黄疸・肝機能異常(新生児と年長児)

緊急

黄疸・肝機能異常(新生児と年長児)

消化器β版・逐条レビュー継続中

2026-10-03更新
β版用量は適用前に一次資料と院内採用を確認。

施設プロファイル: 二次救急/小児外科・肝移植なし/当直帯に腹部エコー・CT・MRIは使えない(2026-09-14 確認)。

30秒要約

  • 年齢で別の病気になる。新生児・乳児の黄疸は「胆道閉鎖症を外す」が最優先。年長児の黄疸は溶血・肝炎・胆道に分かれる。
  • 生後14日を超えて続く黄疸や再出現は、便色・尿色と直接型を含め評価する。母乳性黄疸は遷延することがあるが、外見・哺乳良好だけで胆汁うっ滞を除外しない。
  • 便の色を自分で見る。淡黄色便は胆道閉鎖症を疑う最も重要な症状。母子健康手帳に便色カードが綴じ込まれている。1〜3番なら異常。
  • 淡黄色便の児は、ただちに入院・精査・治療の必要がある。理由は胆道閉鎖症だけではない。すべての胆汁うっ滞でビタミンK欠乏による頭蓋内出血の危険がある。
  • 早期発見・早期治療が重要。灰白色便を待たず、淡黄色便・黄疸の経過から相談する。旧資料の手術日齢別の生存率を現在の個々の児の予後として断定しない。

レッドフラグ → 次の一手

所見があったときにどれだけ急ぐかと、家族に何を伝えるかの対応表。3列目の文言は家族説明ページに同じ言葉で載っているので、画面を見せながら渡せる。

緊急度所見その場で次にやること時間の勝負
119乳児の黄疸+突然の哺乳力低下・意識レベルの低下・けいれん・大泉門膨隆ビタミンK欠乏性頭蓋内出血。持てない。頭部画像と凝固(意識障害)即時
119黄疸+意識障害・羽ばたき振戦・出血傾向急性肝不全・肝性脳症。持てない。アンモニア・PT-INR即時
119生後24時間以内に出現した黄疸病的黄疸。溶血・感染。当院の新生児管理体制を確認して搬送判断即時
119黄疸+発熱+腹痛+ショック(年長児)胆管炎・敗血症(小児敗血症)即時
119相当淡黄色便(便色カード1〜3番)ただちに入院・精査・治療。胆道閉鎖症の疑いとして小児外科のある施設へ。「様子を見て1か月健診で」にしない即日
緊急生後14日を超えて続く黄疸直接型ビリルビンを含めた採血。便色を必ず見る当日
緊急一旦消えた黄疸が再び出てきた同上。経過の変化を母乳性黄疸と決めつけない当日
緊急濃黄色尿・暗褐色尿(乳児)病初期から認められる症状。胆汁うっ滞当日
緊急直接型/抱合型の上昇、特に生後2〜4週で1 mg/dL以上胆汁うっ滞を評価し早期専門相談。AAP 2025の海外勧告であり、2週未満は測定法別の基準と推移を読む。D/T比20%未満でも除外不可当日
緊急黄疸+貧血+網状赤血球増加+間接ビリルビン優位溶血。血液型不適合・遺伝性球状赤血球症・G6PD当日
緊急年長児の黄疸+AST/ALT著増急性肝炎。PT-INR・意識・血糖を評価する(肝合成能と全身状態)当日
当日乳児の突然の腹痛・嘔吐・黄疸・発熱先天性胆道拡張症等。症状が全部揃わなくても疑えば相談。夜間エコーはできない当日
当日健診でAST/ALTのみ軽度上昇、黄疸なし、元気再検と原因検索(薬剤・肥満・筋疾患・ウイルス)数日

