こどもの便秘

こどもの便秘

消化器β版・逐条レビュー継続中

2026-07-31更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

当院の当直帯に腹部エコーは無い(2026-09-14 確認)。浣腸と導尿はできる。
便秘の当直で最も危ないのは、腸重積を便秘として扱い、浣腸してしまうこと
間欠的な啼泣・不機嫌の波があれば、当直帯はエコーで外せないので、浣腸せずに相談へ回す(腸重積浣腸)。
なお浣腸で出た反応便に血が混じったら、便秘ではなく腸重積の所見

30秒要約

  • こどもの便秘。家族説明と同じ受診サインで切る。
  • まず毒性・気道・循環を見る。迷ったら上級医。
  • 家族には説明ページを渡し、様子見の自己判断を止めさせる。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
当日生まれてすぐ(生後24時間以降)から、便がまったく出ない家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日体重が増えない、または減ってきている家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日何度も繰り返し吐く家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日うんちに血が混じる家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日お腹がパンパンに張っている、しこりのようなものを触れる家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日足の動きがおかしい、背中やお尻のあたりの皮膚に気になる変化がある家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日肛門(こうもん)の形や位置がおかしいと感じる家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日お薬を飲んでいて、吐く・脈が遅い・力が入らない・ぼーっとしている様子がある家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. ABC と毒性を先に見る。
  2. 上のレッドフラグで 119 / 今日受診 / 説明して帰宅 を分ける。
  3. 検査・薬は施設プロトコル。用量は書かない。
  4. 家族説明を渡す。

家族に渡す一文

この説明ページに、今日の判断と受診の目安がまとまっています。当てはまるサインがあれば様子を見続けずに連絡してください。
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/こどもの便秘について_患者説明_2026-07-30.html

エスカレーション

  • レッドフラグ、判断に迷う → 上級医

出典

  • Family Guide constipation と整合

処方

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
処方

処方の考え方

fecal impaction(便塞栓)があれば維持療法の前に必ずdisimpaction(便塞栓除去)を先行させる。ここを飛ばすと維持療法の効果が出ない。維持療法の浸透圧性下剤(酸化マグネシウム/ラクツロース/PEG)は通常6〜24か月の長期継続が必要で、早すぎる減量・中止は高率に再発する。

治療段階

この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

詳細リファレンス8章(正本より)

出所: 正本「便秘症の外来マネジメント_2026-07-30.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

  • 区分: 外来編/外来手技・治療
  • 記録日: 2026-07-30
  • 状態: 下書き(要・本人確認)
  • 対象: 小児外来(愛育病院)

⚠ 本ファイルはAIが最新の文献・ガイドラインをWeb検索して起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ・個別患者値や患者情報は書かない。

0. 要点(3行)
  • fecal impaction(便塞栓)があれば維持療法の前に必ずdisimpaction(便塊除去)を先行させる。ここを飛ばすと維持療法の効果が出ない[1]。
  • 診断は原則としてRome IV基準+red flags/yellow flagsの問診・診察でつく。画像検査(腹部X線・超音波)はあくまで補助(直腸指診が困難な場合や難治例の評価)[1][3]。
  • 維持療法の浸透圧性下剤(酸化マグネシウム/ラクツロース/PEG)は通常6〜24か月と長期継続が必要で、早すぎる減量・中止は高率に再発する[1]。
1. いつ使う・いつ使わない(適応/非適応)
  • 使う(適応):
  • Rome IV基準を満たす、または基準を満たさなくても排便回数減少・排便時痛など臨床的に便秘が疑われる児の評価・治療[1][3]
  • fecal impaction(便塞栓)が疑われる/確認された児へのdisimpaction(経口薬または経直腸治療)[1]
  • disimpaction後、または便塞栓のない機能性便秘に対する維持治療(生活・食事指導+薬物療法)[1]
  • red flags(表8-3参照)陽性例の、専門施設への紹介前提での基礎疾患検索[1]
  • 使わない・過剰になりがち:
  • グリセリン浣腸を維持治療として反復連用すること(連用による耐性化・効果減弱・薬剤依存のリスクが添付文書上も明記されている)[5]
  • fecal impactionを解除しないまま浸透圧性下剤の維持量だけで様子を見ること(効果が出にくい)[1]
  • red flagsを認める児に、精査を後回しにして機能性便秘としての薬物治療だけを先行させること[1]
  • 腎機能を確認せずに酸化マグネシウムを漫然と継続すること(高マグネシウム血症のリスク)[6]
2. 実際(読み方・基準値・手技・スケジュール等)

