虫刺され・接触皮膚炎

虫刺され・接触皮膚炎

アレルギー・皮膚β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/外科的処置を持たない。皮膚科の当直対応は要確認。
ハチ・マダニの刺傷とアナフィラキシーの初期対応は動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺されじんましんとアナフィラキシーに譲る。本シートは局所の皮膚症状(虫刺されの皮疹・接触皮膚炎=かぶれ)の鑑別と治療が対象

30秒要約

  • 虫刺されの皮膚症状は「痛み」と「かゆみ」の2系統。かゆみには即時型(刺咬直後からかゆみ・発赤・ジンマシンが出て数時間で軽快)遅延型(1〜2日後にかゆみ・発赤・ぶつぶつ・水ぶくれが出て数日〜1週間で軽快)があり、年齢によって出方が変わる(乳幼児期は遅延型のみ、老年期はいずれも出ないとされる)。
  • 日本に生息する虫のほとんどに致死的な猛毒はない。全身症状(呼吸困難・意識消失・血圧低下)が出たらこのシートの範囲を超える。→じんましんとアナフィラキシー動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺され
  • 虫刺されの多くは1〜2週間以内に自然に改善する。非専門医が一番陥りやすいのは、強い局所反応を蜂窩織炎と取り違える(またはその逆)こと。
  • 小児の虫刺されで実務上いちばん問題になる合併症はとびひ(伝染性膿痂疹)。あせも・虫刺され・湿疹をひっかいた傷に二次感染して起こる(頻度の統計は本シートで確認していない・下の医師確認事項)。
  • 接触皮膚炎(かぶれ)は刺激性とアレルギー性の2系統(+光接触皮膚炎・全身性)。治療の軸は原因の除去+ステロイド外用

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119皮膚・粘膜症状+気道/呼吸・循環・重度消化器症状アナフィラキシー動物咬傷・ハチ刺傷じんましんとアナフィラキシーのプロトコルへ即時
119ハチに刺され、刺されて30分〜1時間で呼吸困難・腹痛・意識消失・血圧低下アナフィラキシーショック。ハチ刺されの死亡事故はこの反応による即時
緊急皮膚所見と不釣り合いな強い痛み・急速に拡大する発赤・全身状態不良蜂窩織炎・壊死性筋膜炎を疑う。蜂窩織炎・眼窩周囲蜂窩織炎即時〜当日
緊急咬まれた/刺された後に激しい痛み+筋肉痛・吐き気・下痢・頭痛・血圧上昇の全身症状セアカゴケグモを疑う。国内ほぼ全域に分布当日
緊急港湾・輸入コンテナ周辺で刺され、痛みやアナフィラキシー症状ヒアリを疑う。ハチと同様に毒針を持つ当日〜即時(症状次第)
当日口・目・鼻のまわりが急に赤くなり軽くこすっただけで皮がめくれる/黄色い痂皮・膿二次感染=とびひとびひ(伝染性膿痂疹)当日
当日首・腕に集中する激しいかゆみのブツブツ、庭木(ツバキ・サザンカ)の手入れ後毛虫皮膚炎(チャドクガ等)。掻かせない。粘着テープで毒針毛除去+泡立てた石けんで洗浄当日
当日マダニが皮膚に咬着している無理に引き抜かない。頭部が残って炎症を起こすことがある。感染症の経過観察は動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺され参照当日
当日塗り薬を使っても1〜2週間で改善しない・むしろ広がっている皮膚科紹介。原因物質の特定(写真・実物)を勧める数日

鑑別:よくあるもの(原因虫と所見のパターン)

