1-5マイコプラズマ感染症・マイコプラズマ肺炎
このページの目次13項目
1病態・根拠
2気道上皮の傷害と宿主の炎症反応が、長い咳を作る
3年齢と病像を分ける:学童の乾性咳嗽だけが典型ではない
4検査は、急性期の病原体と過去の抗体反応を区別する
核酸増幅検査は急性期の診断に有用で、耐性関連変異を判定するキットもある。迅速抗原は感度が劣り、陰性だけでは否定できない。検体採取部位・手技、病期、前治療を確認する。血清IgMは長く陽性が残り、単回の抗体陽性が今回の感染を意味しないこともある。ペア血清による変化は後から診断を支えるが、今の重症度や治療反応を測る検査ではない。当院の当直帯は核酸検査が出せないため、重症例や反応不良例で検査を必要とするときは専門施設へ相談する。[1]
5耐性を疑う時刻と、確定できる範囲
マクロライド開始後2〜3日(48〜72時間)の解熱は効果判定の目安である。ただし感性株でも解熱しない例、耐性株でも自然軽快で解熱する例がある。解熱しないことを耐性の確定検査として扱わず、呼吸・活動性・摂取量、服薬状況・嘔吐、他病原体、胸水・膿胸も見直す。日本小児科学会が記載する前投与後の非改善群と未投与群の耐性率は、特定の研究集団に基づく。地域・時期・対象で率が変わるため、各患者の耐性確率や全国の現在値として表示しない。[1]
6抗菌薬を長く続けない理由
7肺外病変では、呼吸症状の軽さに引きずられない
8帰宅・再評価で、残る咳と増悪を区別する
9出典と適用範囲
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会.小児のマイコプラズマ肺炎の診断と治療に関する考え方.2025-03-29改訂(公開ファイル2025-04).https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250422_maikopurazuma.pdf (2026-10-02公開PDF全8頁確認。検査・2〜3日の判定の限界・耐性率の対象・変更薬の制限・期間遵守・安易なステロイド回避)
- 国立健康危機管理研究機構.IASR 45(1), 2024 特集「マイコプラズマ肺炎 2023年現在」(2025-08一部修正).https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/pathogens/vol45/527/527t.html (2026-10-02本文確認。病原性・細胞壁欠如・肺外病変。掲載当時の流行状況を2026年の現況として用いない)
- CDC. Clinical Care of Mycoplasma pneumoniae Infection. https://www.cdc.gov/mycoplasma/hcp/clinical-care/index.html (2026-10-02本文確認。細胞壁と薬剤作用、適正使用。米国の耐性率・薬剤選択を国内へ転用しない)
- CDC. Clinical Features of Mycoplasma pneumoniae Infection. Updated 2026-05-18. https://www.cdc.gov/mycoplasma/hcp/clinical-signs/index.html (2026-10-02本文確認。幼児の非典型像・重症例・RIME等の合併症)
10臨床医が迷う場面
11咳が続く児はマクロライドを出して様子を見る?
流行・接触歴だけでなく発熱、呼吸状態、肺炎所見を確認し、必要な検査を選ぶ。マイコプラズマ感染の多くは自然軽快し、長引く咳だけで抗菌薬を反復しない。肺炎が疑われる場合は適切に治療し、陰性迅速検査だけで除外しない。
12マクロライド開始後も熱がある。耐性として即変更?
服薬量・実際に飲めたか、呼吸・酸素化、他病原体や合併症を再評価する。48〜72時間はこのページの反応評価目安で、非解熱だけで耐性を確定しない。変更が必要なら年齢と国内承認、副作用を確認し、海外の成人薬をそのまま転用しない。
13解熱後の咳を消すまで抗菌薬を延長する?
咳だけが残っても感染が持続しているとは限らない。呼吸状態と発熱の再燃、喘鳴、胸痛を確認し、所定の治療を漫然と延長しない。酸素化悪化、皮膚粘膜病変、神経症状など肺外合併症が出れば、薬の追加だけでなく専門施設で評価する。
一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。β版・逐条レビュー継続中。