外耳炎

外耳炎

耳鼻・眼β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/当直帯に院内の耳鼻咽喉科はいない(2026-09-14 確認)。
中耳の感染は急性中耳炎、鼓膜の奥に水が溜まる病態は滲出性中耳炎

30秒要約

  • 外耳炎は「鼓膜の手前」の炎症で、中耳炎とは場所が違う鼓膜の手前を外耳といい、ここの炎症が「外耳炎」です
  • 原因は耳かきでできた傷から細菌が入ること不潔な耳かき、指のつめなどで耳の中をかいて傷を作った場合などに細菌が入り炎症を起こし発症します
  • 中耳炎との見分けの鍵は「引っぱると痛いか」耳たぶをひっぱったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなります(外耳炎に特徴的とされる。中耳炎ではこの操作で痛みは増強しないとされるが、この対比自体は本シートで一次資料を確認していない=下の医師確認事項)。
  • 耳のかゆみの原因の大半は外耳炎耳のかゆみが起こる原因としてはほとんどの場合が外耳炎によるものです
  • 耳の痛みに顔面神経麻痺やめまいが重なったら緊急痛みだけでなく顔面の運動麻痺(顔面神経麻痺)やめまいなどを同時に起こしている場合には、緊急の処置が必要となることもあります

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119耳痛に顔面神経麻痺(額のしわ寄せ・閉眼・口角の左右差)やめまいを伴う緊急の処置が必要。神経所見を取り、脳卒中・頭蓋内病変も除外にかかる即時
119耳介・耳後部の発赤腫脹が急速に拡大し、全身状態が悪い(ぐったり・発熱強い)蜂窩織炎の考え方に準じる。皮膚所見と不釣り合いな強い痛みなら壊死性筋膜炎も即時
緊急免疫不全・血液疾患などの基礎疾患がある児で、外耳炎が治療してもかえって増悪する悪性外耳道炎(頭蓋底骨髄炎)の可能性を考える(要確認)。持てない可能性が高い当日〜数日
緊急耳後部の腫脹+耳介の前方偏位乳様突起炎を疑う。急性中耳炎側の合併症として評価しなおす当日
緊急外耳道に耳前部の瘻孔(先天性耳瘻孔)があり、そこが発赤・腫脹・排膿している先天性耳瘻孔は生まれつき耳の前などに穴が開いていて、そこに感染がおこることで痛みが生じます。単純な外耳炎と区別する当日
緊急水疱を伴う激しい耳痛(水痘・帯状疱疹の既往なし/顔面神経麻痺を伴えば119へ)水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した炎症の場合は、激しい痛みを感じることがあります。外耳道・耳介の水疱を探す当日
当日耳漏があり、鼓膜が観察できない・鼓膜穿孔の有無が分からない中耳炎合併を除外できない。耳鼻科でのフォローで鼓膜評価数日
当日典型的な外耳炎(発赤・腫脹・耳漏、耳介牽引で痛みが増強、全身状態は良好)当院で局所処置・外用薬/内服を開始し、耳鼻科外来フォロー当日〜

鑑別:よくあるもの

耳の炎症から起こった痛みとして頻度の多いものには鼓膜の奥の中耳に炎症を起こしている急性中耳炎や鼓膜自体に炎症を起こしている鼓膜炎、鼓膜の手前の外耳に炎症を起こしている外耳炎などが挙げられます。

病態見分け当院の扱い
外耳炎耳たぶをひっぱったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなります。発赤・腫脹・耳漏当院で局所処置・外用/内服開始
外耳道湿疹外耳道湿疹や耳かきのしすぎによるものは漿液性の耳だれ(膿性ではない)。かゆみが主体保湿・耳いじりを止める指導。悪化すれば外耳炎として扱う
鼓膜炎鼓膜自体の炎症。外耳炎とは別に挙げられているが、外耳炎との具体的な鑑別点は本シートで一次資料を確認していない(要確認)鼓膜が見えるなら耳鼻科で評価
急性中耳炎詳細耳の奥の痛み、発熱を伴いやすい。耳介牽引での痛み増強は乏しいとされる(要確認急性中耳炎のシートへ
顎関節症による関連痛顎(がく)関節は耳の穴のすぐ前にあるため、顎関節症による顎の痛みを耳が原因と思ってしまうことがあります。開口時痛・咀嚼で悪化外耳道・鼓膜に所見なし。歯科口腔外科へ
咽頭炎からの関連痛中耳は耳管という管を通して咽頭と繋がっており、同じ舌咽(ぜついん)神経という神経が感覚を支配しているため、のどの炎症でこの神経が刺激されて耳が痛いと感じることもあります咽頭の視診。外耳道・鼓膜に所見なし
耳垢栓塞・耳あか外耳道の柔らかい耳あかが「耳だれ」に似ている場合がありますが、これは体質によるもので病気ではありません除去できるかは当院の体制による

