敗血症・菌血症を疑うとき

緊急

敗血症・菌血症を疑うとき

発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中

2026-10-02更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。

施設プロファイル: 二次救急/小児集中治療なし。初期蘇生は当院で行い、輸液に反応しない時点で送る。
このシートは当直帯でもほぼ完全に実行できる(2026-09-14 確認)。ルート確保・等張晶質液のボーラス・血液培養の採取・抗菌薬の投与・夜間入院——いずれも当院で可能で、画像を一つも必要としない。
欠けているのは1つだけ、経験的抗菌薬の院内採用。J-SSCG2024 が挙げる感染巣別の例は、このシートの節「経験的抗微生物薬(J-SSCG2024 Table 9-1-1)」に書き出したので、残るのは「当院で何が使えるか」だけ。
夜間に血液ガスは出せる(2026-09-14 確認)。乳酸が同時に出るかは未確認で、出ないなら灌流はCRT・末梢冷感・尿量・意識で見る。
血液培養は採れるが、夜間に検査室へ提出できない。抗菌薬の前に採ることは変わらない——採って保管し、翌朝提出する。後から採り直しても意味のある培養にはならないので、この順番だけは崩さない。

30秒要約

  • 小児は成人と違い、肺炎を伴わず、発熱のみを初期症状とした感染巣のはっきりしない菌血症例が多い(厚労省の届出基準にも明記)。
  • 血圧が下がってからでは遅い。代償性ショック(血圧は保たれている)の段階で拾う。CRT延長・四肢冷感・尿量減少が手がかり(最初の5分)。
  • 時刻を決めて動く。5分以内にルート、15分以内に輸液。抗菌薬は「速やかに」——2014年合意意見の「1時間以内」は、J-SSCG2024 で「必ずしも1時間以内という目標は用いない」に変わっている(節「抗菌薬を「1時間以内」に入れるべきか」)。時間の目標は出典で違い(SSC小児版2020は敗血症性ショックで認識から1時間以内、J-SSCG2024〈成人のCQ2-2〉は1時間を目標にしない)、院内の掲示は未確定。血液培養は抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で先に採る。
  • 血液培養は抗菌薬の前に採る。ただし採血に手間取って抗菌薬を遅らせない。
  • 輸液に反応しない敗血症性ショックは当院で持てない。ICU/PICUのある施設へ。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること
119ショック(CRT>3秒・四肢冷感・頻脈・意識低下)下の治療ワークフローを0分から開始。受け入れ先へ第一報
119発熱+紫斑電撃性紫斑病・髄膜炎菌血症を疑う。抗菌薬を遅らせない。血液培養を採りつつ投与
緊急3か月未満の発熱感染巣がなくても精査前提(3か月未満の発熱)
緊急乳児の体温低下・無呼吸・筋緊張低下・哺乳不良乳児の敗血症は「発熱」で来ないことがある。全身評価を優先
緊急発熱のみで感染巣がはっきりしない乳幼児小児の菌血症はこの形で来る。血液培養と全身評価
緊急尿量減少(おむつが軽い・排尿がない)循環障害の徴候。輸液へ

経験的抗微生物薬(J-SSCG2024 Table 9-1-1・院内採用は未確定)

これはガイドラインが挙げている例であって、当院の採用レジメンではない。
原典自身がこう断っている(逐語): 「Table 9-1-1 は、各患者の詳細な背景、各施設の疫学・アンチバイオグラムなどを踏まえたうえで、抗微生物薬を決定するための参考になることを想定している」
つまりこの空欄は書き忘れではなく、施設が埋める前提で設計されている。

選び方(CQ9-1・逐語): 「感染臓器、発生場所(市中、院内、ICU など)、患者背景(免疫状態、治療歴など)を考慮して、想定しうる微生物をカバーできる抗微生物薬を選択する」

