呼吸不全・気道

緊急

呼吸不全・気道

呼吸窮迫と呼吸不全の見分け・4型の初期対応・バッグバルブマスク換気・気管挿管の準備

判断の流れ

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呼吸不全・気道への初期対応 気道と酸素化を支援し、呼吸がないか不十分ならバッグバルブマスク換気と胸郭挙上を確認して改善しない場合に相談する。 次へ 次へ いいえ はい 不十分 改善なし 呼吸努力・酸素化・意識を評価 重症なら応援を要請 呼吸努力・酸素化・意識を評価 重症なら応援を要請 気道を開き酸素を投与 原因を見極める 気道を開き酸素を投与 原因を見極める 呼吸がない/不十分? 呼吸がない/ 不十分? いいえ 酸素化と呼吸努力を 繰り返し評価 いいえ 酸素化と 呼吸努力を 繰り返し評価 はい バッグバルブマスク換気 胸郭挙上を確認 はい バッグバルブ マスク換気 胸郭挙上を確認 胸が上がらないとき 体位・マスク密着・閉塞を点検 胸が上がらないとき 体位・マスク密着・ 閉塞を点検 改善しない/気道確保が難しい 熟練者と搬送先に早期相談 改善しない/気道確保が難しい 熟練者と搬送先に早期相談 いいえ はい 不十分 改善なし
上気道閉塞が疑われる場合は刺激を避け、熟練者を早期に呼ぶ。用量は投与早見表で確認する。AHA/AAP 小児BLS(2025):有脈で呼吸不十分な場合を参照。

窮迫のうちに動く。タイプで対応が変わる

  1. 1
    気道を確保し、楽な体位に
    頸損疑いなら下顎挙上法に。異物・分泌物は除去
  2. 2
    SpO2測定・高濃度酸素投与
    非再呼吸マスク等で高流量に。加湿できれば加湿酸素
  3. 3
    4タイプを見分けて対応
    上気道閉塞
    興奮させず楽な体位に
    下顎挙上/頭部後屈で気道確保
    興奮させる吸引は避ける
    重症なら早期に応援要請
    アナフィラキシー疑いはアドレナリン先に
    下気道閉塞
    酸素化最優先、高炭酸は許容
    BVMは少ない回数で過換気回避
    肺組織疾患
    高濃度酸素でも低酸素なら陽圧換気
    搬送先・分泌物耐性・上気道浮腫なら早期挿管検討
    呼吸調節障害
    頭蓋内圧亢進疑いは脳外科相談
    中毒疑いは大阪中毒110番072-726-9923
    オピオイド過量+脈あり無呼吸はナロキソン検討
  4. 4
    無呼吸・不十分ならBVM開始
    20〜30回/分・6〜8mL/kgで胸が上がる程度に
  5. 5
    胸が上がらなければ点検
    体位→密着→吸引→酸素源→バッグ→胃減圧の順に
    それでも不十分なら
    2人法BVMに切替
    口咽頭エアウェイ挿入検討
  6. 6
    改善なければ挿管を準備
    2歳未満は年齢式の対象外。実体重を使う
    当院対応可
    下のチェックリストを準備
    サイズは年齢別算出式で決める(2歳以上)
    対応不可/上気道閉塞疑い
    無理に挿管しない
    BVM継続し応援・搬送手配
1ポイント
  • 呼吸窮迫と呼吸不全は別の状態。呼吸窮迫のうちに介入するほうが、呼吸停止・心停止まで進んでからより転帰がよい。重度の呼吸窮迫の徴候は呼吸不全を示唆することがある。
  • タイプは4つ:上気道閉塞・下気道閉塞・肺組織疾患・呼吸調節障害。1人の小児に複数のタイプが重なることもある(例:頭部外傷で呼吸調節が障害され、その後に肺炎を発症する)。
