亀頭包皮炎・嵌頓包茎—包皮は必ず戻す
小児の包茎は病気ではなく生理的な状態で、無理にめくらない。診察で包皮を翻転させたら必ず元に戻す——放置すると亀頭部への血流が滞り嵌頓包茎になりうる。嵌頓包茎(翻転した包皮が戻らない)は至急受診が必要で、整復できなければ持てない。
始める前に
- 翻転できるか確認するときは無理をしない。皮膚が裂けないように注意する。
- 説明のつかない外陰部の所見では、病歴と所見が一致するか確認する(施設内の虐待対応の枠組みへ)。
- 要確認:外性器の診察に保護者同席・説明をどう行うか(羞恥・心理的配慮への院内方針)。
手順
- 1
最初の視診で、剥けるか剥けないか、赤く腫れているか、翻転した包皮が戻るかを確認する
- 2
嵌頓包茎(翻転した包皮が戻らない)なら用手整復を試みる(当院でどこまで行うか要確認)。戻らなければ持てない・搬送
急いで戻さないと亀頭の血のめぐりが悪くなることがある
- 3
亀頭包皮炎で全身状態良好なら、抗生物質をのんだり軟膏を塗って治療する
薬剤名・用量は院内採用・アンチバイオグラムに従う(本シートは意図的に書いていない)
- 4
バルーニング(排尿時に包皮へ尿がたまり膨らむ、または尿が細くしか出ない)は、手術またはステロイド軟膏治療のいずれかを選択できる。適応は専門医判断とし、当院ではまず保存的経過観察が基本
要確認:具体的な適応基準・当院での軟膏開始可否は一次資料に記載がない
- 5
亀頭包皮炎+発熱・全身状態不良(特に乳児)は、局所感染にとどまらないか評価する
- 6
診察・処置で包皮を翻転させた場合は、必ず元に戻す
放置すると医原性の嵌頓包茎リスクになる
- 7
陰唇癒合が無症状で健診・偶然発見なら、保護者へ説明し経過観察か紹介かを判断する
当院で切開するかは要確認
- 8
陰唇癒合+排尿障害・尿路感染の合併なら婦人科・小児外科へ紹介する
やってはいけない
- 生理的包茎を無理にめくらない(狭い皮膚で締め付けられて亀頭がひどく腫れてしまう=嵌頓包茎になる)
- めくった包皮を戻さないまま放置しない(亀頭部への血液の流れが滞り嵌頓包茎になる。小児のうちは包皮をむいた後、必ず元に戻す)
- 保存療法で強く剥かない(皮膚が裂けないように注意する)
- 保護者・本人まかせで自己流の翻転訓練を繰り返させない(無理にめくると痛い・出血する・恐怖心を与える。ストレッチとは違う)※単一施設・単一医師の見解、要確認
- 家族の希望だけで手術を急がない(包皮は将来大切な部分のため手術的治療は極力控える)
- 埋没陰茎は通常の環状切除をしてはならない(小児泌尿器科専門医に相談すべき疾患)
終わったあと
- 嵌頓包茎が整復できた場合は、帰宅後に泌尿器科・小児外科でフォローする。
- 陰唇癒合が無症状なら経過観察でよい(排尿障害・繰り返す膀胱炎や腟炎の症状がなければ治療を急がない)。
この場で持てない・送る
- 嵌頓包茎で整復できなければ持てない。搬送する
- 埋没陰茎は持てない。小児泌尿器科専門医へ
- 包茎の手術適応(繰り返す亀頭包皮炎・尿路感染、排尿障害、嵌頓包茎、家族の希望、宗教上の理由)は持てない。適応判断と手術は専門医へ
- バルーニングの治療適応(手術かステロイド軟膏か)は持てない。専門医判断が要る(当院は保存的経過観察が基本)
- 精巣捻転(急性陰嚢症)は持てない(亀頭包皮炎とは部位が異なる点に注意)
- 説明のつかない外陰部の所見は施設内の虐待対応の枠組みへ
- 要確認:小児泌尿器科・小児外科・婦人科の紹介先(平日・夜間)
- 要確認:当院で嵌頓包茎の用手整復を行うか。鎮静・鎮痛の体制
- 要確認:当院で陰唇癒合の切開を行うか
- 要確認:外性器の診察に保護者同席・説明をどう行うか(羞恥・心理的配慮への院内方針)
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。