ショック

緊急

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循環不全の認識・輸液ボーラス・搬送判断

判断の流れ

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ショックへの初期対応 灌流不全へのABC支援と原因評価からアナフィラキシーとその他のショックへ分岐し、灌流と体液過多を再評価する。 次へ 次へ アナフィラキシー疑い その他 次へ 次へ 灌流不全を認識 意識・皮膚・CRT・脈・血圧 灌流不全を認識 意識・皮膚・CRT・脈・血圧 ABCを支援し血管路を確保 応援・搬送先へ早期連絡 ABCを支援し血管路を確保 応援・搬送先へ早期連絡 原因を見極める 原因を見極める アナフィラキシー アドレナリン筋注を優先 アナフィラキシー アドレナリン 筋注を優先 他のショック 原因に応じて輸液を判断 心原性・閉塞性は慎重に 他のショック 原因に応じて 輸液を判断 心原性・閉塞性は 慎重に 灌流と体液過多を繰り返し評価 改善しなければ原因治療・専門施設へ 灌流と体液過多を繰り返し評価 改善しなければ原因治療・ 専門施設へ アナフィラキシー疑い その他
ショックの型で輸液の適応と速度が変わる。量は下の手順で確認する。用量は投与早見表で確認する。JRC蘇生ガイドライン2020 第3章「8 ショック」(既存本文の採用基準)、日本アレルギー学会 アナフィラキシーガイドライン2022(2023年3月第2刷)を参照。