新生児・乳児:胆道閉鎖症を外す

押さえる数字と事実

  • 胆道閉鎖症は、新生児および乳児の肝外胆管が、原因不明の硬化性炎症によって閉塞するために、肝から腸へ胆汁を排出できない疾患。
  • 出生9,000人に1人が罹患する稀な疾患だが、同年齢の肝・胆道系疾患の中では死亡率が最も高い。日本小児外科学会の解説では約1万人に1人、日本では男児に比べて女児に多く発生。
  • 主な3つの症状は、生後14日以降も続く黄疸、淡黄色便、濃黄色尿。
  • 生後1か月頃の患児の黄疸は皮膚やしろめの部分がくすんだ黄色なので見逃されやすく注意が必要。
  • 胆道閉鎖症の患児の70〜80%は生後4週までに便の黄色調がうすくなって淡黄色になり、残りの20〜30%も多くは生後2か月までに淡黄色便を発症する。
  • 早期診断・手術が重要だが、術後も肝移植や長期管理が必要な場合がある。

便色カードの使い方(母子健康手帳)

記載番号判定次の一手
1〜3番異常1日も早く受診させる。便を持参してもらう。医師自身が便と便色カードを見比べる
4〜7番色だけでは除外不可特に4番や以前より淡くなる便に注意。黄疸・濃色尿があれば直接型を含め評価へ

日中の明るい部屋で、オムツについた便に便色カードを近づけて色を見比べる。
濃い黄色尿があればより確実(胆道閉鎖症の疑いが強まる)。
生後4か月くらいまでは、便の色に注意が必要。

便色カードは母子保健法施行規則の一部を改正する省令(平成23年12月28日厚生労働省令第158号)により、母子健康手帳に掲載することが義務付けられている。

正常な新生児・乳児の便色(知らないと判定できない)

時期便
生後48時間以内胎便。羊水・腸管分泌物・胆汁色素・脂肪・コレステロールが主成分で、粘稠、無臭で、緑がかった黒色
生後2〜4日目頃移行便。黒緑色の胎便と黄色便の入り混ざった便。次第に黄色みが強くなる
その後黄色から茶色の顆粒便(正常便)。一時は一日に何度も便が出ることもある

便色は栄養法によって異なり、母乳栄養のみの児の便色は、人工栄養児に比べて黄色みがやや強い。母乳栄養でも人工栄養でも緑色の便が出ることがあるが、これは胆汁色素である黄色のビリルビンが、腸内で酸化されて緑色のビリベルジンになるためで、児の機嫌がよく、食欲があれば心配いらない。

淡黄色便の意味は「胆道閉鎖症」だけではない

淡黄色便は胆道閉鎖症、先天性胆道拡張症のような胆管の閉塞のある児で認められる。これらを放置すると肝硬変を来すので早期手術を必要とする。淡黄色便は新生児肝炎(症候群)、アラジール症候群、シトリン欠損症、敗血症・尿路感染症、先天性代謝異常、染色体異常、進行性家族性肝内胆汁うっ滞など、肝内胆汁うっ滞により胆汁排泄機能が低下する児でも認められる。これらのすべての疾患において、ビタミンKが腸から吸収されにくい病態を持つため、ビタミンK欠乏による頭蓋内出血の危険がある。よって注意すべきことは、淡黄色便を認める児は、ただちに入院・精査・治療の必要があるということである。

→ 「胆道閉鎖症ではなさそうだから帰す」は成立しない。淡黄色便それ自体が入院適応。

鑑別:新生児・乳児の黄疸

病態ビリルビンの型見分け次の一手
生理的黄疸間接出生後早期の間接型。期間だけで判断せず、在胎週数・日齢・値と全身状態を確認採用基準で評価・フォロー
母乳性黄疸(遷延性)間接母乳栄養児、元気、体重増加良好、便色は正常診断は除外してから。直接ビリルビンを測る
胆道閉鎖症直接生後14日以降も続く黄疸・淡黄色便・濃黄色尿持てない。小児外科へ
先天性胆道拡張症直接突然の腹痛・嘔吐・黄疸・発熱(タンパク栓)。胎児期エコーや腹部腫瘤で見つかることも持てない。エコー・MRCP
新生児肝炎症候群直接胆道閉鎖症との鑑別が難しい持てない
アラジール症候群直接特異的顔貌・心雑音(末梢性肺動脈狭窄)・椎骨異常持てない
シトリン欠損症(NICCD)直接低出生体重・脂肪肝・低血糖持てない。専門施設で代謝評価。出生時スクリーニングのみで除外しない
尿路感染症・敗血症直接/両方発熱がなくても黄疸だけで来ることがある感染を疑う場合は尿評価・培養を検討(尿路感染症)
甲状腺機能低下症間接遷延性黄疸・便秘・哺乳不良新生児マススクリーニングの結果
血液型不適合・遺伝性球状赤血球症・G6PD欠損間接貧血+網状赤血球増加血液型・クームス・末梢血液像
頭血腫・消化管出血の吸収間接分娩歴経過観察

