炎症性腸疾患を疑うとき(潰瘍性大腸炎・クローン病)
消化器β版・逐条レビュー継続中
施設プロファイル: 二次救急/小児内視鏡なし・小児IBD診療の経験なし。
30秒要約
- 当直で診断する病気ではない。「疑って、送る」ための病気。ただし劇症・中毒性巨大結腸症・大量出血・穿孔は今夜の話になる。
- 小児IBDは成人と同じではない。潰瘍性大腸炎は「一般に成人に比して短期間で全大腸炎型へ進展しやすい、重症化しやすいなどの特徴があり、成長障害にも配慮した治療が必要」。
- クローン病は消化器症状で来ないことがある。「小児では消化器症状を主訴とせず、体重増加不良・成長障害・不明熱・鉄欠乏性貧血などの消化管外症状が先行することがある」。ここが最大の落とし穴。
- 成長曲線を描く。身長・体重の評価には成長曲線が有用。「最近やせた」ではなく、曲線から外れたのはいつかを見る。
- PUCAI(小児潰瘍性大腸炎活動指数)はその場で点数がつけられる。PUCAI 50以上の中等症は重症例と同じ扱い。
レッドフラグ → 次の一手
所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。
| 緊急度 | 所見 | その場で次にやること | 時間の勝負 |
|---|---|---|---|
| 119 | 腹部膨満+発熱+頻脈+腹痛(既知のUC/血性下痢が続いている) | 中毒性巨大結腸症。直ちに緊急手術を行う対象になりうる。腹部X線。当院で持てない(腹部X線) | 即時 |
| 119 | 腹膜刺激症状・遊離ガス | 大腸穿孔。持てない(急性腹痛) | 即時 |
| 119 | 大量下血+ショック | 輸血と外科が要る。持てない(小児の血便) | 即時 |
| 119 | 重症例で全身状態不良 | 劇症に準じた扱い。持てない | 即時 |
| 緊急 | PUCAI 65〜85(重症) | 入院・輸液・全身管理。持てない | 当日 |
| 緊急 | PUCAI 50以上の中等症 | 重症例と同じ扱いとする | 当日 |
| 緊急 | 血便+体重減少+発熱が2週間以上 | IBDとして動く。便培養で感染性腸炎を外しつつ紹介(細菌性腸炎とHUS) | 数日 |
| 緊急 | 成長曲線から外れている/二次性徴が遅れている | クローン病を疑う。身長・体重・骨年齢 | 数日 |
| 緊急 | 肛門周囲の膿瘍・痔瘻・皮垂(小児で) | クローン病の肛門病変。単なる痔として扱わない | 数日 |
| 緊急 | 6歳未満の発症 | 超早期発症型IBD(VEO-IBD)。原発性免疫不全症をはじめとする単一遺伝子異常に伴う腸炎(monogenic IBD)との鑑別を要する場合があり、予後不良例も少なくない | 当日 |
| 当日 | 原因不明の鉄欠乏性貧血+腹痛/下痢 | 便潜血・CRP・アルブミン。便中カルプロテクチンの可否を確認 | 数日 |
| 当日 | 反復する口内炎・関節痛・結節性紅斑・ぶどう膜炎 | 腸管外合併症。消化器症状を聞き直す | 数日 |
疑う入口(ここを外すと何年も遅れる)
| 入口 | 具体的に | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 血便・粘血便が2週間以上 | 感染性腸炎なら普通はここまで続かない | UCの典型 |
| 成長障害・体重増加不良 | 成長曲線から外れた時期を特定する | 診断時に10〜40%の患者で既に成長障害を認める(クローン病) |
| 不明熱 | 感染源が見つからない発熱が続く | 消化管外症状が先行することがある(不明熱) |
| 鉄欠乏性貧血 | 食事で説明がつかない、鉄剤で治りきらない | 同上(鉄欠乏性貧血) |
| 肛門病変 | 膿瘍・痔瘻・深い裂肛・皮垂 | 本邦の小児クローン病は、欧米に比して上部病変や肛門病変を伴う患者が多い |
| 夜間の腹痛・下痢で目が覚める | 機能性腹痛との差 | 器質的疾患のサイン(反復性腹痛) |
| 二次性徴の遅れ | 思春期に入らない | 成長のスパートが起きる思春期に発症する患者が多い |
PUCAI(小児潰瘍性大腸炎活動指数)— その場で点数がつく