血圧低下は遅い徴候。冷感・頻脈で疑う

  1. 1
    ショックを疑う
    CRT延長・冷感・頻脈。血圧はまだ保たれる
  2. 2
    酸素・モニター・血管路・血糖測定
    静脈路が無理ならすぐIOへ切替える
  3. 3
    種類で輸液の量・速度が変わる
    循環血液量減少性
    生食—を急速ボーラス
    敗血症性
    生食—を反復し毎回再評価
    血培後すぐ抗菌薬
    アナフィラキシー
    先にアドレナリン筋注
    輸液は併用
    心原性
    生食—〜—ゆっくり
    急速投与しない
    閉塞性を疑う
    緊張性気胸なら胸腔穿刺減圧
    原因の解除が主体
    輸液は補助的
    DKAの代償性ショック
    生食—〜—1〜2時間で
  4. 4
    毎回HR・CRT・意識・尿量で再評価
    過負荷(肺水腫・肝腫大・ラ音)が出たら中止
  5. 5
    反応なければ搬送先へ連絡
    1時間以内に血管作動薬がめやす。判断待たず連絡
生食(循環血液量減少性ショック)静注/骨髄内
—を5〜20分かけてボーラス投与
重度の低血圧性ショックは5〜10分で。反復可(総量40〜60mL/kgまで)
生食(敗血症性ショック)静注/骨髄内
—(AHA2020は—〜—)をボーラス
1回ごとに再評価して反復。過負荷の徴候が出たら中止
生食(心原性ショック)静注/骨髄内
—〜—を10〜20分かけて
急速・大量投与はしない(肺水腫の悪化)
生食(DKAの代償性ショック)静注
—〜—を1〜2時間以上かけて
急速投与しない(脳浮腫の懸念)
骨髄路(IO)血管路確保
静脈路がすぐ取れなければ切替
多くは30〜60秒で確保できる
1ポイント
  • 血圧が下がる前の代償性ショックを拾う。CRT(毛細血管再充満時間)延長・四肢冷感・末梢動脈の触知不良・頻脈・意識レベルの変化・尿量減少が手がかり。血圧低下(低血圧性ショック)は代償が破綻した後に現れる遅い指標で、血圧が正常でもショックを否定しない。
  • 種類で輸液の量・速度が変わる。循環血液量減少性(脱水・出血)は20mL/kgを急速ボーラス(反復2〜3回・総量40〜60mL/kgまで)。敗血症性ショックは1回ごとの再評価が要——初期輸液20mL/kg(AHA2020は10mL/kgまたは20mL/kg)をボーラスし、そのたびに再評価して反復する。集中治療へつなげる体制では最初の1時間で合計40〜60mL/kgまでがめやすで、体液過多の徴候(肺水腫・肝腫大・ラ音)が出たら中止する(JRC蘇生ガイドライン2020・AHA2020・SSC小児版2020)。ショックを伴わない「重症発熱性疾患」にはルーチンのボーラス輸液を行わない。心原性は5〜10mL/kgをゆっくり、DKAに伴う代償性ショックは10〜20mL/kgを1〜2時間以上かけて。「ショックなら20mL/kg」を全種類に当てはめない。
  • 敗血症性ショックは時間で動く。ショックの徴候を認識してから10〜15分以内に酸素・モニター・血管路確保。輸液に反応しなければ治療開始から1時間以内をめやすに血管作動薬(PALS本。SSC小児版2020は開始時刻でなく輸液量で示し、40〜60mL/kgの輸液後も灌流の異常が続けば開始するのが妥当としている)。血液培養は抗菌薬の前に採るが、そのために抗菌薬投与を遅らせない。
  • アナフィラキシー性ショックは輸液より先にアドレナリン筋注。輸液は併用する。
  • 輸液抵抗性ショック・血管作動薬の持続投与が必要な状態は当院で持てない(facility.json:小児集中治療は当直帯で未確認)。判断を待たず早期に受け入れ先へ連絡する。
2手順(アルゴリズム)
  1. 1
    認識する(0分)
    CRT延長・四肢冷感・末梢動脈の触知不良・頻脈・意識レベルの変化・尿量減少で拾う。血圧はまだ保たれていることがある(代償性ショック)。低血圧(収縮期血圧:1〜10歳は[70+(2×年齢)]mmHg未満、10歳超は90mmHg未満)は代償が破綻した後に現れる遅い指標で、正常でもショックを否定しない。収縮期血圧がベースライン値から10mmHg低下した場合も、他にショックの徴候がないか連続的に再評価する。
  2. 2
    初期対応(10〜15分以内)
    酸素投与、心電図・SpO2モニター装着。代償性ショックではまず末梢静脈路を試みる。静脈路の確保に時間制限を設け、すぐに確保できなければ骨髄路(IO)に切り替える——低血圧性ショックでは最初からIOでよい。ベッドサイド血糖測定。
  3. 3
    ショックの種類を見極める(輸液の量・速度が変わる)
    4つに分ける。同じ「初期輸液20mL/kg急速」を心原性・DKA・閉塞性にそのまま当てると悪化させることがある。
    循環血液量減少性(嘔吐・下痢・出血など)