生息・状況刺された部位・特徴
人家周辺〜山野。ヒトスジシマカ(屋外)・アカイエカ(室内)顔・手足などの露出部。即時型(刺されてすぐ)と遅延型(1〜2日後)の両方が出うる
ノミ(ネコノミ)庭・公園の土、野良猫・犬に寄生屋外ではスネや足など膝から下を集中的に刺されるしばしば水ぶくれを作る。強いかゆみ
ブユ(ブヨ)高原・山間部の渓流沿い。朝夕に活動刺されている時は痛み・かゆみをほとんど感じない吸血部に小さな出血点。半日後から赤く腫れ激しいかゆみ。掻き壊すと慢性痒疹(かゆみのある赤いしこりが長く残る)になることがある
トコジラミ室内(宿泊施設・引っ越し先の家具)に潜む。夜間吸血寝ている時に肌の出ている首や腕、手などから吸血。複数箇所のかゆいブツブツ
イエダニネズミが生息する古い家屋。寝室内で衣類に潜り吸血顔や手足はほとんど刺さず、わき腹や下腹部、ふとももの内側など。かゆみの強い赤いブツブツ
マダニ山道の草地・ササ藪・河川敷咬着し数日〜1週間かけて飽血・脱落。無理に引き抜くと頭部が皮膚に残る。感染症は動物咬傷参照
ハチ(アシナガバチ・スズメバチ)庭木の手入れ・農作業・ハイキング、秋の野外活動刺された直後から激しい痛み+発赤。初回は通常1日以内に治まるが、2回目以降はアレルギー反応が加わる
毛虫(ドクガ類・イラガ類)ツバキ・サザンカ(チャドクガ)、サクラ・カエデ・バラ・クスノキ(ヒロヘリアオイラガ)等ドクガ類=首やうでに集中する激しいかゆみのジンマシン様症状。イラガ類=触れた瞬間ピリピリした激しい痛み、翌日に赤く腫れてかゆみ

鑑別:見逃してはいけないもの

病態見分け次の一手
蜂窩織炎皮膚所見と不釣り合いな強い痛み、皮膚所見の範囲を超える圧痛、急速な拡大、全身状態不良蜂窩織炎・眼窩周囲蜂窩織炎蜂窩織炎ではショックにならないため、ショック様所見があれば別の病気を考える
とびひ(二次感染)あせも・虫刺され・湿疹をひっかいた傷、転んでできた傷に二次感染。鼻を触るくせのある幼児では鼻の周囲から始まることが多いとびひ(伝染性膿痂疹)
アトピー性皮膚炎の増悪虫刺されがきっかけで、もともとの湿疹病変が悪化・拡大しているアトピー性皮膚炎
薬疹(SJS/TEN・DIHS)虫刺され・かぶれと思っていたら粘膜疹・広範囲の紅斑・発熱を伴う薬疹・SJS/TEN・DIHS
セアカゴケグモ咬傷激しい痛み+筋肉痛・吐き気・下痢・頭痛・血圧上昇などの全身症状全身症状があれば要注意。当院での対応方針は要確認(下の医師確認事項)
ヒアリ刺咬港湾・輸入コンテナ周辺での刺咬歴、痛み+アナフィラキシー症状アナフィラキシー基準を満たせばじんましんとアナフィラキシーのプロトコルへ
おむつ部の接触皮膚炎(おむつかぶれ)乳児、おむつの当たる部位に一致本シートでは扱わない。赤ちゃんの肌トラブル(あせも・おむつかぶれ・脂漏性湿疹)

接触皮膚炎(かぶれ)とは

接触皮膚炎とは外来性の刺激物質や抗原(低分子の抗原であるハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応をいいます接触皮膚炎は大きく刺激性とアレルギー性に分類されます。さらに、光線の関与したタイプを加えて、(1)刺激性接触皮膚炎、(2)アレルギー性接触皮膚炎、(3)光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)、(4)全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群 に分類できます

診療では痒いジクジクした湿疹を診たときには、アトピー性皮膚炎などの他の湿疹性疾患を鑑別することが大切で、接触皮膚炎の治療で最も大切なことは原因となるアレルゲン、接触刺激因子を見つけ出し除去すること

植物によるかぶれ(子どもの屋外遊び・庭木の手入れで多い)

植物による接触皮膚炎には主に刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があります。刺激性接触皮膚炎には植物の棘や刺毛、針状結晶などによる物理的(機械的)な刺激によるものと、葉や茎、樹液などに含まれる物質の化学的な刺激によるものがあります。アレルギー性接触皮膚炎は花や葉、茎、樹液などに含まれる物質が抗原となって主に遅延型アレルギー反応(Tリンパ球が主に炎症を引き起こし抗原に触れた後24時間から48時間後に反応が起こる反応)の機序によって接触部に皮膚炎を生じるものであります