| 項目 | 活動度 | スコア |
|---|---|---|
| 腹痛 | 痛みなし | 0 |
| 我慢できる痛み | 5 | |
| 我慢できない痛み | 10 | |
| 直腸出血 | なし | 0 |
| 少量のみの出血が排便回数の50%未満にみられる | 10 | |
| 少量の出血がほぼ毎回の排便にみられる | 20 | |
| 多量の出血(便量の50%以上) | 30 | |
| 便の性状 | 有形 | 0 |
| 部分的に有形 | 5 | |
| 完全に無形 | 10 | |
| 1日の排便回数 | 0〜2回 | 0 |
| 3〜5回 | 5 | |
| 6〜8回 | 10 | |
| 9回以上 | 15 | |
| 夜間の排便(夜間覚醒) | なし | 0 |
| あり | 10 | |
| 活動度 | 活動制限なし | 0 |
| ときに活動に制限あり | 5 | |
| 著しい活動制限あり | 10 |
| 合計 | 判定 |
|---|---|
| <10 | 寛解 |
| 10〜30 | 軽症 |
| 35〜60 | 中等症 |
| 65〜85 | 重症 |
小児ではPUCAI 10未満を臨床的寛解とする。
中等症で炎症反応のある場合(PUCAI 50以上)は重症例と同じ扱いとし、重症例のうち全身状態不良の場合は、劇症に準じた扱いとする。
鑑別:よくあるもの(先に外す)
鑑別:見逃してはいけないもの
治療ワークフロー(当院でやること)
当院は「重症度をつけて、感染性腸炎を外して、送る」まで。寛解導入の薬物治療は専門施設。
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | バイタル+腹部所見。腹膜刺激症状・腹部膨満の有無 |
| 2 | PUCAIを計算する(既知UCでも初診でも)。数字で申し送れる |
| 3 | 成長曲線を描く(母子手帳・学校の記録)。身長・体重の評価には成長曲線が有用 |
| 4 | 採血:血算(貧血・血小板)、CRP、赤沈、アルブミン、総蛋白、鉄・フェリチン、肝機能、電解質 |
| 5 | 便培養・便中C. difficileトキシン。IBDと決める前に感染性腸炎を外す |
| 6 | 腹部X線(中毒性巨大結腸症・遊離ガス。夜間可否は要確認)。腹部エコーは当直帯に当てられない |
| 7 | 肛門周囲を必ず見る(膿瘍・痔瘻・皮垂・深い裂肛) |
| 8 | 口腔内(アフタ)、皮膚(結節性紅斑・壊疽性膿皮症)、関節、眼 |
| 9 | 重症度で分ける。PUCAI 50以上/全身状態不良 → 今日のうちに専門施設へ |
| 10 | 帰す場合:再受診の条件と紹介先の予約をその場で決める |
| 11 | やらないこと:診断がつく前にステロイドを始めない。止痢薬を出さない(中毒性巨大結腸症を誘発しうる) |
免疫抑制療法を始める前に確認すること(紹介状に書く情報)
IBD患者に免疫抑制療法を開始する際には、日本小児科学会が推奨するすべての予防接種を、同学会が推奨する接種スケジュールを参考とし、実施しておくことが望まれる。特に、麻疹・風疹・ムンプス・水痘に未罹患・未接種の場合や、十分な抗体が獲得されていない場合には、免疫抑制療法を開始する前に該当する生ワクチンを接種しておくことが望ましい。ただし、すでに免疫抑制療法を開始している場合、生ワクチンは、ワクチン株による感染症発現の可能性が否定できないため、原則として行わない。一方、不活化ワクチンは、効果が減弱する可能性はあるが接種可能であり、積極的な接種が勧められる。
→ 当院でできること:初診の時点でワクチン歴と麻疹・風疹・ムンプス・水痘の罹患歴を記録して紹介状に書く。 これは専門施設の治療開始を早める。
治療の原則(家族への説明と、申し送りのため)
潰瘍性大腸炎
- 腸管炎症に伴う消化器症状を改善して、活動期には早期に寛解へ導入し、さらに長期間にわたり寛解を維持することが治療の目標となる。そのためには、臨床症状の消失(臨床的寛解)とともに、内視鏡的に腸管粘膜の炎症所見が改善した状態(内視鏡的寛解)すなわち粘膜治癒を目指した治療が求められる。同時に小児では、二次性徴を含めた正常な身体的発育と精神面での発達を達成することも重要な目標である。
