新型コロナウイルス感染症
発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中
2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について
施設プロファイル: 二次救急/外科的処置を持たない。COVID病床・陰圧個室・抗原検査体制の有無は施設により異なる(要確認)。
発熱の入口は発熱。
30秒要約
- ほとんどの小児は軽症。日本小児科学会は「小児の軽症患者は原則として自宅療養を考慮する」としている。
- 見るべき所見は他の急性疾患と同じ入り口。「原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしている」はコロナに限らず速やかな受診が要る所見。
- 今の注意点はけいれんと脳症。「オミクロン株以降熱性けいれんや急性脳症を発症する頻度が増加したことが報告されています」。稀だが、コロナ関連急性脳症は非関連例より後遺症・死亡が多い。
- 基礎疾患のある児・乳児は重症化しやすい。米国データでは入院した小児の58.9%に基礎疾患があった(6か月〜23か月:41.8%、2〜4歳:61.6%、5〜11歳:79.2%、12〜17歳:77.0%)。
- 出席停止は「発症した後五日を経過し、かつ、症状が軽快した後一日を経過するまで」(学校保健安全法施行規則)。外出自粛は法的義務ではなく個人の判断(2023年5月8日の5類移行後)。
レッドフラグ → 次の一手
所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。
| 緊急度 | 所見 | その場で次にやること | 時間の勝負 |
|---|---|---|---|
| 119 | 意識障害・けいれんが止まらない(急性脳症を疑う) | 気道確保・酸素。持てない。意識障害・痙攣重積状態の手順で搬送 | 即時 |
| 119 | 呼吸が苦しい・多呼吸で会話ができない・チアノーゼ | 酸素投与。持てない | 即時 |
| 緊急 | 胸痛・動悸・不整脈(心筋炎を疑う) | 心電図。持てない。循環器へ | 即時 |
| 緊急 | 生後3か月未満の発熱 | 「生後3か月未満の乳児が発熱した場合は他の重症感染症の可能性もあり、速やかな受診が必要」。乳児の発熱の手順で評価 | 即時 |
| 緊急 | 発症の2〜6週後に発熱+発疹+消化器症状(MIS-Cを疑う) | 「「小児多系統炎症性症候群」と言われ下痢、発熱、発疹などがみられ、心臓の動きが悪くなることがあるのが特徴」。川崎病に準じて評価。持てない | 当日〜即時 |
| 緊急 | 経口摂取が全くできない・ぐったりしている | 「発熱の持続、呼吸器症状の悪化等がみられた場合は、速やかにかかりつけ医に電話で相談すること」の対象。輸液評価(経口補水・点滴) | 当日 |
| 当日 | 単純型の熱性けいれん(けいれん後、意識清明に回復) | 熱性けいれんの手順で評価。オミクロン以降、頻度が増えている所見と認識して観察を丁寧に | 当日 |
| 当日 | 基礎疾患あり(喘息・先天性心疾患・免疫不全など)で発熱 | 重症化リスクとして慎重に評価。入院閾値を下げる | 当日 |
鑑別:よくあるもの
鑑別:見逃してはいけないもの
| 病態 | 見分け | 次の一手 |
|---|---|---|
| 急性脳症・けいれん重積 | 意識障害の遷延、けいれんの型が非典型。関連のない脳症例より後遺症(16.5%対11.7%)・死亡(10.7%対5.0%)が多い | 意識障害・痙攣重積状態 |
| 心筋炎・不整脈 | 胸痛・動悸・循環不全の徴候 | 持てない。循環器へ |
| MIS-C(小児多系統炎症性症候群) | 感染の回復期(2〜6週後)に学童期以降の児で発熱・発疹・消化器症状・心機能低下。「川崎病に似た症状を示す方や、川崎病の診断項目を満たす方がありますが、川崎病とは異なる疾患と考えられている」 | 川崎病に準じて評価 |
| 生後3か月未満の発熱 | 他の重症感染症の除外が先 | 乳児の発熱 |
| 基礎疾患を持つ児の重症化 | 入院した小児の58.9%に基礎疾患があった(米国データ) | 早めに入院を検討 |
治療ワークフロー(当院でやること)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0分 | バイタル・トリアージ。「原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしている」の有無を確認 |
| 0〜5分 | 意識状態とけいれんの有無を確認。疑えば意識障害の手順へ |
| 5〜10分 | 基礎疾患・年齢(生後3か月未満か)・ワクチン接種歴を確認 |
