、意識障害などの症状を呈して発見された場合には、すでに粟粒結核や髄膜炎に至っていることが多い」。喘鳴だけで喘息と決めつけない。
  • 全体像:「小児発病例の半数以上は接触者健診により診断に至るが、約 25%は遷延する咳嗽や反復する発熱などを主訴とした医療機関受診(有症状受診)を契機に診断に至っている」。当直で最初に拾うのはこの4分の1。

治療ワークフロー(当院でやること)

手順やること
1問診:乾性か湿性か、いつから、何がきっかけか、誤嚥の目撃、夜間・運動・季節での変動
2結核スクリーニング問診:2週間以上の咳か、家族・同居人に結核患者や結核既往、高まん延国滞在歴、BCG接種歴
3身体所見:喘鳴の有無と部位(両側性か片側性か)、体重・成長曲線、杵状指、呼吸様式
4胸部X線。「年齢、病歴、身体所見、一般検査、胸部単純X線写真、肺機能検査(6歳以上)は、慢性咳嗽の鑑別に有用です
5結核を疑う所見があれば隔離・N95・保健所連携を先に動かす(上記)
6年齢別の地図(上記)に沿って鑑別を絞る。誤嚥歴があれば気道異物を最優先で外す
7診断がつかず生活に支障がなければ、十分な説明のうえで経過観察。支障があれば専門施設へ紹介するかを検討

問診チェック

  • 咳の性状(乾性・湿性)と持続期間、始まったきっかけ
  • 誤嚥エピソードの有無(食事中・遊び中のむせこみ)
  • 夜間・運動時・体位・季節による変動、没頭時に消えるか
  • 家族・同居人の結核既往、高まん延国での居住歴、BCG接種歴
  • 受動喫煙の有無
  • 体重増加・成長の経過(成長
  • 百日咳ワクチンの接種歴
  • 喘鳴・呼吸困難の既往、アトピー素因
  • 基礎疾患の有無(慢性肺疾患・免疫不全・心疾患など)

送る/持つ(当院=二次救急・小児呼吸器専門外来なし)

状態当院の扱い
結核疑い(隔離・スクリーニングの対象)初期の隔離・胸部X線・届出準備は当院で行う。確定診断以降の入院管理・結核病床の要否は要確認
気道異物持てない気道異物・窒息
乳児の吸気性喘鳴・先天性気道形態異常疑い持てない。専門施設へ
百日咳(乳児で無呼吸・チアノーゼ)持てない百日咳
喘息発作の急性増悪喘息の発作の手順で対応
マイコプラズマ肺炎(酸素化良好)当院で対応可(マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎
後鼻漏症候群・胃食道逆流症が疑われ、生活に支障が乏しい当院で経過観察・診断的治療の相談
診断がつかず、8週以上で他に症状がない十分な説明のうえで経過観察という選択肢もある(上記出典)

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:陰圧室・結核病床の有無。無ければ結核疑い例の受け入れ先
  • 要確認:小児用N95マスクの院内在庫
  • 要確認:保健所への届出手順(夜間・休日の連絡先を含む)
  • 要確認:小児呼吸器・アレルギー専門外来の紹介先(喘息・心因性咳嗽・原発性線毛機能不全症などの精査先)
  • 要確認:夜間の胸部X線・気管支鏡ができる施設(気道異物と重複。気道異物・窒息のエスカレーションと整合させる)
  • 要確認:結核感染診断(ツベルクリン反応・IGRA)を当院で実施できるか

