こどもの発熱

こどもの発熱

発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中

2026-07-30更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

家族説明を開く

当院の当直帯の実力(2026-09-14 確認): 血算・CRP・迅速検査・便・尿定性は出せる。末梢血液像と尿沈渣は出ない。画像は撮れない。
腰椎穿刺・導尿・ルート確保はできる。髄液の一般検査と血液ガスも夜間に出せる。夜間入院もできる。
出ないのは——末梢血液像(鏡検)/白血球の自動分画=好中球絶対数/尿沈渣/培養の夜間提出(採って翌朝出す)/X線以外の画像。
発熱の当直は検査で原因を突き止める仕事ではなく、重症を拾って、拾ったら抱えるか送るかを決める仕事当院は「抱える」を選べる(夜間入院可)ので、結果が出ないことを理由に帰す必要はない
施設固有(愛育など)は末尾オーバーレイに分離。

30秒要約

  • 熱の高さだけで重症度は決まらない。水分・反応・呼吸・月齢を見る。
  • 生後3か月未満の38.0℃以上は「元気そう」でも精査前提。
  • まず除外: 敗血症様、髄膜炎様、気道緊急、けいれん遷延。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見家族に伝えること
119けいれん≥5分 / 反応なし / 呼吸弱・チアノーゼその場で119。家族ページ冒頭の赤いカードに同じ文言がある
緊急生後3か月未満で38.0℃以上今日中の受診として伝える。家族ページ冒頭の橙のカードに同じ文言がある
緊急ぐったり、水分不可、呼吸苦、紫斑、項部硬直、大泉門膨隆家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す
当日基礎疾患(免疫不全・心疾患・デバイス)、渡航歴家族ページの「受診の目安」に載っている。画面を見せて指差しで渡す

問診チェック

初期プラン(コア)

  1. 外観・バイタル・ABC を先に。不安なら早期エスカレーション。
  2. 月齢<3か月 + 発熱 → 施設プロトコル(血液・尿±腰椎など)に沿う。自己判断で帰宅させない。
  3. 月齢≥3か月で毒性が低い → フォーカス検索。検査は一律ではなく適応で。
  4. 家族説明 → Family Guide「こどもの発熱」を渡す / URL共有。解熱剤は「つらさ緩和」であり治癒判定ではない、と一言。

家族に渡す一文

「熱の数字より、水分がとれるか・目が合うか・眠れているかを見てください。この説明ページに、119・今日の受診・おうちで見守る目安がまとまっています。」
https://ampl-kids-health-guide.pages.dev/patient/こどもの発熱について_患者説明_2026-07-30.html

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 月齢<3か月発熱、けいれん遷延、敗血症様、髄膜炎疑い → 上級医 / 小児救急フロー
  • 判断に迷う → 迷った時点で相談(一人で抱えない)

出典

  • Family Guide fever(2026-07-30)と整合
  • 施設マニュアル・採用ガイドラインは facility オーバーレイで追記

計算

kgこのシートの計算すべてに反映。タブを閉じるまで保持されるので、患者が変わったらクリアする。
計算

アセトアミノフェン頓用量

kg
いつ使う

発熱・疼痛のつらさ緩和目的の頓用。解熱剤は「つらさ緩和」であり治癒判定ではない(本シート正本の記載)。熱の数字を下げること自体は目的にしない。

落とし穴
  • 1回上限と1日上限は別々に効く。体重26kg以上では、1回量の上限を4〜6時間ごとに4回打つと1日上限(1,500mg)を超える。上の「1日の回数」はその逆算で、数字が4未満なら間隔を空けるか1回量を下げる
  • 1回500mg・1日1,500mgの上限を超えない(体重約33kg以上では体重換算より1回上限が先に当たる)
  • ここに出るのは体重換算の「考え方」。個別の処方値は診察で決定し、基礎疾患・併用薬を確認する
次の一手

解熱の有無にかかわらず、水分・反応・呼吸の観察を続ける。受診判断は本シート上部のレッドフラグ表へ。

出典

カロナール(アセトアミノフェン)添付文書(PMDA): 1回10〜15mg/kg・4〜6時間以上あけて投与・1日総量60mg/kgを限度(1回500mg・1日1,500mgを超えない) 添付文書(正本で照合済み・2026-08-14リンク更新)

