細菌性髄膜炎は検査を待たず抗菌薬を先に入れる
髄膜刺激徴候・発熱の陰性だけでは否定できない。CTか髄液検査のどちらかで治療開始が1時間以上遅れるなら、待たずに抗菌薬を開始する。転院する場合も同様。
始める前に
- バイタル・意識・脳ヘルニア徴候を確認し、酸素投与・ルート確保を行う
- 脳ヘルニアの徴候(視神経乳頭浮腫/一側・両眼の瞳孔固定または散大/除脳・除皮質肢位/Cheyne-Stokes呼吸/固定した眼球偏位)の有無を確認する
- 発熱+痙攣では、痙攣前の傾眠傾向/項部硬直/出血性発疹/大泉門膨隆/痙攣後1時間以上の意識レベル低下のいずれかがないか確認する
- 前医で抗菌薬が投与されていないか必ず確認する
手順
- 1
意識障害・ショックがあれば蘇生を優先しつつ、血液培養→抗菌薬の順で進める
- 2
血液培養を採る
髄液が採れない場合、血液培養の結果が起炎菌同定に重要になる
- 3
意識障害・神経巣症状・痙攣発作・乳頭浮腫・免疫不全があれば頭部CTを推奨する
CTのために治療開始が1時間以上遅れるなら、CTを待たず抗菌薬へ
- 4
腰椎穿刺を1時間以内を目標に行う。初圧・細胞数分画・糖/血糖・蛋白・グラム染色・培養・肺炎球菌抗原を1時間以内に完了を目標にする
髄液検査に1時間以上かかるなら、待たず抗菌薬へ
- 5
抗菌薬前投与例やグラム染色陰性例では、肺炎球菌抗原定性検査を行う
- 6
経験的抗菌薬を静脈内投与する
デキサメタゾン静注は、抗菌薬の投与前または投与開始と同時に行うべき
- 7
治療開始後48時間以内の髄液無菌化を目標とし、新生児などでは48〜72時間に再度髄液検査を行う
治療開始後48時間以内に髄液が無菌化されないと神経学的後遺症のリスクが高くなる
やってはいけない
- 脳ヘルニア徴候があれば腰椎穿刺は行わず、速やかに抗菌薬治療を開始する(腰椎穿刺は禁忌)
- 検査のために抗菌薬を1時間以上遅らせない
- 髄膜刺激徴候が陰性でも細菌性髄膜炎を否定できない
- 発熱がなくても否定できない(年長児症例の44%は診断時に無熱だったという報告がある)
- 大泉門膨隆が陰性でも否定できない(感度・特異度ともに高いとはいえず、髄膜炎患児の20%にみられるにすぎない)
- 発熱+紫斑(髄膜炎菌血症・電撃性紫斑病の可能性)でも抗菌薬を遅らせない
- 抗菌薬をすでに投与された細菌性髄膜炎は単核球優位の細胞増多を示し、ウイルス性髄膜炎に見えることがある。前医の抗菌薬投与歴を確認せずに髄液所見だけで判断しない
- 臨床症状が改善しても、途中での減量や推奨投与期間前の中止は慎む
この場で持てない・送る
- 血液培養・腰椎穿刺・初期抗菌薬・デキサメタゾンは当院で行う。転院でもまず抗菌薬を開始してから送る
- 脳ヘルニア徴候があれば腰椎穿刺せず抗菌薬を投与し、画像と集中治療のできる施設へ送る
- 意識障害・ショック・人工呼吸管理は当院では持てない
- 48〜72時間後の再検・経過管理は入院管理ができる施設で行う
- 要確認:経験的抗菌薬とデキサメタゾンの院内レジメン(年齢別)。ここが空だとワークフローが止まる
- 要確認:夜間に髄液検査(細胞数・糖・蛋白・グラム染色・肺炎球菌抗原)を1時間以内に出せるか
- 要確認:夜間に頭部CTが撮れるか。撮れないなら「CTを待たず抗菌薬」が既定になる
- 要確認:小児の入院管理・集中治療ができる施設の受け入れ先
- 要確認:頭部CTの適応基準は成人データに基づく基準がガイドラインに載っており、小児固有のCT基準(年齢閾値等)は別掲されていない。当院で小児にどう運用するか
- 要確認:「1時間」の2つの判断基準(CT・髄液検査)を院内の掲示に落とすか
手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。