年長児の黄疸・肝機能異常を分ける

病態見分け次の一手
急性ウイルス性肝炎(A・B・E・EBV・CMVなど)発熱・倦怠感・食欲不振→黄疸PT-INRを必ず測る。伝染性単核症
薬剤性肝障害服薬歴(市販薬・サプリ・漢方を含む)被疑薬の中止
アセトアミノフェン過量内服歴。初期は無症状中毒として扱う(急性中毒)
溶血性貧血間接ビリルビン優位・貧血・脾腫末梢血液像・網状赤血球
自己免疫性肝炎女児、他の自己免疫疾患抗核抗体・IgG。専門施設
Wilson病学童期以降の原因不明の肝障害。Kayser-Fleischer輪・神経症状セルロプラスミン・尿中銅。専門施設
胆石・胆管炎右季肋部痛・発熱・黄疸エコー(腹部エコー)
体質性黄疸(Gilbert症候群)絶食・感冒時に間接ビリルビンのみ上昇。他は正常経過観察でよい
筋疾患によるAST/ALT上昇CK高値。筋力・運動の異常、黄疸なしCKと身体・経過を合わせる。CK単独で原因を確定しない
非アルコール性脂肪性肝疾患肥満肥満
心不全・ショックによる肝障害循環不全原疾患の治療

治療ワークフロー(当院でやること)

乳児(黄疸で来た/健診で指摘された)

順やること
1日齢を確認する。生後14日を超えているか
2母子健康手帳の便色カードの記載番号を見る。記載がなければその場で便を見せてもらう(おむつごと、明るい部屋で)
3自分で便色カードと見比べる。1〜3番なら入院・精査
4尿の色を見る(濃黄色尿・暗褐色尿)
5黄疸の程度を明るい自然光で。皮膚と強膜(しろめ)。生後1か月頃はくすんだ黄色で見逃されやすい
6採血:総ビリルビン・直接型ビリルビン・AST・ALT・γGTP・ALP・PT-INR・血算。尿路感染を疑う所見があれば尿評価・培養を検討(夜間培養提出不可)
7PT-INR延長はビタミンK吸収不良または肝合成能低下等を示す。出血・肝不全の危険を評価し、補正への反応も確認する
8腹部エコー(肝・胆嚢・胆管)。当直帯は当てられないので翌日に回す。ただし直接型/抱合型ビリルビンが上昇した乳児黄疸(胆道閉鎖の疑い)は、エコーを待つ病気ではない——日齢が勝負なので、疑った時点で専門施設に相談する
91〜3番の便色、または直接型ビリルビン上昇があれば、その日のうちに小児外科のある施設へ紹介
10紹介状に書く:日齢、便色カードの番号、黄疸の出現と経過、尿色、総/直接ビリルビン、AST/ALT、PT-INR、ビタミンK2シロップの投与歴

年長児(黄疸・肝機能異常)

順やること
1意識状態を見る。羽ばたき振戦・傾眠は肝性脳症
2採血:総/直接ビリルビン・AST・ALT・γGTP・ALP・LDH・CK・アンモニア・PT-INR・血糖・血算。網状赤血球は日勤・専門施設での可否を確認
3PT-INRと意識状態が予後を決める。AST/ALTの高さではない
4服薬歴をすべて聞く(市販薬・サプリ・漢方・他院の処方・友人の薬)
5腹部エコー
6ウイルス(HAV・HBV・EBV・CMV)の検査を出す
7PT-INR悪化、意識・血糖の異常があれば早期相談・搬送。意識障害が明らかでなくても小児急性肝不全を除外しない