感染巣年齢原因微生物抗微生物薬の例使用例
呼吸器1〜6か月S. pneumoniae, H. influenzae, B. pertussis第3世代セファロスポリンCTX 200 mg/kg/day・6時間毎
呼吸器6か月〜5歳S. pneumoniae, H. influenzae第3世代セファロスポリンCTX 200 mg/kg/day・6時間毎(原典備考: この年齢帯は原因病原体としてウイルス性が多くを占める)
呼吸器5歳〜S. pneumoniae, H. influenzae第3世代セファロスポリンCTX 200 mg/kg/day・6時間毎
尿路—E. coli, Enterococcus spp., Klebsiella spp., P. mirabilis第2・3世代セファロスポリンCTM 120 mg/kg/day・8時間毎 または CTX 200 mg/kg/day・6時間毎
腹腔内—E. coli, Enterococcus spp., Klebsiella spp., P. mirabilis第3世代セファロスポリンCTX 200 mg/kg/day・6時間毎
皮膚・軟部組織—Group A Streptococcus, S. aureus第1世代セファロスポリンCEZ 150 mg/kg/day・8時間毎(蜂窩織炎)
中枢神経新生児(〜2か月)GBS, E. coli, S. pneumoniae, Hib, L. monocytogenes第3世代セファロスポリン+バンコマイシン+アンピシリンCTX 300 mg/kg/day・6時間毎 + VCM 60 mg/kg/day・6時間毎 + ABPC 300 mg/kg/day・6時間毎。原典備考: 特に1か月未満では抗ヘルペスウイルス薬の併用を考慮
中枢神経2か月〜S. pneumoniae, Hib第3世代セファロスポリン+バンコマイシンCTX 300 mg/kg/day・6時間毎 + VCM 60 mg/kg/day・6時間毎。原典備考: 世界では Neisseria meningitidis は頻度が多いが、日本では稀

略号: CTX=セフォタキシム、CEZ=セファゾリン、CTM=セフォチアム、VCM=バンコマイシン、ABPC=アンピシリン。

抗ヘルペスウイルス薬の用量は本シートに書いていない。原典の表の「使用例」欄に数値の記載はあるが、PDFからのテキスト抽出では薬剤名と数値の対応を確実に読み取れなかったため、転記していない。使うなら原典の表を直接確認すること。

決定=中枢神経の初期選択は、このJ-SSCG2024型(第3世代セファロスポリン+バンコマイシン、新生児はさらにアンピシリン)に一本化した。細菌性髄膜炎シートも同じレジメンに揃えてある。細菌性髄膜炎GL2014の「パニペネム・ベタミプロンまたはメロペネム」+「セフトリアキソンまたはセフォタキシム」というレジメンは、セフェム系に反応不良、または高度耐性肺炎球菌を疑う場合の代替に格下げする。
セフトリアキソンは、当院では全年齢で使わない:添付文書上、高ビリルビン血症の低出生体重児・新生児に禁忌でありカルシウム含有輸液併用時の新生児死亡例が報告されているうえ、この表のもとになっているJ-SSCG2024 Table 9-1-1自体がセフォタキシムのみを挙げセフトリアキソンに言及していない。

抗菌薬を「1時間以内」に入れるべきか(2024年版で変わった)

本シートのワークフローが使う「1時間以内」は、2014年の小児重症敗血症 合意意見の「経験的抗菌薬は重症敗血症認識後1時間以内に開始する」に基づく。

J-SSCG2024 はこの目標から後退している(CQ2-2・成人対象・逐語):
「敗血症あるいは敗血症性ショックと認知した後、抗菌薬は可及的早期に開始するが、必ずしも 1 時間以内という目標は用いないことを弱く推奨する(GRADE 2C)」

理由(逐語): 「1 時間以内の抗菌薬投与に固執することによって原因微生物診断の推定が不十分となり、不必要な広域・多剤抗菌薬投与が増加する可能性がある」

ただし同じ解説がこう釘を刺している(逐語): 「予想される標的微生物をカバーする適切な抗菌薬を選択し、可及的速やかに投与することを否定するものではないことに注意が必要である」