  • 初期対応はどのタイプでも共通(気道確保・酸素投与・モニター)。タイプが判定できたら、そのタイプに応じた介入に進む。
  • バッグバルブマスク換気は短時間なら気管挿管と同程度に有効で、気管挿管より安全。搬送時間が短い・挿管の経験が少ない場面では、無理に挿管を急がずバッグバルブマスク換気を続ける。
  • 上気道閉塞(クループ・喉頭蓋炎・異物など)に対する気管挿管はリスクの高い手技で、小児の気道確保に関する専門知識・技術を十分に持つチームが行うべきとされる。当院で対応できない、または専門知識を持つ人が当直にいない場合は、無理に試みず応援を呼び、気道確保のできる施設への搬送を検討する。
  • 心停止中の高度な気道後の換気はAHA 2025:20〜30回/分を目安に年齢・臨床状態で調節する。圧迫は連続し、過換気を避ける。対応の流れは心停止ページで確認する。
2手順(アルゴリズム)
  1. 1
    呼吸窮迫か呼吸不全かを見分ける
    呼吸窮迫は、気道閉塞・肺コンプライアンス低下・肺組織疾患があっても十分なガス交換を保とうとしている状態(軽度の頻呼吸、鼻翼呼吸・陥没呼吸などの軽い呼吸努力増加、吸気性/呼気性喘鳴・呻吟などの異常な気道音、まだら模様)。呼吸不全は酸素化・換気のいずれか、または両方が不十分な臨床状態で、皮膚色不良・反応低下で認識される。著しい頻呼吸または無呼吸、著明または不十分な呼吸努力(低換気・徐呼吸)、高流量酸素投与下でも酸素飽和度が低い、蒼白・皮膚冷感・チアノーゼ、意識レベルの低下がみられれば呼吸不全を疑う。呼吸不全は呼吸窮迫が進行した結果として起きることが多いが、呼吸努力が少ない、またはまったくない状態でいきなり起きることもある。
  2. 2
    初期対応(気道・呼吸・循環)
    気道:小児に楽な体位をとらせる。必要なら頭部後屈―あご先挙上法(頸椎損傷が疑われるときは頭部を後屈させない下顎挙上法)で気道を確保し、目に見える異物や分泌物があれば除去する。気道の開通性を改善するには口咽頭/鼻咽頭エアウェイの使用も検討する。呼吸:パルスオキシメータで酸素飽和度をモニターし、酸素を投与する(加湿できれば加湿酸素)。重度の呼吸窮迫、または呼吸不全の可能性があれば非再呼吸式マスクなど高濃度酸素供給装置を使う。必要に応じて吸入薬(サルブタモール・アドレナリンなど)を投与する。適応があれば高度な気道確保器具の準備を進める。循環:心拍数・心リズム・血圧をモニターし、必要なら輸液・投薬のために血管路を確保する。
  3. 3
    4つのタイプを判定する
    気道開通性・呼吸数と呼吸努力・呼吸音の質・気流・意識レベルから4タイプのどれに当たるかを判定する。1人の小児に複数のタイプが重なることもある。
    上気道閉塞(鼻腔・咽頭・喉頭の閉塞)
    所見:呼吸数・呼吸努力の増加、吸気時陥没呼吸・呼吸補助筋の使用・鼻翼呼吸、喘鳴(通常は吸気性)、犬吠様咳嗽、発声の変化(嗄声など)、流涎、いびきまたはゴロゴロ音。原因はクループ・喉頭蓋炎・異物誤嚥・アナフィラキシー・感染症など。
    対応:小児に楽な体位をとらせ、興奮させない。下顎挙上法または頭部後屈―あご先挙上法で気道を確保する。目に見える異物は除去する。吸引は感染による浮腫(クループ等)やアレルギー反応が原因のときは興奮を誘発しうるため、利点とリスクを比較して行う。重症なら早期に応援を要請する——プロバイダーの気道管理スキルが高く経験が豊富なほど、気道を安全に確保できる可能性が高い。急性の部分閉塞を積極的に治療できなければ完全閉塞、最終的には心停止に至りうる。アナフィラキシーが原因ならアドレナリン筋注を輸液より先に行う(下のリンク参照)。クループ・喉頭蓋炎・気道異物・アナフィラキシーは下のリンクへ。
