糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

緊急

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

内分泌・代謝・血液β版・逐条レビュー継続中

2026-10-02更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。

施設プロファイル: 二次救急/小児集中治療なし。初期輸液は当院で始め、管理は送る前提。

30秒要約

  • 腹痛・嘔吐で来る。ガイドラインにも「急性腹症と誤診されることもある」と明記されている。1型糖尿病の初発がDKAで来る。
  • 多飲・多尿・体重減少+嘔吐を見たら血糖を測る。1〜2日の経過で進む。
  • 小児ではインスリンをボーラスで打たない。輸液を十分に行い、少なくとも1時間たってから持続投与を開始する。ボーラスや初期の大量投与は脳浮腫のリスク。
  • カリウムが3.3 mEq/L未満ならインスリンを始めない・増やさない。先に補充する。この値は日本糖尿病学会2024に基づく暫定記載で、BSPED小児版の3.0 mmol/Lとは異なる。院内小児プロトコルとして要確認。
  • 血糖・電解質・意識を連続して評価する。脳障害の機序は単一では説明できず、血糖を下げ急がずに循環不全も適切に治療する(期待される血糖低下速度は50〜75 mg/dL/時)。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119意識障害・ショックABC。等張晶質液で循環を立て直す。受け入れ先へ第一報待たない
119治療中の頭痛・嘔吐・意識悪化・徐脈+高血圧脳障害を疑う。画像を待たず上級医・受入先と連絡し、高張食塩水またはマンニトールによる緊急治療を院内手順・専門医指示で開始。集中治療のある施設へ分単位
緊急Kussmaul呼吸(深く速い呼吸)・呼気のアセトン臭血糖・血液ガス・尿ケトン時間単位
緊急腹痛・嘔吐で来た子に多飲多尿・体重減少がある血糖を測る。急性腹症として扱わない時間単位
緊急K < 3.3 mEq/Lインスリンを始めない。カリウムを先に補充治療の順番
当日血糖高値だがpH正常・ケトン軽度pH正常でもHHS・混合病態を除外できない。意識・循環・脱水・Naと高浸透圧を評価し、専門施設へ直ちに相談—

診断基準

DKA=インスリンの欠乏と拮抗ホルモンの増加により、次の3つをきたした状態。

項目基準
高血糖200 mg/dL 超(小児ISPAD基準)
ケトーシスβ-ヒドロキシ酪酸の増加(小児では 3,000 μmol/L 以上が HCO3⁻ 18 mEq/L 未満に相当)
アシドーシス静脈血 pH < 7.30 または HCO3⁻ < 18 mEq/L

正常血糖DKA: 血糖 250(または200)mg/dL 以下でもDKAはありうる(SGLT2阻害薬使用中・妊娠中など)。血糖が高くないことを否定の根拠にしない。

臨床像(ガイドライン原文の表現)

「1〜2日の経過で、急激な口渇、多飲、多尿、倦怠感が出現し、脱水、種々の程度の意識障害、体重減少を呈する。腹痛、悪心を伴うこともあり、急性腹症と誤診されることもある。代謝性アシドーシスを補正するための過呼吸(Kussmaul呼吸)、呼気のアセトン臭、口腔粘膜の乾燥、低血圧、頻脈などを認める。」

鑑別

病態見分け
急性胃腸炎嘔吐+腹痛が共通。多飲多尿・体重減少・深い呼吸があれば血糖を測る
急性腹症(虫垂炎など)同上。ガイドラインが誤診を明記している(急性腹痛)
過換気症候群深い呼吸が共通。血液ガスと血糖で分かれる
髄膜炎・脳症意識障害が共通。血糖・血液ガスを先に
高血糖高浸透圧症候群アシドーシスが軽くケトンが乏しい
敗血症併存しうる。どちらも見る

検査

  1. 血糖(最優先)
  2. 血液ガス(pH・HCO3⁻)
  3. 尿ケトン/血中β-ヒドロキシ酪酸
  4. 電解質(カリウムを必ず)、腎機能、血算
  5. 感染の検索(誘因になる)

初期治療の考え方(適用前に一次資料と院内プロトコルを確認すること)