家族に渡す一文

咳が3週間以上続くときは、原因を順番に外していく必要があります。多くはかぜの後の咳や、気管支喘息、鼻や副鼻腔の炎症が原因ですが、まれに結核や気道の異物など、見逃してはいけない原因も含まれるため、いつから咳が始まったか、何かを誤って飲み込んだり吸い込んだりした覚えがないか、家族や身近な人に結核にかかった方がいないかをうかがいます。今日はまず、レントゲンや診察で緊急性のあるものを外し、必要に応じて専門の外来につなぎます。咳が夜になると止まる、勉強や遊びに集中しているときは出ない、というときは、体だけでなく心の負担が関係していることもあります。診断がつかなくても、生活に大きな支障がなければ、しばらく様子を見て自然に良くなることもあります。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートの咳の持続期間の分類(3週/8週)は、小児の咳嗽診療ガイドラインの作成に関わった獨協医科大学 吉原重美氏による2014年のラジオNIKKEI番組解説(一次資料に準ずる二次資料)を出典としている。ガイドライン本体(2020年版・2025年版)は有償書籍のため本シートでは未確認。2020年版・2025年版で分類や鑑別疾患リストが変更されている可能性があり、院内基準として採用するなら最新版での裏取りが要る
  • 要確認:遷延性細菌性気管支炎(PBB)の記載は出典(吉原氏解説)でも「我が国でもPBBという病態が存在するか否かは議論のあるところ」とされており、確立した日本の疫学データではない。本シートでは断定せず「概念はあるが頻度は不明」とした。
  • 要確認:小児の咳嗽診療ガイドライン2020のCQ(クリニカルクエスチョン)(つだ小児科クリニックのブログ記事が要約している。ガイドライン原文ではなく、開業医による二次的な要約)は、抗菌薬・吸入β2刺激薬・抗ヒスタミン薬・吸入ステロイド・LTRA・PPIについて「一律には推奨しない」という方向性を示しているが、本シートでは薬剤名・用量を書かないという方針上、この内容を本文に反映していない。当院の治療方針を作るなら、ブログではなくガイドライン原本または専門医に確認が必要。
  • 要確認:結核の入院基準(「感染症法に基づき厚生労働省から示されている『結核の入院基準』」)の具体的な内容は、本シートで一次資料(厚労省通知)を直接確認していない。院内プロトコルを作るなら通知本文の確認が要る。
  • 要確認:心因性咳嗽の診断基準(「奇異性の咳嗽」など)について、本シートは吉原氏の解説の記述をそのまま採用しており、DSM等の診断基準や小児心身症の専門的基準までは確認していない。
  • 要確認:当院に陰圧室・小児用N95・結核感染診断(ツ反/IGRA)があるか。無ければ「結核を疑ったら」の初動がそのまま実行できない。