2-1. 診療の基本フロー

JSPGHANガイドラインの診療フローチャートは以下の順で進む[図4-1/図8-1再掲][1]。

  1. 便秘の症状・病歴・身体所見を確認
  2. red flagsの有無を確認 → 陽性なら専門施設で基礎疾患検索
  3. red flags陰性なら、身体所見+必要に応じ画像検査でfecal impactionの有無を判定
  4. fecal impaction陽性ならdisimpactionを先行
  5. 生活・排便・食事指導+薬物治療(維持療法)を開始
  6. 経過良好なら治療継続→治癒、経過不良なら専門家にコンサルト

2-2. 診断基準(Rome IV)

Rome IVでは年齢で基準が分かれる。いずれも1か月以上、週1回以上の頻度で以下のうち2項目以上を満たす場合に機能性便秘と診断する(器質性疾患を示唆する所見がないことが前提)[3]。

乳幼児(発達年齢4歳未満)児童・思春期(発達年齢4歳以上)
排便回数週2回以下トイレでの排便が週2回以下
便失禁週1回以上の便失禁
我慢姿勢便貯留の既往我慢姿勢・意図的な便の我慢の既往
排便時痛痛みを伴う・硬い便の既往痛みを伴う・硬い便の既往
便塊直腸内の大きな便塊直腸内の大きな便塊
便径大径便の既往トイレを詰まらせるような大径便の既往
  • Rome基準に合致しなくても、排便回数が少ない・排便に苦痛を伴う例は便秘と診断し治療対象としてよい[1]。
  • 過敏性腸症候群(IBS)の基準を満たさないことも要件(IBS随伴の便秘型は別カテゴリー)[1]。

2-3. fecal impaction(便塞栓)の診断

以下のいずれかがあればfecal impactionを疑う(表8-1/表10-1)[1]。

  1. 腹部触診で便塊を触知
  2. 直腸指診で便塊を触知
  3. 画像上、直腸に便塊を認める
  4. いきんでいるが出ないとの訴え
  5. overflow incontinence(漏便)がある
  6. 少量の硬い便が出ている
  7. 最後の排便から5日以上経過
  • 便性状評価にはBristol stool form scale(1=硬いコロコロ便〜7=水様便)が簡便で客観的[1]。
  • overflow incontinence(漏便)を「下痢」「便失禁」「遺糞症」と別々に誤診しやすい点に注意(実際は同じ病態の表現型の違い)[1]。
  • 直腸指診は診断に有用だが侵襲的手技。目的説明・同意取得・プライバシー確保・付添者立会・施行者の性別配慮が必要。同意が得られない場合は腹部触診・画像検査で代替する[1]。
  • 画像診断(腹部X線・腹部超音波)はfecal impaction自体の診断・重症度評価としては限定的なエビデンスで、「直腸指診が困難」「難治傾向の評価」「基礎疾患除外」が必要な場合に行う(推奨度B)[1]。

2-4. disimpaction(便塊除去)

fecal impaction陽性例は、経口薬・経直腸治療(浣腸・坐薬)・両者の併用のいずれかで行う。優劣を示す強いエビデンスはなく、家族を意思決定に参加させて選択する(推奨度B)[1]。