    下気道閉塞(気管支・細気管支の閉塞)
    所見:呼吸数増加、呼吸努力の増加(陥没呼吸・鼻翼呼吸・呼気の延長)、聴診での気流低下、呼気努力の増加を伴う呼気相の延長(呼気が受動的でなく能動的になる)。原因は喘息・細気管支炎など。
    対応:最優先は十分な酸素化の回復。ほとんどの小児は高炭酸ガス血症に副作用なく耐えられるため、ただちにベースラインまで下げることは必須ではない。バッグバルブマスク換気を行うときは比較的少ない回数でよい——換気回数が多すぎる・換気量が多すぎる・陽圧が高すぎると、胃拡張・気胸・重篤なエアトラッピングなど過換気の合併症を招く。急性喘息発作は下のリンクへ。
    肺組織疾患(肺実質・肺胞の疾患)
    所見:頻呼吸(多くの場合著明)、呼吸努力の増加、ラ音・気流低下、呼吸音の減弱、頻拍、酸素投与を行っても改善しない低酸素血症。原因は感染性/化学性/誤嚥性肺炎、心原性・非心原性(ARDS)肺水腫など。
    対応:高濃度酸素投与に反応しない低酸素血症では、CPAP・非侵襲的換気・気管挿管による機械的換気など陽圧換気が有用。とくに三次医療施設への搬送を要する場合、分泌物に耐えられない場合、上気道浮腫・閉塞の所見がある場合は早期の挿管を検討する。当院に非侵襲的陽圧換気(CPAP等)や人工呼吸器管理の体制があるかはfacility.jsonに記載がなく未確認——重症例は早期に受け入れ先へ連絡する。
    呼吸調節障害(呼吸努力そのものが不十分になる)
    所見:呼吸数・呼吸パターンの変動または不規則性(頻呼吸と徐呼吸が交互)、変動する呼吸努力、呼吸努力を伴う浅い呼吸、中枢性無呼吸(呼吸努力がまったくない無呼吸)、正常または低下した気流。多くは意識レベルの低下を伴う。原因は頭蓋内圧亢進(髄膜炎・脳炎・頭部外傷・水頭症など)、神経筋疾患、中毒/薬物過量など。
    対応:頭蓋内圧亢進が疑われる場合は脳神経外科医に相談する。不規則呼吸・徐脈・血圧上昇(クッシングの3徴候)は切迫した脳ヘルニアを示唆しうる。中毒/薬物過量が疑われる場合は地域の毒物管理センターに連絡し(大阪中毒110番 072-726-9923〈24時間〉/つくば中毒110番 029-851-9999〈9時〜21時〉)、嘔吐に備えて気道吸引の準備をする。オピオイド過量で呼吸停止だが脈が触れるなら、標準的なBLSに加えナロキソン投与を検討する。
  4. 4
    酸素投与デバイスを選ぶ
    低流量システム(鼻カニューレ0.25〜4L/分、吸入酸素濃度22〜60%/簡易酸素マスク6〜10L/分、35〜60%。CO2の再呼吸を防ぐため最低6L/分は流す)は、比較的安定した小児に用いる。重度の呼吸窮迫や呼吸不全の可能性があれば高流量システム(非再呼吸式マスク:酸素流量10〜15L/分でマスクが密着していれば吸入酸素濃度を95%にできる/高流量鼻カニューレ:乳児で4L程度〜青少年で40L以上まで調整可)を使う。意識がはっきりしている小児がマスクの装着を嫌がって興奮するなら、無理に押しつけず加湿酸素の吹き流しや保護者に器具を持ってもらう方法に切り替える——興奮そのものが酸素需要を増やし呼吸窮迫を悪化させる。
  5. 5
    バッグバルブマスク換気を開始する