鑑別:見逃してはいけないもの

病態見分け当院の扱い
顔面神経麻痺・めまいを伴う耳痛痛みだけでなく顔面の運動麻痺(顔面神経麻痺)やめまいなどを同時に起こしている場合には、緊急の処置が必要となることもあります持てない。緊急で送る
水痘・帯状疱疹による耳の炎症水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した炎症の場合は、激しい痛みを感じることがあります。外耳道・耳介の水疱を探す。顔面神経麻痺を伴う病態として知られる(名称・診断基準は要確認顔面神経麻痺があれば119、なければ耳鼻科・小児科で抗ウイルス薬の適応を相談
先天性耳瘻孔の感染先天性耳瘻孔は生まれつき耳の前などに穴が開いていて、そこに感染がおこることで痛みが生じます消炎後に摘出術目的で耳鼻科紹介。単純な外耳炎の外用治療だけで終わらせない
耳介・耳後部へ広がる蜂窩織炎(特に耳ピアス後は要注意・要確認)発赤腫脹が外耳道を超えて耳介全体・耳後部に及ぶ蜂窩織炎の考え方に準じて評価。耳介軟骨膜炎の特徴(要確認)は本シート未確認
悪性外耳道炎(頭蓋底骨髄炎)適切な外耳炎治療にもかかわらず増悪する、免疫不全・易感染性の背景がある本シートで一次資料を確認していない(要確認)。疑えば持てない前提で相談
外耳道異物・腫瘍外傷や外耳道異物、腫瘍などでも痛みを生じる場合があります。片側性・持続性の耳漏や出血除去できるかは当院の体制による。腫瘍は稀だが持続する片側性の所見は放置しない
乳様突起炎急性中耳炎の合併症)耳後部腫脹・耳介の前方偏位持てない。中耳炎側のシートに準じる

所見の取り方

所見取り方所見があったら次にどうする
耳介牽引・耳珠圧迫耳たぶをひっぱったり、耳の入り口を押したりする痛みが強くなれば外耳炎を示唆
外耳道の視診発赤・腫脹・耳垢・耳漏の性状を見る耳かきのしすぎによるものは漿液性で、細菌感染を起こすと膿性になります。膿性なら外耳炎として治療
鼓膜の観察(耳鏡)可能なら鼓膜まで見る(院内の耳鏡・耳内視鏡は要確認)見えない・評価できないなら中耳炎合併を除外できない。耳鼻科フォローへ
耳前部耳の前に瘻孔・小さな穴・陥凹がないか見るあれば先天性耳瘻孔の感染を疑う
顔面神経額のしわ寄せ・閉眼・口角の左右差左右差があれば119判断
耳介・耳後部の腫脹範囲外耳道の範囲を超えて耳介全体・耳後部に及ぶか及べば蜂窩織炎・乳様突起炎の考え方で評価しなおす
全身状態・発熱バイタル、機嫌外耳炎は通常全身状態に大きく影響しない。発熱が強い・ぐったりなら別の病態を疑う(要確認)

問診チェック

  • 耳かき・綿棒の使用習慣、直近のプール・入浴
  • 痛みの性状(耳を引っぱると強くなるか)とタイミング
  • 耳だれの有無と性状(漿液性か膿性か、量)
  • 発熱の有無(外耳炎自体は必発ではないとされる、要確認)
  • 顔の動き・めまい・ふらつきの有無
  • 免疫不全・血液疾患・化学療法などの基礎疾患の有無
  • 耳ピアスの有無・部位(軟骨部か耳垂か)
  • 中耳炎の既往・チューブ留置の既往(滲出性中耳炎
  • 咽頭痛・顎の痛みの有無(関連痛の除外)

送る/持つ(当院=二次救急・当直帯に耳鼻咽喉科なし)

