腸重積症の初期対応と送るタイミング
間欠的な腹痛(不機嫌)だけで疑診が成立する。三主徴を待たない。血便が無いことは否定の根拠にならず、発症12時間以内に自然に血便を出すことはまれ。48時間が分岐点で、これを超えると整復率が下がり腸管壊死が増える。当直帯は超音波が使えず確診には進めないため、外科のない当院では疑診が立った時点で送る先を決める。
始める前に
- 触診は腹痛の間欠期に行う。泣いている最中の腹部は評価にならない。
- 腹部腫瘤(ソーセージ様)は右季肋部に触れるのが半数程度、慎重に触診して85%程度。触れないことは否定材料にならない。
- Dance徴候の出現頻度は10%程度で、診断的意義は少ない。無いことを根拠にしない。
- 時間を置いて2回診る。間欠期に当たると印象が変わる。
- 便は自分で見る。浣腸で出た反応便に血が混じるかを確認する。
手順
- 1
全身状態とショックの有無を先に評価する。
- 2
当直帯は確診を取りにいかない(超音波が無い)。疑診のまま動き、血便・腫瘤・三主徴を待たない。
- 3
X線が撮れるなら遊離ガスを外す(夜間のX線可否は要確認)。あれば整復は絶対禁忌で、いずれにせよ外科のある施設へ。
- 4
輸液ルートを確保する(軽症例でも推奨度B)。
整復時の穿孔に備える。
- 5
発症からの時間を計算し、48時間を超えていれば重症側に倒して判断する。
- 6
送ると決めたら、輸液ルート確保・絶食を行う。
- 7
受け入れ先へ先に電話する(検査を終えてから電話しない)。
- 8
発症時刻と、いま何時間目かを明確に伝える。
48時間・24時間が相手の判断を変える。
- 9
家族に「当院では手術ができないので、必要なら移ります」を検査前に伝えておく。
やってはいけない
- 非観血的整復の絶対禁忌(この所見があれば整復を試みず、直ちに移送):腹部単純X線で遊離ガス、または消化管穿孔を疑う場合。
- 非観血的整復の絶対禁忌:腹膜刺激症状がある場合。
- 非観血的整復の絶対禁忌:重症のショックで急速輸液に反応しない場合。
- バリウムは使わない(穿孔時に重篤化するため推奨度D)。整復を行う施設側の選択だが、当院から情報として伝える意味はある。
終わったあと
- 整復後の再発を疑う症状(帰宅後の再啼泣・嘔吐)が出たら、当直帯はエコーで確認する手段が無いため、整復した施設に戻す。再発は約10%、その1/3は最初の48時間に起きる。
- 家族への一文:元に戻したあとも、10人に1人くらいは繰り返す。帰宅後に同じ泣き方が戻ったら、すぐ来てもらう。
この場で持てない・送る
- 確定(2026-09-14):当直帯は超音波が使えず、整復不成功時の外科的対応も持てない。疑診の時点で整復可能施設へ送るのが当院の運用。
- 確定(2026-09-14):夜間の腹部エコーは当院で当てられない。このシートは「エコー無しで送る」前提で書いてある。
- 決着(2026-09-14):当直帯は疑診の時点で搬送する。残るのは、日勤帯(超音波が使える時間帯)に当院で整復を試みる方針を採るか。採るなら媒体(水溶性造影剤か空気か)と実施部門を決める必要がある。
- 要確認:整復を行う場合の媒体(水溶性造影剤か空気か)と、実施部門(放射線科/小児科)。
- 要確認:整復可能施設(透視下/超音波下)の夜間・休日の受け入れ先と直通番号。小児外科は決まった連携先に直接電話する運用(施設名・番号は保留中)。
- 要確認:救急車要請の院内手順と医師同乗の要否
- 要確認:整復後に外来で観察して帰宅させる運用(推奨度C1)を当院で採るか、入院とするか。
- 要確認:本シートの48時間・24時間という数値は2012年版ガイドラインに基づく。改訂第2版(2022年)での変更有無の照合が未。
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。