植物症状・特徴
ウルシ科(ウルシ・ツタウルシ・ヤマウルシ・ヤマハゼ・ハゼノキ)ウルシ科植物は野山に多く自生する。接触すると2~3日後から強い痒み、浮腫性紅斑や水疱を生じ、線状に配列(触れた部位に沿って皮疹が線状に出るのが特徴)
ギンナン(外種皮)・イチョウギンナンの外種皮に抗原性物質があり、イチョウの葉にも少ないながら含まれる。秋に拾って触ることが多い
イラクサ科イラクサ科植物の茎や葉に多数の刺毛が密生し、触れると直ちに蕁麻疹を生じる。乾燥すると無刺激のアネモニンに変わる
キク科(キク・マーガレット・ヒマワリ・ダリア・ヨモギ・レタスなど)キク科植物は種類が多い

治療ワークフロー(当院でやること)

虫刺され

重症度対応
軽症市販のかゆみ止め外用薬でもよい
赤み・痒みが強い副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬が必要(強さ・銘柄は院内採用ランク表に従う。下の医師確認事項)
症状が強い(内服が要る)抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬が必要になるので、皮膚科専門医を受診するのがよい
毛虫(ドクガ類)の毒針毛が付着すぐにセロハンテープなどの粘着テープを用いて皮膚に付着した毒針毛を取り除き、よく泡立てたセッケンとシャワーで洗い流す
原因虫が不明可能であれば実物を保管して医療機関に持参するか、スマートホンなどで虫の写真を撮影して記録しておくとよい。刺された虫によって対処法・治療法が異なりうる

虫刺されの多くは1〜2週間以内に改善する。原因となる虫が身近に生息していれば新たな皮疹が次々出ることがあり、その場合は駆除対策が要る。

接触皮膚炎(かぶれ)

原因物質の除去が前提のうえで、日本皮膚科学会の接触皮膚炎診療ガイドライン2020は以下を挙げている(グレードは推奨の強さ)。

治療グレード保険適用
ステロイド内服薬・外用薬は有効であるAあり
抗ヒスタミン薬は有効であるBあり
免疫抑制薬の内服薬・外用薬は有効であるC1(エビデンスレベルII)なし
バリアクリーム手袋は予防に有効である刺激性皮膚炎A/接触皮膚炎B or C1

免疫抑制薬(タクロリムス軟膏等)の小児適応・用法は本シートでは扱わない。院内の採用薬とランク表に従うこと。

所見の取り方

所見手がかり
分布部位膝から下に集中=ノミ。首・腕に密集=毛虫orトコジラミ。わき腹・下腹部・大腿内側=イエダニ。露出部(顔・手足)=蚊
水疱の有無ノミ・強い接触皮膚炎・イラガ毒棘で目立つ
線状配列ウルシ科植物に触れた痕(触れた線に沿って皮疹が出る)
小さな出血点ブユに刺された痕(刺されている間は痛み・かゆみをほとんど感じない)
激しい痛み→数時間で軽快→翌日に発赤・かゆみイラガ類の毒棘
急速な拡大・皮膚所見に不釣り合いな痛み蜂窩織炎・壊死性筋膜炎を疑う所見。蜂窩織炎
黄色い痂皮・水疱とびひ(二次感染)を疑う。とびひ

問診チェック

  • いつ・どこで刺された/触れたか(屋外か屋内か、新しい宿泊先・引っ越し先か)
  • 虫を見たか。実物や写真が残っているか(対処法が虫の種類で変わる)
  • 新しい石けん・化粧品・虫よけ・洗剤・植物(庭木の手入れ)との接触
  • 掻破の程度と経過日数(とびひ合併のサイン:黄色い痂皮・急な拡大・発熱)
  • アトピー性皮膚炎の既往(アトピー性皮膚炎
  • ペットの有無(ノミの温床)、自宅の築年数・ネズミの気配(イエダニ)
  • 以前にも同じ虫に刺されたことがあるか(ハチは2回目以降アレルギー反応が加わる

