眼外傷・化学眼外傷(洗眼が最優先)

眼外傷・化学眼外傷(洗眼が最優先)

耳鼻・眼β版・逐条レビュー継続中

2026-09-13更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。このβ版について

施設プロファイル: 二次救急/当直帯に院内の眼科はいない(2026-09-14 確認)。視力・眼球運動・対光反射・フルオレセインまでが当院の仕事で、眼科医の目が要ると判断した時点で送る。

30秒要約

  • 化学物質が目に入ったら、問診より洗眼が先医療機関を受診する前に、その場でなるべくはやく、眼を開けたまま水道水などの流水で10分以上洗眼することが必要
  • 理由は単純一般に、化学物質が眼に接触している時間が長ければ長いほど眼の障害は重症となります
  • アルカリは深く入る特に、化学物質がアルカリ性だった場合、眼球表面の障害にとどまらず、化学物質が角膜を透過して眼の内部にまで障害を及ぼすこともあります
  • 痛がって開けないのが最大の障壁傷ついた眼を開けたまま洗うのは痛いので非常に難しいのですが、できるだけ化学物質を洗い流すことが重要です。点眼麻酔と開瞼器を先に用意する。
  • 洗眼が済んだら、ただちに眼科を受診してください。

化学眼外傷:時間の勝負

時間やること
0分(電話の時点で)その場で洗い始めてもらう。受診を待たせない。流水で10分以上
0分(来院直後)問診より先に洗眼。何が入ったかは洗いながら聞く
0〜1分点眼麻酔(院内採用を確認)。開瞼器または介助者の指で開ける
1〜20分大量の洗浄液で持続洗浄上下の結膜嚢(フォルニクス)を翻転して洗う固形物・粉末は用手的に除去
洗眼後結膜嚢のpHを確認する(試験紙)。中性に戻るまで繰り返す(下の医師確認事項)
その後ただちに眼科へ。時間・物質名・洗眼時間を伝える

物質の容器・ラベル・写真を持ってきてもらう。何が入ったかで予後が変わります。

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119相当アルカリ性物質(洗剤・漂白剤・セメント・石灰・パーマ液)が入った洗眼を最優先眼の内部にまで障害を及ぼすことがある。洗いながら眼科へ連絡即時
119相当角膜が白く濁っている/結膜が白い(虚血)重症。洗眼を続けながら搬送即時
119眼球破裂・穿孔を疑う(瞳孔変形・前房消失・眼内容の脱出・強い視力低下)押さえない・洗わない・眼帯で圧迫しない硬いカップで覆って搬送即時
119眼窩壁骨折を疑う(複視・眼球運動制限・眼球陥凹・鼻をかんで腫れた)画像。眼科・耳鼻科・形成外科当日
緊急視力低下・視野欠損眼科へ即時
緊急前房出血(血液が水平面をつくる)安静・頭部挙上。眼科へ即時
緊急角膜の表面が完全に剥がれた強い痛み。眼科へ即時
緊急異物が刺さっている抜かない。固定して搬送即時
緊急熱傷・紫外線角膜炎(溶接・殺菌灯)眼科へ当日
当日表層の異物・軽い擦過洗浄・除去できるかは当院の体制による当日
当日打撲で外見上の異常なし、視力良好後から緑内障・白内障・網膜剥離が出ることがある。眼科でフォロー数日

化学眼外傷とは何が起きているか(家族と申し送りに使う)

  • 化学眼外傷とは、なんらかの化学物質、たとえば洗剤・有機溶剤・パーマ液などが誤って眼に入ってしまった結果として発生します。化学物質によって、受傷後の経過は異なりますが、時に失明に至るようなケースもあります。
  • 化学眼外傷の受傷直後は、結膜や角膜といった眼球表面の組織に炎症が起こります。なかには角膜の表面が完全に剥がれたり、角膜全体がスリガラスのように濁ってしまうこともあります。
  • 軽症の場合は治療により後遺症を残さずに回復することがほとんどです。しかし、重症の場合、眼球とまぶたが癒着したり、角膜が白く濁ってしまうなどの後遺症を残すことがあります。また、後になって緑内障や白内障などを引き起こすこともあります。
  • その後の治療は、化学物質の種類・化学物質が眼に接触していた時間・目の障害の程度などによって異なります。軽度であれば通院による治療で後遺症もなく回復することが可能です。重症であれば入院のうえ手術を要することもあります。