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

判定

年齢別のバイタルと低血圧の閾値

回/分
/分
mmHg

年齢を入れると基準が出ます

    呼吸数60回/分以上・脈拍160/分以上は月齢によらず異常とされる。数値が基準内でも、陥没呼吸・鼻翼呼吸・呻吟・活気や哺乳の低下といった所見を優先する。血圧低下は代償が破れた後に現れる遅い指標で、正常でもショックを否定しない。

    いつ使う

    年齢を入れると、その年齢帯の呼吸数の生理的範囲と、低血圧とみなす収縮期血圧の閾値が出る。実測値も入れると基準と突き合わせる。

    落とし穴
    • 低血圧の定義は年齢の関数:乳児〜10歳以下は収縮期 [70+(2×年齢)] mmHg未満、成人は90mmHg未満。または平時比30%超の低下。年齢を当てはめずに「90未満」で判断すると、年少児の低血圧を見逃す
    • 呼吸数の生理的範囲は年齢で大きく違う(新生児30〜60/乳児30〜40/幼児20〜30)。成人の感覚で「多い」と判断しない
    • 細気管支炎では呼吸数60〜70回/分以上が重症化のサインとされるが、研究によって一貫しない
    出典

    低血圧の定義はアナフィラキシーのシート(血圧低下の定義)、呼吸数の年齢帯は気管支喘息発作のシート(年齢別標準呼吸数)と急性細気管支炎のシート(生理的範囲・60回/分以上は異常)。いずれも正本の記載。

    参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

    処方

    処方

    処方の考え方

    熱の高さだけで重症度は決まらない。解熱薬は苦痛緩和目的の対症療法であり治癒判定ではない。第一選択はアセトアミノフェン、イブプロフェンは国内添付文書上5歳未満で有効性・安全性が確立しておらず事実上の適応外。

    治療の場面

    この数字の意味

    体重換算の考え方であって処方箋ではない。実際の剤形・力価(ドライシロップ10%/20%等)と採用薬は施設ごとに違い、本シートの「院内ローカルルール」(§6)は未確定のまま。g・包数への換算は院内採用を確認したうえで行う。

    薬剤名だけで用量が出ないものは、正本にその記載が無いということ。推測の数字は出さない。

    参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

    詳細リファレンス10章(正本より)

    出所: 正本「発熱児のトリアージ_2026-07-30.md」(起草→敵対的検証→一次資料照合→独立再検証済み)。同期日: 2026-08-14。
    用量・基準は「考え方」の記載であり、適用前に一次資料と院内採用・添付文書を確認すること。「医師確認事項」に残る論点は未確定。

    • 区分: 外来編/疾患別ワークフロー
    • 記録日: 2026-07-30
    • 状態: 下書き(要・本人確認)
    • 対象: 小児外来(愛育病院)

    ⚠ 本ファイルはAIが文献ベースで起草した下書き。最終的な臨床判断は医師(岡本)が確認して確定する。用量は体重換算の「考え方」のみ記載し、個別患者値は書かない。

    医師確認事項(要・岡本判断)