輸液

  • 決定=ショック/非ショックで分岐する体重換算プロトコルに置き換える(旧来の成人主体の数値「500〜1,000 mL/時、15〜20 mL/kg/時」は使わない)。
  • 非ショック:生理食塩水 10 mL/kg を30分で投与(この分は脱水の補正量から差し引く)。脱水量(軽症・中等症=体重の5%、重症=体重の10%と仮定)+維持量(Holliday-Segar式、体重の計算上限75kg)を48時間かけて均等に投与する。
  • ショック:生理食塩水 10 mL/kg を15分で開始し、反応を見ながら10 mL/kgずつ反復(脱水補正量からは差し引かない)。合計40 mL/kgに達しても改善しなければイノトロープを検討し、上級医コール・搬送前倒しを判断する(下記「送る/持つ」参照)。
  • 以降は循環動態に応じて調整し、血糖値が 250〜300 mg/dL となればブドウ糖を含む低張電解質輸液へ切り替える。意識と電解質の変化を監視し、脳障害を疑う所見を見逃さない。
  • 未確認:48時間かけた精密な補正計算式を当直帯マニュアルにこのまま載せるか、体重帯別の早見表・具体例を添えるかは運用判断として本人確認待ち(当院から小児集中治療のある施設までの搬送所要時間も未確認)。

インスリン

  • 小児では治療開始時のボーラス投与の効果は示されておらず、ボーラス投与や初期のインスリン大量投与は脳浮腫のリスクとなる可能性があるため行わない。
  • 輸液を十分に行って、少なくとも1時間たってからインスリン持続投与を開始する。
  • 速効型インスリンを生理食塩水に混注し、小児では 0.05〜0.1 単位/kg/時を目安に持続静注。
  • 50〜75 mg/dL/時の速度で血糖が低下することが期待される。

カリウム

  • インスリン開始前や投与時に血清カリウムが 3.3 mEq/L 未満の場合は、インスリンの開始や増量を行わず、先に補充したあとで開始・増量する(この3.3 mEq/Lという閾値自体は今回の論点外・未検討のため据え置き)。
  • 決定=補充速度を濃度規定+体重換算の上限に置き換える(旧来の成人主体の絶対値「20〜30 mEq/時」は使わない。15kgの乳幼児にそのまま適用すると約1.3 mmol/kg/時となり、下記の上限の約2.6倍になる)。
  • 輸液500 mLにKCl 20 mmol(濃度40 mEq/L)を加えて補充する。40 mEq/Lを超える濃度で投与する場合は中心静脈路が必要。
  • 体重換算の最大補充速度は0.5 mmol/kg/時を超えない。

やらないこと

  • 重炭酸・リンのroutine投与と緊急例外を区別する。ISPAD2022は生命を脅かす高K、pH < 6.9に心収縮障害を伴う場合の重炭酸、血清リン < 1 mg/dLなど重い低リンの補正を例外として扱う。一律禁止にはせず、適応・開始時点・院内実行薬を受入専門医と直ちに確認する。

送る/持つ(当院=二次救急・小児集中治療なし)

状態当院の扱い
初期輸液とカリウム補正当院で始める。送り先に着くまでの時間を無駄にしない
ショック輸液が合計40 mL/kgに達しても改善しない持てない。イノトロープを検討しつつ上級医コール・搬送を前倒し
インスリン持続静注の管理当院では持続投与せず速やかに搬送する既存方針。専門施設での管理には持続的なモニタリングが必要
脳障害を疑う持てない。画像を待たず上級医・受入先と緊急治療を開始し、集中治療のある施設へ搬送
意識障害・ショック持てない。初期蘇生後に搬送
1型糖尿病の初発診断後の導入教育は専門施設。当院は院内急性期の安定化まで

送ると決めた時点でやること

  1. 受け入れ先へ血糖・pH・HCO3⁻・カリウム・意識レベルをセットで伝える
  2. 開始した輸液の種類・量・開始時刻、インスリンを始めたか(始めていないなら、その理由も)
  3. 搬送中に血糖を下げ急がない。脳浮腫のリスクを申し送る