    気道の開通/維持が確保されているのに呼吸がない、または不十分(無呼吸・呼吸数異常・呼吸音不良・低酸素血症)なら開始する。乳児・幼児は頸部を過伸展させない『スニッフィング』ポジション(仰臥位で頭部を後屈させつつ頸部を肩の高さまで前方に屈曲、外耳道の開口部が肩の前面と同じ高さかそれより前にくるように)をとる。1人法では片手でECクランプ法(親指と人差し指でマスクを顔に固定して『C』の形、残り3本の指であごを持ち上げて『E』の形)を作って気道を確保しマスクを密着させ、もう片方の手でバッグを押す。効果的なバッグマスク換気には複雑な手順が要るため、1人でCPRを行う場面ではバッグマスク換気は推奨されない(口対感染防護具法で換気する)。2人集まればより効果的で、顔とマスクの密着が難しい・気道抵抗が高い(喘息)/肺コンプライアンスが低い(肺炎・肺水腫)・脊椎の動きを制限する必要がある場面では2人法を選ぶ。人工呼吸は1回に約1秒かけて徐々に行い、胸の上がりが見える程度にとどめて過換気を避ける(換気圧・1回換気量は胸が上がるのに必要な程度を超えない)。胃膨満を防ぐため、換気は20〜30回/分(2〜3秒に1回、AHA2020)を目安にし、1回換気量は理想体重から6〜8mL/kgとして胸部挙上が見える程度にとどめる——JRC2020は特定の換気回数を推奨するに足るエビデンスはないとしつつ、この1回換気量・胸部挙上・過換気/低換気を避けるという考え方には一致する。3〜5秒に1回(1分あたり12〜20回)は旧PALS本(2015年版準拠)の数字。下のpitfalls参照。輪状軟骨圧迫をルーチンに行う根拠は乏しく、傷病者に反応がなく他のプロバイダーが手を空けられる場合に限り検討する。
  6. 6
    効果的な換気ができないとき
    胸郭の上がりが見えなければ、次を順に確認する:気道の位置を取り直す(下顎をさらに引き上げ、スニッフィングポジションになっているか確認)。マスクのサイズを確認し顔と確実に密着させる。必要なら気道を吸引する。酸素供給源を確認する。換気バッグとマスクを点検する。胃膨満があれば対処する。それでも不十分なら2人法によるバッグマスク換気と口咽頭エアウェイの挿入を検討する。
  7. 7
    気管挿管の準備
    初期介入を行っても効果的な気道確保・酸素化・換気を維持できない場合に気管挿管を検討する。チューブサイズ・深さ・ブレード・気管挿管時に使う薬剤は、当院の採用品・当直体制に合わせて選ぶ(このシートでは特定の鎮静・鎮痛・筋弛緩薬の用量は示さない)。
    当院で対応できる場合(挿管に習熟した医師・器材が当直にいる)
    下の『equipment』の挿管前チェックリストを準備し、チューブサイズ・固定長はJRC2020の年齢別算出式(下記)を目安に、聴診で両肺換気を確認しながら決める。挿管後は呼気CO2検知器と身体所見(胸の上がり・両側呼吸音)でチューブの位置を確認し、固定する。
    当院で対応できない場合/上気道の解剖学的な閉塞(クループ・喉頭蓋炎・異物など、気道確保が難しいと予想される病態)を伴う場合
    無理に挿管を試みない。バッグバルブマスク換気を継続しながら院内の応援を全て呼び、気道確保のできる施設へ搬送する。搬送時間が短く挿管経験が少ない場面では、気管挿管が効果的なバッグマスク換気より生存率を向上させることは示されていない、とする研究がある。即座の挿管を急ぐ必要はないことを示唆する報告でもある。クループ・喉頭蓋炎の当院での具体的な対応方針は下のリンク先シートを参照。
3機材・手技
バッグバルブマスク