状態当院の扱い
典型的な外耳炎(全身状態良好)当院で局所処置・外用/内服を開始し、耳鼻科外来へフォロー
顔面神経麻痺・めまいを伴う耳痛持てない。緊急で送る
悪性外耳道炎を疑う(免疫不全+難治性)持てない可能性が高い(要確認)。画像・専門科相談が要る施設へ
耳介・耳後部へ広がる発赤腫脹蜂窩織炎に準じて評価。持てるかは要確認
先天性耳瘻孔の感染消炎目的の内服は当院で開始可。摘出術目的の耳鼻科紹介は必須
鼓膜が見えない・中耳炎合併の除外ができない耳鼻科フォローで鼓膜評価を依頼
外耳道異物除去できるかは当院の体制による(要確認)

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 確定(2026-09-14 確認)当直帯に院内の耳鼻咽喉科はいない。夜間の紹介先は要確認(施設名・番号は保留中)
  • 要確認:耳鏡・耳内視鏡の院内在庫と、鼓膜まで観察できる体制
  • 要確認:外耳道洗浄・耳処置(吸引装置など)ができる体制
  • 要確認:点耳薬(抗菌薬含有点耳薬など)の院内採用と当院での処方可否
  • 要確認:外耳道異物の除去を当院で行うか、耳鼻科紹介にするかの基準
  • 要確認:先天性耳瘻孔感染後の摘出術の紹介先
  • 確定(2026-09-14)CT・造影MRIは当直帯に撮れない悪性外耳道炎を疑ったら、画像で確かめず耳鼻科のある施設へ相談する

家族に渡す一文

「今回の症状は、鼓膜の手前にある『外耳』という部分の炎症、外耳炎です。耳かきなどで耳の中を傷つけたところに細菌が入って起こることが多く、耳を触ったり引っぱったりすると痛みが強くなるのが特徴です。治療は耳鼻咽喉科での処置と、抗菌薬や痛み止めのお薬です。処方されたお薬は指示どおり最後まで使ってください。治るまでは耳の中をいじらず、水を入れないようにしてください。顔の動きが左右で違う、めまいが強い、痛みや腫れがどんどん強くなる場合は、すぐにご連絡ください。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートは日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け解説ページ(「耳の病気」content_id=20、「耳の症状」content_id=15)を一次資料としている。診療ガイドラインではない。同学会の診療ガイドライン一覧ページ(content_id=1)も確認したが、2026-09-13時点で外耳炎・外耳道炎に特化した診療ガイドライン・手引きは掲載されていなかった。
  • 要確認:「耳を引っぱると痛いのが外耳炎、中耳炎では痛みが増強しない」という対比そのものは、一次資料には外耳炎側の記載(耳たぶを引っぱる・耳の入り口を押すと痛みが強くなる)しかなく、中耳炎側で「痛みが増強しない」と明記した一次資料は本シートで確認していない。臨床的に広く教えられている対比だが、本シートでは裏取りできていない。
  • 要確認:悪性外耳道炎(頭蓋底骨髄炎)は成人の糖尿病・免疫不全患者を中心とした疾患概念で、小児での頻度・基準を本シートで一次資料を確認していない。免疫不全児で難治性の外耳炎を見た場合の対応方針は未確定。
  • 要確認:耳介軟骨膜炎・耳介蜂窩織炎(特に耳ピアス後)について本シートで一次資料を確認していない。本文では蜂窩織炎の一般原則を援用するにとどめている。
  • 要確認:水痘・帯状疱疹ウイルスによる耳の炎症+顔面神経麻痺は一般に「Ramsay Hunt症候群」と呼ばれるが、その名称・診断基準は本シートで一次資料を確認していない。一次資料の文言(「激しい痛み」「顔面の運動麻痺やめまいを伴えば緊急」)のみを本文に反映した。
  • 要確認:鼓膜炎は一次資料に名称のみ挙げられており(「鼓膜自体に炎症を起こしている鼓膜炎」)、外耳炎との具体的な鑑別点・治療は本シートで一次資料を確認していない。
  • 要確認:外耳炎で発熱が必発でないかは本シートで一次資料を確認していない。一般的な臨床像として記載したのみ。
  • 要確認:薬剤名・用量は本シートで意図的に書いていない。点耳薬・内服抗菌薬・鎮痛薬の選択と用量は院内採用・アンチバイオグラムに従う。
  • 確定(2026-09-14 確認)耳鼻科の当直/オンコールは無い耳鏡・耳内視鏡の在庫と、外耳道洗浄・耳処置を当直医が行ってよいかは未確認——ここが埋まらないと、夜は「見えないまま送る」しかできない。