| 10〜20分 | 抗原検査(当院での実施体制・結果までの時間は要確認)。SpO2測定・呼吸数評価 |
| 20分 | 重症化因子(基礎疾患・乳児・意識障害・呼吸不全)の有無で入院閾値を判断 |
| 判断 | 軽症・経口摂取良好・意識清明 → 自宅療養を考慮。中等症以上・脱水・基礎疾患増悪・意識障害 → 入院を検討 |
| 入院時 | 「小児が入院した場合には、保護者の同室付き添いも考慮される」。「保護者によるケアは小児の精神的な安定につながり、医療従事者の負担も大きく軽減される。さらに小児に基礎疾患がある場合や乳幼児においては、病態を最も理解し急変の徴候を早期に気付くことができるのも保護者である」 |
問診チェック
- 発症日(出席停止・外出自粛の起算日になる)
- 基礎疾患の有無(喘息・先天性心疾患・免疫不全など)
- 年齢が生後3か月未満か
- ワクチン接種歴
- 同居家族の罹患状況・濃厚接触の有無
- 経口摂取の状況・尿量(脱水評価)
- けいれん・意識障害の有無とその経過
- 2〜6週前にCOVID-19に罹患していないか(MIS-Cを疑う文脈で重要)
送る/持つ(当院=二次救急・COVID病床は施設によって異なる)
| 状態 | 当院の扱い |
|---|---|
| 軽症・経口摂取良好・意識清明 | 自宅療養を考慮。当院で対症療法 |
| 生後3か月未満の発熱 | 他の重症感染症の除外が先。乳児の発熱の基準で対応 |
| 意識障害・けいれんが止まらない(急性脳症疑い) | 持てない。搬送 |
| 胸痛・不整脈(心筋炎疑い) | 持てない |
| MIS-C疑い(発症2〜6週後の発熱・発疹・消化器症状) | 持てない。専門施設で評価 |
| 中等症以上・脱水・基礎疾患増悪 | 入院を検討(当院の病床・個室体制は要確認) |
| 入院となった場合 | 保護者の同室付き添いを考慮(学会見解) |
エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)
- 要確認:当院での抗原検査・PCR検査の実施体制と結果までの時間
- 要確認:小児のCOVID-19入院を受け入れる病床・個室(陰圧を含む)があるか
- 要確認:入院時の保護者同室付き添いをどこまで認めるか(検査結果にかかわらず食事を提供する等の運用を当院でどうするか)
- 要確認:MIS-C・急性脳症を疑った場合の搬送先(PICU・小児神経・循環器のある施設)
- 要確認:院内感染対策(マスク・個室運用)の最新基準は当院の感染対策マニュアルに従う
- 要確認:出席停止証明書の様式・記載(発症日・症状軽快日の書き方を学校側の様式に合わせる)
家族に渡す一文
「今回の症状はおそらく新型コロナウイルス感染症によるものと考えられます。ほとんどのお子さんは軽症で、自宅での経過観察と対症療法で治ります。ただし、意識がはっきりしない、けいれんが止まらない、呼吸が苦しい、水分や食事がまったく摂れない、ぐったりしている、といった様子があれば、すぐに医療機関を受診してください。学校・保育園は、熱などの症状が出た日を0日目として5日を経過し、かつ、症状が良くなった日の翌日から1日を経過するまでお休みです。感染症法上の外出自粛の義務はありませんが、発症から5日間は特に人にうつしやすい時期ですので、外出はできるだけ控えてください。10日目までは咳などの症状が続くことがあり、その間はマスクの着用など周りへの配慮をお願いします。」
医師確認事項(要・岡本判断)
- 要確認:日本小児科学会「小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状」(第2報、2020年11月11日)と「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」(2020年8月1日現在)は、いずれもパンデミック初期のデータに基づく。感染経路・重症度の記述はこの時点のものであり、本シートでは背景説明としてのみ使い、現在の重症化像は2025年11月16日の学会文書(下記出典)を優先した。
- 要確認:MIS-C(小児多系統炎症性症候群)の正式な診断基準(WHO・CDC)は、本シートでは一次資料の表を確認できていない。本文はMIS-Cの概念(発症2〜6週後、発熱・発疹・消化器症状・心機能低下、川崎病に似るが別疾患)のみを記載しており、診断確定には現行のWHO/CDC基準への確認が要る。
- 要確認:2020年11月時点の学会報告にある「国内でMIS-C/PIMSが疑われる症例は報告されていない」という記述は、現在は当てはまらない(2021年以降、国内でも少数ながら報告されている。日本小児科学会・日本川崎病学会「新型コロナウイルス感染症の小児重症例について」2021年2月時点のデータ)。本シートの本文にはこの古い記述を反映していない。