小児側(CQ9-1)に時間の数値はない。あるのは「敗血症と診断後に速やかに投与することを目標とし」という表現だけ。

小児の国際ガイドラインは「1時間」を残している(Surviving Sepsis Campaign 小児版2020・逐語): 「In children with septic shock, we recommend starting antimicrobial therapy as soon as possible, within 1 h of recognition(strong recommendation, very low quality of evidence)」(推奨5)、「In children with sepsis-associated organ dysfunction but without shock, we suggest starting antimicrobial therapy as soon as possible after appropriate evaluation, within 3 h of recognition」(推奨6)、「We recommend obtaining blood cultures before initiating antimicrobial therapy in situations where this does not substantially delay antimicrobial administration」(推奨4)。Weiss SL, et al. Intensive Care Med 2020;46(Suppl 1):10-67(2026-09-27 原文確認)。どちらに寄せて掲示するかは院内で未確定。

当直の読み方: SSC小児2026は疑い敗血症性ショックで理想1時間以内、ショックなしのprobable sepsisは迅速評価で裏付けられれば理想3時間以内を示す。院内の薬剤・実行手順が未確定でも投与保留の根拠にはせず、上級医と開始時点を直ちに決める。 血液培養は抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で先に採り、感染巣を1分でも早く絞る。当院は院内画像が夜間X線しかないので、感染巣の推定は病歴と診察でやるしかない——節「経験的抗微生物薬」の表は感染巣別なので、感染巣が絞れないと選べないという構造になっている。

治療ワークフロー(時刻を決めて動く)

出典は「日本での小児重症敗血症診療に関する合意意見」(日本集中治療医学会 小児集中治療委員会, 2014)のフローと J-SSCG。時間軸は施設の高度医療体制の有無によらず、現場でまず実施すべき初期対応として位置づけられている。

経過やること
0分認識する。バイタル・意識・CRT・四肢冷感・尿量。酸素投与
5分以内静脈路を確保する。取れなければ骨髄路(J-SSCG2016は小児敗血症性ショックで骨髄路を一時的な投与経路として弱く推奨)
15分以内等張晶質液 20 mL/kg をボーラス投与。反応を見て反復。血液培養は治療を遅らせず可能なら投与前に採取。採血で抗菌薬を待たせない
速やかに経験的抗菌薬を開始する。2014年合意意見は「1時間以内」だが、J-SSCG2024 は「必ずしも1時間以内という目標は用いない」(GRADE 2C)に後退している(節「抗菌薬を「1時間以内」に入れるべきか」)。時間の目標は院内で未確定(SSC小児版2020は敗血症性ショックで認識から1時間以内)。血液培養は抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で先に採る
反復1回ごとに再評価して反復。2014年合意意見は「組織灌流が改善するか,湿性ラ音や肝腫大が出現するまで最大 60 ml/kg(またはそれ以上)」。肺水腫・肝腫大・ラ音など体液過多の徴候が出たら中止。JRC2020・SSC小児版2020は最初の1時間で合計40〜60mL/kgをめやすとし、J-SSCG2024は上限を示さない(院内の上限は未確定)。同時に受け入れ先へ連絡
輸液不応当院で持てない。強心薬・昇圧薬・人工呼吸管理が要る。ICU/PICUへ

輸液量についての注意(2024年版で慎重化している)

  • J-SSCG2024は「調整晶質液に対する反応を評価しながら 10〜20 mL/kg ずつボーラス投与を反復…輸液速度や輸液量の上限について提示できる情報はない」としている。
  • 背景に、アフリカ3か国のFEAST試験(急速輸液群で死亡率が高かった)がある。ただしJ-SSCG2024自身が「FEAST研究に組み入れられた患者は、全体の57%がマラリアに罹患…日本の敗血症患者に外挿しづらいという指摘もある」と記している。
  • 2014年合意意見(最大60 mL/kg以上)と2024年版(10〜20 mL/kgずつ反復・上限は提示できない)で記載が異なる。院内でどちらに寄せるかを決めておく必要がある(要確認)。

血液培養の採り方(小児用ボトル・1 mL以上で陽性率が上がる)

年齢採取量の目安
新生児1〜2 mL
乳児2〜3 mL
幼児・学童3〜5 mL
思春期10〜20 mL

2セット以上採る。ただしこのために抗菌薬投与が遅れないようにする。

認識の基準(小児SIRS/Goldstein基準)