検査

検査何がわかるか読み方
総ビリルビン・直接型ビリルビン間接優位か直接優位か生後2〜4週の直接型/抱合型1 mg/dL以上は早期専門相談の目安(AAP 2025)。2週未満は検査室基準・推移を参照。旧1.5 mg/dL/D/T比20%を除外基準にしない
AST・ALT肝細胞障害高さは重症度と一致しない
γGTP・ALP胆汁うっ滞小児のALPは年齢で高い
PT-INR肝合成能・ビタミンK欠乏最も大事な予後指標。ビタミンK投与で補正されるか見る
アンモニア肝性脳症意識障害があれば
血算・網状赤血球・末梢血液像溶血間接優位なら
血液型・クームス試験血液型不適合新生児期
尿検査・尿培養尿路感染症感染を疑う場合に検討。夜間は尿定性のみ・培養提出不可(尿路感染症)
CK筋疾患AST/ALT上昇で黄疸がないとき
腹部エコー胆嚢・胆管拡張・肝の性状当直帯は当院で撮れない(日勤帯の可否は要確認)(腹部エコー)
肝胆道シンチグラフィー・十二指腸液検査胆道閉鎖症当院で持てない
血糖代謝性疾患・肝不全乳児では必ず

所見の取り方

所見取り方所見があったら次にどうする
黄疸自然光で。皮膚と強膜。蛍光灯下では見落とす。生後1か月頃は「くすんだ黄色」日齢と便色
便色おむつを開けて自分で見る。便色カードと並べる1〜3番=入院
尿色おむつの尿の色。濃黄色・暗褐色胆汁うっ滞
肝腫大右季肋部。乳児は肋弓下2 cmまでは触れうる腫大+黄疸は精査
脾腫左季肋部溶血・門脈圧亢進
腹部腫瘤先天性胆道拡張症エコー
出血斑・注射部位の出血ビタミンK欠乏PT-INR
大泉門膨隆・緊満頭蓋内出血。119
顔貌・心雑音アラジール症候群専門施設

問診チェック

乳児

  • 日齢、出生体重、在胎週数、分娩歴
  • 黄疸がいつ出て、消えたか、いつ再び出たか
  • 便の色の変化(いつから薄くなったか)
  • 尿の色
  • ビタミンK2シロップの投与歴(何回、いつまで)
  • 母乳/人工乳/混合、哺乳量、体重増加
  • 新生児マススクリーニングの結果
  • 母の血液型、児の血液型
  • 家族歴(肝疾患・血液疾患・近親婚)

年長児

  • 発熱・倦怠感・食欲不振・関節痛の経過
  • 服薬(市販薬・サプリ・漢方を含むすべて)
  • アセトアミノフェンの累積量
  • 渡航歴・生の魚介・生肉の摂取、ワクチン歴(A型・B型肝炎)
  • 家族歴(肝疾患・Wilson病・自己免疫疾患)
  • 学業成績の低下・不器用さ・振戦(Wilson病)

送る/持つ(当院=二次救急・小児外科なし)

状態当院の扱い
便色カード1〜3番/淡黄色便持てない。ただちに入院・精査・治療。小児外科のある施設へ(日本胆道閉鎖症研究会施設会員が望ましい)
直接型ビリルビン上昇(胆汁うっ滞)持てない
ビタミンK欠乏性頭蓋内出血持てない。119
急性肝不全疑い(PT-INR悪化、意識・血糖等の異常)持てない。肝移植が要りうる
先天性胆道拡張症持てない。手術が要る
生理的黄疸の範囲・母乳性黄疸で便色正常・直接型正常当院でフォロー可。再受診の条件を渡す
年長児の急性肝炎(PT正常・意識清明)当院で経過観察しうる。PT-INRを追う
溶血性貧血の疑い初期評価は当院。輸血・専門治療は要確認
Gilbert症候群当院で説明・経過観察

エスカレーション(施設オーバーレイで上書き)