- 要確認:当院での抗原検査・PCR検査の可否と結果までの時間。本シートの治療ワークフローは「検査する前提」で書いているが、当院で夜間に検査ができるかは未確認。
- 要確認:熱性けいれん・急性脳症を疑った場合の当院での初期対応。本シートは薬剤・用量に触れていない。痙攣重積状態・専門科(小児神経)のプロトコルに従うこと。
- 要確認:入院時の保護者同室付き添いの運用(食事提供・宿泊環境)は当院の実務を確認していない。
出典
- 厚生労働省.新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について.https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html (令和5年4月27日公表・令和5年9月15日時点更新版を2026-09-13閲覧)。「新型コロナウイルス感染症では、鼻やのどからのウイルスの排出期間の長さに個人差がありますが、発症2日前から発症後7~10日間は感染性のウイルスを排出しているといわれています」「発症後3日間は、感染性のウイルスの平均的な排出量が非常に多く、5日間経過後は大きく減少することから、特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことに注意してください」「令和5年5月8日以降、新型コロナ患者は、法律に基づく外出自粛は求められません。外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられます」「特に発症後5日間が他人に感染させるリスクが高いことから、発症日を0日目(※1)として5日間は外出を控えること(※2)、かつ、・5日目に症状が続いていた場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは、外出を控え様子を見ることが推奨されます」「また、学校保健安全法施行規則においても、「発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽快した後1日を経過するまで」を新型コロナウイルス感染症による出席停止期間としています」「10日間が経過するまでは、ウイルス排出の可能性があることから、不織布マスクを着用したり、高齢者等ハイリスク者と接触は控える等、周りの方へうつさないよう配慮しましょう」「新型コロナにかかった方の発症日を0日として、特に5日間はご自身の体調に注意してください。7日目までは発症する可能性があります」。
- e-Gov法令検索(デジタル庁・総務省).学校保健安全法施行規則(昭和33年文部省令第18号)第十九条.https://elaws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/333M50000080018 (e-Gov法令API、2026-09-13取得。法令全文を返すXML形式のエンドポイント)。第十九条第二号チ「新型コロナウイルス感染症にあつては、発症した後五日を経過し、かつ、症状が軽快した後一日を経過するまで。」第十八条第二号で新型コロナウイルス感染症は学校感染症の第二種に分類(「新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る」)。
- 公益社団法人日本小児科学会.「2025/26シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」について.2025年11月16日.https://www.jpeds.or.jp/society-activities/post-156956.html (2026-09-13閲覧)。「国内外の知見において、小児でも基礎疾患のある小児患者には重症化リスクが高いことが報告されています」「米国からのオミクロン株出現以降の報告でも、COVID-19で入院した小児の58.9%は基礎疾患がありました (6か月〜23か月:41.8%、2〜4歳:61.6%、5〜11歳:79.2%、12〜17歳:77.0%)」「日本人小児のSARS-CoV-2感染者の中で、稀ではありますが一定数は急性脳症や心筋炎を発症しています」「2023年4月時点で日本小児集中治療連絡協議会に報告された424例の中等症以上例(新生児: 1.7%、1歳未満の乳児 :13.7%、未就学児 :51.4%、小学生 :23.6%、中学生: 5.2%、高校生以上: 4.5%)のうち脳症は76例で17.9%、心筋炎は7例で1.7%を占めていました」「2022年1月1日~2022年9月30日までのCOVID-19関連の20歳未満死亡例は62例あり」「外的な要因を除いた例は46例でした」「この46例について、15.2%が1歳未満、58.7%が基礎疾患なし、ワクチン接種対象者の87.5%が未接種でした。