食物アレルギーを「陽性だから除去」で診断・指導しない
特異的IgE陽性は「感作」の証明にすぎず、食物アレルギーの診断ではない。診断確定には食物除去試験での症状改善と、食物経口負荷試験(OFC)での症状誘発確認が要る。管理の原則は必要最小限の除去で、食物アレルギー患者の多くは検査陽性食品の除去を必要としない。
始める前に
- 保護者が「検査してほしい」と言ったら、まず「何を食べて何が起きたか」を先に聞く。症状のない食品を網羅的に測らない
- 運動後のアナフィラキシーでは、体育・部活のあとでも「昼に何を食べたか」を必ず聞く。食物単独でも運動単独でも起きないため、本人も原因に気づいていないことが多い
- OFCは「試験により得られる患者の利益が症状誘発のリスクより大きいと判断できる場合に」実施する
- 当院がOFC実施体制の3段階(一般の医療機関/日常的に実施している医療機関/専門の医療機関)のどこに当たるかを、実施前に把握しておく
手順
- 1
食べて症状が出たという病歴を確認する
診断確定の3要件の1つ目
- 2
特異的IgE検査の結果だけで除去を指導しない
特異的IgE抗体陽性は「感作」の証明にすぎない
- 3
食物除去試験で症状が改善するか確認したうえで、食物経口負荷試験(OFC)で症状誘発を確認する
- 4
確定後は、OFCで確認した「食べられる範囲」の中で摂取を続けるよう指導する
全面除去を既定にしない
- 5
運動中・運動後のアナフィラキシーで直前に食事をしていたらFDEIAを疑い、原因食物(小麦・甲殻類・果物が多い)と運動の組み合わせを聞く
- 6
FDEIAでは運動2〜4時間前の原因食物の摂取禁止を指導する
不適切な食事・運動制限で患者のQOLを損なわないよう注意する
- 7
園・学校での対応を相談されたら、学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)を記載し、エピペンの保管・使用の取り決めを園・学校と確認する
やってはいけない
- 特異的IgE陽性=食物アレルギーではない。感作の証明だけで除去を安易に指導しないようにする
- 「念のため除去」をしない。栄養とQOLを損なう
- 血液検査で特異的IgEが陽性でも、食べても症状が出たことがなければ除去しない。検査陽性だけで除去を指導しない
- 症状のない食品を網羅的に測らない
- 不適切な食事・運動制限で患者のQOLを損なわないよう注意する
終わったあと
- 血液検査で「陽性」と出ただけでは食物アレルギーとは決まらないと伝える
- 心配だからと念のために除去すると、栄養が偏ったり、かえって食べられるようになる機会を逃したりすることを伝える
- いまの考え方は「必要最小限の除去」であり、食べられる範囲を確かめてその範囲で食べ続けるのが目標だと伝える
- 運動のあとに症状が出たことがある場合は、その前に何を食べたかを教えてほしいと伝える
この場で持てない・送る
- アナフィラキシーの急性期は当院でアドレナリン(エピペン)
- 当院で食物経口負荷試験を実施するかは要確認。実施しないなら「診断は専門外来で」と明記する
- 不要な除去の見直しは専門外来へ。負荷試験で食べられる範囲を確定する必要がある
- FDEIAの確定診断には運動負荷を含む負荷試験が要る。専門施設へ
- 要確認:小児アレルギー専門外来の紹介先、学校生活管理指導表の記載を当院で行うか、エピペンの処方を当院で行うか
- 要確認:学校生活管理指導表のエピペン携帯に関する記載、および教職員によるエピペン使用の法的整理について、本シートは一次資料での確認ができていない(複数の教育委員会マニュアルに同趣旨の記載はあるが、文科省・厚労省の一次通知そのものは未確認)
- 要確認:特異的IgEをどこまで当院で測るか(網羅的な測定をしない方針を明記するか)
- 要確認:本シートは食物アレルギー診療ガイドライン2021のダイジェスト版(Web公開)に基づく。書籍版本文は未確認
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。