    敵対的検証で指摘された論点のうち、追加自体は安全側だが実運用の閾値・除外基準は医師の確認を要するもの。

    1. 川崎病(発熱5日以上) — セクション1・2。NICE NG143は5日以上の発熱で川崎病評価を明記。本文に言及がなかったため追記した。運用上どの時点で疑い始めるか確認されたい。
    2. 基礎疾患スクリーニング(免疫不全・化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・留置カテーテル/シャント) — セクション1。通常のトラフィックライトが適用できない集団として独立項目を追加した。院内での確認手順を確認されたい。
    3. 海外渡航歴(マラリア等流行地域) — セクション1。追加した紹介基準の妥当性を確認されたい。
    4. イブプロフェンと脱水時の急性腎障害(AKI)リスク — セクション4。脱水徴候がある場合の除外条件を追記した。院内でイブプロフェンをどこまで使うか(適応外使用の可否含む)を確認されたい。
    5. 新生児HSVリスク因子(AAP 2021記載) — セクション3。母体HSV既往・水疱・痙攣等のスクリーニングとacyclovir経験的投与の検討を追記した。院内での実施体制を確認されたい。
    6. Meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬投与 — セクション5。搬送を遅らせない前提での投与検討を追記した。院内プロトコルの有無を確認されたい。
    7. AAP 2021の生後1ヶ月未満full sepsis work-up記載 — セクション3。8-21日/22-28日の段階差を明記するよう修正した。実運用上どこまで段階化するか確認されたい。
    8. AAP 2021の適用範囲(生後60日まで) — セクション3。「生後1-3ヶ月」という区分がAAP適用範囲を超えて一般化されていたため区分を分けた。61-90日の運用方針を確認されたい。
    9. MIS-C(小児多系統炎症性症候群) — セクション1・2。川崎病と併せて鑑別に追記した。
    10. 単純型熱性けいれんの切り分け — セクション1。複雑型・群発との切り分けを明記した。既存の熱性けいれんガイドライン[7-10]との整合を確認されたい。
    0. 一目でわかるフロー
    受診(発熱を主訴)
      → 年齢確認(生後3ヶ月未満か/3ヶ月〜3歳か)
          ├─ 生後3ヶ月未満 → 体温38.0℃以上そのものが高リスク群 → レッドフラグ評価不要なほど閾値低い
          │    → 原則、小児科医の直接診察+精査(sepsis work-up)へ。外来での「経過観察のみ」は基本的に選ばない
          └─ 生後3ヶ月〜3歳 → レッドフラグ評価(該当あれば即・上位/紹介)
               → 重症度・病型の判定(見た目 well-looking か ill-looking か、トラフィックライト)
               → 検査(要る/要らない)
               → 治療(解熱薬は対症療法。感染症そのものへの治療は原因次第)
               → 再診・帰宅指導・紹介基準
    1. レッドフラグ(見逃し厳禁)
    • ⚠要医師確認:基礎疾患スクリーニング(初診時に必ず確認) — 免疫不全・悪性腫瘍化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・中心静脈カテーテルやVPシャント留置の有無。これらの児は「well-looking」に見えても通常のトラフィックライト運用が適用できず(例:好中球減少性発熱は見た目が良くても緊急)、該当があれば年齢・所見によらず個別の緊急対応(例:好中球減少性発熱プロトコル)に切り替える(日本小児血液・がん学会「小児がん患者の発熱性好中球減少症診療ガイドライン」/一般的な免疫不全児フィーバーワークアップの原則)
    • ⚠要医師確認:直近数週間〜数ヶ月以内の海外渡航歴(特にマラリア・デング・腸チフス流行地域)を問診で確認。該当あれば通常の「ウイルス性が大半」という前提が成立しないため、専門医(渡航医学・感染症)への紹介を検討する
    • 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上であること自体がハイリスク群の定義。この年齢だけで「精査を検討すべき対象」に入る(NICE NG143、AAP 2021ガイドライン、国内報告で共通)[7-1][7-2][7-8]
    • ぐったりしている・not doing well・あやしても反応が乏しい/笑わない(ただし「not doing well」単独は細菌感染とウイルス感染の判別に使えないとする国内データもあり、他の所見と併せて評価する)[7-8]
    • 点状出血・紫斑(特に圧迫で消えない皮疹=non-blanching rash、直径2mm超の紫斑)
    • 髄膜刺激徴候(項部硬直、大泉門膨隆、Kernig/Brudzinski徴候)
    • けいれんの群発・遷延(焦点性発作、意識障害の遷延、てんかん重積状態)。⚠要医師確認:単純型熱性けいれん(意識清明に回復・他のred/amber所見なし)は本ワークフロー上の一律精査(full sepsis work-up・LP)の対象ではなく、日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」[7-10]に準拠して複雑型・群発・意識障害遷延と切り分ける
    • 呼吸障害(多呼吸:生後0-5ヶ月で60回/分超、中等度〜高度の陥没呼吸、呻吟、無呼吸)
    • 循環不全(皮膚色不良=蒼白・網状・チアノーゼ、末梢冷感、毛細血管再充満時間≥3秒)
    • 経口摂取不良・尿量減少などの脱水徴候
    • 保護者が「いつもと様子が違う」と強く訴える(NICEも「専門職が見て具合が悪そう」を高リスク所見に含める)[7-1]
    • 5日以上続く発熱、原因不明の発熱が長引く場合は再評価(NICE)[7-1]。⚠要医師確認:NICE NG143は発熱5日以上の児について川崎病の評価を明記している。日本は世界最多の川崎病発症国であり、見た目がwell-lookingでも進行しうる。主要症状(両側眼球結膜充血、口唇・口腔粘膜変化、頸部リンパ節腫脹、多形皮疹、四肢末端の変化)を確認し、5日以上の発熱では単なる「再評価」でなく川崎病を明示的な鑑別に含める。あわせて、持続する発熱に発疹・結膜充血・消化器症状・ショック徴候を伴う場合はMIS-C(小児多系統炎症性症候群)も鑑別に含める(CDC/AAP MIS-C case definition)
    2. 重症度・病型の判定