J-SSCG2016は「小児敗血症の定義は、現時点では2005年のGoldsteinらによる基準…とし、そのうち臓器機能障害を伴うものを重症敗血症とする」としている。年齢区分ごとに頻脈・徐脈・呼吸数・白血球数・収縮期血圧の基準が設定されている(例: 0日〜1週で頻脈>180、呼吸数>50、白血球>34,000または<5,000、収縮期血圧<65)。

Phoenix Sepsis Score(呼吸・心血管・凝固・神経の4系統を各0〜3点、合計2点以上で敗血症、心血管サブスコア1点以上で敗血症性ショック)は、J-SSCG2024が「作成時点での定義としてはIPSCC(Goldstein基準)を用いているが、広く使われていくことが予想される」と記している。

要確認: 年齢区分ごとの完全な数値表は本シートに転記していない。院内で採用する基準表を決めて掲示すること。

鑑別(発熱のみで来た乳幼児)

病態見分け次の一手
ウイルス感染3か月未満の発熱の約9割はウイルス感染とされる。残り1割程度に敗血症や細菌性髄膜炎が含まれる「9割はウイルス」を帰す根拠にしない
尿路感染症乳児は発熱のみのことが多い検尿の閾値を低く(尿路感染症)
細菌性髄膜炎髄膜刺激徴候は乳幼児で必発ではない疑ったら細菌性髄膜炎のフローへ
川崎病発熱が続き、抗菌薬に反応しない主要症状を数える(川崎病)
腸重積・外科的腹症「ぐったり」で来る腹部と陰嚢を診る(急性腹痛)

送る/持つ(当院=二次救急・小児集中治療なし)

状態当院の扱い
認識・ルート確保・初期輸液・血液培養・抗菌薬開始当院で行う。送り先に着くまで待たない
初期輸液に反応しない敗血症性ショック持てない。JRC蘇生ガイドライン2020も「初期輸液組成に不応の敗血症小児は院内のICUあるいは近隣のPICUで管理することが望ましい」としている
強心薬・昇圧薬が要る持てない
人工呼吸管理が要る持てない

送ると決めた時点でやること

  1. 抗菌薬を投与してから送る(投与していないなら、その理由を伝える)
  2. 投与した輸液の量・開始時刻・反応を時系列で渡す
  3. 血液培養を採ったかどうかを明示する
  4. 骨髄路を使ったならその旨も

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:経験的抗菌薬の院内採用。J-SSCG2024 Table 9-1-1 の候補(CTX/CTM/CEZ/VCM/ABPC)のうち、院内にあるのはどれか、当直帯に出せるか。用量は節「経験的抗微生物薬」の表に書き出した
  • 決定:中枢神経の初期選択はJ-SSCG2024型(第3世代セファロスポリン+バンコマイシン±アンピシリン)に一本化して解消した(節「経験的抗微生物薬」の注記)。細菌性髄膜炎GL2014のパニペネム・ベタミプロンまたはメロペネム+セフトリアキソンまたはセフォタキシムというレジメンは、セフェム系に反応不良、または高度耐性肺炎球菌を疑う場合の代替に格下げした。セフトリアキソンは全年齢で使わないため、院内薬剤確認(上の要確認)の対象からも外れる。
  • 要確認:抗菌薬のタイミングを院内でどう掲示するか。2014年合意意見の「1時間以内」を残すか、J-SSCG2024 の「可及的早期・1時間は目標にしない」に寄せるか。小児の国際ガイドライン(SSC小児版2020)は敗血症性ショックで1時間以内を推奨している(2026-09-27追記。疾患ページは両方を併記し「未確定」と表示)
  • 要確認:ICU/PICUのある施設の夜間・休日の受け入れ先と直通番号
  • 要確認:骨髄針の在庫と、当直医が使えるか
  • 要確認:小児用血液培養ボトルの在庫
  • 要確認:輸液量を2014年合意意見系(ACCM-PALS: 20mL/kgボーラス、最初の1時間で最大40〜60mL/kgまで)とJ-SSCG2024(CQ9-2: 10〜20mL/kgずつボーラス反復、輸液速度・輸液量の上限について提示できる情報はない)のどちらに寄せるか(出典: J-SSCG2024 CQ9-2, 確認日 2026-09-25)。(2026-09-27 原文を再確認: 2014年合意意見のアルゴリズム図は「20 ml/kg の等張晶質液:組織灌流が改善するか,湿性ラ音や肝腫大が出現するまで最大 60 ml/kg(またはそれ以上)ボーラス投与」、本文は「初期輸液蘇生量は,40 〜 60 ml/kg あるいはそれ以上となる。しかしながら,もし過負荷の所見がある場合は輸液投与をやめ,利尿薬を投与する」。以前ここに書いた「60が上限、以上ではない」という訂正注記は誤りだったため撤回する) 疾患ページ(2026-09-27)は「1回ごとに再評価・体液過多の徴候で中止・JRC2020とSSC小児版2020のめやす=最初の1時間で合計40〜60mL/kg(J-SSCG2024は上限を示さない)」を併記し、院内の上限は未確定と表示している。