    小児のショックとして最も多いタイプ。等張晶質液20mL/kgを急速ボーラス(下のrx参照)。
    血液分布異常性——敗血症性ショック
    等張晶質液20mL/kg(AHA2020は10mL/kgまたは20mL/kg)をボーラスし、1回ごとに再評価して反復する。体液過多の徴候が出たら中止する(下のrx参照)。血液培養を採ってから抗菌薬でよいが、そのために抗菌薬投与を遅らせない。詳しい抗菌薬選択・時間軸は下のリンク(敗血症シート)へ。
    血液分布異常性——アナフィラキシー
    輸液より先にアドレナリン筋注。輸液(20mL/kg)は併用する。用量・エピペン区分は下のリンクへ。
    心原性(先天性心疾患・心筋炎・心筋症・不整脈を疑う)
    5〜10mL/kgを10〜20分かけて。大量・急速投与はしない(肺水腫の悪化・心機能のさらなる悪化)。呼吸窮迫の悪化・肝腫大・ラ音が出たら輸液ボーラスを中止する。
    閉塞性(緊張性気胸・心タンポナーデ・動脈管依存性先天性心疾患・広範肺塞栓症)
    初期の臨床所見は循環血液量減少性ショックに似る。原因の解除が主体で、輸液は補助的。緊張性気胸→胸腔穿刺減圧は当院の実施体制が確定済み(部位・針の太さは下のリンクへ)。心タンポナーデ→心膜穿刺は当院での実施体制が当直帯で未確認(facility.json)——疑ったら判断を待たず並行して搬送先へ連絡する。
    DKAに代償性ショックを伴う
    10〜20mL/kgを1〜2時間以上かけて(施設のプロトコールに従う)。急速投与・血清浸透圧の急激な低下は脳浮腫の一因になりうる。ショックを伴わない通常のDKA輸液とは量・速度が異なるので混同しない——詳細は下のDKAシートへ。
  4. 4
    輸液のたびに再評価する
    心拍数・CRT・意識レベル・尿量で評価し、必要なら反復する。改善しなければ輸液抵抗性ショックとして次のステップへ。
  5. 5
    輸液抵抗性なら血管作動薬・搬送(1時間以内がめやす)
    輸液ボーラスを実施してもショックが持続する小児は輸液抵抗性ショックであり、治療開始後1時間以内の血管収縮薬投与開始が目安とされる(PALS本。Surviving Sepsis Campaign小児版2020には開始時刻の推奨はなく、40〜60mL/kgの輸液後も灌流の異常が続けば開始するのが妥当としている)。血管作動薬を持続投与する体制(小児集中治療)は当直帯で未確認(facility.json)——判断を待たず早期に受け入れ先へ連絡し、搬送準備を進める。敗血症を疑うなら血液培養を採ってから抗菌薬(血液培養採取のために遅らせない)。抗菌薬の時間目標は出典で違う——PALS本は接触から1時間以内、SSC小児版2020は敗血症性ショックで認識から1時間以内、J-SSCG2024(成人のCQ)は1時間を目標にしない。院内の掲示は未確定(敗血症シート参照)。
3機材・手技
静脈路の確保
代償性ショックではまず末梢静脈路を試みる。確保に時間制限を設け、すぐに取れなければ骨髄路へ切り替える
  1. 重症の小児では静脈路の確保に時間制限を設ける
  2. 信頼できる静脈路をすぐに確保できなければ骨髄路(IO)を確保する
  3. 低血圧性ショックでは末梢静脈路がすぐに確保できない場合、最初からIOで確保するのが最もよい
骨髄路(IO)確保
すべての年齢で確保可能。多くは30〜60秒で確保できる
  1. あらゆる年齢の小児で確保でき、多くの場合30〜60秒で確保できる
  2. 静脈内投与できる薬物・輸液・輸血は骨髄内投与でも行える
  3. 心停止や重度のショックで血管確保が困難と予想される状況では、最初からIOを選ぶこともある
モニタリングと再評価
心電図・SpO2を装着し、輸液ボーラスのたびに心拍数・CRT・意識レベル・尿量で再評価する
  1. 各輸液ボーラスの後に心拍数・CRT・意識レベル・尿量で再評価する
  2. 血圧はまだ保たれていることがある(代償性ショック)——数値が正常でもショックを否定しない
  3. 低血圧の閾値: 1〜10歳は[70+(2×年齢)]mmHg未満、10歳超は90mmHg未満
  4. 収縮期血圧がベースライン値から10mmHg低下した場合も、他にショックの徴候がないか連続的に再評価する
4処置・処方例
循環血液量減少性ショック(脱水・出血)/急速
Rp. 1生理食塩水(または乳酸リンゲル液) 20mL/kgを5〜20分かけてボーラス投与(重度の低血圧性循環血液量減少性ショックでは5〜10分)。反応をみて反復(目安2〜3回・総量40〜60mL/kgまで) 静注/骨髄内
循環血液量減少性ショック(脱水・出血)で第一選択。ショックの徴候を認識してから10〜15分以内に血管路を確保し投与を始める。敗血症性ショックはこの数値を機械的に当てはめない——下の別項目へ
  1. 生理食塩水(または乳酸リンゲル液)を—(20mL/kg)、5〜20分かけて急速投与する