    年齢区分でまず分ける

    • 生後3ヶ月未満(さらに国際的には 0-21日/22-28日/29-60日 で対応が変わる。AAP 2021ガイドラインは well-appearing な生後8-60日児を対象に3区分のアルゴリズムを提示)[7-2]
    • 生後3ヶ月〜3歳
    • 3歳以上は本ワークフローの主対象外(参考程度)

    NICE NG143 トラフィックライト(信号色)システムの考え方 [7-1][7-3]

    項目GREEN(低リスク)AMBER(中間リスク)RED(高リスク)
    皮膚色正常保護者申告のみの蒼白蒼白・まだら・灰色・チアノーゼ
    活気・反応社会的刺激に正常反応、機嫌よい反応が普段どおりでない、覚醒に時間を要する社会的刺激に無反応、医療者から見て具合が悪い、覚醒維持困難
    呼吸問題なし鼻翼呼吸、頻呼吸(目安:生後6-12ヶ月で50/分超)呻吟、中等度〜高度陥没呼吸、頻呼吸(生後0-5ヶ月>60/分、6-12ヶ月>50/分、12ヶ月超>40/分)、SpO2≤95%(room air)
    循環・水分皮膚・粘膜湿潤CRT≥3秒、哺乳不良、尿量減少、頻脈(目安:12ヶ月未満>160/分、12-24ヶ月>150/分、2-5歳>140/分)皮膚緊張低下
    その他生後3-6ヶ月で39℃以上、発熱5日以上、悪寒戦慄、四肢腫脹、非荷重肢大泉門膨隆、項部硬直、けいれん重積、非blanching皮疹、局所神経徴候

    ※上表は当初案でRED行の呼吸数閾値が生後0-5ヶ月のみ、SpO2・年齢別頻脈がいずれも欠落していたため、NICE NG143本文の年齢帯別閾値に合わせて補完した(出典: NICE NG143 Recommendations, respiratory rate/oxygen saturation/circulation and hydration traffic light criteria https://www.nice.org.uk/guidance/ng143/chapter/recommendations)。