経路薬剤(一般名)
経直腸(浣腸)グリセリン浣腸液
経直腸(坐薬)ビサコジル/炭酸水素ナトリウム+無水リン酸二水素ナトリウム
経口(浸透圧性)酸化マグネシウム/水酸化マグネシウム/ラクツロース
経口(刺激性)ピコスルファートナトリウム/センノシド
  • 実施期間の目安: 数日〜1週間。必ず再診し効果判定を行う。排便日誌の活用が有効[1]。
  • 国際GL(NASPGHAN/ESPGHAN 2014)は経口PEG(1〜1.5 g/kg/日を3〜6日間)をdisimpactionの第一選択としているが、当時の日本にはPEG3350+電解質の保険適応がなく、JSPGHANガイドライン本体(2013年版)の表には掲載されていない[1][2]。現在はモビコール(PEG製剤)に小児の便秘症適応があるが、添付文書の用法用量は通常の段階増量法であり、高用量disimpactionプロトコルとしての用量・投与法は明記されていない点に注意(下記2-6参照)[4]。
  • disimpactionが奏効しない、外来治療が困難な重度impactionでは、入院治療または全身麻酔下摘便を要することがあるため、小児便秘症の治療経験豊富な小児科医・小児外科医への紹介を検討する[1]。
  • 治療開始時は一過性に症状(腹痛・漏便)が強くなり得ることを、事前に患者・養育者へ説明しておく[1]。

2-5. グリセリン浣腸(体重換算・手技の考え方)

添付文書上の用法用量は年齢・症状により適宜増減で、体重換算のmg/kg式は設定されていない(用量は「年齢」ベースで調整する薬剤)[5]。

  • 用量: 通常1回10〜150 mLを直腸内注入。年齢・症状により適宜増減[5]。
  • 挿入深度の目安: 乳児3〜4 cm/小児3〜6 cm/成人5〜6 cm[5]。
  • 体位: 左側臥位。立位での実施は禁止(直腸穿孔リスク)[5]。
  • 禁忌: 腸管内出血・腹腔内炎症のある患者、腸管穿孔またはそのおそれのある患者、全身衰弱の強い患者、下部消化管術直後、急性腹症が疑われる患者[5]。
  • 乳児への注意: 添付文書上「乳児に投与する場合は慎重に投与すること。患児側の反応を十分に把握できない場合、過量投与に陥りやすい」と明記されている=乳児は年齢の割に少量から[5]。
  • 連用回避: 連用による耐性増大等で効果が減弱し薬剤に頼りがちになるため長期連用を避ける(disimpactionの補助として使い、維持療法の主軸には据えない)[5]。

2-6. 維持療法(PEG/酸化マグネシウム/ラクツロース)

維持療法は原則として浸透圧性下剤(塩類下剤・糖類下剤)から開始する(推奨度C1)。効果発現に数日を要すること、十分な水分摂取が必要なことを事前に説明する[1]。JSPGHANガイドライン表11-2では、乳児期の浸透圧性下剤として「ラクツロース・酸化マグネシウム・マルツエキス」の3剤が挙げられている(幼児期以降は酸化マグネシウム・ラクツロース・水酸化マグネシウムが中心)[1]。

マルツエキス ── モビコール(2歳以上)・マグミット等の酸化マグネシウム製剤(銘柄により1歳以上)が使えない1歳未満児で使える浸透圧性下剤の代表[1]。

  • 添付文書上の小児投与量の目安:6か月未満 1回3〜6 g/6か月以上1歳未満 1回6〜9 g/1歳以上3歳未満 1回9〜15 g、いずれも1日2〜3回経口投与[1]
  • 主成分は麦芽糖(マルトース)で、副作用はほとんどないとされる[1]
  • 一般用医薬品・医療用医薬品の両方が流通しており、医療用は保険適応がある[1]

モビコール配合内用剤(PEG/マクロゴール4000) ── 小児の便秘症に対する保険適応あり[4]。

  • 2歳以上7歳未満:初期用量はLD配合内用剤1包を1日1回経口投与
  • 7歳以上12歳未満:初期用量はLD配合内用剤2包またはHD配合内用剤1包を1日1回経口投与
  • 増量は2日以上の間隔をあけ、増量幅は1日量としてLD1包ずつ
  • 最大投与量:1日量LD4包(1回量LD2包)
  • 禁忌:腸閉塞、腸管穿孔、重症の炎症性腸疾患が確認されている患者。重大な副作用としてショック・アナフィラキシーの記載あり[4]
  • 添付文書に体重換算(mg/kg)での用量記載はなく、年齢区分での段階増量が基本[4]

