細菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎

発熱・感染症β版・逐条レビュー継続中

2026-09-12更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/小児集中治療なし/当直帯に頭部CT・MRIは撮れない腰椎穿刺そのものは当院でできる。初期抗菌薬まで当院で行い、管理は送る前提。

30秒要約

  • 年齢が低いほど症状は軽微で、典型的な症状や徴候が出現しにくい。非特異的な症状の組み合わせから疑うしかない。
  • 髄膜刺激徴候が陰性でも否定できない。ガイドラインが明記している。新生児ではまれ、乳幼児でも必発ではない。
  • 発熱がなくても否定できない。年長児症例の44%は診断時に無熱だったという報告がある。
  • 検査のために抗菌薬を1時間以上遅らせない。CTがすぐ撮れないなら、まず抗菌薬。
  • 転院させる場合も、まず抗菌薬を開始してから送る(ガイドラインの明文)。
  • 当院の当直帯に頭部CTは無い(2026-09-14 確認)。ガイドラインが例外として書いている「迅速に神経放射線学的検査が施行できない場合」に当院は常に該当する。つまりCTで悩む場面が最初から存在しない。脳ヘルニアの徴候を所見で確認し、無ければ穿刺、あれば穿刺せず抗菌薬——これだけ。
  • 穿刺も測定も当院でできる(2026-09-14 確認)。つまりこのシートは当直帯に完走できる——脳ヘルニア徴候を所見で外し、血液培養を採り、腰椎穿刺をして、髄液を測り、抗菌薬を入れる。画像だけが無く、そしてガイドラインは画像を待つなと言っている
  • ただし培養は夜間に提出できない。結果は遅れるが、抗菌薬の前に採る順番は絶対に崩さない——後から採り直しても意味のある培養にならない(グラム染色は抗菌薬後に75〜90%→40〜60%、培養は70〜80%→50%以下に落ちる)。

レッドフラグ

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること
119意識障害・ショック蘇生を優先しつつ、血液培養→抗菌薬。下のワークフローへ
119脳ヘルニアの徴候(視神経乳頭浮腫/一側・両眼の瞳孔固定または散大/除脳・除皮質肢位/Cheyne-Stokes呼吸/固定した眼球偏位)腰椎穿刺は禁忌。行わずに速やかに抗菌薬治療を開始する
119発熱+紫斑髄膜炎菌血症・電撃性紫斑病。抗菌薬を遅らせない
緊急発熱+痙攣で、痙攣前の傾眠傾向/項部硬直/出血性発疹/大泉門膨隆/痙攣後1時間以上の意識レベル低下のいずれか除外されるまで髄膜炎として扱う
緊急新生児の体温変動・呼吸窮迫・傾眠・無呼吸・腹部膨満・黄疸・嘔吐下痢・痙攣・筋緊張低下重症感染症の非特異的徴候。髄膜炎を鑑別に入れる
緊急乳幼児の哺乳不良・食欲低下・活気低下・易刺激性同上
緊急発熱・活気不良が主で、髄膜炎を示唆する症状がないがほかに明らかな原因が見当たらないガイドラインは、この場合も鑑別疾患に加えるとしている

経験的抗菌薬(ガイドラインの投与例・院内採用は未確定

これはガイドラインが挙げている投与例であって、当院の採用レジメンではない
下の薬剤が院内にあるか、当直帯に出せるかは未確認(下の要確認)。使う前に院内採用を確かめること。
数値はすべて細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014(CQ 7-1-1)の記載。2026年の改訂版は本シートで確認していないので、改訂で変わっていないかの照合が要る。

選び方の原則(逐語): 「抗菌薬投与前に可能な限り腰椎穿刺を行い、髄液のグラム染色の結果や年齢などから起炎菌を推定し、経験的抗菌薬治療を開始する(empiric therapy)。また、同時に血液培養を行う。起炎菌の分離後は薬剤感受性に応じて狭域の抗菌薬への変更を行う(de-escalation)(グレード B)

年齢想定する起炎菌ガイドラインの投与例
新生児GBS・大腸菌をはじめとするグラム陰性桿菌・リステリア菌アンピシリン 150〜200 mg/kg/日・分3〜4セフォタキシム 100〜200 mg/kg/日・分2〜4セフトリアキソンは使わない(後述)
生後1〜4か月未満上に加えてインフルエンザ菌・肺炎球菌パニペネム・ベタミプロン 100〜160 mg/kg/日・分3〜4 または メロペネム 120 mg/kg/日・分3」+「セフトリアキソン 80〜120 mg/kg/日・分1〜2 または セフォタキシム 200〜300 mg/kg/日・分3〜4
生後4か月〜16歳未満インフルエンザ菌・肺炎球菌が大半同上(「パニペネム・ベタミプロンまたはメロペネム」+「セフトリアキソンまたはセフォタキシム」の併用
頭部外傷・脳外科処置後・シャント留置ブドウ球菌(MRSA含む)・グラム陰性桿菌などメロペネムまたはパニペネム・ベタミプロン」+バンコマイシン