  • 要確認:小児外科(胆道閉鎖症)の紹介先。マニュアルは日本胆道閉鎖症研究会施設会員への紹介を望ましいとしている。当院の第一紹介先を決めておく
  • 確定(2026-09-25 確認):夜間に直接型ビリルビン・PT-INR・アンモニアは測れる
  • 要確認:当院に便色カードの実物を置いてあるか(母子手帳を持参していない家族のために)
  • 決定:光線療法は行い、基準は村田・井村基準(または院内採用の基準表)を用いる(論点:当院で新生児の光線療法を行うか、行うなら適応基準をどの表で判断するか(本シートは光線療法の基準を扱っていない))
  • 要確認:肝移植ができる施設への経路
  • 要確認:ビタミンK2シロップの当院での投与プロトコル(出生施設が他院の児への対応を含む)

家族に渡す一文

「赤ちゃんの黄疸は自然に薄くなるものもありますが、便の色や血液の型を確認する必要があります。2週間を過ぎても続く、いったん消えたのにまた出てきた、このどちらかは、調べる必要がある黄疸です。いちばん大事な手がかりはうんちの色です。母子健康手帳に便色カード(1番から7番の色見本)が付いています。明るい部屋で、おむつのうんちにカードを近づけて見比べてください。1番から3番に近い色なら、その日のうちに、うんちのついたおむつを持って受診してください。おしっこが濃い黄色や茶色いときも同じです。胆道閉鎖症という病気は、手術が早いほど結果がよくなります。だから「1か月健診まで待とう」ではなく、気づいた日に来ていただきたいのです。」

出典

計算

スコア

BIND-M:黄疸・ビリルビン脳症の所見評価

医療者が診察して記録する0〜12点の尺度。未評価を0点にしない。ビリルビン値、光線療法・交換輸血の適応を決める計算ではありません。

意識・反応
筋緊張
啼泣
眼球所見

合計 — / 12点

全項目を選択すると判定が出ます。

原著はナイジェリアの黄疸児333例における検者間一致と臨床診断との比較です。日本の一般新生児・超早産児での治療判定式ではありません。原法BIND(9点)と区別してください。鎮静、感染、低血糖等でも神経所見が変わり得ます。

出典:Radmacherら:BIND-M原著・採点表(2015) / BIND-M原著の補足採点票 / 院内採用:村田・井村基準(学会掲載図、PDF 57ページ)

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

判定

黄疸:ビリルビン分画の評価

生後0〜28日の医療者向け評価補助。単位はすべてmg/dL。診断の確定・除外や、光線療法の自動判定はしません。

直接型と抱合型は測定法が異なります。検査室の項目・基準を確認してください。早期の値は基準範囲と推移で読み、1.0 mg/dL未満を一律正常としません。生後2〜4週の1.0 mg/dL以上はAAP 2025の早急な専門相談の目安です。症状があれば値にかかわらず評価し、院内方針院内に沿って当日相談します。D/T比20%未満、便色正常、総値の低下だけでは除外しません。

AAP 2025:胆道閉鎖症の早期発見 / 院内採用:村田・井村基準(学会掲載図、PDF 57ページ)

院内では光線療法を行い、村田・井村基準など院内採用表で判断します。AAPの時間齢別治療閾値に置き換えません。低血糖・出血・意識障害・無呼吸・けいれんは入力より先に対応してください。

参考計算・参考判定です。適用は添付文書・現行ガイドライン・院内採用・患者個別要因を確認のうえ医師が判断してください。

病態・根拠13章
ビリルビンの型と病態をつなぐ

赤血球等の代謝でできた間接ビリルビンは肝で抱合され、胆汁として腸へ排泄される。新生児は産生・肝での処理・腸肝循環のバランスが成人と違い、間接型上昇が起こりやすい。一方、直接型/抱合型の上昇は胆汁の排泄・肝病態を評価する手がかりであり、総ビリルビンの高さだけで二つの病態を分けない。[1][3][4]