乳児・年少児は容積少なくとも450〜500mL以上の自己膨張式バッグを使う(これより小さいと吸気時間が短くなり有効な1回換気量を供給できない)。年長児・青少年は成人用(1000mL以上)が必要になることがある。フィッシュマウス/リーフフラップ式の非再呼吸弁がついた自己膨張式バッグは、バッグを圧縮しないと酸素流が連続供給されない——自発呼吸のある小児(とくに乳児)は吹き出し弁を開く吸気圧を作れないことがあるため、この種のバッグを自発呼吸のある小児への酸素投与だけの目的に使わない。
  1. 使用前に患者吹き出し弁を手で塞いでバッグを押し、漏れがないか確認する
  2. ガス流量制御バルブ(CPAPバルブを含む)が適切に機能するか確認する
  3. ポップオフ弁がある機種は塞がるか確認し、酸素チューブが器具と酸素供給源に確実に接続されているか、酸素がバッグに流れ込む音が聞こえるかを確認する
  4. マスクにカフがあれば十分に膨らんでいるか確認する
  5. 小児をスニッフィングポジションにし、ECクランプ法でマスクを密着させて換気する(上のflow参照)
吸引器具
携帯型は持ち運びやすいが十分な吸引圧を得られないことがある。気道分泌物の除去に必要な吸引圧は一般に-80〜-120mmHg。壁取り付け型は300mmHg以上の高い吸引圧が得られる。吸引の合併症は低酸素症・迷走神経刺激による徐脈・咽頭反射と嘔吐・軟部組織損傷・興奮。
  1. 吸引カテーテル(軟性、または口咽頭用の硬性大口径カテーテル)を舌を超えて中咽頭・下咽頭まで愛護的に挿入する
  2. 口を塞いで吸引しながら、カテーテルを回転・ひねりつつ引き抜く
  3. 1回の吸引は10秒以内にとどめる。低酸素症のリスクを減らすため、吸引の前後に短時間100%酸素を投与してもよい
  4. 吸引中は心拍数・酸素飽和度・外観をモニターし、徐脈や外観の悪化があれば吸引を中止して高流量酸素とバッグマスク換気を行う
口咽頭エアウェイ(OPA)・鼻咽頭エアウェイ(NPA)
OPAは咽頭反射のない『意識がない小児』で、用手気道確保だけでは上気道の開通が保てないときに使う。咽頭反射があれば嘔吐を誘発するため、意識がある小児・半ば意識がある小児には使用しない。サイズはGuedelサイズ000〜4(長さ4〜10cm)まであり、顔の側面に当てて両端が口角から下顎角に達するものを選ぶ——大きすぎると喉頭蓋を押し下げて声門を閉塞し、小さすぎると舌を下咽頭に押し付けて閉塞を悪化させる。NPAは重度の意識障害があり咽頭反射のある小児に使えることがあるが、鼻咽頭の損傷・出血を避けるため愛護的に挿入し、出血リスクが高い小児や頭部・顔面に重度の外傷がある小児には使用を避ける。
  1. 咽頭反射の有無を確認する。反射があればOPAは使用しない
  2. OPAを小児の顔の側面に当て、両端が口角から下顎角に達するサイズを選ぶ
  3. 舌圧子で舌を圧排しながら口咽頭内に愛護的に挿入する
  4. 挿入後は頭部とあごを適切な位置に保ち、気道の開通を維持しながらモニターし、必要に応じて吸引する
気管チューブ・喉頭鏡(挿管前の準備)
2歳以上のカフなしチューブの内径はCole の式(年齢/4+4.0mm)、カフ付きはMotoyama の式(年齢/4+3.5mm、シーリング性は高いがサイズ過大の可能性)またはKhine の式(年齢/4+3.0mm、過大は避けられるがリークでチューブ交換になる可能性)を目安にする(端数は切り捨て)。2歳未満はこの年齢式の対象外——実際の体重を用い、わからなければ身長テープを使う。経口固定位置の目安は年齢/2+12cm、身長/10+5cm、体重/2+8cm。簡便な算出式として選択した気管チューブ内径×3cmもあるが、これはカフなし気管チューブの使用を前提としており、カフ付きにそのまま適用できない点に留意する。また、気管チューブの先端位置は頭部前屈で深く後屈で浅くなるため、頭位を変えるたびに聴診で両肺換気を確認し直す。カフ付きを使うときはカフを膨らませない状態でリークを確認し、カフ圧を最大20(〜25)cmH2Oに保つ(頭位でも2.6〜6.9cmH2O変わる)。