効果が十分でない場合はバンコマイシンを追加: 60 mg/kg/日・分3〜4(生後1〜4か月未満では 40〜60 mg/kg/日・分3〜4)。血中濃度のモニタリングにおいて 15〜20 µg/mL(トラフ値)を維持。新生児期の用量はガイドライン CQ 7-1-4・表1 を参照(本シートに転記していない)。

新生児にセフトリアキソンを使わない理由(逐語): 「セフトリアキソンは、高ビリルビン血症の未熟児・新生児には投与しないこととされており、またカルシウムを含有する注射剤と同時に投与した場合に死亡に至った症例が報告されていることから、新生児に使用する第3世代セフェムにはセフォタキシムを選択する

デキサメタゾン(補助療法)

投与例(逐語): 「デキサメタゾン:0.15mg/kg・6 時間毎の静脈内投与。抗菌薬投与 10〜20 分前に開始し、4 日間投与
デキサメタゾン静注は抗菌薬の投与前または投与開始と同時に行うべきである
例外: 「ただし、外科的侵襲後の細菌性髄膜炎に関する副腎皮質ステロイド薬の併用は推奨しない

小児での位置づけは、米国小児科学会2003年勧告を引いて「インフルエンザ菌髄膜炎の乳幼児および小児に対して推奨される」「肺炎球菌髄膜炎の乳幼児および小児(6週齢以上)に対しては有効性と危険性を比較検討したうえで考慮される」とし、日本については「その可能性が考えられる年齢層(乳幼児期)においてはデキサメタゾン併用が推奨される」としている。

国内のもう1つのガイドラインは、違う組み合わせを挙げている。
J-SSCG2024(日本版敗血症診療ガイドライン2024)Table 9-1-1 は、中枢神経を感染巣とする小児敗血症の経験的抗微生物薬として、
新生児(〜2か月): 第3世代セファロスポリン+バンコマイシン+アンピシリン(CTX 300 + VCM 60 + ABPC 300 mg/kg/day・いずれも6時間毎)、
2か月〜: 第3世代セファロスポリン+バンコマイシン(CTX 300 + VCM 60 mg/kg/day・6時間毎)としている(小児敗血症に全表を転記)。
上の髄膜炎GL2014 の表(カルバペネム系+第3世代セフェム、バンコマイシンは効果不十分時に追加)とは初期選択が違う。
院内でどちらに寄せるかを決めないと、当直医が2つのシートを見て迷う(下の要確認)。

当直帯の当院での意味: 腰椎穿刺・髄液の測定・血液培養の採取・抗菌薬の投与は、すべて夜間にできる(2026-09-14 確認)。足りないのは、この表のどれを院内で出せるかという1点だけ

治療ワークフロー(時刻を決めて動く)

原則(ガイドラインCQ7-1-1): ①できるだけ早期に適切な抗菌薬を静脈内投与する ②迅速に神経放射線学的検査が施行できない場合および転院の場合には、まず抗菌薬の投与を開始する

経過やること分岐
0分バイタル・意識・脳ヘルニア徴候の確認。酸素・ルート確保脳ヘルニア徴候あり → 腰椎穿刺せず、すぐ抗菌薬へ
すぐ血液培養を採る髄液が採れない場合、血液培養の結果が起炎菌同定に重要になる
頭部CTの要否を判断意識障害・神経巣症状・痙攣発作・乳頭浮腫・免疫不全があればCTを推奨(成人データに基づく基準)。当直帯の当院にCTは無い判断不要。当院は常に「CTを待たず抗菌薬」側。CTが要る状態なら、それは搬送の理由であって当院で待つ理由ではない
1時間以内を目標腰椎穿刺。初圧・細胞数分画・糖/血糖・蛋白・グラム染色・培養・肺炎球菌抗原を1時間以内に完了を目標髄液検査に1時間以上かかるなら、待たず抗菌薬へ
抗菌薬経験的抗菌薬を静脈内投与(このシートの節「経験的抗菌薬(ガイドラインの投与例)」に年齢別の表。院内採用の確認が要るデキサメタゾンは抗菌薬の10〜20分前に開始。「デキサメタゾン静注は、抗菌薬の投与前または投与開始と同時に行うべき
48時間後治療開始後48時間以内に髄液が無菌化されないと神経学的後遺症のリスクが高くなる。新生児などでは48〜72時間に再度髄液検査菌が消失しなければ抗菌薬の変更