  2. 重度の低血圧性ショックではより急いで5〜10分で投与する
  3. 投与後は心拍数・CRT・意識レベル・尿量で再評価し、必要なら20mL/kgを反復する。次のボーラスの前に肺水腫・肝腫大・ラ音など輸液過負荷の徴候がないか確認する
  4. 目安として2〜3回(総量40〜60mL/kg)で改善しなければ輸液抵抗性ショックとして扱い、1時間以内をめやすに血管作動薬・搬送先への連絡を進める
敗血症性ショック/反復ボーラス・毎回再評価
Rp. 2生理食塩水(または乳酸リンゲル液) 初期輸液20mL/kg(AHA2020は10mL/kgまたは20mL/kg)をボーラスし、1回ごとに再評価して反復する。集中治療へつなげる体制では最初の1時間で合計40〜60mL/kgまでがめやす。体液過多の徴候が出たら中止する 静注/骨髄内
ショックを伴わない『重症発熱性疾患』にはルーチンのボーラス輸液を行わない(JRC蘇生ガイドライン2020)。ガイドラインの「集中治療が行えない状況」(低血圧があれば1時間で合計40mL/kgまで、低血圧がなければボーラスしない)は、集中治療そのものが利用できない医療体制を想定した提案で、搬送して集中治療につなげられる当院には当てはめない。血液培養は抗菌薬の前に採るが、そのために抗菌薬投与を遅らせない
  1. 生理食塩水(または乳酸リンゲル液)を—(20mL/kg。AHA2020は—〜—)のボーラスで投与する
  2. ボーラスのたびに心拍数・CRT・意識レベル・尿量・肺水腫の徴候で再評価し、反応をみて反復する
  3. 肺水腫・肝腫大・ラ音など体液過多の徴候が出たらボーラスを中止する。最初の1時間で合計40〜60mL/kgがめやす
  4. ショックの徴候がない『重症発熱性疾患』にはルーチンのボーラス輸液を行わない
  5. 輸液に反応しなければ1時間以内をめやすに血管作動薬・搬送先への連絡を進める(下記参照)
心原性ショック/ゆっくり
Rp. 3生理食塩水(または乳酸リンゲル液) 5〜10mL/kgを10〜20分かけて。大量・急速投与はしない 静注/骨髄内
心原性ショックまたは重度の心筋機能不全が疑われるとき(先天性心疾患・心筋炎・心筋症・不整脈を疑う所見、肝腫大・肺水腫の所見)
  1. 生理食塩水(または乳酸リンゲル液)を—〜—(5〜10mL/kg)、10〜20分かけて投与する
  2. 20mL/kgの大量・急速投与は行わない——肺水腫を悪化させ、心機能をさらに悪化させる
  3. 投与後に呼吸窮迫の悪化・肝腫大・ラ音の出現があれば輸液ボーラスを中止する
  4. 循環作動薬(強心薬・血管拡張薬)が必要になることが多い。持続投与の体制(小児集中治療)は当直帯で未確認(facility.json)——早期に搬送先へ連絡する
DKAに伴う代償性ショック/1〜2時間
Rp. 4生理食塩水 10〜20mL/kgを1〜2時間以上かけて投与(施設のプロトコールに従う) 静注
代償性ショックを伴うDKA。急速投与・血清浸透圧の急激な低下は脳浮腫の一因になりうる。ショックを伴わない通常のDKA輸液(別シート参照)とは量・速度が異なる
  1. 生理食塩水を—〜—(10〜20mL/kg)、1〜2時間以上かけて投与する
  2. 20mL/kgを急速投与する他のショックの初期輸液パターンをそのまま当てはめない
  3. 頭痛・不穏・意識レベルの変化があれば脳浮腫を疑い、直ちに再評価する
  4. インスリン・電解質管理の詳細は下のDKAシートへ
5落とし穴
  • 血圧が正常でもショックは否定できない(代償性ショック)。血圧低下は代償が破綻した後の遅い指標である
  • 「ショックなら20mL/kg」を心原性・DKA・閉塞性にそのまま当てはめない。量も速度も種類で変わる
  • 心原性ショックへの大量・急速な輸液ボーラスは肺水腫を悪化させ、心機能をさらに損なう
  • DKAに代償性ショックを伴うときの急速輸液・血清浸透圧の急激な低下は脳浮腫の一因になりうる。ショックを伴わない通常のDKA輸液と量・速度を混同しない
  • アナフィラキシー性ショックは輸液より先にアドレナリン筋注が第一選択。輸液は併用する
  • 血液培養は抗菌薬の前に採る。ただし採血に手間取って抗菌薬投与を遅らせない。当院は院内夜間に検査室へ培養検体を提出できない——抗菌薬の前に採って保管し、翌朝提出する運用になる(facility.json)
  • 輸液抵抗性ショック・血管作動薬の持続投与が必要な状態は当院で持てない。判断が遅れないよう、輸液反応が乏しい時点で早期に受け入れ先へ連絡する

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。数字の出典は原資料(PALS・JRC蘇生ガイドライン2020ほか)。逐条レビュー継続中。

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