  1. 個人防護具(手袋・マスク・保護めがね)を着ける
  2. 心電図・パルスオキシメータ・血圧モニターを装着する
  3. 呼気終末CO2検知器(呼気CO2モニターまたは食道挿管検知器)を用意する
  4. 静脈路/骨髄路が確保されているか確認する
  5. 適切なサイズの酸素投与用バッグマスク、経口/気管吸引器具(作動確認済み)、口咽頭・鼻咽頭エアウェイを用意する
  6. スタイレット付き気管チューブを、予想サイズに加えて0.5mm太い・細いサイズも含めて準備する(カフ付き・カフなし両方)
  7. 喉頭鏡(マッキントッシュ型と直線型の両ブレード)、可能ならビデオ喉頭鏡、予備の喉頭鏡を用意する
  8. カフ付きチューブを使うならカフ圧モニターを、バルーン試験用に3mL・5mL・10mLシリンジを用意する
  9. チューブ固定用の粘着テープ・布テープまたは市販の気管チューブ固定器、頭または胴の下に敷くタオル/パッドを用意する
  10. 気道確保が難しい・合併症が予測される場合は、声門上エアウェイ・経気管器具・輪状甲状軟骨間膜切開用器具も準備する
  11. 挿管後に興奮・体動で換気が妨げられるときは、鎮痛薬(フェンタニル・モルヒネなど)・鎮静薬(ロラゼパム・ミダゾラムなど)を、治療可能な原因を除外し陽圧換気が可能なことを確認した『後』に投与する——用量は当院の採用薬・体制に従う
4落とし穴
  • 過換気にしない。換気圧・1回換気量は胸が上がるのに必要な程度を超えない——過剰な換気は胃拡張・気胸・エアトラッピング・静脈還流低下を招く
  • 自己膨張式バッグの非再呼吸弁は、乳児の自発呼吸だけでは開かないことがある。自発呼吸のある小児への酸素投与だけの目的にこの種のバッグを使わない
  • 上気道閉塞(クループ・喉頭蓋炎・異物)に対する気管挿管はリスクの高い手技。専門知識・技術を十分に持つチームがいないなら無理に試みない——完全閉塞後の次の手段(外科的気道確保)がない場合はなおさら
  • 搬送時間が短い・挿管の経験が少ない場面で、無理に気管挿管を急がない。バッグバルブマスク換気を継続しながら応援・搬送を進める
  • 換気ができないときは、いきなり2人法や気管挿管に進む前に、まず体位の取り直し・マスクの密着・吸引・酸素源・バッグの点検を済ませる
  • 換気回数の数字はAHA(2020年、2〜3秒に1回・20〜30回/分に引き上げ)とJRC蘇生ガイドライン2020(特定の回数は推奨せず、1回換気量6〜8mL/kg・胸部挙上が見える程度・過換気と低換気を避けるという質的な目安)で枠組みが違う。数字だけを覚えて機械的に当てはめない
  • 体重が不明でも年齢から体重を推定して気管チューブサイズ・薬用量を代用しない。実際の体重を用い、わからなければ身長テープを使う

一般教育・院内オペ補助。個別診断・治療の代わりにはなりません。数字の出典は原資料(PALS・JRC蘇生ガイドライン2020ほか)。逐条レビュー継続中。

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