家族に渡す一文

「細菌が血液の中に入って全身に影響している可能性があります。時間との勝負なので、診断が確定する前に点滴と抗菌薬を始めます。お子さんの場合、熱だけが症状で、どこが悪いかはっきりしないことがよくあります。当院でできる治療を始めたうえで、集中的な管理が必要と判断したら、設備のある病院へ移っていただきます。」

出典

  • 日本集中治療医学会 小児集中治療委員会.日本での小児重症敗血症診療に関する合意意見.日本集中治療医学会雑誌 2014;21:67-88. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/21/1/21_67/_pdf (2026-09-12閲覧)。「経験的抗菌薬は重症敗血症認識後1時間以内に開始する」「抗菌薬開始前に血液培養を2セット以上採取する。ただし、このために抗菌薬投与が遅れないようにする」、輸液蘇生アルゴリズム(5分以内に静脈路・骨髄路確保、15分以内に20 mL/kg等張晶質液を最大60 mL/kg以上までボーラス、血液培養後に抗菌薬投与)、「小児のみに特化した知見はないが、早期に適切な抗菌薬を投与する意義は成人と小児とで違いはないと考えられる」。引用されるQI研究(米国 Cruz AT, et al. Pediatrics 2011: 1時間以内の輸液負荷+抗菌薬で死亡率4.0%→2.5%)とRCT(ブラジル de Oliveira CF, et al. Intensive Care Med 2008: 敗血症性ショック死亡率40%→12%)はいずれも海外データ。
  • 日本版敗血症診療ガイドライン2016(J-SSCG2016)CQ19 小児.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/advpub/0/advpub_24S0022/_pdf/-char/ja (2026-09-12閲覧)。小児敗血症の定義(Goldstein基準)と小児SIRSの年齢区分別基準、血液培養の採取量目安(根拠は笠井正志ら、感染症学会雑誌 2013;87:620-3)、骨髄路を一時的な投与経路として弱く推奨(CQ19-15)。
  • 日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024).日集中医誌 2024;31:S1165-1313.全文PDF https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/31/Supplement/31_2400001/_pdf (2026-09-14 に pdftotext で本文照合)。
  • CQ9-1(小児敗血症性ショックに対する経験的抗微生物薬): 「感染臓器、発生場所(市中、院内、ICU など)、患者背景(免疫状態、治療歴など)を考慮して、想定しうる微生物をカバーできる抗微生物薬を選択する」、Table 9-1-1「小児の市中発症の感染巣と抗微生物薬の例」(呼吸器・尿路・腹腔内・皮膚軟部組織・中枢神経の感染巣別に、原因微生物・抗微生物薬の例・使用例の用量)、および「Table 9-1-1 は、各患者の詳細な背景、各施設の疫学・アンチバイオグラムなどを踏まえたうえで、抗微生物薬を決定するための参考になることを想定している」。
  • CQ2-2(成人対象): 「敗血症あるいは敗血症性ショックと認知した後、抗菌薬は可及的早期に開始するが、必ずしも 1 時間以内という目標は用いないことを弱く推奨する(GRADE 2C)」、理由「1 時間以内の抗菌薬投与に固執することによって原因微生物診断の推定が不十分となり、不必要な広域・多剤抗菌薬投与が増加する可能性がある」、留保「予想される標的微生物をカバーする適切な抗菌薬を選択し、可及的速やかに投与することを否定するものではないことに注意が必要である」。
  • CQ2-3(成人対象・BQ): 「疑わしい感染巣ごとに、患者背景、疫学や迅速微生物診断法に基づいて原因微生物を推定し、臓器移行性と耐性菌の可能性も考慮して選択する方法がある」。
  • 旧リンク(https://www.jsicm.org/pdf/cq/J-SSCG2024/J-SSCG2024_Main.pdf ・2026-09-12閲覧)。CQ9-2「調整晶質液に対する反応を評価しながら10〜20 mL/kgずつボーラス投与を反復…輸液速度や輸液量の上限について提示できる情報はない」、FEAST試験への言及と外挿の限界、Phoenix Sepsis Scoreの位置づけ、市中発症小児敗血症の主要原因菌。
  • 厚生労働省.侵襲性肺炎球菌感染症 届出基準.https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-09-02.html (2026-09-12閲覧)。「小児 成人と異なり、肺炎を伴わず、発熱のみを初期症状とした感染巣のはっきりしない菌血症例が多い」。
  • 日本蘇生協議会.JRC蘇生ガイドライン2020 小児の蘇生(PLS).「日本版敗血症診療ガイドラインで推奨されているとおり、初期輸液組成に不応の敗血症小児は院内のICUあるいは近隣のPICUで管理することが望ましい」。
  • セフトリアキソンNa静注用 添付文書(PMDA/JAPIC PINS、2026年6月改訂第2版)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00058639.pdf 。2.2禁忌「高ビリルビン血症の低出生体重児、新生児」、8.3「新生児に本剤とカルシウムを含有する注射剤又は輸液を同一経路から同時に投与した場合に…死亡に至った症例が報告されている」。当院が中枢神経の経験的抗菌薬でセフトリアキソンを全年齢で使わない決定(2026-09-26)の根拠。