送る/持つ(当院=二次救急・皮膚科の当直対応は要確認)

状態当院の扱い
典型的な虫刺されの局所反応当院で外用処方・経過観察
かぶれ(原因が特定できる軽症)当院で原因除去の指導+外用処方
二次感染(とびひ)を伴う当院で対応。とびひの基準で判断
蜂窩織炎を疑う蜂窩織炎の基準で判断。膿瘍・切開排膿が要れば持てない
アナフィラキシーアドレナリンは当院で。詳細は動物咬傷じんましんとアナフィラキシー
毛虫皮膚炎で広範囲・眼瞼腫脹当院で対応できるかは要確認。強ければ皮膚科紹介
セアカゴケグモ・ヒアリで全身症状当院での対応方針・搬送先は要確認
1〜2週間で改善しない・パッチテストが要る皮膚科紹介(当院でパッチテストは実施しない前提。要確認)

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:外用ステロイドのランク表と院内採用(かゆみ止め外用薬・ステロイド外用薬の在庫)
  • 要確認:抗ヒスタミン薬・ステロイド内服薬の小児での取り扱い(皮膚科紹介までのつなぎとして当院で出すか)
  • 要確認:皮膚科の紹介先(夜間・休日、毛虫皮膚炎の広範囲例やセアカゴケグモ・ヒアリの全身症状例を含む)
  • 要確認:セアカゴケグモ咬傷・ヒアリ刺咬の当院での対応方針(治療プロトコル・搬送基準とも本シートでは一次資料を確認していない)
  • 要確認:とびひ・蜂窩織炎との判断が難しい症例の上級医コンサルト基準

家族に渡す一文

「虫に刺されたときの赤み・かゆみは、多くの場合1〜2週間以内に自然によくなります。刺されてすぐ出るかゆみと、1〜2日たってから出るかゆみの両方があり、お子さんの年齢によって出方が違うことがあります。今日いちばん気をつけていただきたいのは、かゆくて掻きむしることで傷から細菌が入り、とびひ(皮膚の感染症)になることです。爪を短く切り、なるべく掻かせないようにしてください。傷が急に広がる、黄色いかさぶたや汁が出る、熱が出た場合はもう一度受診してください。息苦しさ・声のかすれ・ぐったりなど、全身の症状が出た場合はすぐに救急要請してください。庭木の手入れのあとに首や腕に強いかゆみのブツブツが出た場合は、毛虫(チャドクガなど)による皮膚炎のことがあります。粘着テープで軽く押さえて毒の毛を取り除き、石けんでよく洗ってください。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートの虫刺され各論(蚊・ノミ・ブユ・トコジラミ・イエダニ・ハチ・毛虫の記載)は日本皮膚科学会の一般向けQ&A「虫刺され」を一次資料としている。診療ガイドラインではない。監修は夏秋優医師(兵庫医科大学)。
  • 要確認:「虫刺されの二次感染としてのとびひが小児で最も多い合併症である」という頻度の統計は、本シートで一次資料を確認していない。日本皮膚科学会の「とびひ」Q&Aが虫刺され・あせも・湿疹の掻破を発症経路の一つとして挙げていることから記載したが、発生頻度・割合を示す一次資料は未確認。
  • 要確認:接触皮膚炎の定義・分類は同学会の一般向けQ&A「かぶれ」から引用し、治療の推奨度(グレードA/B/C1)は接触皮膚炎診療ガイドライン2020の表22から引用した。このガイドラインには「小児」「子ども」「乳児」「幼児」という語が一度も出てこない(本文検索で確認済み)。成人・職業性皮膚炎(パッチテスト・化粧品・金属アレルギーなど)が主眼であり、小児特有の接触皮膚炎(おむつかぶれ・虫よけ・日焼け止め等)への言及はガイドライン本文にはない
  • 要確認:ステロイド外用薬の強さのランクは本シートに書いていない(院内採用のランク表と部位別の使い分けを別途確認する必要がある)。
  • 要確認:セアカゴケグモ・ヒアリの治療プロトコル(抗毒素の有無・適応、当院での対応方針)は本シートで一次資料を確認していない。一般向けQ&Aに症状の記載があるのみで、治療については確認できていない。
  • 要確認:毛虫皮膚炎で眼瞼に及んだ場合、あるいは広範囲の場合の当院での対応可否(皮膚科紹介の閾値)。
  • 要確認:マダニ咬着時の除去手技(当院でどう抜去するか、無理に引き抜かない以外の具体的な手順)は本シートで一次資料を確認していない。感染症サーベイランスは動物咬傷・ハチ刺傷・虫刺されを参照。
  • 要確認:接触皮膚炎診療ガイドライン2020は査読可能な形でPDF全文を確認したが、免疫抑制薬(タクロリムス軟膏等)の小児適応についての記載は本シートで拾いきれていない可能性がある。使用するなら添付文書を別途確認すること。