- 発症後、直腸炎型が全大腸炎型に進展しやすいなど、成人に比して病変の広範囲化、重症化が見られやすい。そのため小児では、急性期には成人よりも積極的な治療が望ましく、かつ輸液を含めた適切な全身管理を必要とする。
- 重症例で十分量のステロイド薬投与でも効果不十分の場合は、早期に難治例に対する内科的治療や外科治療を検討すべきである。難治例(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の治療は経験豊富な施設で行うことが望ましく、外科治療の判断を誤らないようにする。
- 成長障害の原因となるステロイド薬の使用は極力短期間とし、寛解維持の目的には使用しない。
- 身長・体重・二次性徴・骨年齢などの成長の指標を定期的に確認する必要がある。
クローン病
- 小児クローン病患者の診療では、栄養療法、薬物治療、外科治療、心理面の支援が中心となる。
- 治療目標は、腸管炎症に伴う消化器症状を改善し、腸管内外の合併症や外科手術を回避するとともに、二次性徴を含めた正常な身体的発育と精神面での発達を達成することである。
- 小児クローン病では診断時の病変範囲がより広範かつ重症であり、病変が進展することが多いとの報告がある。
- 診断基準は厚生労働科学研究班により作成されており、小児クローン病の診断においても適用できる。しかし小児では、成人と異なる特有の鑑別すべき疾患の存在、経過の違いなどに特に留意する必要がある。
検査
| 検査 | 何がわかるか | 読み方 |
|---|---|---|
| 血算 | 貧血・血小板増多 | 血小板増多は慢性炎症のサイン。鉄欠乏性貧血が入口になる |
| CRP・赤沈 | 炎症 | 正常でもIBDは否定できない(特に小腸型・直腸炎型) |
| アルブミン・総蛋白 | 蛋白漏出・低栄養 | 低下は重症度と相関 |
| 鉄・フェリチン | 鉄欠乏 | 炎症でフェリチンは上がるので注意 |
| 便培養・C. difficileトキシン | 感染性腸炎 | IBDと決める前に必ず |
| 便中カルプロテクチン | 腸管炎症 | 活動性を知る上で有用であるが、寛解の判定においては補助的な位置づけ |
| 腹部X線 | 中毒性巨大結腸症・遊離ガス | 急変時に必須(腹部X線) |
| 腹部エコー | 腸管壁肥厚・膿瘍 | 当直帯は当院で撮れない(日勤帯の可否は要確認)(腹部エコー) |
| 内視鏡+生検 | 診断の確定 | 当院で持てない |
| MRI(MR enterography) | 小腸病変 | 専門施設 |
| IGRA(結核) | 免疫抑制療法の前 | 専門施設で行うが、聞いておく |
問診チェック
- 下痢・血便の期間と回数(夜間に目が覚めるか)
- 腹痛の性状と時間帯
- 体重の変化(母子手帳・学校の身体測定の記録を持って来てもらう)
- 身長の伸び(成長曲線が描けるデータを集める)
- 二次性徴(初経・声変わり・陰毛)
- 肛門の症状(痛み・腫れ・膿)
- 口内炎の頻度、皮疹(結節性紅斑)、関節痛、眼の症状
- 家族歴(IBD・自己免疫疾患)
- 抗菌薬歴・渡航歴・集団発生
- ワクチン歴と麻疹・風疹・ムンプス・水痘の罹患歴(免疫抑制療法の前に要る)
- 既知のIBDなら:現在の薬(生物学的製剤・免疫調節薬・ステロイド)、最終投与日、主治医、直近の増悪
送る/持つ(当院=二次救急・小児内視鏡なし)
| 状態 | 当院の扱い |
|---|---|
| 中毒性巨大結腸症・穿孔・大量出血 | 持てない。外科のある施設へ |
| PUCAI 65〜85(重症)/PUCAI 50以上の中等症 | 持てない |
| 初発のIBD疑い(全身状態良好) | 当院でスクリーニングして紹介。診断は専門施設 |
| 6歳未満のIBD疑い(VEO-IBD) | 持てない。小児IBDの診療経験のある施設に相談し治療を進めることが望ましい |
| 既知のIBDの軽度増悪 | 主治医に連絡するのが先。自己判断で薬を変えない |
| 免疫抑制療法中の発熱 | 感染症の評価は当院。重症なら持てない |
| クローン病の肛門病変 | 持てない(小児外科・IBD専門施設) |