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:小児集中治療のある施設の夜間・休日の受け入れ先と直通番号
  • 決定:輸液とカリウム補正のみ行い、インスリン持続静注は行わず速やかに搬送する(論点:当院でインスリン持続静注を行うか、輸液のみで搬送するか)
  • 確定(2026-09-14):夜間に血液ガス・電解質は測れる。β-ヒドロキシ酪酸の可否は未確認(出ないなら尿ケトンで代える)
  • 要確認:院内のDKAプロトコルの有無

家族に渡す一文

「インスリンが足りなくなって、血液が酸性に傾いた状態です。吐き気やお腹の痛みで来られることが多く、胃腸炎と間違われやすい病気です。治療は点滴から始め、血糖や電解質、意識の変化を繰り返し確認しながら進めます。集中的な管理が必要なので、設備のある病院へ移っていただきます。」

出典

  • 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024 第20章 糖尿病における急性代謝失調・シックデイ.https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/20.pdf (2026-09-12閲覧・PDF原文を確認)。臨床像(急性腹症との誤診を含む)、診断基準(高血糖250 mg/dL超・動脈血pH 7.30以下・HCO3⁻ 18 mEq/L以下)、β-ヒドロキシ酪酸の小児カットオフ(3,000 μmol/L以上)、正常血糖DKA、血糖250〜300 mg/dLでのブドウ糖併用と脳浮腫への注意、小児でのボーラス投与を行わず輸液後1時間以上たってからインスリン持続投与を開始すること、インスリン0.05〜0.1単位/kg/時と期待される血糖低下速度50〜75 mg/dL/時、カリウム3.3 mEq/L未満でのインスリン非開始、HCO3⁻投与とリン補充の有用性を示す報告がないこと。なお同章はインスリン量を小児0.05〜0.1単位/kg/時・成人0.1単位/kg/時と体重換算で使い分ける一方、カリウム補充速度「20〜30 mEq/時」には年齢・体重による使い分けの記載がなく、この絶対値は小児には採用していない(下記BSPED・コンセンサスガイドライン由来の体重換算値に置き換えた)。
  • BSPED(British Society for Paediatric Endocrinology and Diabetes).Guideline for the Management of Children and Young People with Diabetic Ketoacidosis, 2021, p.1-2, 6, 8, 9, 11.https://www.bsped.org.uk/media/v2ydcuv0/bsped-dka-guideline-v3.pdf (2026-09-26、pdftotextで原文照合・UK Resuscitation Council 2021年改定準拠)。輸液の初期輸液(非ショック:生食10 mL/kg/30分、ショック:生食10 mL/kg/15分・反復・合計40 mL/kgでイノトロープ検討)、カリウム濃度規定(500 mLにKCl20 mmol=濃度40 mEq/L、40 mEq/L超は中心静脈路要)の出典。mmol/kg/時単位の速度上限の記載はBSPED原文にはない。
  • 日本糖尿病学会・日本小児内分泌学会(編・著).小児・思春期糖尿病コンセンサスガイドライン(南江堂)p.137, 139/小児・思春期1型糖尿病の診療ガイド(南江堂)p.51-52(2026-09-26、node _bookgrep.mjsで原文照合)。ショック時の脱水率仮定(軽症・中等症5%、重症10%)、Holliday-Segar式による維持量計算(体重上限75kg)、48時間かけた均等按分、カリウムの最大補充速度0.5 mmol/kg/時の出典。図の出典表記はISPAD「2006〜2008」版で、序文(p.7)は「ISPADのガイドラインも参考にしています」(準拠ではない)。同書のショック時輸液の数値(10〜20 mL/kgを1〜2時間、上限30 mL/kg)はBSPED2021とは一致しないため、本シートの初期輸液のショック時数値はBSPED2021を採用した。
  • PMC10433311(BSPED対ISPADの比較論文、WebFetchで確認。ISPAD原典は未直読)。現行ISPAD2022は初期輸液を「20 mL/kgを速く」としており、BSPED2021・日本語書籍いずれとも異なる旨の参考情報。

処方

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
処方

処方の考え方

小児ではインスリンのボーラス投与を行わない(脳浮腫のリスク)。輸液を十分に行って少なくとも1時間たってからインスリン持続投与を開始する。急激な浸透圧低下による脳浮腫に注意し、血糖250〜300 mg/dLでブドウ糖を含む低張電解質輸液へ切り替える。