    • 生後3ヶ月未満:NICEは体温38.0℃以上をそのまま「high-risk group」と位置づけ、well-appearingであっても精査対象とする[7-1]。AAP 2021は「well-appearing」の定義(正常な活気・哺乳・反応)を満たす生後8-60日児のみをアルゴリズム対象とし、ill-appearingは無条件で入院・精査[7-2][7-4]
    • 生後3ヶ月〜3歳:ワクチン接種歴(肺炎球菌・Hibなど)が普及した現在、"fever without source"のうち重症細菌感染症(SBI)の頻度は接種前時代より下がっているとされる一方、尿路感染症は年齢を問わず見落とされやすい原因として重要(3.のUTIの項参照)
    • 初期評価の問診項目として、個々の児の肺炎球菌・Hibワクチン接種歴(未接種・不完全接種か)を必ず確認し、リスク評価に反映する(NICE NG143 Recommendations: initial assessment, immunisation status)。未接種・不完全接種児は侵襲性細菌感染症のリスクが相対的に高い
    • 国内データとして、生後3ヶ月未満の入院発熱児86例の検討では、真の細菌感染群は11.6%にとどまり約9割はウイルス感染主体だったが、「病歴・症状・検査値だけからは細菌感染の有無を判断するのは困難」であり、月齢の低い群では従来通りfull sepsis work-upと積極的な抗菌薬適応の検討が妥当と結論づけている(松江市立病院、2010年報告)[7-8]。※単一施設・n=86・2010年(ワクチン普及前)の後方視的検討であり、直近の多施設データでの再確認が望ましい点に留意する
    3. 検査
    • 必要(年齢・所見に応じて):
    • 生後1ヶ月未満:全例で血液培養・尿検査(カテーテル/膀胱穿刺)・髄液検査(腰椎穿刺)を含むfull sepsis work-upが原則(NICE、AAP、国内報告とも一致)[7-1][7-2][7-8]。⚠要医師確認:AAP 2021は生後1ヶ月未満を一律にfull sepsis work-up対象としているわけではなく、8-21日は無条件でLP含む全項目、22-28日は炎症マーカー等に応じてLP省略を検討しうる(shared decision makingの対象)という段階差がある。実運用でどこまで段階化するかは要確認
    • 生後1-3ヶ月:尿検査+血算+CRP・プロカルシトニン等の炎症マーカー。マーカー陽性やill-appearingなら腰椎穿刺・入院を追加検討(AAP 2021の3区分アルゴリズム:8-21日/22-28日/29-60日で必要検査と方針が段階的に変わる)[7-2][7-4]。⚠要医師確認:AAP 2021の適用範囲は生後8〜60日までであり、61-90日(2-3ヶ月)はAAPのスコープ外。この区分は「生後1-2ヶ月(AAP準拠)」と「生後2-3ヶ月(AAP適用外・院内プロトコル/臨床判断)」に分けて運用することが望ましい
    • ⚠要医師確認:生後1ヶ月未満・特に8-21日の児では、AAP 2021ガイドライン自体が明記する新生児HSVリスク因子(母体HSV既往・分娩前後の発熱、児の水疱性皮疹、痙攣、無呼吸、CSF細胞増多、ALT高値)を確認し、該当あれば経験的acyclovir投与を検討する(Pantell RH et al. Pediatrics. 2021;148(2):e2021052228, HSV risk factor section)。新生児HSV感染症(特に髄膜脳炎型)は見逃すと死亡率・後遺症率が高い
    • 3ヶ月〜3歳でamber/red所見あり、または発熱源不明が続く場合:尿検査(特に女児・排尿時痛の申告がない乳幼児でも尿路感染は無症候的に発熱のみのことが多い)、血算・CRPを状況に応じて
    • かぜ症状(鼻汁・咳)を伴わない発熱:尿路感染の再燃・再発を念頭に検尿を行うことが推奨される(日本小児泌尿器科学会)[7-9]
    • 不要・過剰になりがち:
    • green(低リスク)所見のみの3ヶ月〜3歳児への画一的な血液検査・画像検査
    • 発熱のみを理由にした全例胸部X線
    • ウイルス性が明らかな臨床像への抗菌薬適応目的の追加検査
    • CRPは発熱からの経過時間が短いと上昇していないことがあるため、早期受診例では「初回低値=除外」と即断しない(時間を空けた再検が有用というのが国内報告の指摘)[7-8]
    4. 治療
    • 第一選択:アセトアミノフェン(解熱・鎮痛目的の対症療法。感染症そのものへの治療ではない)
    • 体重換算の考え方:1回10〜15mg/kg、投与間隔4〜6時間以上、1日総量60mg/kgを上限とする一般的な用法(添付文書ベース)。1回最大500mg、1日最大1500mgという上限が製剤情報にある[7-5]
    • ※上記はあくまで一般論。個別の処方量・回数は診察時に医師が決定する
    • 第二選択・無効時:イブプロフェン
    • 海外のガイドライン(NICE等)はパラセタモール/イブプロフェンいずれも製品ライセンス(添付文書)の年齢・体重条件に従うとしており、具体的な年齢閾値は製剤依存(NICEが一律に「生後6ヶ月以上」を定めているという明文根拠は確認できておらず要再確認)[7-1]。日本国内の医療用イブプロフェン製剤の添付文書上は小児の用法用量が5〜7歳/8〜10歳/11〜15歳の年齢区分でのみ設定されており、低出生体重児・新生児・乳児・4歳以下の幼児を対象とした有効性・安全性の臨床試験は実施されていない旨が明記されている[7-6]。5歳未満(3ヶ月〜3歳を含む)への使用は事実上の適応外使用となるため、使用可否は医師の個別判断とする