処方

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
処方

処方の考え方

血液培養は抗菌薬投与の前に採るが、そのために抗菌薬投与を遅らせない。輸液に反応しない敗血症性ショックは当院で持てず、ICU/PICUのある施設へ送る。経験的抗菌薬は年齢・想定起炎菌・院内アンチバイオグラムで決まるため、本シートは意図的に用量を書いていない。初期輸液は2014年合意意見とJ-SSCG2024で量の記載が異なり、院内でどちらに寄せるか要確認。

対応

この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

病態・根拠12章
病態・根拠(医師確認前の原稿)

専門医による逐条確認前の学習用原稿。既存の「診療の要点」は2014年の国内合意意見、J-SSCG2024、SSC小児版2020を併記している。SSC小児版は2026年3月に改訂されたため、要点欄の時間目標・輸液・認識基準は院内運用を決める前に改訂版と再照合する必要がある。 当院には小児集中治療がなく、以下は当院独自の薬剤・輸液プロトコルを定めるものではない。[1][2][3]

0. 「菌血症」と「敗血症」を分けて考える

医師確認前の学習用原稿。SSC小児版は2026年3月に改訂されたため、既存の「診療の要点」にある時間目標・輸液・認識基準は改訂版との再照合が必要。当院独自の薬剤・輸液プロトコルを定める節ではない。[1][2][3]

菌血症は血中に細菌が存在する微生物学的な状態で、敗血症は感染に伴う生命を脅かす臓器機能障害である。血液培養が陽性でも臓器障害がなければ両者は同義でなく、逆に培養陰性でも感染と臓器障害を疑えば敗血症を除外できない。原因が細菌に限られない点も、抗菌薬を開始した後の再評価で重要になる。[2][3]