酸化マグネシウム ── 銘柄によって小児の用法用量記載の有無が異なる点に要注意。

  • マグミット®錠/マグミット®細粒83%(2025年改訂の電子添文で小児用法用量が整備)[7]:
  • 通常、1歳以上の小児には酸化マグネシウムとして1日20〜80 mg/kgを食後2回に分割経口投与
  • 開始用量の目安は1日40 mg/kg。便性状(Bristol様の便性状評価)に応じて増減する(コロコロ便・硬便が続けば増量、泥状便・水様便が続けば減量)
  • 低出生体重児・新生児・乳児を対象とした臨床試験は未実施
  • 他社の酸化マグネシウム製剤(例:酸化マグネシウム錠「TX」等、2023年改訂添付文書)には小児向けの用量記載がなく、「年齢、症状により適宜増減する」という成人用法の記載にとどまるものがある[6]。処方時は製剤ごとに添付文書の小児記載の有無を確認する
  • 重要な基本的注意(酸化マグネシウム全般):高マグネシウム血症は腎機能正常・通常用量以下でも重篤な転帰の報告があり、必要最小限の使用、長期投与時は定期的な血清マグネシウム濃度測定、嘔吐・徐脈・筋力低下・傾眠が出現したら中止し受診、と明記されている(重大な副作用:高マグネシウム血症→呼吸抑制・意識障害・不整脈・心停止に至り得る)[6]。
  • 併用注意(薬物相互作用):添付文書上、テトラサイクリン系・ニューキノロン系抗菌薬、活性型ビタミンD3製剤を含む骨粗鬆症治療薬、一部のCa拮抗薬(エホニジピン塩酸塩エタノール付加物等)、ジギタリス製剤、ポリカルボフィルカルシウム、大量の牛乳・カルシウム製剤との併用で吸収・作用に影響が出得るとされている。慢性疾患合併・多剤併用児では見落としやすいため処方時に確認する[1]。
  • ガイドライン本文でも、腎機能正常な小児に通常量投与した検討では血清Mg値上昇は軽度(2.4 mg/dL:便秘児 vs 2.2 mg/dL:対照群)で臨床的に問題となるレベルではないと報告されている一方、腎機能低下児では十分な注意が必要、年少児ほど血清Mg値が上昇しやすい傾向があり、特に乳児への長期投与時は注意、とされている[1]。

ラクツロース(モニラック等) ── 小児適応あり。用量は便の性状により適宜増減する。高アンモニア血症に伴う症状の適応もある製剤がある[1]。

その他: 浸透圧性下剤で無効な例には刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム等)、消化管運動賦活薬(モサプリド)、漢方製剤(大建中湯、小建中湯、大黄甘草湯等)が有効な場合がある(推奨度B)。刺激性下剤は乳児には推奨されず、あくまで救済的・短期投与が原則(海外GL)[1]。

  • 漢方製剤の安全性注記:添付文書上、小建中湯は3か月未満の乳児には使用しない。大建中湯・小建中湯・大黄甘草湯はいずれもカンゾウ(甘草)を含み、重大な副作用として偽アルドステロン症・ミオパシーの記載があるため、血清カリウム値・血圧に十分注意する。大建中湯には重大な副作用として間質性肺炎・肝機能障害の記載もある[1]。

