本シートのワークフローが使う「1時間以内」は、2014年の小児重症敗血症 合意意見の「経験的抗菌薬は重症敗血症認識後1時間以内に開始する」に基づく。
J-SSCG2024 はこの目標から後退している(CQ2-2・成人対象・逐語):
「敗血症あるいは敗血症性ショックと認知した後、抗菌薬は可及的早期に開始するが、必ずしも 1 時間以内という目標は用いないことを弱く推奨する(GRADE 2C)」
理由(逐語): 「1 時間以内の抗菌薬投与に固執することによって原因微生物診断の推定が不十分となり、不必要な広域・多剤抗菌薬投与が増加する可能性がある」
ただし同じ解説がこう釘を刺している(逐語): 「予想される標的微生物をカバーする適切な抗菌薬を選択し、可及的速やかに投与することを否定するものではないことに注意が必要である」
小児側(CQ9-1)に時間の数値はない。あるのは「敗血症と診断後に速やかに投与することを目標とし」という表現だけ。
小児の国際ガイドラインは「1時間」を残している(Surviving Sepsis Campaign 小児版2020・逐語): 「In children with septic shock, we recommend starting antimicrobial therapy as soon as possible, within 1 h of recognition(strong recommendation, very low quality of evidence)」(推奨5)、「In children with sepsis-associated organ dysfunction but without shock, we suggest starting antimicrobial therapy as soon as possible after appropriate evaluation, within 3 h of recognition」(推奨6)、「We recommend obtaining blood cultures before initiating antimicrobial therapy in situations where this does not substantially delay antimicrobial administration」(推奨4)。Weiss SL, et al. Intensive Care Med 2020;46(Suppl 1):10-67(2026-09-27 原文確認)。どちらに寄せて掲示するかは院内で未確定。
当直の読み方: SSC小児2026は疑い敗血症性ショックで理想1時間以内、ショックなしのprobable sepsisは迅速評価で裏付けられれば理想3時間以内を示す。院内の薬剤・実行手順が未確定でも投与保留の根拠にはせず、上級医と開始時点を直ちに決める。 血液培養は抗菌薬を実質的に遅らせない範囲で先に採り、感染巣を1分でも早く絞る。当院は院内画像が夜間X線しかないので、感染巣の推定は病歴と診察でやるしかない——節「経験的抗微生物薬」の表は感染巣別なので、感染巣が絞れないと選べないという構造になっている。