「検査を待たずに抗菌薬」の判断基準は2つとも「1時間」。CTで1時間以上遅れるか、髄液検査で1時間以上かかるか。ここだけ覚える。

成人データ: 病院到着から適切な抗菌薬投与までの時間は平均4時間で、6時間以上になると有意に死亡率が高くなる。主因は腰椎穿刺前の神経放射線検査の実施にある。→ CT・MRIが直ちにできない場合は、まず抗菌薬を開始する。この定量値は成人対象で、小児対象の同種データはガイドライン本文になし

髄液所見(ガイドライン表1)

項目正常(小児/乳児)細菌性ウイルス性結核性
初圧(mmCSF)50-180 / 100>180<180>180
細胞数(/mm³)≦5 / ≦81,000-5,000100-1,00025-500
多形核球比率(%)0 / 60≧800<50
蛋白(mg/dL)≦45 / 20-170100-50050-100>50
糖/血糖比0.6 / 0.81<0.4>0.6<0.5

除外に使えるスコア: グラム染色陽性・多形核球1,000/mm³以上・蛋白80 mg/dL以上・末梢血好中球10,000/mm³以上・痙攣発症の5項目すべて陰性なら、感度98.3%で細菌性髄膜炎を否定できる

髄液乳酸: カットオフ35 mg/dLで感度0.93・特異度0.99。ただしすでに抗菌薬治療を受けていた場合には有用でない可能性がある

「これがないから違う」と言えないもの

  • 髄膜刺激徴候 — 新生児ではまれ。乳幼児でも必発ではない。陰性であっても細菌性髄膜炎を否定できない(ガイドラインの明文)。インフルエンザ菌b型・肺炎球菌髄膜炎でも60〜80%でしか陽性にならない。
  • 発熱 — 85〜99%に認めるが、年長児症例の44%は診断時に無熱だったという報告がある。
  • 大泉門膨隆 — 感度・特異度ともに高いとはいえない。髄膜炎患児の20%にみられるにすぎず、病状が進行するまでみられないことも多い。
  • グラム染色 — 抗菌薬使用前で75〜90%の検出感度だが、髄液検査前に抗菌薬が使用された場合は40〜60%に低下する。

見逃しパターン

  • 抗菌薬がすでに投与された細菌性髄膜炎は、単核球優位の細胞増多を示す。ウイルス性髄膜炎に見える。前医で抗菌薬が出ていないかを必ず聞く。
  • 抗菌薬前投与例やグラム染色陰性例では、肺炎球菌抗原定性検査を行うことが勧められる。
  • 熱性けいれんとの鑑別で細菌性髄膜炎に多い項目: 6か月未満、局所の痙攣あるいは繰り返す痙攣、熱性痙攣の家族歴がない、昏睡状態の遷延、頭蓋外の感染巣の存在。複雑型熱性痙攣の臨床像を呈した者の1.5%は細菌性髄膜炎だった。
  • 臨床症状が改善しても、途中での減量や推奨投与期間前の中止は慎む

送る/持つ(当院=二次救急・小児集中治療なし)

状態当院の扱い
血液培養・腰椎穿刺・初期抗菌薬・デキサメタゾン当院で行う。転院でもまず抗菌薬を開始してから送る
脳ヘルニア徴候がある腰椎穿刺せず抗菌薬。画像と集中治療のできる施設へ
意識障害・ショック・人工呼吸管理持てない
48〜72時間後の再検・経過管理入院管理ができる施設で

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:ガイドラインが挙げる薬剤のうち、院内にあるのはどれか——アンピシリン/セフォタキシム/セフトリアキソン/パニペネム・ベタミプロン/メロペネム/バンコマイシン/デキサメタゾン注。当直帯に出せるかも合わせて

ガイドラインの投与例そのものは節「経験的抗菌薬(ガイドラインの投与例)」の表に書き出したので、残るのは「当院で何が使えるか」だけ。画像が無いぶん、当院では抗菌薬の早さだけが武器になるので、この空欄の重みが他施設より大きい