眼球破裂・穿孔を疑ったらやってはいけないこと

やってはいけない理由
眼を押さえる・圧迫眼帯をする眼内容が押し出される
洗眼する同上
刺さった異物を抜く抜いた瞬間に眼内容が出る
点眼薬を入れる眼内に入る
無理に開けて診察する泣いていきむだけでも圧が上がる

やること硬いもの(紙コップの底など)で眼を覆って、触れないようにする。安静・鎮痛・制吐。絶飲食(手術に備える)。ただちに眼科のある施設へ

所見の取り方(子どもで実際にできる範囲)

所見取り方所見があったら次にどうする
視力年齢に応じて。見えているか、片目ずつ覆って反応を見る低下があれば眼科へ
瞳孔形(変形は穿孔を示唆)・対光反射・左右差変形は緊急
結膜・角膜透明か、白く濁っていないか。フルオレセイン染色(院内にあれば)混濁は重症
前房血液の水平面(前房出血)・浅さ眼科へ
結膜嚢(フォルニクス)上眼瞼を翻転して見る異物と粉末はここに残る洗浄・除去
眼球運動上下左右。制限があれば眼窩壁骨折画像
眼瞼の創涙小管(内眼角側)にかかっていないかかかれば形成・眼科へ

鑑別・場面別

場面押さえること
洗剤・漂白剤・石灰・セメントアルカリ。最も重症化しやすい。粉末は乾いたまま払ってから洗う
酸(トイレ洗剤・バッテリー液)アルカリより表層でとどまりやすいが、洗眼は同じ
瞬間接着剤睫毛が接着する。無理に剥がさない。眼科へ
熱傷・花火熱+異物+化学の複合
紫外線(溶接・殺菌灯)数時間後に強い痛みで来る
打撲(ボール・こぶし)前房出血・網膜振盪・眼窩壁骨折。外見が軽くても眼科へ
とがったもの(箸・鉛筆・枝)穿孔を疑う。触らない
乳幼児の説明のつかない眼外傷虐待を疑う歩かない・手足を動かさない
白色瞳孔に気づいた外傷とは別。網膜芽細胞腫白血病を疑うとき

問診チェック

  • 何が、いつ、どのくらいの量、どちらの目に
  • 容器・ラベル・製品名(持ってきてもらう)
  • その場で洗ったか、何分洗ったか
  • 受傷時の状況(速度・距離・とがったものか)
  • コンタクトレンズの有無
  • 眼の既往(弱視・斜視・手術)
  • 破傷風の接種歴(開放創を伴う場合。創処置と縫合の適応
  • 最終飲食時刻(手術に備える)

送る/持つ(当院=二次救急・当直帯に眼科なし)

状態当院の扱い
化学眼外傷洗眼は当院で最優先に行う。そのうえでただちに眼科へ
眼球破裂・穿孔持てない。覆って搬送
前房出血・視力低下持てない
眼窩壁骨折持てない
角膜混濁・結膜虚血持てない
表層の結膜異物当院で除去できるかは要確認
打撲で視力良好・所見なし翌日に眼科その場で「大丈夫」と言い切らない

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 確定(2026-09-14 確認)当直帯に院内の眼科はいない。夜間の搬送先は要確認(施設名・番号は保留中)
  • 要確認:点眼麻酔薬・フルオレセイン試験紙・開瞼器の院内在庫
  • 要確認:洗眼用の器具(洗眼用レンズ・輸液ラインでの持続洗浄)と、洗浄液(生理食塩水か、リンゲル液か
  • 要確認:結膜嚢pH試験紙があるか。無ければ洗眼の終点をどう決めるか
  • 要確認:小児で洗眼に鎮静が要る場合の体制処置時の鎮静・鎮痛
  • 要確認:中毒110番への問い合わせ手順(物質の性質を聞く。急性中毒