間接型高値では神経毒性の危険と日齢・在胎週数・溶血・全身状態等を評価し、採用した治療基準で管理する。直接型上昇の乳児を、母乳栄養だから生理的と扱ったり、光線療法で胆道閉鎖症が治療できると考えたりしない。必要な胆汁うっ滞評価と間接型の管理は併行して行う。

日齢と経過で評価を変える

出生後早期、とくに24時間以内の黄疸は溶血・感染等を含め緊急評価が必要である。見た目だけで値を推定せず、在胎週数・日齢、出生/哺乳・体重の経過を確認する。NICEの時刻別・在胎週数別の治療表は英国の基準であり、当院で採用済みの村田・井村基準等へ置き換えない。[4]

黄疸が遷延する時期には母乳性黄疸も多いが、元気で体重が増えるという印象だけで胆汁うっ滞を除外できない。便色・尿色、肝脾腫、直接型と既に測定した結果を確認する。出生施設で直接型の異常があれば、現在の総値だけで忘れず経過を追う。[1][3]

便色カードは除外検査ではない

胆道閉鎖症では胆汁が腸に出なくなり、便の黄色調が失われていく。真っ白な便になる前の淡黄色便が手がかりで、直接型の尿への排泄は濃色尿に表れる。便は明るい場所で実物とカードを比較し、撮影条件で色が変わる写真だけに頼らず、前の便との変化も聞く。[1][2]

国内第2版CQ2は淡黄色便での精査を推奨し、4番や正常と判定された色でも胆道閉鎖症があった報告を扱う。1〜3番は異常の行動を明確にする一方、4〜7番を病気なしの証拠としない。黄疸・濃色尿、肝腫大、直接型異常や便の淡色化があれば、白色化・健診日を待たず専門相談する。[1][2][3]

直接型・抱合型の数値は年齢と測定法で読む

直接型と抱合型は測定法が異なり、同じ名前・基準値で扱えない場合がある。AAP 2025は、生後2〜4週で直接型または抱合型が1 mg/dL以上なら早期の小児消化器専門相談を示す。これは海外の紹介勧告であり、胆道閉鎖症の確定診断や当院で採用済みの一律処置閾値を意味しない。[3]

2週未満では、同AAP資料は各検査室の基準範囲と推移を重視する。旧マニュアルにある1.5 mg/dLやD/T比20%に達するのを待たず、総値に占める割合が小さいことを除外条件にしない。総値が下がっても直接型が増える可能性があるため、分画と過去の値を別に追う。[2][3]

画像・専門検査の限界と紹介の順序

超音波では胆嚢・胆管・肝門部等を評価するが、実施者・機器・病期で診断精度が変わる。正常に見える一検査だけで胆道閉鎖症を除外できず、肝生検・胆道造影等の適応は専門施設で病態と侵襲を踏まえ判断する。検査を順番に埋めることより、疑いを共有して迅速に診断へ進むことが重要である。[1][3]

当院夜間は確実な腹部エコー、CT・MRIができない。疑いの強い児を翌日の自院エコー待ちにせず、日齢、便・尿、黄疸の経過、総/直接型、凝固、哺乳・成長とビタミンK投与歴を受入先へ伝える。小児外科は決まった連携先へ直接連絡する施設方針に沿い、未確認の窓口名を作らない。

胆汁うっ滞の鑑別と出血・栄養の危険

淡黄色便・直接型上昇は胆道閉鎖症だけでなく、肝内胆汁うっ滞、感染・代謝・遺伝性病態、胆道拡張症等でも起こる。胆道拡張症では膵液と胆汁の異常な混入や閉塞が炎症・腹痛・嘔吐を来し、典型的な症状が全部揃うとは限らない。外見だけで病名を固定せず、胆道と肝の両方を評価する。[1][2][6]

NICCDには出生時スクリーニング異常を契機に見つかる児と、遷延黄疸を契機に診断される児がいる。出生時の結果だけで代謝性胆汁うっ滞を除外せず、検査時期と専門的な代謝・遺伝学的評価を考える。旧国内資料の特殊ミルク処方や制度は現行の指示に写さない。[7]