  • 要確認:バンコマイシンを使う場合のトラフ測定(15〜20 µg/mL の維持)が当院でできるか
  • 要確認:細菌性髄膜炎GL2014 と J-SSCG2024 で初期選択が違う(前者はカルバペネム系+第3世代セフェム、後者は第3世代セファロスポリン+バンコマイシン±アンピシリン)。院内でどちらを採るかを1つに決める必要がある
  • 確定(2026-09-14)夜間に髄液の細胞数・糖・蛋白・グラム染色は測定できる穿刺も測定も当院でできるので、このシートのワークフローは当直帯に完走できる(肺炎球菌抗原の可否は未確認)
  • 確定(2026-09-14)培養は夜間に検査室へ提出できない抗菌薬の前に採る原則は変わらない——髄液・血液とも採って保管し、翌朝提出する
  • 確定(2026-09-14):夜間に頭部CTは撮れない。「CTを待たず抗菌薬」が当院の既定
  • 要確認:小児の入院管理・集中治療ができる施設の受け入れ先

家族に渡す一文

「髄膜炎は、脳や脊髄を包む膜に細菌が入る病気です。早く抗菌薬を始めることが何より大事なので、検査の結果を待たずに治療を始めることがあります。背中から髄液を採る検査(腰椎穿刺)で診断しますが、状態によっては安全のため先に薬を始めます。小さなお子さんでは、首が硬いといった典型的な症状が出ないことがよくあります。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 一部解消(2026-09-14)ガイドライン2014の年齢別投与例を本シートに書き出した(薬剤名・用量とも逐語)。非専門医がワークフローを読み切れる状態にはなった

残るのは院内採用の確認(どの薬が院内にあり、当直帯に出せるか)と、2026年改訂版との照合。改訂で推奨が変わっていれば書き換えが要る。

  • 決着(2026-09-14):当直帯にCTが無いため、小児のCT適応基準をどう運用するかという問いは当直帯には発生しない。日勤帯で撮れる場合の運用だけが論点として残る。
  • 要確認:「1時間」の2つの判断基準を院内の掲示に落とすか。
  • 要確認:本シートは細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014に基づく。改訂版(2026年「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026」)が市販されており、本文は未確認。数値・推奨の変更有無の照合が要る。

出典

  • 日本神経学会・日本神経治療学会・日本神経感染症学会(編).細菌性髄膜炎診療ガイドライン2014.南江堂、2014年12月31日発行.索引 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/zuimaku_2014.html / Minds https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00273/ (2026-09-12閲覧・各章PDFを直接確認)。
  • 症状(CQ3-1・3-2, https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/zuimaku_guide_2014_04.pdf ): 「小児の細菌性髄膜炎の症状は、年齢が低いほど軽微で、かつ典型的な症状や徴候が出現しにくい」「髄膜刺激徴候が新生児でみられることはまれである。乳幼児においても、髄膜刺激徴候は必発の所見ではないので、陰性であっても細菌性髄膜炎を否定できない」、発熱を85〜99%に認めるが年長児の44%は診断時無熱、大泉門膨隆は髄膜炎患児の20%、発熱+痙攣で髄膜炎として扱うべき所見。
  • 検査(CQ4-1〜4-3, .../zuimaku_guide_2014_05.pdf ): 腰椎穿刺を速やかに行うが「検査を行うことで治療開始が1時間以上遅れる場合にはこの限りではない」、髄液検査必須項目の1時間以内完了目標、頭部CTの推奨基準(成人データに基づく)、腰椎穿刺の禁忌となる脳ヘルニア徴候、髄液所見の比較表、血液培養の推奨。
  • 鑑別(CQ6-2, .../zuimaku_guide_2014_07.pdf ): Nigrovic 2007の5項目スコア(感度98.3%)、髄液乳酸のカットオフ35 mg/dLと抗菌薬前投与での限界、抗菌薬前投与例が単核球優位を示すこと、熱性痙攣との鑑別項目、グラム染色感度の低下。
  • 治療(CQ7-1-1・7-1-3・7-2-2, .../zuimaku_guide_2014_08.pdf ): 「できるだけ早期に適切な抗菌薬を静脈内投与」「迅速に神経放射線学的検査が施行できない場合および転院の場合には、まず抗菌薬の投与を開始する」、成人での病院到着から抗菌薬投与まで平均4時間・6時間以上で有意に死亡率上昇、48時間以内の髄液無菌化と後遺症、デキサメタゾンは抗菌薬の投与前または同時。
  • 転帰・疫学(CQ2-2・CQ1-1/1-2): 2000年代の致死率5%以下・後遺症15%前後、国内調査の致死率0.3〜4.1%、Hib/PCV導入後にHib髄膜炎約90%・肺炎球菌髄膜炎約70%減少。
  • 改訂版: 「細菌性髄膜炎・単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2026」が市販されている(有料書籍のため本文未確認)。本シートの数値は2014年版に基づく。

