吸気性喘鳴は、声門下の狭窄を示す
クループでは主にウイルスによる喉頭・声門下の炎症と浮腫が空気の通り道を狭める。犬吠様咳嗽、嗄声、吸気性喘鳴がその組み合わせである。気管支の平滑筋収縮を主に扱う喘息とは閉塞の場所と機序が違う。小さい児では同程度の浮腫でも気道への影響が大きく、啼泣や興奮による呼吸需要の増加が症状を悪化させるため、保護者の膝上など楽な姿勢で、まず見て評価する。[25][26]
呼吸音の静けさとSpO2で、重症を見逃さない
吸気性喘鳴は安静時か、啼泣時だけかを区別する。陥没、呼吸数、空気の入り、覚醒、顔色も同時に確認する。音が弱まっても、空気が入らない・疲れて胸が動かない場合は改善としない。低酸素は上気道閉塞の遅い徴候になりうるため、正常SpO2だけで強い陥没や傾眠を軽症へ下げない。切迫例は気道管理のできる人員・施設へ早く相談し、不要な移動・処置を避ける。[26]
赤旗は「別の上気道閉塞」への分岐
高熱と毒性、流涎、嚥下困難、前傾姿勢では喉頭蓋炎や細菌性気管炎、深頸部感染を考える。細菌性気管炎はアドレナリン吸入への反応が乏しい場合もある。突然発症や誤嚥エピソードは気道異物、蕁麻疹・顔面浮腫・循環障害を伴う急な狭窄はアナフィラキシーへ分岐する。典型的な発症年齢から外れる、反復・長期化する場合は構造的な気道疾患などを専門医と検討する。[13][25][26]
検査の利益より、刺激による悪化を先に考える
典型例は臨床診断で、頸部X線の所見を確認することやウイルスを特定することは必須ではない。血液検査や画像が必要な非典型例でも、舌圧子で無理に咽頭を観察したり、仰臥位を強いたりして閉塞を悪化させない。当院の夜間は単純X線が可能だが、CTや熟練者による超音波はできない。喉頭蓋炎など切迫する閉塞疑いでは、検査を完了する前に安全な気道管理と搬送先を調整する。[25][26]
アドレナリンの速い改善と、炎症の持続を分けて理解する
アドレナリン吸入は浮腫による閉塞を一時的に軽減するが、その反応だけで病態が治ったとはいえない。作用が薄れると狭窄症状が再び見えてくる可能性があり、必ずしも投与前を超える「反跳」を意味するわけではない。デキサメタゾンは炎症を抑えて、その後の経過を支える。適応・用量・再投与の扱いは下記の院内手順を用い、海外での全重症度へのステロイド推奨を当院の軽症例へ自動的に広げない。典型的なウイルス性クループに抗菌薬を常用せず、気管支拡張薬にも通常は適応がない。[13][25]
処置後の再評価と、夜間に戻る可能性を含む帰宅説明
当院の吸入後3〜4時間観察、2回目の吸入が必要なら入院という方針の中で、安静時の喘鳴・陥没が再燃しないかを確認する。安静時の呼吸が楽、飲水可能、家族が再燃を認識でき再受診できることを揃えて帰宅を検討する。夜間に悪化しやすいこと、流涎・飲めない・顔色不良・強い陥没や眠り込みがあればすぐ受診することを伝える。年齢が低い、処置後の再燃、診断不確実、受診手段が乏しい場合は観察を延長する。CPS/RCHは海外指針であり、当院の観察時間・再投与方針はそのまま保持する。[13][25][26]