2-7. 維持療法の継続期間・中止判断

  • 治療薬の減量・中止が早すぎると再発しやすく、薬物維持療法には通常6〜24か月を要する(推奨度A)[1]。
  • 排便困難がなく規則的な排便が習得できても、数週間はそのまま継続し、その後数か月かけて徐々に減量・中止を検討する[1]。
  • 幼児では、排便自立(トイレットトレーニング完了)ができるまでは治療を継続する[1]。
  • 薬物治療開始から6か月以内に規則正しい排便習慣が得られる患児は約50%。2年以内に薬物治療を完全に中止できる患児も約50%で、約25%は思春期になっても薬物療法を要する。初期治療が成功しても5年以内に約半数で1回は再発するため、少なくとも1年間の経過観察が必要[1]。
3. 鑑別・拾える疾患/注意すべき病態

慢性便秘症をきたす主な外科的・内科的基礎疾患(表8-2より抜粋)[1]。

  • 腸管神経異常:ヒルシュスプルング病、腸管神経の未熟性・低形成を認めるヒルシュスプルング病類縁疾患、internal anal sphincter achalasia、intestinal neuronal dysplasia
  • 直腸肛門形態異常:直腸肛門奇形、rectocele、congenital funnel anus
  • 脊髄神経系の異常:脊髄脂肪腫、二分脊椎、脊髄奇形、脊髄損傷、脊髄係留症候群(tethered cord)
  • 骨盤内病変:Currarino症候群、仙骨前奇形腫、卵巣嚢腫
  • 代謝内分泌疾患:甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、低カリウム血症、糖尿病、副甲状腺機能亢進症、尿崩症、MEN 2B
  • 消化器疾患:嚢胞性線維症、セリアック病
  • 神経・精神疾患:神経線維腫症、重度心身障害、脳性麻痺、自閉症・注意欠陥多動性障害等の発達障害、抗精神病薬等の副作用性
  • 腹部の異常:prune belly症候群、腹壁破裂、Down症
  • 結合組織の異常:強皮症、全身性エリテマトーデス、Ehlers-Danlos症候群
  • 薬剤性:麻薬、フェノバルビタール、制酸薬、抗高血圧薬、抗コリン薬、抗うつ薬、鉄剤、コレスチラミン 等
  • その他:重金属摂取(鉛等)、ビタミンD中毒、ボツリヌス中毒、牛乳不耐症、牛乳アレルギー

新生児期発症の便秘ではヒルシュスプルング病・直腸肛門奇形を、下肢の運動異常を伴う場合は脊髄神経異常を、肛門位置異常にも留意する(エビデンスレベル4)。手術適応のある外科的疾患の除外には注腸造影検査(first line)、ヒルシュスプルング病の確定診断には直腸肛門内圧検査・直腸粘膜または直腸全層の病理診断(アセチルコリンエステラーゼ染色を含む)を組み合わせる。腰仙部脊椎奇形が疑われる場合はMRIが有用(推奨度B)[1]。