出典

  • 公益社団法人日本皮膚科学会.皮膚科Q&A「虫刺され」(監修:夏秋優・兵庫医科大学).https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/index.html (2026-09-13閲覧)。総論より「カ、ブユ、アブ、ノミ、トコジラミ、ハチ、ケムシなどの昆虫類、そしてダニ、クモ、ムカデなどの昆虫以外の節足動物が挙げられます」「「吸血する虫」としてはカ、ブユ、アブ、ノミ、トコジラミ、ダニ、「刺す虫」としてはハチ、「咬む虫」としてはクモ、ムカデが代表的で、「触れることで皮膚炎をおこす虫」としては有毒のケムシが挙げられます」。
  • Q2(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q02.html )「虫刺されによって生じる皮膚症状には、大きく分けると「痛み」と「かゆみ」があります」「即時型反応は、虫の刺咬や吸血を受けた直後からかゆみ、発赤、ジンマシンなどが出現し、数時間で軽快する反応です。一方、遅延型反応は、虫の刺咬や吸血を受けた1日~2日後にかゆみ、発赤、ぶつぶつ、水ぶくれなどが出現して、数日~1週間で軽快する、という反応です」。
  • Q3(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q03.html )「日本に生息している虫には、ヒトの生命を脅かすほどの猛毒を持つ種類はほとんどいません。しかし、刺された後に毒成分に対して強いアレルギー反応が起こって、全身のジンマシンや、腹痛、呼吸困難、意識消失など、アナフィラキシーと呼ばれる症状が出現する場合があります。特に注意が必要なのはハチで、中には刺されて30分以内にショック状態になって生命に危険が及ぶような特異体質の人がいます」「毒グモのセアカゴケグモ(資料1)はすでに国内のほぼ全域で見つかっており、咬まれると激しい痛みだけでなく筋肉痛や吐き気、下痢、頭痛、血圧上昇などの全身症状をきたすことがあります。また輸入コンテナなどから国内に侵入しつつあるヒアリ(資料2)はハチと同様に毒針を持っており、刺されることで痛みやアナフィラキシー症状を起こすことがあります」。
  • Q4(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q04.html )「一般に乳幼児期には遅延型反応のみ、幼児期~青年期には即時型反応と遅延型反応の両者、青年期~壮年期には即時型反応のみが出現し、老年期になるといずれの反応も生じないとされます」。
  • Q5(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q05.html )「屋外ではスネや足など膝から下を集中的に刺されるのが特徴(資料8)で、しばしば水ぶくれを作ります(資料9)。そしてとても強いかゆみがあります」。
  • Q6(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q06.html )「刺されている時は痛み、かゆみをほとんど感じないので気付かないのですが、吸血部に小さな出血点が見られるのが特徴です。刺されて半日くらいすると刺された所が赤く腫れて次第に激しいかゆみを生じます。時には掻きむしっているうちに硬くなり、かゆみのある赤いしこりが長く残る「慢性痒疹(まんせいようしん)」という状態になる人もいます(資料11)」。
  • Q7(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q07.html )「トコジラミは寝ている時に肌の出ている首や腕、手などから吸血するので、これらの部位にかゆいブツブツが出現します(資料13)」。
  • Q8(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q08.html )「顔や手足はほとんど刺さず、わき腹や下腹部、ふとももの内側などを刺して、かゆみの強い赤いブツブツができます(資料15)」「吸血中のマダニを無理に引き抜こうとすると、頭部が皮膚に残って炎症を起こすことがあります」。
  • Q9(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q09.html )「ハチに刺されると、まず激しい痛みが出現し、赤く腫れます(資料22)。これはハチ毒の刺激作用によるもので、初めて刺された場合、通常は1日以内に症状は治まります」。
  • Q11(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q11.html )「実際には有毒毛を持っている一部のケムシに触れた場合にだけ皮膚炎を生じます」「幼虫1匹に数十万本以上が密生しているため、これに触れると激しいかゆみを伴うジンマシンのような症状、あるいは赤いブツブツが多発します(資料24)。これは首やうでに集中して生じるのが特徴で、掻くことで次第に増数します」「都市部や市街地ではツバキやサザンカにつくチャドクガの幼虫(資料25)による被害が多く、問題になっています。庭木の手入れをした後に発症することが多いですが、ケムシに触れた覚えがなくても皮膚炎を生じる例が意外に多いようです」「イラガ類の毒棘に触れると、その瞬間にピリピリした激しい痛みと発赤が出現し、1~2時間で一旦治まります。しかし、その翌日に同部が赤く腫れてかゆみを生じることがあります」。
  • Q12(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q12.html )「虫刺されの治療は、軽症であれば市販のかゆみ止め外用薬でもよいですが、赤みや痒みが強い場合は副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬が必要です。虫刺されの多くは1~2週間以内に改善します。しかし症状が強い場合は抗ヒスタミン薬やステロイドの内服薬が必要になるので、皮膚科専門医を受診するのがよいでしょう」「可能であれば実物を保管して医療機関に持参するか、スマートホンなどで虫の写真を撮影して記録しておくとよいでしょう」。