| 感染性腸炎と判明した | 当院で対応(細菌性腸炎とHUS) |
エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)
- 要確認:小児IBDを診る紹介先(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会の関連施設)
- 要確認:小児の内視鏡ができる施設(小児の血便と共通の課題)
- 要確認:便中カルプロテクチンを当院で出せるか、外注なら日数
- 要確認:夜間の腹部X線・アルブミン・CRPの測定可否
- 要確認:既知のIBD患者が当院に来たときの、主治医への連絡経路
- 要確認:成長曲線を当直帯で描ける環境(電子カルテの機能・紙の曲線)
家族に渡す一文
「腸に慢性の炎症が起きる病気(炎症性腸疾患)の可能性を考えています。子どもの場合、大人と違って、お腹の症状よりも先に『体重が増えない』『身長が伸びない』『原因のわからない熱が続く』『貧血がなおらない』といった形で出ることがあります。診断には内視鏡の検査が要るので、専門の病院にお願いします。今日までの母子手帳と、学校の身体測定の記録を必ず持って行ってください。いつから成長の線から外れたかが、とても大事な情報になります。それまでの間、お腹がパンパンに張る、強い腹痛、高い熱、便に大量の血が混じる、ぐったりする、このどれかがあれば、時間を待たずに来てください。」
医師確認事項(要・岡本判断)
- 要確認:当院で初発のIBD疑いをどこまで調べるか。便中カルプロテクチンが出せないなら、スクリーニングの精度は血算・CRP・アルブミン・便培養までになる。
- 要確認:小児IBDの紹介先。VEO-IBD(6歳未満)は別枠の相談先が要る可能性がある。
- 要確認:PUCAIを当直で使う運用にするか。使うなら、紹介状のテンプレートに欄を作ると申し送りが速くなる。
- 要確認:本シートは寛解導入・寛解維持の薬剤名と用量を意図的に書いていない。治療指針には5-ASA・ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤・血球成分除去療法の小児用量が記載されているが、当院で開始しない前提で省いた。当院で開始するなら書き足しが要る。
- 要確認:「止痢薬を出さない」は本シートの実務上の注意で、引用元の治療指針の文言ではない。
- 要確認:クローン病の活動性指標PCDAIは本シートに載せていない(PUCAIのように当直で即座に点数化しにくいため)。載せるかどうかは判断が要る。
- 要確認:小児クローン病の診断について、治療指針は「ESPGHANが報告しているRevised Porto Criteriaが用いられることが多い」としている。当院では使わない前提でよいか。
出典
- 虻川大樹、ほか(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会 小児炎症性腸疾患治療指針作成委員会).小児潰瘍性大腸炎治療指針[2019].日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌.https://www.jspghan.org/guide/doc/shounikaiyou_chiryou_guide_2019.pdf (2026-09-13閲覧)。「小児潰瘍性大腸炎は、一般に成人に比して短期間で全大腸炎型へ進展しやすい、重症化しやすいなどの特徴があり、成長障害にも配慮した治療が必要である」「潰瘍性大腸炎の診断基準に関しては、厚生労働科学研究班により作成された診断基準が小児潰瘍性大腸炎の診断においても適用できる。しかし小児では、成人と異なる小児特有の鑑別すべき疾患の存在、臨床経過の相違などに特に留意する必要がある」「小児ではPUCAI 10未満を臨床的寛解とする」「発症後、直腸炎型が全大腸炎型に進展しやすいなど、成人に比して病変の広範囲化、重症化が見られやすい。そのため小児では、急性期には成人よりも積極的な治療が望ましく、かつ輸液を含めた適切な全身管理を必要とする。