小児のPhoenix基準は、感染が疑われる児の呼吸・循環・凝固・神経の障害を統合して敗血症を定義する。従来のSIRS/Goldstein基準は発熱・頻脈などに敏感でも重症度を十分に識別できず、新しい定義では「重症敗血症」という語を用いない。ただしPhoenixスコアは発症早期のスクリーニング用ではない。スコア成立や低血圧を待たず、灌流・意識・呼吸の変化から初期対応を始める。[2]

1. 小児で見逃しやすい理由と悪化の仕組み

正常の心拍数・呼吸数・血圧は年齢で異なり、免疫成熟と感染の疫学も年齢で変わる。乳児では発熱や感染巣の訴えが明瞭でないことがあり、低体温、哺乳低下、活気低下、無呼吸などを全身状態の異常として拾う。早産児や出生後から入院中の新生児にはPhoenix基準の開発データをそのまま適用できない。これらの児は新生児の診療体系で別に評価する。[2][3][4]

感染への宿主反応が局所にとどまらず、循環・呼吸・凝固・神経など離れた臓器の機能障害に及ぶと、ショックや多臓器不全へ進む。循環の破綻は血圧低下だけで表れない。頻脈、毛細血管再充満時間、四肢温、脈の質、意識、尿量を繰り返して見るのは、輸液・抗菌薬・搬送の間に灌流が改善しているかを捉えるためである。心機能低下や体液過剰が加わる児では、循環不全を一律の追加輸液だけで解決しようとすると害になりうる。[1][3]

2. 検査は「原因」と「臓器障害」を並行して探す
問い初期評価結果の限界
灌流障害は進んでいるか年齢に応じたバイタル、CRT、末梢温、脈、意識、尿量を反復する。可能なら血液ガスと乳酸を確認する。[1][3]血圧が保たれていてもショックはありうる。乳酸だけを診断や輸液終了の条件にしない。当院は院内夜間の乳酸測定可否が未確認。[1][3]
どの臓器が障害されているか呼吸状態・酸素化、神経所見、凝固、腎機能などを臨床像に応じて評価する。[2][3]Phoenixスコアが未成立でも、将来の悪化を否定できない。早期スクリーニングとして単独使用しない。[2]
感染巣・病原体は何か診察を軸に尿、呼吸器、中枢神経、腹部、皮膚軟部組織、留置デバイスなどを検討し、抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で血液培養を先に採る。[1][3]陰性培養や単一の炎症マーカーで敗血症を除外できない。検査が遅れるならショックへの治療と受入先連絡を先行する。[3]

SSC小児版2026は、敗血症が疑われる児の初期評価に乳酸測定を推奨する一方、循環蘇生は乳酸の値だけでなく臨床所見を継続評価する。血液培養は抗菌薬を大幅に遅らせない場合に投与前採取とする。当院の夜間培養搬送と乳酸測定の運用確認が残る。[3]

3. 鑑別と抗菌薬の考え方

発熱と頻脈だけで細菌性敗血症と決めず、脱水、ウイルス感染、尿路感染症、肺炎、髄膜炎、急性腹症などを同時に考える。特に感染巣の処置が必要な場合、抗菌薬だけでは感染源を制御できない。SSC小児版2026は処置可能な感染源の速やかなコントロールと、病原体・感受性が判明した後の抗菌薬の絞り込みを求めている。[3]

ショックが疑われる場合、抗菌薬の選択と投与を急ぎ、血液培養のために大きく遅らせない。SSC小児版2026はショック疑いで認識後できれば1時間以内、ショックのない敗血症疑いでは短時間の評価後、懸念が裏づけられればできれば3時間以内としている。これは小児の国際指針であり、J-SSCG2024の「必ずしも1時間以内という目標は用いない」は成人のCQ2-2である。院内の掲示と計時点は医師間で統一する。[1][3]

4. 輸液への反応を毎回判断する

等張晶質液を投与する目的は、循環血液量が不足する児の灌流を改善することにある。ショックの程度、心機能、呼吸状態、集中治療へのアクセスで適量は変わる。SSC小児版2026は、集中治療が利用できる医療体制と利用できない体制で輸液推奨を分け、各ボーラス後に血行動態を再評価し、ショックの解消または体液過剰の徴候で中止する。当院は院内PICUを持たないが搬送先へアクセスするため、どの推奨区分で院内の輸液上限を設定するかは未確定である。[1][3]