  • Q14(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa16/q14.html )「もしドクガ類の毒針毛に触れた場合は、すぐにセロハンテープなどの粘着テープを用いて皮膚に付着した毒針毛を取り除き、よく泡立てたセッケンとシャワーで洗い流すことで被害を最小限に留めることができます」。
  • 公益社団法人日本皮膚科学会.皮膚科Q&A「かぶれ」(監修:横関博雄・横関皮膚科クリニック院長).https://www.dermatol.or.jp/qa/qa4/index.html (2026-09-13閲覧)。
  • Q2(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa4/q02.html )「接触皮膚炎とは外来性の刺激物質や抗原(低分子の抗原であるハプテン)が皮膚に接触することによって発症する湿疹性の炎症反応をいいます」。
  • Q3(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa4/q03.html )「接触皮膚炎は大きく刺激性とアレルギー性に分類されます。さらに、光線の関与したタイプを加えて、(1)刺激性接触皮膚炎、(2)アレルギー性接触皮膚炎、(3)光接触皮膚炎(光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎)、(4)全身性接触皮膚炎・接触皮膚炎症候群 に分類できます」。
  • Q16(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa4/q16.html )「植物による接触皮膚炎には主に刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎があります。刺激性接触皮膚炎には植物の棘や刺毛、針状結晶などによる物理的(機械的)な刺激によるものと、葉や茎、樹液などに含まれる物質の化学的な刺激によるものがあります。アレルギー性接触皮膚炎は花や葉、茎、樹液などに含まれる物質が抗原となって主に遅延型アレルギー反応(Tリンパ球が主に炎症を引き起こし抗原に触れた後24時間から48時間後に反応が起こる反応)の機序によって接触部に皮膚炎を生じるものであります」。
  • Q19(https://www.dermatol.or.jp/qa/qa4/q19.html )「接触皮膚炎の治療で最も大切なことは原因となるアレルゲン、接触刺激因子を見つけ出し除去することです」「治療は痒みや湿疹の炎症を抑えるためにステロイド外用薬を塗ることが必要です」「痒いジクジクした湿疹を診たときには、アトピー性皮膚炎などの他の湿疹性疾患を鑑別することが大切です」。
  • 日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン改定委員会(高山かおる・横関博雄・松永佳世子ほか).接触皮膚炎診療ガイドライン2020.日皮会誌:130(4),523-567,2020.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/130_523contact_dermatitis2020.pdf (2026-09-13閲覧)。表22「各治療の推奨度と保険適用」より「ステロイド内服薬・外用薬は有効である」(グレードA・保険適用あり)「免疫抑制薬の内服薬・外用薬は有効である」(グレードC1・エビデンスレベルII・保険適用なし)「抗ヒスタミン薬は有効である」(グレードB・保険適用あり)「バリアクリーム手袋は予防に有効である」(刺激性皮膚炎グレードA/接触皮膚炎グレードB or C1)。表13「植物による接触皮膚炎」より「ウルシ科植物は野山に多く自生する。接触すると2~3日後から強い痒み、浮腫性紅斑や水疱を生じ、線状に配列」「ギンナンの外種皮に抗原性物質があり、イチョウの葉にも少ないながら含まれる」「イラクサ科植物の茎や葉に多数の刺毛が密生し、触れると直ちに蕁麻疹を生じる。乾燥すると無刺激のアネモニンに変わる」「キク科植物は種類が多い」(原文は「,」「.」表記、数字前後に版組み由来の空白があるが、本文では通常の句読点・字送りに整えて引用した)。本文全体(PDFテキスト抽出・約8,900行)を「小児」「子ども」「乳児」「幼児」で検索したが該当箇所はゼロだった。
  • 公益社団法人日本皮膚科学会.皮膚科Q&A「とびひ」(監修:日野治子・関東中央病院皮膚科)Q1.https://www.dermatol.or.jp/qa/qa13/q01.html (2026-09-13閲覧)。「とびひとは民間で言われる俗名で、皮膚科の正式病名は伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)と言います。細菌による皮膚の感染症です。ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌(溶連菌と略します)などが原因菌です。接触によってうつって、火事の飛び火のようにあっと言う間に広がるから、たとえて「とびひ」と言うのです。あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に二次感染を起してとびひになります」「幼児・小児で鼻を触るくせがあると、鼻の周囲からとびひが始まったり、その手であせもや虫刺されなどをひっかくことでとびひになってしまいます」。