主な死因として疑われたのは、中枢神経系の異常16例(34.8%:急性脳症等)、循環器系の異常9例(19.6%:急性心筋炎、不整脈等)でした」「オミクロン株以降熱性けいれんや急性脳症を発症する頻度が増加したことが報告されています」「COVID-19に関連した急性脳症は、関連のない症例と比べて重篤な神経学的後遺症(16.5 %対11.7 %)や死亡例(10.7 %対5.0 %)が多かったことが示されました」「入院、ICU入室について、COVID-19では一定数のICU入室患者がみられ、1歳未満ではインフルエンザと差はありませんでした」「COVID-19罹患後、急性期を過ぎても症状が持続する「罹患後症状(Post–COVID-19 Condition:PCC、いわゆるLong COVID)」は、小児においても報告されています。頻度の高い症状には、倦怠感、頭痛、集中力の低下、睡眠障害、不安や抑うつ、呼吸器症状(咳や呼吸困難など)、味覚・嗅覚障害などが含まれます」。
- 公益社団法人日本小児科学会・日本川崎病学会.新型コロナウイルス感染症の小児重症例について.https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=129 (本文中データは2021年2月23日時点。2026-09-13閲覧)。「「小児多系統炎症性症候群」と言われ下痢、発熱、発疹などがみられ、心臓の動きが悪くなることがあるのが特徴です。新型コロナウイルスに感染した回復期(2-6週後)に学童期以降の小児にこのような症状が認められる傾向があります」「なかには、川崎病に似た症状を示す方や、川崎病の診断項目を満たす方がありますが、川崎病とは異なる疾患と考えられています」。
- 公益社団法人日本小児科学会.小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解 〜入院や付き添いの考え方も含めて〜.2020年4月23日・2022年1月28日改訂.https://www.jpeds.or.jp/society-activities/column/proposals-assertions/50114.html (2026-09-13閲覧)。「小児の軽症患者は原則として自宅療養を考慮する」「生後3か月未満の乳児が発熱した場合は他の重症感染症の可能性もあり、速やかな受診が必要である」「発熱の持続、呼吸器症状の悪化等がみられた場合は、速やかにかかりつけ医に電話で相談すること」「小児が入院した場合には、保護者の同室付き添いも考慮される」「保護者によるケアは小児の精神的な安定につながり、医療従事者の負担も大きく軽減される。さらに小児に基礎疾患がある場合や乳幼児においては、病態を最も理解し急変の徴候を早期に気付くことができるのも保護者である」。
- 公益社団法人日本小児科学会.新型コロナウイルス感染症に関するQ&A(2020年8月1日現在).https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=326 (2026-09-13閲覧)。「子どもでは、原因不明の発熱が続く、呼吸が苦しい、経口摂取ができない、ぐったりしているなどの様子が見られるときは、新型コロナウイルス以外にも様々な病気が考えられますので速やかな受診が必要です」。
- 公益社団法人日本小児科学会.小児の新型コロナウイルス感染症に関する医学的知見の現状(第2報).2020年11月11日.https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342 (2026-09-13閲覧。パンデミック初期のデータで、背景説明のみに使用)。「学校や保育所におけるクラスターは起こっているが、社会全体から見ると多くなく、小児COVID-19症例の多くは家族からの感染である」「欧米等からは小児 COVID-19 に関連して、毒素性ショック症候群または (不全型) 川崎病を疑わせるような多臓器系にわたる強い炎症を起こす病態が発症しており、multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C)またはpediatric inflammatory multisystem syndrome (PIMS)という名称が提唱され、WHOとCDCがそれぞれ診断基準を出している」。
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