    • ⚠要医師確認:脱水徴候(尿量減少・活気不良・経口摂取不良)がある場合はイブプロフェン投与を避けるか、医師が個別に腎機能リスクを評価した上で判断する。発熱性疾患の乳幼児は腎灌流低下+NSAIDのプロスタグランジン合成阻害でAKIを起こしやすいハイリスク集団であり、複数の小児科文献で脱水を伴うibuprofen使用中のAKI症例が報告されている(NSAIDs Linked to Acute Kidney Injury in Dehydrated Kids, Medscape; Non-steroidal Anti-inflammatory Drugs Systemic Use: The Risk of Renal Failure, Front Pediatr 2019)
    • NICEはパラセタモールとイブプロフェンの同時併用は推奨せず、いずれかで苦痛が続く場合のみ交互投与を検討するとしている[7-1][7-3]
    • やってはいけない/非推奨:
    • インフルエンザ罹患(疑い含む)児へのジクロフェナクナトリウム・メフェナム酸:インフルエンザ脳症の重症化・死亡率上昇との関連が指摘され、2000年に厚生省(当時)から原則禁忌とする行政指導が出ている。解熱薬はアセトアミノフェンを第一選択とする[7-7]
    • 15歳未満の水痘・インフルエンザ患者へのアスピリン等サリチル酸系薬剤:ライ症候群のリスクから1998年に原則禁忌の措置がとられている[7-7]
    • 水痘(水疱瘡)罹患中の児へのイブプロフェン等NSAIDs投与:壊死性筋膜炎等の重症皮膚軟部組織感染症リスク増加との関連が報告されており(ケースコントロール研究でOR約11.5)、可能な限り避けアセトアミノフェンを優先する(Mikaeloff Y et al. Br J Clin Pharmacol. 2008;65(2):203-9; Don't Forget the Bubbles: Varicella and NSAIDs summary)
    • 解熱そのものを目的とした機械的な投与(体温を下げること自体が目的ではなく、児の苦痛緩和が目的)[7-1]
    • Tepid sponging(微温湯清拭)による解熱は推奨されない[7-1]
    • 解熱薬使用は熱性けいれんの再発予防効果を示すエビデンスに乏しいとされる(日本小児神経学会「熱性けいれん(熱性発作)診療ガイドライン2023」でCQとして検討されている)[7-10]
    • 解熱薬投与後に解熱した/しなかったことをもって重症・非重症を判別してはならない(NICE NG143の明示的な推奨)。amber/red所見のある児は解熱の有無によらず1-2時間後の再評価を行う
    5. 再診・帰宅指導・保護者説明
    • 再受診すべきサイン(保護者に伝える):
    • けいれんを起こした
    • 皮疹が出た(特に押しても消えない紫斑・点状出血)
    • 発熱が5日以上続く
    • ぐったりしている、水分が摂れない、いつもと様子が違うと感じる
    • 呼吸が速い・肩で息をする・唇や顔色が悪い(真っ青・灰色)(NICE NG143 患者・保護者向け情報のsafety netting原則)
    • 上記1.のレッドフラグに該当する変化
    • 経過の見通し:
    • 3ヶ月〜3歳の発熱の大半はウイルス感染に伴うもので自然軽快する。生後3ヶ月未満でも実際の細菌感染は約1〜1.5割程度にとどまるが、月齢が低いほど症状だけでの判別は困難という前提で対応する[7-8]
    • 紹介・入院の閾値:
    • 生後3ヶ月未満で体温38.0℃以上:原則、小児科医の診察・精査(入院を含めた対応)を検討する対象[7-1][7-2][7-8]
    • red所見該当:緊急での上位医療機関搬送・入院を検討。⚠要医師確認:非blanching疹+red所見(意識レベル低下・循環不全等)でmeningococcemiaを強く疑う場合は、搬送を遅らせない前提で、可能であれば施設内プロトコルに基づき搬送前にIV(困難ならIM)でベンジルペニシリンまたはセフトリアキソンの投与を検討する。ただし抗菌薬投与のために搬送を遅らせてはならない(NICE NG240 Meningitis (bacterial) and meningococcal disease: recognition, diagnosis and management, pre-hospital antibiotics recommendation)
    • amber所見のみでred非該当:対面での経過観察・安全網(safety netting)を敷いた上でのフォローアップ設定
    • green所見のみ:自宅経過観察+上記の再受診サインの説明
    6. 院内ローカルルール(愛育での運用)
    • 要確認:発熱児(特に生後3ヶ月未満)に対する院内での標準ワークフロー(sepsis work-up の実施基準・腰椎穿刺の実施体制・入院適応の最終判断者)
    • 要確認:院内採用の解熱薬(アセトアミノフェン製剤の剤形・規格)、イブプロフェンの小児使用可否に関する院内方針
    • 要確認:夜間・休日の当直体制での対応と、上位医療機関(NICU/PICU、こども医療センター等)への紹介先・搬送手順
    • 要確認:尿検査の採尿方法(カテーテル採尿/膀胱穿刺の実施体制)
    7. 出典

