発熱があっても、すべて熱性けいれんではない
熱性けいれんは、年齢による脳の発作の起こりやすさに発熱が重なったときに生じる発作で、中枢神経感染、明らかな代謝異常、過去の無熱性発作などで説明されるものは区別する。乳幼児期に多いのは脳の発達と遺伝的素因が関わるためで、「熱が高かったから」という一つの説明だけでは不十分である。発熱の原因と、発作後の回復を別々に診察する。[1]
単純型・複雑型は発作の特徴を記述する分類であり、複雑型という名称だけで脳障害やてんかんを確定するものではない。一方、焦点性、長い持続、同じ発熱機会での反復は、急性病変や将来の発作リスクを検討する手がかりになる。分類に用いる15分と、発作を止めるために動く5分を混同しない。呼吸循環の異常、持続時間不明の発作では、分類が決まるまで治療を待たない。[2]
年齢と既往に合うかを確認する
通常の年齢帯から外れる児、発熱より先に発作があった児、無熱時にも同様の出来事がある児は、熱性けいれん以外の診断を見直す。生後6か月未満では低血糖、電解質異常、中枢神経感染、代謝疾患などを優先する。年長児で反復する有熱時発作、発達の停滞、異なる型の発作が加わる場合は、てんかん症候群を含めて専門評価を計画する。[1]
回復を追うことが鑑別検査になる
発作後の眠気はありうるが、刺激への反応、視線、左右の動き、普段のやり取りが戻る方向に進んでいるかを繰り返し確認する。薬剤の鎮静作用だけで回復不良を説明しない。発作後の意識低下が持続・悪化する、瞳孔異常、新たな麻痺、繰り返す発作があれば、脳炎・急性脳症や重積を疑う。いったん改善してから再び悪化する二相性の脳症もあり、初日の回復や画像が正常であったことだけでは否定できない。[2][3]
髄膜刺激徴候は乳児では明瞭でない。発熱、哺乳低下、不機嫌、意識異常、紫斑、大泉門膨隆などを合わせて評価する。髄液検査は感染を疑うときに検討するが、新規巣症状・瞳孔異常・重度/進行する意識低下、呼吸循環不安定では保留する。検査待ちで安定化、抗菌薬、緊急相談を遅らせない。[2][4]
検査と予防薬が必要な理由を説明できるようにする
典型的な発作が短時間で終了し、完全に回復した児では、頭部CT・MRIや脳波を一律に行わない。画像で偶発所見が見つかっても、救急対応を変えるとは限らないからである。焦点症状、発作後麻痺、発達の遅れ、遷延・反復、回復不良がある場合には個別に画像・脳波を考える。当院で夜間に必要な画像を実施できなければ、検査可能な施設への相談につなぐ。[2]
解熱薬は不快感や飲水のつらさを和らげる目的で用い、次の発熱時の発作予防を保証するものとして説明しない。ジアゼパム坐剤の間欠予防は、本文の適応条件と院内方針院内に沿って選択する。眠気・ふらつきと呼吸状態の観察、他の鎮静薬との重なりを含めて家族に伝え、すべての児へ一律に処方しない。[1][5]
フォローで見るもの
再診では発熱源、再発の時刻と型、完全に普段へ戻ったか、哺乳・尿量を確認する。多くの児は良好に経過するが、単純型の一般的な見通しを、長時間発作や発達背景が異なる児へそのまま広げない。反復する焦点発作、無熱性発作、発達の停滞や退行、日常の短い反応停止が加われば、小児神経の評価を組む。家族には安全な体位、口へ物を入れないこと、時間を測ること、5分以上・反復して覚めない・呼吸異常の救急要請を具体的に渡す。[1][2]
追補の一次資料