手技

手技

細菌性髄膜炎は検査を待たず抗菌薬を先に入れる

髄膜刺激徴候・発熱の陰性だけでは否定できない。CTか髄液検査のどちらかで治療開始が1時間以上遅れるなら、待たずに抗菌薬を開始する。転院する場合も同様。

始める前に

  • バイタル・意識・脳ヘルニア徴候を確認し、酸素投与・ルート確保を行う
  • 脳ヘルニアの徴候(視神経乳頭浮腫/一側・両眼の瞳孔固定または散大/除脳・除皮質肢位/Cheyne-Stokes呼吸/固定した眼球偏位)の有無を確認する
  • 発熱+痙攣では、痙攣前の傾眠傾向/項部硬直/出血性発疹/大泉門膨隆/痙攣後1時間以上の意識レベル低下のいずれかがないか確認する
  • 前医で抗菌薬が投与されていないか必ず確認する

手順

  1. 1

    意識障害・ショックがあれば蘇生を優先しつつ、血液培養→抗菌薬の順で進める

  2. 2

    血液培養を採る

    髄液が採れない場合、血液培養の結果が起炎菌同定に重要になる

  3. 3

    意識障害・神経巣症状・痙攣発作・乳頭浮腫・免疫不全があれば頭部CTを推奨する

    CTのために治療開始が1時間以上遅れるなら、CTを待たず抗菌薬へ

  4. 4

    腰椎穿刺を1時間以内を目標に行う。初圧・細胞数分画・糖/血糖・蛋白・グラム染色・培養・肺炎球菌抗原を1時間以内に完了を目標にする

    髄液検査に1時間以上かかるなら、待たず抗菌薬へ

  5. 5

    抗菌薬前投与例やグラム染色陰性例では、肺炎球菌抗原定性検査を行う

  6. 6

    経験的抗菌薬を静脈内投与する

    デキサメタゾン静注は、抗菌薬の投与前または投与開始と同時に行うべき

  7. 7

    治療開始後48時間以内の髄液無菌化を目標とし、新生児などでは48〜72時間に再度髄液検査を行う

    治療開始後48時間以内に髄液が無菌化されないと神経学的後遺症のリスクが高くなる

やってはいけない

  • 脳ヘルニア徴候があれば腰椎穿刺は行わず、速やかに抗菌薬治療を開始する(腰椎穿刺は禁忌)
  • 検査のために抗菌薬を1時間以上遅らせない
  • 髄膜刺激徴候が陰性でも細菌性髄膜炎を否定できない
  • 発熱がなくても否定できない(年長児症例の44%は診断時に無熱だったという報告がある)
  • 大泉門膨隆が陰性でも否定できない(感度・特異度ともに高いとはいえず、髄膜炎患児の20%にみられるにすぎない)
  • 発熱+紫斑(髄膜炎菌血症・電撃性紫斑病の可能性)でも抗菌薬を遅らせない
  • 抗菌薬をすでに投与された細菌性髄膜炎は単核球優位の細胞増多を示し、ウイルス性髄膜炎に見えることがある。前医の抗菌薬投与歴を確認せずに髄液所見だけで判断しない
  • 臨床症状が改善しても、途中での減量や推奨投与期間前の中止は慎む

この場で持てない・送る

  • 血液培養・腰椎穿刺・初期抗菌薬・デキサメタゾンは当院で行う。転院でもまず抗菌薬を開始してから送る
  • 脳ヘルニア徴候があれば腰椎穿刺せず抗菌薬を投与し、画像と集中治療のできる施設へ送る
  • 意識障害・ショック・人工呼吸管理は当院では持てない
  • 48〜72時間後の再検・経過管理は入院管理ができる施設で行う
  • 要確認:経験的抗菌薬とデキサメタゾンの院内レジメン(年齢別)。ここが空だとワークフローが止まる
  • 要確認:夜間に髄液検査(細胞数・糖・蛋白・グラム染色・肺炎球菌抗原)を1時間以内に出せるか
  • 要確認:夜間に頭部CTが撮れるか。撮れないなら「CTを待たず抗菌薬」が既定になる
  • 要確認:小児の入院管理・集中治療ができる施設の受け入れ先
  • 要確認:頭部CTの適応基準は成人データに基づく基準がガイドラインに載っており、小児固有のCT基準(年齢閾値等)は別掲されていない。当院で小児にどう運用するか
  • 要確認:「1時間」の2つの判断基準(CT・髄液検査)を院内の掲示に落とすか

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

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