誤飲・中毒は吐かせず、物質で飲ませる・飲ませないを分ける
吐かせない。日本中毒情報センターは「家庭で吐かせることは勧められていません。吐物が気管に入ってしまうことがあり危険です」としている。水・牛乳は「飲ませてよいもの」と「絶対にいけないもの」が物質で分かれる。残っている量から飲んだ量を推定する。
始める前に
- 何を(製品名・成分)飲んだかを問診し、同じ製品を持参してもらう
- いつ飲んだか(時刻)を確認する
- どれだけ飲んだかを、残っている量から推定する
- すでに嘔吐したか(吐いたか)を確認する
- 誰が目撃したか。目撃がない場合、いつまで正常だったかを確認する
- 家庭内の他の子どもの同時摂取の可能性を確認する
- 年長児では意図的な過量服薬の可能性を確認する
- バイタルと意識レベルを最初に取り、時刻とセットで記録する
- 瞳孔、皮膚(発汗・乾燥)、粘膜(腐食性の摂取なら口腔内)、においを見る
- 口腔・咽頭のびらん・発赤を確認する(酸・アルカリ)。ただし口腔内に所見がなくても食道の損傷を否定できない
- 心電図をとる(不整脈をきたす物質がある)
手順
- 1
ABCを先に。意識障害・けいれん・不整脈があれば中毒の特定より蘇生が先
- 2
物質を特定する。製品を見て、残量から摂取量を推定する
- 3
吐かせない
吐物が気管に入ってしまうことがあり危険
- 4
「酸性」「アルカリ性」表記の製品(漂白剤・トイレ洗浄剤)、界面活性剤を含む製品(洗剤・シャンプー)、乾燥剤は水・牛乳を飲ませる。ただし多いと吐くので無理なく飲める量にする
- 5
医療機関専用の中毒110番に相談して方針を決める
活性炭・胃洗浄・解毒薬の適応は物質と経過時間で変わる
- 6
無症状でも物質によっては遅れて悪化するため、観察時間は物質ごとに(相談して)決める
やってはいけない
- 吐かせない(家庭でも医療機関到着前でも同じ)
- 石油製品(灯油・マニキュア・除光液・液体殺虫剤)は飲ませない
- たばこは飲ませない
- 防虫剤(樟脳など)は飲ませない。牛乳は厳禁(吸収を促す)
- なめくじ駆除剤は吐かせない・飲ませない
- 酸性・アルカリ性製品(漂白剤・トイレ洗浄剤)の摂取では吐かせない(再度粘膜を通るため)
終わったあと
- 少量・無症状・毒性の低い物質は当院で観察しうる。再受診条件を具体的に渡す
- 物質名を記録に残す
この場で持てない・送る
- 意識障害・けいれん・不整脈・呼吸抑制は初期対応を当院で行うが、集中治療が要る場合は持てない
- 血液浄化(血液透析・血液吸着)が要る中毒は持てない
- 特殊な解毒薬・拮抗薬が要る中毒は院内に無い可能性が高い(要確認)
- 腐食性物質の摂取で食道損傷が疑われる場合、緊急内視鏡は持てない
- 送ると決めたら、物質名・摂取量の推定・摂取時刻をセットで伝える
- 製品そのもの(容器・説明書)を家族に持って行ってもらう
- すでに実施した処置(何も飲ませていない/水を飲ませた 等)を正確に伝える
- 要確認:中毒110番(医療機関専用・1件2,000円・365日24時間)の院内での使い方。誰が電話し、費用処理をどうするか。決まっていないと夜間に使えない
- 要確認:院内に常備している解毒薬・拮抗薬の一覧
- 要確認:活性炭の院内採用と、投与を当院で行うかの方針
- 要確認:血液浄化が要る場合の受け入れ先
- 要確認:意図的な過量服薬(年長児)の場合の精神科的対応と院内手順
- 要確認:本シートは日本中毒情報センターの一般向けページに基づく。医療従事者向けの詳細(活性炭・胃洗浄の適応、物質別の観察時間、少量でも危険な物質群)は本シートでは確認できていない。院内で使う前にこの部分を埋める必要がある
- 要確認:たばこ誤飲の具体的な危険量・観察時間は、参照した一般向けページでは確認できていない
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。