胆汁酸が腸へ届かないと脂溶性ビタミンの吸収が低下し、ビタミンK欠乏性出血の危険がある。PT-INR延長はK不足だけでなく肝の合成能低下等でも生じるため、投与歴・補正反応と全身所見を確認する。便色が改善した印象や予防シロップを服用している事実だけで出血危険なしとしない。[2][5]

年長児は障害マーカーと肝機能を分ける

AST・ALTは細胞障害の指標で、肝が合成・代謝を維持できるかを単独では示さない。凝固、血糖、意識、循環、アンモニア等の経過を合わせる。AST/ALTの低下は回復の場合も肝細胞の減少を伴う場合もあり、PT-INRや全身状態が悪化するなら安心材料にしない。[5]

小児の肝性脳症は乳幼児ほど評価が難しく、はっきりした意識障害がないことだけで小児急性肝不全を除外できない。急な凝固悪化・低血糖・行動や睡眠の変化は早期相談の理由になる。薬剤・サプリ・過量摂取、感染、Wilson病や自己免疫疾患等を年齢に応じ検討し、特殊検査の結果待ちで搬送を遅らせない。[5]

CKは筋由来のAST/ALT上昇を考える手がかり、血算等は溶血の手がかりになるが、一値で原因を確定しない。夜間塗抹・ANC・尿定量はできず、網状赤血球や特殊検査は可否を確認して未実施を引き継ぐ。

治療・再評価・家族説明の条件

間接型優位の新生児高ビリルビン血症には、院内採用表と児の背景で光線療法等の適応を判断する。長引く黄疸の説明では母乳を反射的に中止せず、摂取不足と母乳性黄疸を区別し、必要な哺乳支援と分画評価を計画する。[3][4]

既存の院内方針院内は、年長児の急性肝炎を観察する場合にPT-INRを12時間ごとに追い、1.5を超える、または意識障害等があれば搬送するもの。これは診断定義や「その時刻まで待つ」指示ではなく、悪化があれば予定を早めて相談する。値が正常でも再診・再検を途切れさせず、検査の推移・薬剤・摂取・意識を追う。[5]

家族にはカード番号だけでなく、以前より淡い便、濃い尿、哺乳・反応の低下、出血を受診の手がかりとして伝える。母乳性黄疸と説明して帰宅する場合も、直接型と全身・成長評価、再診日、再び調べる条件を共有する。胆道疾患では早く診断する理由を説明し、結果待ちの連絡と専門受診が完了したか確認する。[1][2][3]

出典
臨床医が迷う場面
母乳をよく飲み体重も増える。黄疸は採血せず待てる?

哺乳良好だけで胆汁うっ滞を除外しない。遷延する黄疸では便色・濃い尿、直接型ビリルビンを確認する。便色カードの異常や直接型上昇があれば、その日のうちに専門施設へ相談する。母乳性黄疸と判断する前に胆道閉鎖症などを評価する。

根拠:日本胆道閉鎖症研究会 診療GL第2版公開資料 / NASPGHAN Pediatric acute liver failure position paper

便が真っ白でなければ胆道閉鎖症は否定できる?

淡黄色や時期による色の変化でも注意が必要で、灰白色になるまで待たない。便を実際に見るか写真を確認し、黄疸の経過と合わせて判断する。超音波が正常に見えることだけでも除外せず、疑いがあれば小児外科・肝臓専門へ早急につなぐ。

根拠:日本胆道閉鎖症研究会 診療GL第2版公開資料 / NASPGHAN Pediatric acute liver failure position paper

AST・ALTが下がった。肝障害は改善したと考えてよい?

AST・ALTの低下だけで肝機能回復と判断せず、意識・血糖・PT/INR・ビリルビンを合わせて評価する。肝不全では酵素値低下が機能回復を示さない場合がある。傾眠、低血糖、出血傾向があれば数値の下降に安心せず、集中治療・移植を含む専門施設へ早期に相談する。

追加根拠:NASPGHAN 小児急性肝不全 Position Paper(肝障害と肝機能の評価)

根拠:日本胆道閉鎖症研究会 診療GL第2版公開資料 / NASPGHAN Pediatric acute liver failure position paper

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