手技

手技

虫刺され・かぶれにその場で対応する

虫刺されの皮膚症状は「痛み」と「かゆみ」の2系統。 かゆみには刺咬直後に出る即時型と1〜2日後に出る遅延型があり、年齢で出方が変わる。日本に生息する虫のほとんどに致死的な猛毒はないが、全身症状が出ればこのシートの範囲を超える。小児で実務上いちばん問題になる合併症はとびひとされる(頻度の統計は一次資料で確認できていない)。接触皮膚炎の治療の軸は原因の除去+ステロイド外用

始める前に

  • いつ・どこで刺された/触れたかを聞く(屋外か屋内か、新しい宿泊先・引っ越し先か)
  • 虫を見たか、実物や写真が残っているかを確認する(対処法が虫の種類で変わる)
  • 新しい石けん・化粧品・虫よけ・洗剤・植物(庭木の手入れ)との接触を聞く
  • 掻破の程度と経過日数を確認する(とびひ合併のサイン:黄色い痂皮・急な拡大・発熱)
  • 分布部位を確認する(膝から下=ノミ、首・腕=毛虫orトコジラミ、わき腹・下腹部・大腿内側=イエダニ、露出部=蚊)

手順

  1. 1

    毛虫(ドクガ類)の毒針毛が付着していたら、すぐにセロハンテープなどの粘着テープで皮膚に付着した毒針毛を取り除き、よく泡立てたセッケンとシャワーで洗い流す

    被害を最小限に留めるため

  2. 2

    マダニが咬着していたら無理に引き抜かない(それ以上の具体的な除去手技は一次資料で確認できていない)

