- 第一選択(安静時吸気性喘鳴がある場合に適応)[1][2][6]:
- デキサメタゾン内服: 体重換算の考え方として0.15〜0.6mg/kg/回・単回投与という報告があり、国内の小児呼吸器感染症診療ガイドラインでは中等症・重症の喉頭気管支炎(仮性クループ)に対して0.15mg/kg単回経口投与を推奨している[2]。効果発現は投与後30分〜2時間、効果持続は24〜48時間とされる。軽症では0.15mg/kgと0.6mg/kgで効果差を認めないが、中等症以上では効果に差があるとの報告がある[2]。国内ではデキサメタゾンエリキシル(0.1mg/mL)が使用されることが多く、体重が大きい場合は投与量(mL)が増え製剤中エタノール含有(5%)にも留意が必要とされる[2]。
> ⚠要医師確認: 本文は国内2022GLに忠実に適応を「安静時吸気性喘鳴あり(中等症・重症)」に限定しているが、NICE CKS・RCH Melbourne・Cochraneレビューは軽症を含む診断された全てのクループ児への単回投与を推奨する方向にある(再受診率・入院率減少のエビデンス、有害事象は少ない)[15][16][17]。軽症例への投与拡大を院内方針とするかは岡本が判断する。
- アドレナリン吸入(中等症・重症): 国内の小児呼吸器感染症診療ガイドラインでは中等症・重症の喉頭気管支炎に対しアドレナリン吸入を推奨している[2]。
> ⚠要医師確認・用量表現を一次資料で確認済み修正: 孫引き元では「体重換算0.01mL/kg」「添付文書上は1回投与量0.3mL/kg以内」という体重換算表現が併存していたが、採用製剤(ボスミン外用液0.1%)の添付文書をPMDA情報で直接確認したところ、体重換算(mg/kgやmL/kg)の規定は一切なく、1回の投与量はアドレナリンとして0.3mg(0.3mL)以内という固定上限である[18]。国内のクループ診療で行われる「0.01mL/kg」等の体重換算運用は適応外使用の慣行であり、添付文書の絶対上限0.3mLを超えてはならない。国際標準(ラセミック体2.25% 0.05mL/kg 最大0.5mL、L型1:1000 0.5mL/kg 最大5mLなど)は桁が異なるため混同しないこと[19]。愛育として固定量運用にするか体重換算運用にするか、上限の置き方は岡本が最終決定する。
- 使用量の考え方(0.1%L型アドレナリンを生理食塩水で希釈しネブライザー投与)は上記の絶対上限0.3mL以内に収める前提で施設プロトコルを確定する。
効果発現は10〜30分、効果持続は概ね2時間程度とされる[6]。
> ⚠要医師確認: 再投与間隔について、添付文書は「2〜5分経過して効果不十分でももう一度吸入するのが限度で、続けて吸入する場合は少なくとも4〜6時間の間隔を空ける」ことを不整脈・心停止防止の観点から規定している[18]。従来「30分以上の間隔で再投与可能[6]」としていたのは、クループに対する適応外使用の実臨床(効果減弱・約2時間、reboundを踏まえた運用)に基づく二次資料の記載であり、添付文書の安全域(4〜6時間)とは乖離がある。この乖離を認識したうえで施設としての再投与間隔を岡本が確定する。
- 第二選択・無効時:
- 酸素投与(低酸素がある場合)。
- 切迫する気道閉塞徴候(1章のレッドフラグ)があれば気道確保の準備を並行して進める。気管内挿管の適応となり得るサイン: 呼吸音の消失、意識レベルの低下、チアノーゼの出現、著明な陥没呼吸、発熱によらない頻脈、呼吸筋疲労[5]。
- (参考知見)デキサメタゾン投与後の効果発現までの補助療法として、屋外の冷気(10℃未満)に30分曝露することで軽症〜中等症のクループ症状が改善したとするRCTが報告されている(2023年)。本邦での標準治療としての位置づけは確立していない参考情報[6]。
- やってはいけない/非推奨:
- 抗菌薬投与(クループ症候群の大部分はウイルス性であり抗菌薬の適応はない。ただし急性喉頭蓋炎が疑われる場合は入院の上で静注抗菌薬が必要)[1]。
- 加湿空気の吸入(有効性を支持するエビデンスはないとされる)[1]。
- 診察時に児を啼泣させる、舌圧子で喉頭を刺激する(気道閉塞症状の増悪リスク。1章参照)[1]。
- 鎮静薬・オピオイド系鎮咳薬の投与(呼吸窮迫のある児への鎮静は代償性の努力呼吸・興奮を抑制し、呼吸抑制・意識低下により気道閉塞を悪化させ得る)[20]。
- 市販の総合感冒薬・抗ヒスタミン薬含有製剤(乳幼児には有効性のエビデンスがなく、眠気による危険性が指摘されている)[20][21]。