出典

  • 吉原重美(獨協医科大学小児科准教授).「小児の咳嗽診療ガイドラインのポイント」.ラジオNIKKEI「感染症TODAY」2014年11月5日放送分.https://www.radionikkei.jp/kansenshotoday/__a__/kansenshotoday_pdf/kansenshotoday-141105.pdf (2026-09-13閲覧)。同氏は日本小児呼吸器学会「小児の咳嗽診療ガイドライン2020」の監修者の一人(出版社ページで確認)。「持続期間に基づいて、3週未満を急性咳嗽、3週以上8週未満を遷延性咳嗽、8週以上を慢性咳嗽とする分類といたしました」「本邦におきまして、医師の診断による小児の長引く咳嗽の原因疾患は、呼吸器感染症が35.1%、気管支喘息が33.4%、次いで後鼻漏症候群が24.3%であり、特に低年齢層では、呼吸器感染症の割合が高い傾向にありました」「新生児、乳児期では、出生後あるいは乳児期早期の吸気性喘鳴は、先天異常を疑わせます。また哺乳時に多く、原因として哺乳障害や、胃食道逆流症、鼻咽頭逆流症が原因となります誤嚥や、発作性の連続的な咳込みに続く「ヒーッ」という吸気性笛性喘鳴(whoop)が特徴的な百日咳も重要な長引く咳嗽の原因疾患です。百日咳は乳児、特に生後6カ月以下では必ずしもこのような症状がなく、咳嗽を多発し、無呼吸を来す例をしばしば認めますので危険です」「幼児期の長引く咳嗽として、たばこや花火などの煙、運動時、深呼吸時の呼気性喘鳴が特徴であり、β2刺激薬の吸入や内服で軽快する気管支喘息が多く認められるようになります。また、Mycoplasma pneumoniae感染症、Chlamydia pneumoniae感染症による肺炎により、長引く咳嗽が生じることがあります。特に、マクロライド系抗菌薬で治療を行った後、乾性咳嗽のみ持続することがあります…鼻・副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎によります後鼻漏症候群や受動喫煙、気道異物などがその長引く咳の原因になっております」「学童、思春期の長引く咳嗽として、日中に激しく、睡眠中あるいは遊びや勉強に熱中しているときには全く聞かれない乾性咳嗽が特徴である心因性咳嗽が増えてきます。特に、咳喘息と誤診され、長期管理薬による喘息治療が追加されても効果がなく、より保護者の不安をかき立て、より咳嗽が増強する症例があるため、注意が必要です。この心因性咳嗽は、夜間に咳嗽が消失することや、奇異性の咳嗽を認めることが特徴です」「年齢、病歴、身体所見、一般検査、胸部単純X線写真、肺機能検査(6歳以上)は、慢性咳嗽の鑑別に有用です。さらに、特異的な所見、また手がかりとなる臨床所見から鼻・副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、喘息、感染後咳嗽、誤嚥、気道異物、受動喫煙、心因性咳嗽、先天異常、胃食道逆流症、結核などを鑑別します。…8週以上続く咳嗽のみでほかに症状のない小児におきましては、1-2週間の経過観察でも特に症状がなくなればフォローを中止します」「慢性肺疾患、免疫不全、原発性線毛機能不全症、重症心身障害児、心疾患、気管支拡張症、薬剤性の咳嗽…このような基礎疾患がある場合には」「欧米におきましては遷延性細菌性気管支炎(protracted bacterial bronchiti 以下PBB)という診断が多いと言われております。」(英語表記は原文ママ。「bronchiti」は原資料のPDF抽出時点でこの表記だった)「しかし、我が国でもPBBという病態が存在するか否かは議論のあるところですが、我が国は医療アクセスがよく、抗菌薬の使用頻度が欧米よりはるかに高いことから、遷延する湿性咳嗽に抗菌薬が投与されることが多く、PBBの病態は欧米と同様の頻度で見られるとは考えにくく」。
  • 結核予防会結核研究所(AMED研究班).小児結核診療のてびき(改訂版).令和3年3月.https://jata.or.jp/dl/pdf/data/syouni_tebiki_202103.pdf (2026-09-13閲覧)。「小児発病例の半数以上は接触者健診により診断に至るが、約 25%は遷延する咳嗽や反復する発熱などを主訴とした医療機関受診(有症状受診)を契機に診断に至っている」「外来では、2週間以上継続的に咳嗽症状のある患児、最近結核に罹患した家族・親族や同居人があり、結核感染・発病の可能性のある患児は、一般の待合区域から感染対策のなされた特定の区域(独立した空調を持つ陰圧室が望ましい)に隔離し、優先的に診察とスクリーニングのための各種検査を実施する」「結核は標準予防策に加えて、空気感染予防策が必要なため、排菌が疑われる患児を診療する医師や医療スタッフは原則としてN95マスクを着用する」「法 12 条に基づき、医師は結核患者を診断した場合は直ちに保健所に届出る。治療が必要なLTBIと診断した場合も届出は必要である(患者死亡後に結核と診断された場合も届出は必要である)」「小児の結核症例において入院の適応になるのは以下の場合である。① 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に基づき厚生労働省から示されている「結核の入院基準」に該当する場合 ② 結核性髄膜炎、粟粒結核、胸膜炎などの重症結核 ③ 上記①、②に該当しないが全身状態不良で外来での治療が困難な場合」「学童では、成人と同様の病型(肺結核、胸膜炎)をとることが多く、肺結核では発熱、咳嗽、痰、体重減少を主訴に、結核性胸膜炎では発熱、胸痛、呼吸困難を主訴とすることが多い」「乳児では、肺門部リンパ節腫脹によって気管支狭窄をきたした例で呼気性喘鳴がみられることがある。発熱、哺乳不良、体重増加不良、顔色不良、呼吸困難、嘔吐、痙攣、意識障害などの症状を呈して発見された場合には、すでに粟粒結核や髄膜炎に至っていることが多い」。
  • 厚生労働省.長引く咳や体のだるさに隠れている「結核」を正しく知ろう.広報誌「厚生労働」2023年10月号.https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202310_004.html (2026-09-13閲覧)。「結核の症状(長引く咳、たん、微熱、体のだるさなど)には特徴的なものがなく、初期には目立たないことが多いため、特に高齢者では気づかないうちに進行してしまうことがあります。咳やたんが2週間以上続いたり、微熱や体のだるさが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう」(一般住民向け・成人を主対象とした記載)。
  • 水村賢司・權寧博(日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野).『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版2025』の解説.日大医誌 85(2): 59-64, 2026.https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/85/2/85_59/_pdf (2026-09-13閲覧、オープンアクセス)。「日本呼吸器学会は,2025年に『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン 第2版2025』(以下,本ガイドライン)を発刊した.今回の改訂では,初めてMindsに準拠したシステマティックレビュー(SR)が実施された」。同記事は成人の咳嗽診療ガイドラインの解説であり、持続期間による急性/遷延性/慢性の3区分(3週・8週)が採用されていることを確認できるが、当該一文はPDFの2段組レイアウトによりテキスト抽出時に語順が崩れたため本シートでは逐語引用していない。小児のガイドラインと同じ3週/8週の枠組みが、直近の成人ガイドライン改訂でも維持されていることの傍証として引用した
  • つだ小児科クリニック(世田谷区).小児の咳嗽診療ガイドライン2020のCQ.https://tsudashonika.com/disease-cat/symptoms/cough-guideline/ (2026-09-13閲覧)。開業医個人のブログ記事で、ガイドライン原文ではなく二次的な要約。CQ1〜CQ8(抗菌薬・吸入β2刺激薬・抗ヒスタミン薬・吸入ステロイド・LTRA・PPI・急性気管支炎への経口β2刺激薬・後鼻漏症候群への薬剤)の推奨の方向性を示す。本シートは薬剤名・用量を書かない方針のため、本文には反映していない(医師確認事項を参照)。
  • 気道異物・百日咳・マイコプラズマ・喘息発作の一次資料は、それぞれ気道異物・窒息百日咳マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎喘息の発作の出典欄を参照。

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