    頭部が皮膚に残って炎症を起こすことがある

  3. 3

    接触皮膚炎は原因となるアレルゲン・接触刺激因子を見つけ出し除去する

    接触皮膚炎の治療で最も大切なこと

  4. 4

    赤み・痒みが強ければ副腎皮質ホルモン(ステロイド)の外用薬を使う。軽症なら市販のかゆみ止め外用薬でもよい

  5. 5

    症状が強い(内服が要る)場合は皮膚科専門医を受診するよう勧める

  6. 6

    原因虫が不明なら実物を保管するか虫の写真を撮って記録するよう勧める

やってはいけない

  • マダニを無理に引き抜く(頭部が皮膚に残って炎症を起こすことがある)
  • 毛虫皮膚炎を掻かせる(掻くことで皮疹が次第に増数する)
  • 皮膚所見と不釣り合いな強い痛み・急速な拡大・全身状態不良を単なる虫刺されとして経過観察する(蜂窩織炎・壊死性筋膜炎の可能性)
  • セアカゴケグモ・ヒアリによる全身症状(筋肉痛・吐き気・下痢・頭痛・血圧上昇、アナフィラキシー症状)を軽視する

終わったあと

  • 虫刺されの多くは1〜2週間以内に自然によくなることを伝える
  • 爪を短く切り、なるべく掻かせないよう伝える(とびひ予防)
  • 傷が急に広がる・黄色いかさぶたや汁が出る・熱が出た場合は再受診するよう伝える
  • 息苦しさ・声のかすれ・ぐったりなど全身症状が出たらすぐ救急要請するよう伝える
  • 庭木の手入れのあとに首や腕に強いかゆみのブツブツが出た場合は毛虫皮膚炎の可能性があると伝え、粘着テープで毒の毛を取り除き石けんでよく洗うよう伝える
  • 塗り薬を使っても1〜2週間で改善しない・むしろ広がっている場合は皮膚科紹介とする

この場で持てない・送る

  • 皮膚・粘膜症状+気道/呼吸・循環・重度消化器症状 → アナフィラキシー。動物咬傷/じんましんのプロトコルへ(即時)
  • ハチに刺され、刺されて30分〜1時間で呼吸困難・腹痛・意識消失・血圧低下 → アナフィラキシーショック(即時)
  • 皮膚所見と不釣り合いな強い痛み・急速に拡大する発赤・全身状態不良 → 蜂窩織炎・壊死性筋膜炎疑い(即時〜当日)
  • 咬まれた/刺された後に激しい痛み+筋肉痛・吐き気・下痢・頭痛・血圧上昇 → セアカゴケグモ疑い(当日)
  • 港湾・輸入コンテナ周辺で刺され、痛みやアナフィラキシー症状 → ヒアリ疑い(当日〜即時)
  • 口・目・鼻のまわりが急に赤くなり皮がめくれる、黄色い痂皮・膿 → とびひ(当日)
  • 塗り薬で1〜2週間改善しない・広がっている → 皮膚科紹介
  • 要確認:セアカゴケグモ咬傷・ヒアリ刺咬の当院での対応方針(治療プロトコル・搬送基準は一次資料未確認)
  • 要確認:毛虫皮膚炎で広範囲・眼瞼腫脹の場合の当院対応可否(皮膚科紹介の閾値)
  • 要確認:外用ステロイドのランク表と院内採用、皮膚科の紹介先(夜間・休日)
  • 要確認:とびひ・蜂窩織炎との判断が難しい症例の上級医コンサルト基準
  • 要確認:本シートの虫刺され各論(蚊・ノミ・ブユ・トコジラミ・イエダニ・ハチ・毛虫)は日本皮膚科学会の一般向けQ&Aを一次資料としており、診療ガイドラインではない
  • 要確認:接触皮膚炎診療ガイドライン2020の本文には「小児」「子ども」「乳児」「幼児」の語が一度も出てこず、小児特有の接触皮膚炎(おむつかぶれ・虫よけ・日焼け止め等)への言及はガイドライン本文にはない
  • 要確認:マダニ咬着時の除去手技(当院でどう抜去するか、無理に引き抜かない以外の具体的な手順)は一次資料で確認していない

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

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