段階

この数字の意味

体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

病態・根拠13章
病態・根拠(医師確認前の原稿)

小児DKAの病態を初期判断につなぐための学習用整理。当院は院内初期輸液とカリウム補正を開始して専門施設へ搬送する方針であり、この節だけで持続インスリン投与や輸液速度を決定しない。

0. 高血糖だけの病気ではない

医師確認前の学習用原稿。当院は院内初期輸液とカリウム補正を開始して専門施設へ搬送する方針であり、この節だけで持続インスリン投与や輸液速度を決定しない。

インスリン作用が不足すると、血糖の上昇とともに脂肪分解・ケトン体産生が進む。ケトン体による代謝性アシドーシス、浸透圧利尿による水分・電解質の喪失、循環血漿量の低下が重なった状態がDKAである。小児の1型糖尿病では発症時から絶対的インスリン欠乏となりうる。[1][2]

腹痛・嘔吐・深い呼吸は、それぞれ腹部疾患や呼吸器疾患に見えても、アシドーシスと脱水で説明できる。多飲・多尿・体重減少を短く聞き、血糖だけでなく血液ガスとケトン体を合わせて確認する。血糖が著しく高くないDKAもあるため、血糖値だけで除外しない。[1][2]

1. 小児の診断基準と読み違えやすい点

日本糖尿病学会の第20章は、高血糖、ケトーシス、アシドーシスを特徴として記載し、血糖250 mg/dL超、動脈血pH 7.30以下、HCO3⁻ 18 mEq/L以下を挙げる。一方、BSPED小児ガイドラインは血中β-ヒドロキシ酪酸3 mmol/L超と、pH 7.3未満またはHCO3⁻ 15 mmol/L未満を小児DKAの定義に用いる。両資料は血糖とHCO3⁻の記載が異なり、BSPEDはpHとHCO3⁻の関係を明示する。日本糖尿病学会の記述を機械的な「すべて必須」の判定式と解釈せず、境界例は専門施設と共有する。[1][2]

血中β-ヒドロキシ酪酸は診断後の推移を追うのに有用である。尿ケトンは代替の診断手段になるが、BSPEDは治療反応の監視には適さないとしている。血糖が下がってもケトーシスとアシドーシスが残ることがあり、「血糖が改善した=DKAが解消した」としない。[2]

インスリンを保留する低カリウム血症の閾値にも資料差がある。日本糖尿病学会の第20章は3.3 mEq/L未満、BSPED小児ガイドラインは3.0 mmol/L未満を挙げる。既存シートは前者を採用しているが、当院の小児用プロトコルとしての最終確認が必要である。[1][2]

2. 電解質と循環を同時に見る理由

浸透圧利尿と嘔吐で体内の水分・ナトリウム・カリウムが失われる。血清カリウム値は総体内量をそのまま表さず、インスリンとアシドーシスの改善でさらに低下しうる。インスリン開始前から電解質と尿量を把握し、低カリウム血症を伴う場合は投与順序を変える必要がある。[1][2]

脱水の補正とショックの蘇生を混同しない。BSPEDはショックでは少量ずつ輸液して毎回循環を再評価し、ショックでない児への初回輸液とは計算上の扱いを分ける。当院の搬送前対応は既存の院内方針院内に従い、意識・末梢循環・呼吸・尿量を反復して確認する。[2]

3. 脳障害を単純な「輸液過多」だけで説明しない

小児DKAでは治療前後に脳障害が起こりうる。BSPEDは脳浮腫の機序はなお十分に分かっておらず、特に年少児や糖尿病初発例で注意が必要としている。PECARNの小児ランダム化試験では、比較した輸液速度と食塩濃度の群間で神経学的転帰に有意差は認めなかった。したがって「速い輸液だけが脳浮腫の原因」と断定して、必要なショック治療を遅らせない。[2][3]

新たな頭痛、反復する嘔吐、意識の変化、徐脈、瞳孔異常などは連続して観察する。脳障害を疑えば画像を待たずに上級医と受入先へ直ちに連絡し、高張食塩水またはマンニトールによる緊急治療を院内手順・専門医指示で開始する。搬送だけを待つ状態にしない。薬剤の選択・用量は現場で原典と院内手順を照合する。[2]

