押さえる数字と事実
- 胆道閉鎖症は、新生児および乳児の肝外胆管が、原因不明の硬化性炎症によって閉塞するために、肝から腸へ胆汁を排出できない疾患。
- 出生9,000人に1人が罹患する稀な疾患だが、同年齢の肝・胆道系疾患の中では死亡率が最も高い。日本小児外科学会の解説では約1万人に1人、日本では男児に比べて女児に多く発生。
- 主な3つの症状は、生後14日以降も続く黄疸、淡黄色便、濃黄色尿。
- 生後1か月頃の患児の黄疸は皮膚やしろめの部分がくすんだ黄色なので見逃されやすく注意が必要。
- 胆道閉鎖症の患児の70〜80%は生後4週までに便の黄色調がうすくなって淡黄色になり、残りの20〜30%も多くは生後2か月までに淡黄色便を発症する。
- 早期診断・手術が重要だが、術後も肝移植や長期管理が必要な場合がある。
便色カードの使い方(母子健康手帳)
| 記載番号 | 判定 | 次の一手 |
|---|
| 1〜3番 | 異常 | 1日も早く受診させる。便を持参してもらう。医師自身が便と便色カードを見比べる |
| 4〜7番 | 色だけでは除外不可 | 特に4番や以前より淡くなる便に注意。黄疸・濃色尿があれば直接型を含め評価へ |
日中の明るい部屋で、オムツについた便に便色カードを近づけて色を見比べる。
濃い黄色尿があればより確実(胆道閉鎖症の疑いが強まる)。
生後4か月くらいまでは、便の色に注意が必要。
便色カードは母子保健法施行規則の一部を改正する省令(平成23年12月28日厚生労働省令第158号)により、母子健康手帳に掲載することが義務付けられている。
正常な新生児・乳児の便色(知らないと判定できない)
| 時期 | 便 |
|---|
| 生後48時間以内 | 胎便。羊水・腸管分泌物・胆汁色素・脂肪・コレステロールが主成分で、粘稠、無臭で、緑がかった黒色 |
| 生後2〜4日目頃 | 移行便。黒緑色の胎便と黄色便の入り混ざった便。次第に黄色みが強くなる |
| その後 | 黄色から茶色の顆粒便(正常便)。一時は一日に何度も便が出ることもある |
便色は栄養法によって異なり、母乳栄養のみの児の便色は、人工栄養児に比べて黄色みがやや強い。母乳栄養でも人工栄養でも緑色の便が出ることがあるが、これは胆汁色素である黄色のビリルビンが、腸内で酸化されて緑色のビリベルジンになるためで、児の機嫌がよく、食欲があれば心配いらない。
淡黄色便の意味は「胆道閉鎖症」だけではない
淡黄色便は胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症のような胆管の閉塞のある児で認められる。これらを放置すると肝硬変を来すので早期手術を必要とする。淡黄色便は新生児肝炎(症候群)、アラジール症候群、シトリン欠損症、敗血症・尿路感染症、先天性代謝異常、染色体異常、進行性家族性肝内胆汁うっ滞など、肝内胆汁うっ滞により胆汁排泄機能が低下する児でも認められる。これらのすべての疾患において、ビタミンKが腸から吸収されにくい病態を持つため、ビタミンK欠乏による頭蓋内出血の危険がある。よって注意すべきことは、淡黄色便を認める児は、ただちに入院・精査・治療の必要があるということである。
→ 「胆道閉鎖症ではなさそうだから帰す」は成立しない。淡黄色便それ自体が入院適応。