家族に渡す一文

目に薬品が入ったときは、病院に来る前に、その場で洗ってください。目を開けたまま、水道水を流しながら10分以上です。薬品が目についている時間が長いほど、目の傷は重くなります。痛くて目を開けられないので難しいのですが、それでも洗い流すことがいちばん大事です。特にアルカリ性のもの(漂白剤・洗剤・石灰・セメント・パーマ液)は、目の表面だけでなく、目の中まで傷めることがあります。洗ったあとは、すぐに眼科です。今日は当院でも洗います。入ったものの容器やラベルを持ってきてください。
目を強くぶつけた場合は、見た目が軽くても、あとから緑内障や白内障、網膜の病気が出ることがありますので、眼科で見てもらってください。」

医師確認事項(要・岡本判断)

  • 要確認:本シートの化学眼外傷の記載は日本眼科学会の一般向け解説(監修:日本眼形成再建外科学会の表記は他ページのもの)を一次資料としている。診療ガイドラインではない
  • 要確認:「洗眼は10〜20分以上かけて生理食塩水1〜2 L以上」「結膜嚢pHが中性に戻るまで繰り返す」は、検索で救急向けの解説記事に現れた記載であり、本シートでは一次資料を確認していない。本文では時間・量の具体値を避け、「大量の洗浄液で持続洗浄」「pHを確認する(要確認)」と書いている。当院の手順を決めるなら根拠が要る
  • 要確認:眼球破裂・穿孔の禁止事項(押さえない・洗わない・抜かない)も本シートで一次資料を確認していない。広く行われている原則だが、載せ続けるなら裏取りが要る。
  • 要確認:当院で洗眼をどこまで行うか。点眼麻酔・開瞼器・洗浄液がなければ、このシートの中核が実行できない。
  • 要確認:鈍的眼外傷・穿孔性眼外傷について日本眼科学会に解説ページがない。本シートの該当部分は一次資料の裏づけが弱い。眼科と相談して院内の手順に置き換えたい。
  • 要確認:粉末(石灰・セメント)を「乾いたまま払ってから洗う」も一次資料未確認。

出典

  • 日本眼科学会.目の病気「化学眼外傷」https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=23 (2026-09-13閲覧)。「化学眼外傷とは、なんらかの化学物質、たとえば洗剤・有機溶剤・パーマ液などが誤って眼に入ってしまった結果として発生します。化学物質によって、受傷後の経過は異なりますが、時に失明に至るようなケースもあります」「化学眼外傷の受傷直後は、結膜や角膜といった眼球表面の組織に炎症が起こります。なかには角膜の表面が完全に剥がれたり、角膜全体がスリガラスのように濁ってしまうこともあります。特に、化学物質がアルカリ性だった場合、眼球表面の障害にとどまらず、化学物質が角膜を透過して眼の内部にまで障害を及ぼすこともあります」「軽症の場合は治療により後遺症を残さずに回復ことがほとんどです。しかし、重症の場合、眼球とまぶたが癒着したり、角膜が白く濁ってしまうなどの後遺症を残すことがあります。また、後になって緑内障や白内障などを引き起こすこともあります」(原文ママ。「回復ことが」は原文の表記)「化学物質が眼に入ってしまった場合、医療機関を受診する前に、その場でなるべくはやく、眼を開けたまま水道水などの流水で10分以上洗眼する(目を洗う)ことが必要です。一般に、化学物質が眼に接触している時間が長ければ長いほど眼の障害は重症となります。傷ついた眼を開けたまま洗うのは痛いので非常に難しいのですが、できるだけ化学物質を洗い流すことが重要です。洗眼が済んだら、ただちに眼科を受診してください」「その後の治療は、化学物質の種類・化学物質が眼に接触していた時間・目の障害の程度などによって異なります。軽度であれば通院による治療で後遺症もなく回復ことが可能です。重症であれば入院のうえ手術を要することもあります」。

手技

手技

化学眼外傷—その場で洗眼する

化学物質が目に入ったら、問診より先に洗眼する。眼を開けたまま流水で10分以上洗い、接触時間が長いほど障害は重症化する。アルカリ性物質は角膜を透過して眼の内部まで傷める。ただし眼球破裂・穿孔を疑うときは逆に、押さえない・洗わない・異物を抜かない——硬いもので覆って搬送する。