呼吸の悪化、ラ音、肝腫大などが出現したら追加輸液を機械的に続けず、心機能と肺うっ血を考える。研修・機器がある場合、心肺POCUSを蘇生の補助に使うことが2026版で条件付き推奨されたが、当院での利用可否は未確認である。輸液不応や循環作動薬を要する段階では、当院で初期治療を進めながらPICU受入先と早期に協議する。[1][3]

5. 搬送判断と引き継ぎ

初期輸液後も灌流障害が続く、呼吸・神経・凝固など複数臓器へ障害が広がる、循環作動薬または人工呼吸管理が必要と判断する場合は、当院の能力を超える。検査の確定やすべての輸液反応を待たず受入先へ連絡する。2026版は循環作動薬が必要な場合、中心静脈路の確保を待つことで投与を遅らせるより末梢静脈路で開始することを条件付きで提案しているが、これは当院での薬剤開始体制があることを意味しない。受入先の指示と搬送体制を確認する。[1][3]

引き継ぎでは、疑う感染巣、各時点のバイタルと灌流、採血・培養の時刻、抗菌薬の薬剤・投与時刻、輸液の種類・量・反応、呼吸・意識の変化を時系列で渡す。最初の印象より、介入への反応と悪化速度を共有する。[1][3]

6. 出典と適用範囲
  1. 日本集中治療医学会・日本救急医学会.日本版敗血症診療ガイドライン2024(J-SSCG2024)。小児CQ9、国内の感染巣別抗菌薬例、輸液と循環評価を参照。2026-10-01確認。
  2. Schlapbach LJ, et al. International Consensus Criteria for Pediatric Sepsis and Septic Shock. JAMA. 2024;331:665–674。Phoenix基準の目的、年齢適用範囲、SIRSとの違い、早期スクリーニングへの非適用を参照。2026-10-01確認。
  3. Weiss SL, et al. Surviving Sepsis Campaign International Guidelines for the Management of Sepsis and Septic Shock in Children 2026. Society of Critical Care Medicine. 2026-03-23公開。初期評価、抗菌薬、輸液、循環作動薬、感染源管理の推奨を参照。2026-10-01確認。
  4. National Institute for Health and Care Excellence. Suspected sepsis in under 16s: evaluating risk level (NG254). 2025-11-19公開。年齢別のバイタルと低体温・無呼吸・活気低下などの警告徴候を参照。英国のリスク層別化を国内の搬送基準として転用しない。2026-10-01確認。

培養は抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で投与前に採取し、採取・夜間提出・保管の調整に手間取っても治療開始を待たせない。[3]

臨床医が迷う場面
血圧が保たれている発熱児は敗血症性ショックでない?

血圧低下は遅い所見になり得る。意識・反応、脈、皮膚灌流、尿量、呼吸と推移を評価する。四肢が温かくCRTが速い型もあるため、冷感がないだけで除外しない。感染に臓器障害が疑われれば上級医を呼び、蘇生と原因評価を並行する。

根拠:SCCM 小児敗血症国際GL2026

採血や画像が終わってから抗菌薬を開始する?

可能なら投与前に血液培養を採るが、ショックで治療を実質的に遅らせない。疑い敗血症性ショックではできるだけ早く、理想1時間以内を目標にする。感染源・年齢・耐性リスクと既治療を確認し、投与時刻を記録して搬送先へ伝える。

根拠:SCCM 小児敗血症国際GL2026

輸液後も循環が悪い。さらに同じ量を入れ続ける?

各投与後に灌流と呼吸、肝腫大など容量過剰徴候を再評価する。反応が乏しい、肺水腫などが疑われる場合は漫然と反復せず、昇圧・強心薬とPICU搬送を急ぐ。総投与量・反応、抗菌薬と培養の時刻を一緒に引き継ぐ。

根拠:SCCM 小児敗血症国際GL2026

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