    ※ 点数・GLは改定される。運用前に最新版を確認。特にNICE NG143は2025年4月にexceptional surveillance(改定要否の例外的見直し)が行われている(変更なしと判定された模様だが、運用前に最新状態を要確認)。

    検証・修正ログ(2026-07-30)

    敵対的検証(19件の所見)を反映した。状態は引き続き「下書き(要・本人確認)」。

    主な変更点:

    • レッドフラグに川崎病・MIS-C(発熱5日以上)、基礎疾患スクリーニング(免疫不全・化学療法中・無脾症/脾摘後・先天性心疾患・留置カテーテル/シャント)、海外渡航歴を追加(いずれも安全側の追加)
    • NICEトラフィックライト表の呼吸数・SpO2・心拍数(頻脈)の年齢別閾値を、当初欠落していた分を含めて補完
    • イブプロフェンに脱水時AKIリスクの除外条件、水痘時NSAIDs(壊死性筋膜炎リスク)の禁忌注意を追加。イブプロフェン「生後6ヶ月以上」のNICE引用は出典未確認の表現に修正
    • Meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬投与、解熱薬奏効の有無で重症度を判別しない旨を「やってはいけない」に追記
    • AAP 2021の適用範囲(生後8-60日まで、8-21日/22-28日の段階差)に忠実な記述へ修正し、「生後1-3ヶ月」区分のAAP適用外部分を明示
    • 新生児HSVリスク因子(AAP 2021記載)の評価項目とacyclovir経験的投与の検討を追加
    • 保護者向け再受診サインに呼吸・顔色所見を明記、個々の児のワクチン接種歴確認を問診項目化
    • 単純型熱性けいれんの切り分け、松江市立病院データ(単施設・n=86・2010年)の限界注記を追加

    用量そのもの(アセトアミノフェン10-15mg/kg・上限60mg/kg/日等、インフルエンザ時ジクロフェナク/メフェナム酸禁忌、アスピリンのライ症候群禁忌)は一次情報と照合し誤りなし。数値変更は行っていない。

    残る要確認点: 冒頭「医師確認事項(要・岡本判断)」10項目を参照。特に基礎疾患スクリーニング・海外渡航歴の紹介基準、イブプロフェンの院内使用可否、meningococcemia疑い時の搬送前抗菌薬プロトコルの有無は、院内運用に落とし込む前に医師の確認が必須。

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