中等症で炎症反応のある場合(PUCAI 50以上)は重症例と同じ扱いとし、重症例のうち全身状態不良の場合は、劇症に準じた扱いとする」「重症例で十分量のステロイド薬投与でも効果不十分の場合は、早期に難治例に対する内科的治療や外科治療を検討すべきである。難治例(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の治療は経験豊富な施設で行うことが望ましく、外科治療の判断を誤らないようにする」「身長・体重・二次性徴・骨年齢などの成長の指標を定期的に確認する必要がある。身長・体重の評価には成長曲線が有用である。成長障害の原因となるステロイド薬の使用は極力短期間とし、寛解維持の目的には使用しない」「IBD患者に免疫抑制療法を開始する際には、日本小児科学会が推奨するすべての予防接種を、同学会が推奨する接種スケジュールを参考とし、実施しておくことが望まれる。特に、麻疹・風疹・ムンプス・水痘に未罹患・未接種の場合や、十分な抗体が獲得されていない場合には、免疫抑制療法を開始する前に該当する生ワクチンを接種しておくことが望ましい。ただし、すでに免疫抑制療法を開始している場合、生ワクチンは、ワクチン株による感染症発現の可能性が否定できないため、原則として行わない。一方、不活化ワクチンは、効果が減弱する可能性はあるが接種可能であり、積極的な接種が勧められる」「便中カルプロテクチンなどのバイオマーカーは潰瘍性大腸炎の活動性を知る上で有用であるが、寛解の判定においては補助的な位置づけとなっており、参考に留める」、表1 Pediatric Ulcerative Colitis Activity Index (PUCAI) の全項目・配点と判定(<10 寛解/10〜30 軽症/35〜60 中等症/65〜85 重症)、中毒性巨大結腸症(直ちに緊急手術を行う)、外科治療の絶対的適応(大腸穿孔、大量出血、中毒性巨大結腸症)。
- 新井勝大、ほか(日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児IBD研究会 小児IBD治療指針作成委員会).小児クローン病治療指針[2019].日本小児栄養消化器肝臓学会雑誌.https://www.jspghan.org/guide/doc/shouni_clone_chiryou_gyude_2019_02.pdf (2026-09-13閲覧)。「小児クローン病は、診断時の病変範囲が成人より広範かつ重症で、肛門病変を合併することも少なくない」「診断の留意点としては、小児では消化器症状を主訴とせず、体重増加不良・成長障害・不明熱・鉄欠乏性貧血などの消化管外症状が先行することがある」「本邦の小児クローン病の前方視的レジストリ研究により、欧米に比して、上部病変や肛門病変を伴う患者が多いことがわかっている」「小腸病変が存在する頻度が高く、診断時に10〜40%の患者で既に成長障害を認めるとされる。成長のスパートが起きる思春期に発症する患者が多いことから、的確な成長の評価を行いながら治療を選択する必要がある」「6歳未満で診断された超早期発症型炎症性腸疾患(very early onset inflammatory bowel disease : VEO-IBD)の診療にあたっては、原発性免疫不全症をはじめとする単一遺伝子異常(慢性肉芽腫症、X連鎖リンパ増殖症2型、IL-10/IL-10受容体異常症など)に伴う腸炎(monogenic IBD)との鑑別を要する場合があり、予後不良例も少なくないため、小児IBDの診療経験のある施設に相談し治療を進めることが望ましい」「小児クローン病患者の診療では、栄養療法、薬物治療、外科治療、心理面の支援が中心となる」「治療目標は、腸管炎症に伴う消化器症状を改善し、腸管内外の合併症や外科手術を回避するとともに、二次性徴を含めた正常な身体的発育と精神面での発達を達成することである」「診断基準は厚生労働科学研究班により作成されており、小児クローン病の診断においても適用できる。しかし小児では、成人と異なる特有の鑑別すべき疾患の存在、経過の違いなどに特に留意する必要がある。そのため、ESPGHANが報告しているRevised Porto Criteriaが用いられることが多い」。