始める前に

  • 点眼麻酔と開瞼器を先に用意する(傷ついた眼を開けたまま洗うのは痛いため、これが洗眼の最大の障壁になる)。
  • 物質の容器・ラベル・写真を持ってきてもらう。何が入ったかで予後が変わる。
  • 粉末(石灰・セメント)は乾いたまま払ってから洗う(要確認:一次資料未確認の記載)。
  • 要確認:点眼麻酔薬・フルオレセイン試験紙・開瞼器の院内在庫、洗眼用の器具(洗眼用レンズ・輸液ラインでの持続洗浄)と洗浄液(生理食塩水かリンゲル液か)、結膜嚢pH試験紙の有無。

手順

  1. 1

    電話の時点でその場で洗い始めてもらい、受診を待たせない。流水で10分以上洗う

  2. 2

    来院直後は問診より先に洗眼する。何が入ったかは洗いながら聞く

  3. 3

    点眼麻酔を行う(院内採用を確認)。開瞼器または介助者の指で開ける

  4. 4

    大量の洗浄液で持続洗浄する。上下の結膜嚢(フォルニクス)を翻転して洗い、固形物・粉末は用手的に除去する

  5. 5

    結膜嚢のpHを試験紙で確認し、中性に戻るまで洗浄を繰り返す

    要確認:洗眼の具体的な時間・洗浄液量・pH終点の基準は本シートで一次資料を確認していない

  6. 6

    洗眼後はただちに眼科へ。時間・物質名・洗眼時間を伝える

  7. 7

    眼球破裂・穿孔を疑う所見があれば、硬いもの(紙コップの底など)で眼を覆って触れないようにする。安静・鎮痛・制吐、絶飲食(手術に備える)とし、ただちに眼科のある施設へ

    要確認:この禁忌事項自体、本シートで一次資料を確認していない(広く行われている原則だが裏取りが要る)

やってはいけない

  • 眼を押さえる・圧迫眼帯をしない(眼内容が押し出される)
  • 洗眼しない(同上)
  • 刺さった異物を抜かない(抜いた瞬間に眼内容が出る)
  • 点眼薬を入れない(眼内に入る)
  • 無理に開けて診察しない(泣いていきむだけでも圧が上がる)
  • 接着剤で睫毛が付いた場合、無理に剥がさない
  • 要確認:これら破裂・穿孔時の禁忌事項は本シートで一次資料を確認していない

終わったあと

  • 打撲で外見上の異常なし・視力良好でも、後から緑内障・白内障・網膜剥離が出ることがあるため、眼科でフォローする
  • その場で「大丈夫」と言い切らない。翌日に眼科を受診させる

この場で持てない・送る

  • 119相当:アルカリ性物質(洗剤・漂白剤・セメント・石灰・パーマ液)が入った場合。洗眼を最優先し、洗いながら眼科へ連絡
  • 119相当:角膜が白く濁っている/結膜が白い(虚血)。洗眼を続けながら搬送
  • 119:眼球破裂・穿孔を疑う(瞳孔変形・前房消失・眼内容の脱出・強い視力低下)。押さえない・洗わない・眼帯で圧迫しない。硬いカップで覆って搬送
  • 119:眼窩壁骨折を疑う(複視・眼球運動制限・眼球陥凹・鼻をかんで腫れた)。画像評価し眼科・耳鼻科・形成外科へ
  • urgent:視力低下・視野欠損、前房出血(血液が水平面をつくる:安静・頭部挙上)、角膜表面が完全に剥がれた、異物が刺さっている(抜かず固定して搬送)、熱傷・紫外線角膜炎
  • today:表層の結膜異物・軽い擦過。洗浄・除去できるかは当院の体制による(要確認)
  • 乳幼児の説明のつかない眼外傷は虐待を疑う(施設内の虐待対応の枠組みへ)
  • 持てない:眼球破裂・穿孔/前房出血・視力低下/眼窩壁骨折/角膜混濁・結膜虚血
  • 要確認:眼科の当直・オンコールがあるか。無ければ夜間の搬送先
  • 要確認:小児で洗眼に鎮静が要る場合の体制
  • 要確認:中毒110番への問い合わせ手順(物質の性質を聞く)

手順・適応・禁忌はすべて本シートの正本の記載のみ。院内の器材・採用薬・搬送先は施設ごとに違うため、適用前に院内ルールを確認すること。

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