4. 治療の順番が病態に対応する

循環を評価して輸液を開始し、カリウムを確認したうえで、インスリンは急速静注せず持続投与する。日本糖尿病学会は小児で初期ボーラスを行わず、十分な輸液後少なくとも1時間を置いて持続投与を開始すると記載する。インスリンを早く大量に入れることより、循環・電解質・ケトーシスを安全に改善することが目的である。[1]

当院は院内持続インスリン管理を院内で始めず搬送するとの既存決定がある。搬送時は初回の血糖、pH・HCO3⁻、ケトン体、カリウム、意識と循環所見、開始した輸液の量と時刻を一組で伝える。小児内分泌・集中治療を要する可能性を早期に相談する。

5. 出典・適用範囲
  1. 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024 第20章。臨床像、診断と治療の記述を2026-10-01に原文確認。成人を含む章のため輸液量を小児へそのまま転用しない。
  2. British Society for Paediatric Endocrinology and Diabetes.Guideline for the Management of Children and Young People under the Age of 18 Years with Diabetic Ketoacidosis(2021、公開ページ更新2024-11-26)。小児の診断、輸液、モニタリング、脳障害の節を2026-10-01に確認。英国のガイドラインであり院内の薬剤採用・搬送体制を代替しない。
  3. Kuppermann N, et al. Clinical Trial of Fluid Infusion Rates for Pediatric Diabetic Ketoacidosis. N Engl J Med. 2018;378:2275–2287. 小児ランダム化試験の結果を2026-10-01に確認。比較した輸液条件外へ結果を広げない。
重炭酸・リンの緊急例外

routine投与と緊急例外は区別する。生命危機の高K、pH < 6.9+心収縮障害の重炭酸、リン < 1 mg/dLの補正等は専門医と直ちに判断する。院内の実行薬・採用・調製・監視は未確定であり、この節で自動投与を指示しない。[4]

小児の診断基準とHHSとの分岐

小児DKAは高血糖(200 mg/dL超)、ケトーシス、静脈血pH < 7.30またはHCO3⁻ < 18 mEq/Lの組合せで判断する。血糖250 mg/dL超という成人を含む資料の基準だけを使うと小児を見逃し得る。部分治療例などでは著明な高血糖がないDKAもある。pHが正常でケトンが乏しくても、著明な高血糖・高浸透圧・重い脱水や意識異常を伴うHHS、DKAとの混合病態は緊急管理が必要になる。専門外来の予約だけで対応を終了しない。[4]

  1. ISPAD.Clinical Practice Consensus Guidelines 2022: Diabetic ketoacidosis and hyperglycemic hyperosmolar state。小児の診断三徴、正常血糖DKA、HHSの分岐。既存の院内輸液・インスリン実施範囲を独断で変更する資料ではない。
臨床医が迷う場面
輸液で血糖が下がった。DKAは改善したと考えてよい?

血糖低下だけではケトアシドーシスの解消を示さない。意識、循環、pH・重炭酸、ケトン、Na・Kを経時的に評価する。血糖が下がっても必要な治療を続けられるよう糖の併用を検討するが、当院では持続インスリンを開始せず早期搬送の方針を守る。

出典:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)

治療中に頭痛・嘔吐が増えた。胃腸炎の症状として待てる?

新しい頭痛、意識悪化、徐脈、呼吸変化はDKA関連脳障害を疑う。血糖と循環を再評価し、直ちに上級医・受入先へ連絡する。CT撮影や搬送の完了を待たず緊急治療の必要性を判断する。治療開始前の意識状態と変化を時刻付きで伝える。

出典:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)

Kが正常なら、補充や監視は不要?

血清Kが正常でも総体内Kは不足していることがあり、治療に伴って急低下し得る。腎機能・尿量と心電図、反復採血で監視する。補充量・速度は小児の計画で管理し、成人の固定速度を使わない。低K時のインスリン開始・増量は本文の閾値と専門指示に従う。

出典:日本糖尿病学会 糖尿病GL2024第20章 / BSPED 小児DKA指針(海外)

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