4. 忘れがちポイント・落とし穴 ★
  1. disimpactionを飛ばして維持療法だけを始めてしまう。fecal impactionが残ったまま浸透圧性下剤の維持量を出しても効果が出にくい。必ず先にimpactionの有無を評価し、あれば除去してから維持治療に移行する[1]。
  2. 維持療法を早くやめてしまう。「排便が安定した=治った」と数週間で中止すると高率に再燃する。目安は6〜24か月、幼児は排便自立まで継続。5年以内に約半数が再発するため最低1年は経過観察する[1]。
  3. 酸化マグネシウムの高マグネシウム血症を軽視する。腎機能正常でも通常用量以下で重篤な転帰の報告があり、長期投与時は血清Mg測定を検討する。特に乳児・年少児・腎機能低下児では上昇しやすい[2008年の国内成人死亡例2例を受けて添付文書の注意喚起が強化された経緯あり][1][6]。
  4. 酸化マグネシウムの製剤(銘柄)による小児用法用量記載の差を知らずに処方する。2025年改訂でマグミット®は小児(1歳以上)の用法用量・開始用量目安(40 mg/kg、範囲20〜80 mg/kg/日)が電子添文に明記されたが、他銘柄の酸化マグネシウム製剤は成人用量のみの記載にとどまるものがある。銘柄名を確認せず「酸化マグネシウムには小児適応がない」と思い込むのも、逆に他銘柄をマグミットと同じ感覚で使うのも誤り[6][7]。
  5. モビコールを何歳からでも使える薬だと思ってしまう。添付文書上の適応年齢は2歳以上。乳児・2歳未満には使えない[4]。
  6. red flags(表8-3)を見落として機能性便秘として治療を開始してしまう。胎便排泄遅延(生後24時間以降)、成長障害・体重減少、繰り返す嘔吐、血便、paradoxical diarrhea、腹部膨満、腹部腫瘤、肛門の形態・位置異常、直腸肛門指診の異常、脊髄疾患を示唆する神経所見と仙骨部皮膚所見──これらはヒルシュスプルング病・脊髄係留症候群等の器質性疾患のサインであり、精査(専門施設紹介)が必要[1]。
  7. yellow flags(表8-5)を「よくある便秘」として様子見してしまう。排便自立後の便失禁・漏便、我慢姿勢、排便時の強い痛み、軟便でも排便回数が少ない(週2回以下)、排便時出血、直腸脱等の肛門部所見併発、画像上の結腸・直腸拡張、病悩期間が長い、他院治療への反応不良──該当例は難治化が予想され、積極的な薬物治療の早期併用・治療経験豊富な施設への紹介が推奨される[1]。
  8. overflow incontinence(漏便)を下痢や反抗的行動と誤診する。一度確立した排便習慣後の便汚染はfecal impactionのサインとして重要で、便性状は液状〜「ぽろぽろ」まで多様、特有の悪臭を伴う。止痢薬で対応してしまう誤りに注意[1]。
  9. グリセリン浣腸を漫然と連用する。連用で耐性化・効果減弱を招き薬剤依存の一因になる。あくまでdisimpactionの一手段であり、維持療法の主軸には据えない[5]。
  10. 直腸指診を説明・同意なしに実施する。侵襲的手技であり、目的説明・同意取得・プライバシー配慮・付添者立会・施行者の性別配慮が求められる。同意が得られない場合は無理に行わず、腹部所見や画像で代替する[1]。
5. 患者・保護者への説明(要点)
  • 便秘は「しつけ」や「気合い」の問題ではなく、治療が必要な体の状態であること。叱ると排便を我慢する悪循環になりやすい[1]。
  • 治療を始めた最初の数日〜1週間は、便が増えたり、下着が汚れたり、お腹が痛くなったりすることがある。これは治療がうまくいっている過程で起こり得る一時的な反応であること[1]。
  • 薬(酸化マグネシウムやPEGなど)は「もう治った」と自己判断ですぐやめると、また便秘に戻りやすい。医師が減らしてよいと言うまで続けること[1]。
  • 十分な水分摂取が薬の効果を出すために大切なこと[1]。
  • トイレットトレーニングは、便秘の治療で規則的な排便習慣がついてから始める。失敗しても叱らず、シールやご褒美を活用するとよい[1]。
  • 市販の下剤感覚で量を増やさないこと。特に腎臓の状態によっては量を調整する必要があるため、自己判断で増減しないこと[1][6]。
6. 院内ローカルルール(愛育・要確認)
  • 要確認:院内採用のグリセリン浣腸剤(銘柄・サイズ展開)
  • 要確認:院内採用のPEG製剤(モビコールLD/HD)・酸化マグネシウム製剤(銘柄=マグミットか他社製品か)
  • 要確認:ヒルシュスプルング病疑い例の紹介先(小児外科)・注腸造影/直腸肛門内圧検査の依頼フロー
  • 要確認:全身麻酔下摘便が必要な重度fecal impaction例の入院・紹介基準
  • 要確認:便秘専門外来・排便外来の有無、排便日誌の院内標準フォーマットの有無
7. 出典(日本のGL優先・URL+版年)

※改定の速い添付文書情報(モビコール・酸化マグネシウム各銘柄)は運用前に必ずPMDA医療用医薬品情報検索(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/)で最新版を確認すること。

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