出典

  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.耳の病気「外耳炎」https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=20 (2026-09-13閲覧)。「鼓膜の手前を外耳といい、ここの炎症が「外耳炎」です。不潔な耳かき、指のつめなどで耳の中をかいて傷を作った場合などに細菌が入り炎症を起こし発症します(矢印)。耳が痛くなります。ひどくはれると聞こえが悪くなることもあります。耳たぶをひっぱったり、耳の入り口を押したりすると痛みが強くなります。治療は耳鼻咽喉科での局所の処置、抗菌薬や鎮痛薬の内服などを行います」。
  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.耳の症状https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=15 (2026-09-13閲覧)。「耳のかゆみが起こる原因としてはほとんどの場合が外耳炎によるものです。外耳道の皮膚は皮下組織が非常に薄く、刺激に弱いため、耳掃除などでも容易に炎症を起こしてしまい、かゆみを生じる原因となります。かゆみが治まらない場合や悪化して痛みが生じる場合、耳だれが生じる場合には耳鼻咽喉科での治療が必要となります」(耳がかゆい)。「耳の炎症から起こった痛みとして頻度の多いものには鼓膜の奥の中耳に炎症を起こしている急性中耳炎や鼓膜自体に炎症を起こしている鼓膜炎、鼓膜の手前の外耳に炎症を起こしている外耳炎などが挙げられます。その他、先天性耳瘻孔は生まれつき耳の前などに穴が開いていて、そこに感染がおこることで痛みが生じます。水痘・帯状疱疹ウイルスに感染した炎症の場合は、激しい痛みを感じることがあります。また、外傷や外耳道異物、腫瘍などでも痛みを生じる場合があります。耳の周囲や耳の中の神経痛もあります。これは短く鋭い痛みを繰り返す特徴があります。痛みだけでなく顔面の運動麻痺(顔面神経麻痺)やめまいなどを同時に起こしている場合には、緊急の処置が必要となることもあります」「顎(がく)関節は耳の穴のすぐ前にあるため、顎関節症による顎の痛みを耳が原因と思ってしまうことがあります。また、中耳は耳管という管を通して咽頭と繋がっており、同じ舌咽(ぜついん)神経という神経が感覚を支配しているため、のどの炎症でこの神経が刺激されて耳が痛いと感じることもあります」(耳が痛い)。「「耳だれ」があると外耳道や中耳の病気の可能性があります。発生する原因によって漿液(しょうえき)性、膿性、粘液性、粘膿性、水様性、血性などと性質が異なります。外耳道から発生する「耳だれ」は、外耳道湿疹や耳かきのしすぎによるものは漿液性で、細菌感染を起こすと膿性になります(外耳炎)。また、外耳道の柔らかい耳あかが「耳だれ」に似ている場合がありますが、これは体質によるもので病気ではありません。中耳から発生する「耳だれ」は、中耳粘膜から生じる粘液性のもので、細菌感染を起こすと粘膿性になります(中耳炎)」(耳だれが出る・耳が臭う)。「耳に水が入った感じ、ふたをしたような感じ、ボワーンとした感じは、外耳、中耳、内耳、いずれに原因があっても起こります」「外耳が原因の場合は、耳あか、綿棒の先などの異物、プールや風呂で入った水、外耳炎による外耳道の腫れや分泌物の鼓膜への付着などが原因となります。また、耳が海水と風で冷却されることで外耳道の骨が増殖し耳の穴が狭くなる「サーファーズイヤー」により外耳道が閉塞しやすくなることがあります」(耳がつまる感じ)。
  • 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会.診療ガイドライン/手引き・マニュアル INDEXhttps://www.jibika.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=1 (2026-09-13閲覧)。外耳炎・外耳道炎に特化した診療ガイドライン・手引きが掲載されていないことの確認に使用(小児急性中耳炎診療ガイドライン2024年版・小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022年版・ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)診療の手引きの記載はあるが、外耳炎は掲載なし)。

同じ場面のシート

ほかに開く

↑↓ 移動 / Enter 開く / Esc 閉じる